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小説343(Falling-of-blossoms running water)

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フォレストシンガーズストーリィ343

 「Falling-of-blossoms running water」


1・照子

 タイミングがよければ私の先輩の有名人に会える店、「落花流水」。有名人とは限らず、興味深いひととも会えるのもあって、まとまった時間があると足を向ける。バイトの史人くんとも親しくなれたし、マスターのジャックさんも親切で、居心地のいい店だから。
 カウンター席の隅に腰かけてコーヒーを飲み、サービスのクッキーを口にしながら、教授に提出するリポートの案を練っていると、史人くんの声が聞こえた。
「いらっしゃいませ」
 新しく入ってきたお客はすごく大きな男性で、私がすわっているカウンター席の並び席に腰かけた。
「ブレンドコーヒーを」
「かしこまりました」
 返事をしたのはカウンターの奥にいるマスターで、丁寧にコーヒーを淹れている。カップに注いだコーヒーを客の前に置き、マスターが一礼した。
「ああ、どうも。ふむ……」
 なにかの儀式のようにおもむろにコーヒーを飲んだお客は、カップを置いてにこっとした。
「おいしいですね」
「ありがとうございます。お客さまもこういう仕事をなさっているのでは?」
「わかりますか。そうなんですよ。私も飲食店を経営していましてね。このお店は、ほら」
 落花流水のサイトで史人くんがPRしているので、私の大学でも有名になっている。この店のマスターは私の大学の大先輩で、史人くんは私の後輩。このお客もサイトを見たのだそうだ。
「ですよね。私もあの大学とは無縁ってわけでもないんですよ」
「無縁ではないとおっしゃいますと?」
「私は大学なんてところには縁はないんですが、あの大学の卒業生の中にはひいきにしてくれている方がいらっしゃいますんで、こちらのお店とは常連客がかぶってるようでね」
「ああ、そうなんですか。すると、有名人も?」
 人間、誰だって有名人は好きだ。私が落花流水の話をすると、金子将一さんファンの祖母は言う。
「金子さんが来てるときに私も連れていってよ」
「そんなの、わからないもん」
「じゃあ、照子が会ったら電話して。電話が間に合わなかったらサインをもらってきて」
「できたらね」
 約束させられてしまった。
 あんなおぱあさんだってイケメンには弱い。有名人だからってイケメンとは決まっていないが、金子さんは超イケメンだ。私はまだ会ったことはなくて、史人くんは会ったことがあるそうで、いいなぁ、と言いたくなる。
 この店つながりで話をした木村龍くんは、フォレストシンガーズの木村章さんの弟。三沢雄心くんは三沢幸生さんのいとこ。三沢幸生さんともこの店で会ったし、フォレストシンガーズのひとたちだったら金子さんとは親しいらしい。
 とはいっても、サインを頼むなんて図々しいお願いはできないしなぁ。史人くんにだったら言えるけど、彼では無理だろうしなぁ。
 なんてことを考えながらも、リポートの案は完全にお留守になって、耳はどこかの店とこの店のマスターふたりの会話に集中している。どこかの店のマスターは井場と名乗り、私の大学の先輩たちの名前を出した。
「うちの店は長くやってますんで、最初はどなたが来て下さったのかは覚えていません。最近では年長のほうといえば、星さんと金子さんですね。星さんが合唱部の先輩に連れられてきて、後輩を連れてくるようになって、うちの店を口コミで広めてくれたようです。フォレストシンガーズの方々だとか、彼らが親しくしている芸能人だとかも来てくれて、うちの店は落花流水さんと客筋がかぶってるかな。そう思って、今日は休みなんで偵察にきたんですよ」
「それはどうも。というと、井場さんのお店は向日葵?」
「ごぞんじでしたか」
 ああ、そうなんだ、と私も思った。
 林原爵さんは私がキャプテンをつとめるロック同好会の大先輩で、そのまた先輩の淀川譲治さんと、サークルはちがえど年頃は近くて同じ大学OBの星丈人さんと、おじさんロックバンドを臨時結成した。
 爵さんがヴォーカル、譲治さんはドラム、星さんはギター。ベースがいない、照子ちゃん、誰かいないか? と尋ねられた。私がベーシストだったら加えてほしいところだったのだが、私はドラマーだ。だが、身近にベーシストはいる。
 あいつではあまりにも……とは思ったのだが、もっとも引っ張ってきやすい奴だったのもあって、弟の義堂を連れていってみなさんに会わせた。
 なんとか合格点をもらった義堂は、「The herons」の唯一若いメンバーにしてもらった。
 三十代後半のおじさんが三人。浪人のひ弱な少年がひとり。おじさんたちに義堂が苛められると思ったわけでもないのだが、気になるのでバンドの練習はちょこちょこ見にいっていた。そうしているうちには星さんとも話をするようになって、「向日葵」の名前も彼から聞いた。
「譲治さん、疲れただろ。リタイアしてもいいよ」
「……ジャック、この野郎、俺じゃなくて照子ちゃんにドラムをやってもらいたいと思ってるだろ」
「あ、ばれた?」
「当たり前だ。馬鹿野郎」
 譲治さんと爵さんはお世辞まじりにそんなふうに言ってくれたけれど、星さんはわりに冷淡だった。
おまえみたいな小娘、まともに相手をしていられるかって? それだけに、時々は話をしてくれると感激で、彼の言葉はよく覚えていた。
「混んでるときもあるにはあるけど、わりと有名人の客がよく来るから、すいてるほうがいいって感じもあるのかな」
 練習のために借りていたスタジオの外で、おじさんたちは煙草を吸い、義堂と私は日なたぼっこをしていた。
 そのときに星さんが言っていた店が「向日葵」。行ってみたいな、星さん、連れていって下さい、と言いたくて言えなくて、私は星さんの端正な横顔を盗み見ていた。彼はとてもとてもいい顔をしている。イケメンなんていう軽薄な流行語で言い表したくない。
 ならばなんて言うの? 男前ってのも軽いよね。ハンサム? いい男? かっこいい? そのあたりの良い要素がいっぱい詰まったルックスといえばいいのか。
 表面だけしか見えないのがもどかしい。中身も知りたい。知りたい、私の知らないあなたを知りたい。だけども、私はあなたから見たら小娘で、あなたはおじさんだから、相手にはしてもらえないよね。それが無性に哀しかった。
 あとのふたりのおじさんは、ジャックさん、ジョージさんと呼んでいたのに、星さんにはなれなれしい呼びかけはできなくて、姓でしか呼べなかった。
「俺はベースはほとんど知らないけど、義堂……ちょっと」
「はい」
 ここはこうしたほうがいいんじゃないか? 義堂の手に手を添えてベースギターの指導をしている星さんを見て、星さんってほんとは男のほうが好きなんじゃないの? なんて思ってみたりもした。
「なんだよ、おまえ、びくついてるのか?」
「びくついてはいませんけど、星さんとこんなに近づくと緊張するんです」
「緊張なんかしなくていいさ」
「は、はい」
 いいなぁ、あたしが義堂になりたいな、なんてね。我ながら馬鹿な望みだ。
 触れ合ったのはそのときだけ。「The herons」は落花流水でライヴをして、またやろうぜ、と言い合ってはいるらしいが、社会人のおじさんたちはそうそう遊んでもいられない。私は星さんに会う機会もなくなってしまった。
 ジョージさんとだったらたまに落花流水で顔を合わせて、よぉ、照子ちゃん、ますます綺麗になったな、などと言ってもらうけど、私は内心でがっかりしてしまう。ジョージさんかぁ、星さんだったらいいのにな。
「星はめったに来ないな、あれから来たっけ?」
「俺は一度もお会いしていませんよ」
 さりげなく尋ねてみたら、マスターと史人くんはそう言っていた。
 その星さんは、向日葵にだったら行っているようだ。金子さんも行くみたいだし、おばあちゃんにサインをもらってきてって頼まれた、ってのを口実にして、私も向日葵に行ってみようか。


2・爵

 同業者に偵察にこられるようになったとは、俺の店も出世したもんだ。もっとも、俺は雇われマスターだし、こんなのを出世とは呼ばないのかもしれないが。
 ロック喫茶のマスターと呼ばれるようになってから、数年がたつ。「落花流水」を同窓生たちの集いの場にしたくなったのは、沖縄に行ったのがきっかけだった。
 店をバイトの史人にまかせて沖縄に行き、那覇のライヴハウス「マジソンスクエアガーデン」に入ったら、その店のオーナーが大学のロック同好会の後輩だったのだ。美人の妻がひとり、美人の娘がふたりいる奴の名前は、勝部卓也。
 東京に帰って史人に相談を持ちかけ、店のサイトに史人の書いた宣伝文をアップして、タクにも報告した。
「落花流水のサイトは見たよ。フォレストシンガーズの面々だの、金子将一だの、うちのサークルの連中だのも来てるんだろ。梶けい子も来たのか。俺も東京に行く用があったら、立ち寄らせてもらう。みんなによろしく」
「タク、おまえは気になる女がいるんじゃないのか。なんつったかな、彼女?」
「はて、誰のことだ?」
 メールのやりとりではタクはすっとぼけていたが、梶けい子が話してくれた。
 同好会で俺がキャプテンだった年、タクは三年生、けい子が二年生。けい子と同じ学年の女の子が、タクとつきあっていた。
「名前ははっきり覚えてないんだけど、古くて新しいってのかなぁ。彼女がタクさんに惚れちゃって、彼氏になってほしいって騒いでて、タクさんだったらあたしだって彼氏にしたいよ、って言ってた女の子は他にもいて……だけど、結局はその彼女が……古い? 古賀……そうそう、古くて新しいんだ。古賀未来!!」
 ああ、そんな子いたっけな、程度は俺も覚えていた。
 古賀未来は合唱部の服部一葉と仲が良かったとけい子が言っていた。カズハだったら俺も覚えている。ジョージさんがカズハに惚れていて、すったもんだしていたはずだ。背が高くて少々男っぽくて、すかっとした感じの女の子だった。
 卒業生の数は天文学的数字になるのではないか、というようなマンモス大学なのだから、知り合いだったり友達だったりした男女だって、近況は知らない相手のほうが多い。
 有名人だったらこっちだけは知っている場合もあるが、一般人は無理だ。カズハも未来もうちの店のサイトを見てくれているのかどうかもわからないのだから、俺は待つしかない。男の同窓生はけっこう来てくれているが、女性は少なくて、けい子の情報網も頼りにしていた。
 タクには妻子もいるのだから、昔の女を話題にしたくないのかもしれない。タクの妻の名は「炎」と書いて「ホムラ」、沖縄の炎の美女は、悋気も火焔のごとくに激しくて怖いのだろう。
 名ばかり「マジソンスクエアガーデン」の影響で学生時代の友達に会いたくなって、その望みはいくらかは実現できた。四十路に近くなってくると、あのころはまったく、恋だの諍いだので熱い季節だったな、と思う。
 青春は高校時代をさすのか。大学時代は夏真っ盛りだ。ホムラタツ、焔の立つシーズン。白熱の真夏だった気がする。
 白秋が訪れようとしている俺は、昔の友人知人の話を聞いたり、現役の後輩の話を聞いたりして考察する。俺も恋愛や人生からリタイアしているわけでもないが、傍観者でいるのも楽しい。有名人たちをネタにして、いずれは暴露本でも出そうか。
 暴露本は冗談だが、こんな俺にも気がかりはある。
 たとえば東郷政雄。彼が大学時代に交際していた女は、現ラジオアナウンサーの沢田愛理だ。東郷の言葉によると、現人気シンガーの金子将一が、東郷の女だった沢田を寝取ったのだとなる。そして、現在では金子と沢田は熱愛報道も流れるほどの公認のカップルになっている。
 現在の東郷政雄がどんな職業についているのかは不明だが、あまり恵まれてはいないようで、半ば本気のごとく、金子と沢田の過去を週刊誌に売ってやろうかと言っていた。
 それから柴垣安武。ヤスはパンクバンドを解散して、新しくバンドを組むだとか、ロッカーはやめて弁護士になるだとか言いつつ、よそのバンドの連中とセッションをしたり、ベースギターを演奏する仕事をしたりして凌いでいるようだ。
 したたかな奴なのだから、ヤス本人は放っておいても大丈夫だ。それよりもヤスの言ったことが気になっていた。
 現ミュージシャンの男と、現一般人であるらしき女がいる。彼と彼女は俺の大学の後輩で、女が男に恋をして告白した。が、男は断り、女がそれを遺恨にする。女は男に告白を断られたことを長年、根にもっていて、十年以上もすぎてからブログに虚偽の手記を書いた。
「なによりもむかっ腹が立ったのは、その男をデビューさせてやったのがその女の今の亭主だと書いてるくだりだ。女につきまとって別れないと言う男を遠ざけるために、当時は女の婚約者だった男が汚い手段を使ってデビューさせてやった。そんなわけねえだろ。俺は本当のことを知ってるんだ」
 わりにシニカルな奴が本気で憤っていたのだから、俺はヤスの言を信じる。
「ブログは閉鎖されたみたいだし、女は特に有名な人間でもないんだからそれほど話題にもなってなかったけど、マジで受け取って、あのひとってひどい男なんだ、なんて思ってる奴もいそうだよな」
「そのひどい男って誰なんだよ?」
「言いたくねえよ」
 解決したのか否か、俺の心にもトゲがひっかかったまんまの一件だった。
 うちのバイトの石垣史人、史人に恋をしていて甘えかかっていた近藤葦乃、このふたりと同じく現役大学生の後輩たち、木村龍と三沢雄心。このあたりの若者たちも気にかかる。
 フォレストシンガーズの木村章と三沢幸生の身内である龍と雄心には、最近は常連になってくれている渡瀬照子もからんで、なんだかんだとあるのかもしれない。若いってのはそういうことさ、ま、がんばれよ、とオヤジとしてはエールでも送っておくしかないか。
 若いといえばマルセラ・ユーフェミナ。女にはもてる俺だって、ここまでの美女を抱いたことはない。彼女もうちの店で俺の知らない男と密談をしていたが、あれはどう進展したのだろうか。マルセラもどうやら金子を好きだったようで。
 金子と星は罪つくりな男だ。俺だって昔は……だけど、俺のことはいいとして。
 九十九正義って後輩もいた。彼はうちの店で女に交際を申し込んで、とんでもない返事をされていた。私には別に好きなひとがいるんだから、九十九くんは予備としてだったらいいよ、って感じであって、史人も俺も漏れ聞いて呆れたものだった。
 どれもこれも、横で聞いている喫茶店のマスターに解決できる問題ではない。星に恋をしている照子にしたって、星にまかせておく以外、俺には得策は思いつかない。


 昼間は盛況だった店がしんとした夜半。客は皆無になり、史人も帰宅した。店をクローズする前に、俺はカウンターでひとり、煙草を燻らせウィスキーを飲む。こんな夜にはハードロックでもないだろうから、ギターソロのCDを流していた。
「こんばんは、まだやってますか」
「どうぞ」
 女のひとり客だ。年のころなら四十代か。でっぷり太って貫禄がある。水商売の貫禄というのではなく、堅気のおかみさんの風情だった。
「お待ち合わせかなんかですか」
「いえ、そうでもないんです。この時間だとお酒?」
「お酒でもコーヒーでも、お好みのものを」
「では、水割りと……」
 窓際の席にすわって、客は水割りとキューカンバーサンドをオーダーした。
 彼女は俺の記憶にはない。客が話しかけてきたら応じるが、この場合はこちらからは話しかけない。オーダーの品を作って運んでいくと、会釈はしたものの、彼女は飲み食いはしなかった。
 金を払ってくれるのならば、飲もうと食おうと捨てようと、客の自由だ。客は窓際にもたれてぼんやりしている。俺も煙草とウィスキーはやめて、グラスを磨いているふりをしていた。そうしていると、再びドアが開いた。
「あら、なんでここがわかったの?」
「……一度、行きたいねって言ってたからだよ」
 入ってきたのは女と似た体格の、でぶっとした男だ。彼は俺にコーヒーを注文してから、女の前の席にどかっとすわった。
「酒なんか飲めないくせに」
「たまには飲みたくなるのよ」
「飲んでないくせに」
「……あなたにあげる」
「うん。操子はコーヒーを飲めばいいよ」
 夫婦なのだろうか。言葉数が少ないので事情がわかりづらく、俺は彼らの席にコーヒーを運んでからは、グラスを磨き続けていた。
「……ジャックさん、俺、変わりすぎててわかんないでしょ」
 唐突に男に声をかけられて、俺は彼を凝視した。
「太ったもんなぁ。操子だって詐欺だって言ったよな」
「私は昔から太ってたから、痩せた塁を好きになったのよ。私がこの体格だから、旦那が太っても文句は言えないんだけど……」
「操子の友達にだって、似たもの夫婦になったよねって冷やかされるもんな」
「私の食べものの好みのせいもあるかな」
 痩せた塁……ルイ? ルイといえば……? 目をこすって改めて見つめた。
「塁……前崎?」
「お久し振りです。先輩」
「うちの主人が昔はお世話になりましたそうで」
「妻がこの店のことを知って、あなたの先輩に会いたいって言ってたんですけど、俺は変わりすぎたからためらってたんですよ」
「だから、ここに家出してきたのよ」
 にこやかに話している夫婦を見ていると、夫のほうの遠い面影がかすかに見えた。
 タクと同い年だから俺よりは一年下。学園祭ではタクとツィンリードもやって、女の子たちを熱狂させたギタリストの塁だ。
 当時のロック同好会には、ルックスのいい男はうじゃうじゃいた。大学生バージョンの「The herons」は、ルックスと楽器の能力とで選んだのだから、俺と一緒にバンドを組んだ男は皆、格好のいい奴ばかりだった。
 その塁の十数年後の姿か。人は変わるものだ。
 長い髪を振り乱してギターを弾いて、同じくらいには格好のよかったタクとギターバトルをやっているような、そのくせ、互いのギターが恋を囁き合っているようでもあった、大学の野外コンサート。タクは変わらずかっこよかったが、塁は……タクが見たら驚愕するのではあるまいか。
 身長は縮むわけはないから長身だが、全体に肥満して太鼓腹で、額が禿げ上がっててかてかしている。妻も太っているので、ダルマの夫婦雛のようだ。
「……思い出せませんか、ジャックさん?」
「いやいや、思い出しましたよ。実に久し振り」
 今夜はもう店を閉めよう。俺はドアの外に「close」の札をかけ、店内に戻って夫婦の席につかせてもらった。
「あのころはロック同好会の男はたいてい、将来はロッカーになるって言ってた。俺だって本気でそう思ってた。大学を卒業してからはバンドも組んだし、ギタリストとしてソロでデビューする方向で模索もしたんです。でも、うまく行かなかった。だまされたりもしましたよ」
 ある面は俺と似た人生を歩んできているらしい。
 そうしてロックの道を歩いていた塁は、へとへとに疲れてしまったのだそうだ。疲れ果てて飲み歩くようになった三十歳の年に、操子さんと出会った。
「彼女はいいうちのお嬢さんでね、こんな俺に恋をしてくれた。彼女が励ましてくれたから、俺もやりなおそうって気になったんですよ」
「家が金持ちだからって、あんなデブと結婚するの? なんてね、あのころの塁はもてたから、ライバルが言ってたのは聞こえてきましたよ。塁はそんなことを言われないために、私に合わせて太ってくれたんじゃないの?」
「自然に太ったんだけど、今の俺にはルックスは関係ないもんな。見た目がこんなのほうが、ああいう店では信用してもらえるんですよ」
 似た道を歩いてきても、たどりついた先は別々。塁は茶葉を扱う老舗のひとり娘と結婚して婿養子になり、俺はロック喫茶の雇われマスターになった。
「ジャックさんはあいかわらずかっこいいですね。ロックもやってるんですか」
「遊びでだったらやってるよ。塁は?」
「ギターも弾けなくなりましたよ」
 そっか、と呟いて黙ると、塁が尋ねた。
「この店にはロック同好会のみんなも来るんでしょ? 誰かに会いました? プロのロッカーになってる奴は?」
「ヤスだけだよ。プロになったのは」
「柴垣? ああ、そうなんだ」
「タクはセミプロってのかな、沖縄では有名らしいけどな」
「タクって勝部ですよね。ああ、そうなんだ。ヤスとタク……顔を合わせられないな」
 寂しげに微笑む塁を横目で見て、操子さんが彼の頬に水割りのグラスをくっつけた。ぎゃっ、冷たいっ!! と叫ぶ塁の声だけは、あのころと変わってはいなかった。


3・史人

 土曜日の午後、マスターが言った。
「天気もよくないし、今日はこれからは暇かもな。俺は昨夜、徹夜だったんだ。一時間ほど昼寝をするから、史人、頼むよ」
「いいんですけど、俺はマスターみたいに上手にコーヒーが淹れられませんよ」
「コーヒーが飲みたいって客が来たら起こせ」
 奥の小部屋に入っていくマスターに、ごゆっくりー、と皮肉半分の声をかける。
 お客はひとりもいないのだから、いいといえばいい。マスターは昨夜は徹夜って、なにをやってたんだよ。女か? 退屈なので女のことを考えた。
 高校生のときにはつきあっていた女の子がいた。その年頃の男は誰だって性欲のかたまりなのだから、俺も彼女と体験がしてみたくて、どうにかキスにこぎつけた。映画館の暗闇にまぎれてキスをして、胸の中に手を入れようとしたら、その手をねじられた。
「……いていて。ごめん。もうしないから」
「あとでね」
 怒らせたのかと怖くなって、映画が終わってからも気まずかった。それでも外に出ると、俺はおずおず言ってみた。
「奈緒ちゃん、俺……きみとさ……キスはしたんだから続きも……」
「あんなところで叫べないからキスはしたけど、そこまでだよ。私はまだ、そんなことはしたくないの。二十歳になってからね」
「二十歳になるまで待てっていうの?」
「うん」
 二十歳になったらさせてくれるのか、そんなら我慢しよう。
 我慢するのは非常につらかったが、俺は奈緒美が好きだったし、裏切りたくなかったし、金もなかったし、二十歳になるまでは待とうと決めた。しかし、奈緒美は秀才だったから、俺よりも格段レベルが上の大学に行ってしまい、十九歳になる前に自然に別れてしまった。
 大学生になってからひとり、別の女の子とつきあったのも、そんなところに到達する前に別れてしまった。だから俺にはその経験がないってのに、四十間近のおっさんは好き放題やってていいなぁ。女もマスターに近い年頃のほうがやわらかいのか。
 今は……近藤葦乃。あいつは俺をどう思っているのだろう。
 友達に懇願されて名前だけを貸すつもりだったのに、多少は関わらざるを得なくなった大学のワインサークル。ワインではなくて石垣先輩に興味があると言って、サークルに入ってきたヨシノ。
 あいつはタイプではなかったから、女の子には弱気になってしまう俺が強気にふるまえた。えらそうにしてもヨシノは俺を慕ってきて、うっとうしいと邪険にしながらも、実は嬉しかったのか。いいや、俺はヨシノなんかどうでもいい。
 でも、ヨシノが木村龍に関心を示し、ふたりがデートするようになってからは、俺はむしゃくしゃしていた。有名人好きのミーハーヨシノは、龍がフォレストシンガーズの木村章の弟だからこそと近づいていったのか。
「龍くんに連れていってもらったの。近いうちにあるア・カペラグループのジョイントライヴ、リハーサル会場。あんなところって、コネがないと入れないよね。楽しかったよ」
 学校のカフェテリアでお茶を飲んだときに、ヨシノが言っていた。
「玲瓏っていう男性のグループがいたの。新人らしいんだけどかっこよくてね、龍くんにはきちんと挨拶してたけど、あたしなんかは一般人だから見えてもいなかったみたい。ああ、だけど、思い出しただけでうっとりしちゃうほどのイケメンぞろいだったんだ」
 新人とはいえプロの歌手なんだから、ヨシノなんかは見えてなくて当然だ。第一、ヨシノは玲瓏ってグループの特定の誰かをターゲットにしているわけではなくて、グループ全部にミーハーしているだけだ。なのに俺のむしゃくしゃは強まった。
 他の男にヨシノが注目するとイライラする。俺は心が狭いだけなのか、ヨシノに気がないわけではないのか。ヨシノとだったら初体験、できるのかなぁ。そのために、なんて、浅ましいかなぁ。
「あ、いらっしゃいませ」
 たらたらとそんなことを考えていると、お客が入ってきた。
「ロイヤルミルクティを」
 コーヒーではなかったのでほっとして、紅茶を淹れる。濃く出した紅茶にミルクを注ぎ、生クリームをホイップして浮かべ、砂糖を添えて、女性客のテーブルに運んでいった。
「ありがとう。ここはあなたがひとりでやってるの?」
「いえ、僕はアルバイトです。マスターは所用で外出しています」
「そう……すこしお話ししてもいいですか」
「僕でよろしければ」
 小柄でほっそりした、ちょっとばかり人生に疲れたような風情の女性だ。三十代だろうか。なにも言わないところを見ると、俺の大学の先輩ではないのだろうか。
「徳永さんって、ここにいらっしゃる?」
「徳永渉さんですか。僕はお会いしたことはないですね」
「そうなんですか」
 徳永さんとなにか? と尋ねてはいけないのだろうか。マスターだったら上手に会話をするのかもしれないが、俺はこんな大人の女性とはうまいやりとりができそうになかった。
「徳永さんもあなたの大学の先輩でしょ。サイトは見たんですよ。あなたがアルバイトだろうとは知ってて言ってみたの」
「ああ、はい」
「他に手段は思い浮かばなかったんだけど、有名人が来てるときだったら、一般人は店に入れないようにするのよね」
「んんと、そうするときもありますね」
 有名人が店内にいるとマスターが、「臨時休業」の札をかけてこいと俺に命じる。
「そうよね。私は大学とはなんの関係もないんだし、有名人になった徳永さんに会えるはずもないだろうけど……新米美容師だったころに、新人歌手だった徳永さんとね……」
 ぽつり、ぽつりと彼女は語った。
 新人歌手の徳永渉にライヴハウスに連れていってもらった。ジャズやブルースやフラメンコギターや、彼女にはジャンルも不明な音楽なども聴いて、彼女には難解すぎて楽しいとも思えず、当惑するばかりだったと。
 当時の彼女はアイドルグループのファンで、今では消えてしまった彼らのうちのひとりに熱を上げていた。そんな音楽的センスの持ち主に、徳永渉の趣味が理解できるはずもなかったと。
「だけど、今となったら楽しかった思い出なのよ。あれから私にもいろんなことがあっておばさんになって、美容師としてはけっこう熟練したつもり。音楽もいろいろ聴いてみるようになった。今の私だったらちょっとは徳永さんの趣味についていけるのにね……馬鹿みたいね」
「はあ、いえ……」
「ごめんなさい。おばさんのたわ言を聞いてくれてありがとう」
「いえ」
 当惑してしまったのは俺のほうだった。
 つまり、この女性は徳永渉のモトカノなのか。俺がスキャンダル雑誌の記者だったりしたら、彼女に突っ込んだ質問をするのか。徳永渉はそんな記事が出たからといって、世間が騒ぐタイプの歌手ではないようにも思えるが。
 生活に疲れたような雰囲気はあるものの、彼女は可愛らしい目鼻立ちや身体つきの女性だ。若いころにはさらに可愛かっただろう。
 長身でかっこいい徳永渉が、小柄な彼女と寄り添って歩いてライヴハウスに入っていく。彼女はわけのわからない音楽を聴かされて困りつつも、徳永さんってかっこいいなぁ、なんて、彼の横顔に見とれていたのか。
 表面的な想像しかできないが、絵になる風景だと思えた。
 ロイヤルミルクティがなくなると、彼女はごちそうさま、と言い残して出ていった。マスターは寝ているらしくて奥から出てこない。名前は言わなかった彼女は俺に話をして、ちょっとは心が軽くなったのだろうか。
「いらっしゃいませっ!!」
 後片付けをすませ、マスター、そろそろ起きないかな、と思っていたら、新しいお客が来店した。今度も女性客で、先の彼女と似た感じがある。ただし、こちらはずっと若かった。
「レモネードを」
「かしこまりました」
 レモネードはマスターが作って冷蔵庫に入れてある。俺はそれをグラスに注いで氷を浮かべ、レモンスライスを添えて出すだけだ。テーブルに運んでいくと、彼女は言った。
「このお店って、フォレストシンガーズだとか金子将一さんだとかの大学の先輩が経営してるんですよね」
「経営ではなくて雇われてるマスターですが、近いですね」
「そうなのね。私は仕事ですこし、そういう方々とおつきあいがあるんです」
「そうですか」
 時には騙りもいるから、そんなふうに言う奴は適当にあしらっておけ、とマスターに言われている。人生経験豊富なマスターだと話をしているうちに騙りは看破できるらしいが、俺には不可能な芸当だ。
「そういう方って、ここにいらっしゃるんですか」
「ごくたまには来られますよ」
「乾さんもいらっしゃいました?」
「はい」
 来た、くらいは言ってもいい。俺は乾さんにだったら会っている。
 ほっそりした小柄な体格が先客に似ていて、もっと若くてもっと気の強そうな顔をした女性は、乾さんのモトカノか。徳永さんだって乾さんだってもてるんだろうし、歌手なんてものは女性経験も華やかだろうし、いいなぁ。
 先客はおばさんだったけど、若いころには可愛かったんだろうし、この女性は今でも可愛い。乾さんよりは十ほど年下だろうか。こんな若いのにこんな切なそうな顔をさせてさ、乾さんもなかなか悪い奴なんだよね。
 知りもしないのに勝手な想像をして、徳永さんも乾さんも女を泣かせる悪い奴だ、などと勝手に考えていると、彼女は言った。
「あなたは学生さん? お名前は?」
「石垣です」
「私は静香。お仕事は何時まで?」
「……え?」
 どういう意味? 返事のしようがなくなった。
「私は石垣くんよりも年上だよね。うふふ、ごめん」
「あの……」
「いや? いやってよりも困ってる? いやじゃなかったらつきあってほしいな」
「えーとえーと……あのあの……」
「あなたが思ってる通りじゃないかな。逆ナン?」
 えーっ!! と叫びそうになった口を押さえた。
「ナンパって男が女にするって決まってるの? 逆ナンっていうのは変な言葉だよね。女が男をナンパしたっていいじゃない。もちろん、断るのはあなたの自由よ。どう?」
「いえ、あの、その……」
 しどろもどろになって汗が出てきた。ここで俺がうなずいたら、わりかし好みのタイプの年上の美人と初体験ができるのか。誘惑的だった。
「このレモネード、おいしいね」
 が、背中に視線を感じる。マスターが起きてきて俺を睨んでいる。行くな、相手は客だぞ、と言いたいのだろうか。無言の圧力に屈してしまって、俺はうつむいた。
「あのね、乾さんじゃないのよ。徳永さん」
「はい?」
「好きだったひとは徳永さん。彼は軽く軽く……ううん、今さら言ってもしようがないよね。あなたにも嫌われたみたいだから帰るわ。あなたが軽くうなずいたとしたら、私は意地悪になっていたかもしれないから、そのほうがよかったかもね。あなたには意味がわからないだろうことばっかり言ってごめんなさい。ごちそうさま」
「あ、あ、ありがとうございました」
 頭が混乱する。俺はああしてよかったのだろうか。彼女が出ていったドアをぼーっと眺めていたら、背後でマスターの声がした。
「おまえ、勇気ないな。ま、いいけどさ」
 あんたが邪魔したんじゃないか、との台詞をからくも飲み込んだ。
 

4・爵

「彼女はおまえを好きなんだろ」
 奥まったふたりがけテーブルの手前の椅子にすわって、背中を向けている照子を示すと、星は微笑んだ。
「ジャックさんに隠し立てしてもはじまらないから言うと、どうやらそうらしいな」
「もてますな」
「あんたほどじゃないよ」
「で?」
「で、って……」
 大手電機メーカーのオーディオ部門、部長だか次長だか、サラリーマン経験のない当方には、企業の役職ってやつはややこしくていけない。
 いずれにしても星はエリートビジネスマンだ。会社の実績もよいそうだし、海外出張なども多くて、不安定な人気商売などよりはよほど人生の基盤がしっかりしている。おまけにルックスもいいのだから、若くても若くなくても、女にはもてまくるだろう。
 学生時代にはさして触れ合いはなかった星は、サイトを見たと言って「落花流水」を訪ねてきてくれた。彼は合唱部出身だから、金子将一やフォレストシンガーズ、徳永渉あたりの先輩に当たる。ざっくばらんなロック同好会とはちがって合唱部は封建的だったから、星は有名人になった後輩たちの前でもでかい面をしているのだ。
「乾は俺に何度か殴られたって言うんだけど、こっちの記憶にはないんだよ」
「金子のあの形のいい鼻をぶん殴って折ってやりたいと思ったことはあるけど、実行に移したことはないはずだ。俺の記憶はまちがってないとは言い切れないけどな」
「本橋だったら殴ったことはあるよ。あの手の男は殴られたってなんとも思ってないからいいんだ」
「実は喧嘩をしたら徳永がいちばん強いんじゃないかな。あいつは簡単には激さないからさ。喧嘩は先に怒ったほうが負けだというだろ」
 見た目にそぐわず荒事も辞さないタイプであるらしき星は、そんな話もする。へぇぇ、星さんってすげぇ、と史人は感心していたから、若い男はいつの時代にも殴ったの殴られたの、喧嘩だのといった話が嫌いではないらしい。
 ロック同好会でも男同士の暴力沙汰の喧嘩は勃発していたが、先輩が後輩に制裁を与えるなんて風習はなかった。
「さぼりの罰とかってなかったのか?」
「さぼるのは自由だろ」
「いや、合唱部にはあったよ。俺は一年生のころだったら、さぼると先輩に殴られた。今の合唱部はそんなことはやってないんだろうな。今どきだったら不祥事になっちまう」
 おのれの武勇伝、俺は若いころにはワルだったんだ、のたぐいの自慢話、後輩を殴ったとかいうような話。そういうのは聞き苦しいものだが、星の口から出ると不思議に爽やかに聞こえる。星の後輩である男たちも言っていた。
「星さんは変わり身が鮮やかなんですよ。俺は一年生のときに先輩に向かってとんでもない失言をして、星さんに叱られて殴られました。後年になって当時の星さんの彼女だった女性にその話をしたら、きわめて意外そうな顔をしてましたよ。本橋だって、星さんってそんなひとなのか、って言ったんですものね。星さんはさまざまな顔を持っていたんだな」
 そう言っていたのはフォレストシンガーズの乾隆也だった。
「女性にはほどよく気障でかっこいい男と映る。男に対してはほどよく豪放でほどよく乱暴で、ほどよく面倒見のいい先輩。そりゃもてますよね。男にも女にももてるんですよ」
 金子将一もそう言ったし、向日葵のマスターも言っていた。
「星さんが若い女性といる姿を見たことはありますよ。彼女の目からあふれてこぼれたのは、思慕を受け止めてもらえなくて涙になったというような想いだったのか……美しいですなぁ」
 綺麗ごともできる男なのである。
 若干困惑したように、星が俺を見つめる。あんな若い娘に惚れられて、俺にどうしろっていうんだよ、とその目が語っているようで、星を殴ってやりたくなった。
 見た目のいい男はもてる。俺だってルックスは悪くないのだから年のわりにはもてるし、若造の史人も先日は逆ナンされていたぐらいだから、もてる。徳永渉のモトカノがふたり。鉢合わせしなくてよかったといおうか、徳永ももてるんだな、といおうか。
 決まった女のいる金子だってもてている。ルックスは俺のほうがいいはずだが、乾だってもてている。そもそもミュージシャンはもてるのだ。
「もてたくてバンドマンになったら、ほんとにもてるよ。音楽をやっててよかった」
 しみじみ感動していた奴が、ロック同好会にもその後に知り合ったロッカーにもいた。
 もてれば嬉しいのが男であるが、もてすぎると困るのもうなずけなくはない。星なんかはさっさと結婚して太って、髪が薄くなったらもてなくなるだろうから、そうすればいいのだ。いや、中身のいい男はそれでももてるのか。
「じゃあ、ごちそうさま。ジャックさん、女とのつきあいで徹夜だなんて、年も年なんだからほどほどにしないと」
 おまえに言われたくねえんだよ、と言う前に、星は店から出ていってしまった。
「史人、告げ口しただろ」
「ええ? なんのことですか」
「いいけどな」
 むこうの席で振り向いて、照子が星の背中を目で追っている。追いかけていってすがりつけ、とも言えなくて、俺は吐息をつく。今日は店内には有名人の姿はなくて、一部の人間を除いては平和に時間が流れていった。
「ジャックさん、いるか?」
「こんにちわぁ」
 またまたいい男が入ってきた。いい男と同行しているのはとびきりのいい女。俺の後輩と、その妻の沖縄美女だった。
「おー、タク、ホムラさん。ようこそ」
「あっ、タクさんですか」
 史人が勝部卓也を感激の面持ちで見つめ、ロック同好会のはるか後輩である照子もタクに挨拶しに近寄ってきた。
「そうなんだ。ロック同好会のキャプテンは女の子か。女ドラマー? かっこいいな」
「お噂はかねがね……噂以上にかっこいい。ホムラさんがうらやましいっ!!」
「でしょ? よく言われるのよ」
 あんなに切なそうに星を見ていた照子もはしゃぎ、ホムラさんもきゃっきゃっと笑っている。女の笑い声は華やいでいいものだ。
「よし、旧友がはるぱる沖縄から来てくれたのを記念して、臨時パーティだ。お客さんたちも参加して下さいね」
 顔見知りでもない客も拍手してくれて、店にいる全員にビールをふるまった。カンパーイ!! といくつもの声が唱和して、今日も楽しいひとときになりそうだった。

END



 
 

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