ショートストーリィ

ショートストーリィ「R18」

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「R18」


 うしろ姿の女がいる。
 清楚な白いショーツだけを裸身にまとい、我が手で乳房を抱えて、肩が震えていた。

「あ……や……」

 声にもならない声を上げた女のくびれた腰に、男の腕が回る。白い肌を男のたくましい腕に抱え込まれ、男の片方の手がショーツの中に忍び込む。女は、あ、あ、きゃっ、と小声で叫んで抵抗しようとし、男はそんなものはものともせずに、女を抱え込んでショーツを引き下ろしていった。

 種類のちがう白と白。白いショーツが下ろされていき、白い肌があらわにされていく。
 まろやかな尻のふくらみを愛撫されて、女の抵抗の声が甘い喘ぎに変わっていった。

「い……や……」

 生まれたままの姿になった女は、男に抱き上げられる。男の手が女のつま先から白いショーツを抜いて放り投げる。ベッドに降ろされた女は、媚態と甘い恨みのこもった瞳で男を見上げた。

「あ……そんな……いや」
「待ってろ」

 どこかで軽快なメロディが鳴っている。携帯電話の着メロであるらしく、女に身を重ねていこうとしていた男が離れていった。

「いや、いや、行ったらいや」
「駄々をこねてないで待ってろ」
「いやだったらっ」
「バカ」

 軽く言い捨てて、男は部屋から出ていってしまう。女はシーツを引き寄せて抱きしめて、その先を口に含んで身をよじった。

 隣室で小声で話していた男は、やがて寝室に戻ってきた。
 女の裸身を抱えていた男の腕は浅黒い素肌だったのに、今はシャツをまとっている。彼はベッドにいる女に言った。

「出かけてくるよ。おまえは寝てろ」
「……いやっ!!」
「いやとしか言わないんだな。このわがまま娘が」

「だって……だって……」
「俺の言う通りにしなさい。聞き分けよくしなさい。いい子で待ってろ。はいは?」
「いやっ」
「もう一度言う、いい子で留守番してろ」
「いやだったらっ!!」

「はいと言えないのは悪い子だな。帰ったらお仕置きをしてやるよ」
「お仕置きなんていや」
「お仕置きがすんだら、たっぷり抱いてもやるから」
「どっちもいや」
 
 口角に微苦笑を刻み、まなざしには怒っているような笑っているような光を宿して、男が女に近づいてくる。女の頭を抱き寄せてキスしようとした男のくちびるに、女が歯を立てた。

「つっ!! 手荒な挨拶だな。今のがおまえの、行ってらっしゃいか?」
「行ったらいや」
「いい加減にしろ」

 シーツの中で女を荒々しく抱きすくめて、男の手がなにやらなまめかしく動く。女は頬を染め、あ、あ、やっ!! と抗う。男は女とくちびるを合わせてから、寝室を出ていった。

素足がフロアを踏む音、着替えをしているらしき物音、廊下を歩く足音、玄関で靴を履いている音、ドアが開き、閉まり、靴の足音に変わり、やがて車の出ていく音になる。
 女はベッドにうつぶせて、一部始終の音を聞いていた。

「早く帰ってきて、お仕置き、して」
 ひとりで呟くその声が、うす桃いろの靄になって口から漏れていく。顔を上げた女は、鏡に映るおのれの姿をぼんやり見つめていた。

「……どうやってお仕置き、するの? おまえは悪い子だからって、俺の言うことを聞かないいけない子だって、うんと叱って懲らしめるの? 出かける前のあなたにだってあんなに駄々をこねたんだから、帰ってきたら約束通りにお仕置きよね」

 期待して、不安にも感じて瞳が潤む。ぽろっとこぼれた涙をぬぐう手も、吸い取ってくれるくちびるもないのが無性に寂しかった。

 鏡に映る女が我が手で乳房を持ち上げる。うしろを向いて、彼がするように腰のくびれから尻へと手をすべらせる。その手が彼のものであるかのように、脚と脚の間に入りこんでいく。

「あ……ねぇ、早く帰ってきて。なんだっていいからお仕置き、して。たっぷり叱られるように、おいたをしておくから」

 どこかしらに笑みの漂うあの声で、めっ、悪い子だ、と言われて、シーツを剥がされる。それからそれから……そのあとは……エロティックなお仕置きと、セクシャルなその後の時間を想像すると、吐息が蜜のように濃密にとろけていく。

「いつ、帰ってくるの?」

 一時間あとなのか、夜が明けてからなのか、陽が高くなってからなのか。
 いつなのだかは女にはまったくわからないけれど、彼が帰ってきてからの「あなたと私」を想像していれば、一週間だってあっという間にすぎてしまいそうだった。


END

このふたりは誰だか知りませんが、彼がうんと年上の年の差カップルでしょうね、きっと。
こんな一幕、えっちだと思って下さる方がいらっしゃるのかどうか、刺激的なのかどうかもわかりませんが、タイトルそのまんまで、一応R18です。



 
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~ Comment ~

良いシーンでした。

いろいろ忙しいフリをしていて、ゆっくりお邪魔出来ず、失礼いたしました。
年明けしばらくは恐らく暇になりますので、そのときに再度ゆっくり拝読させていただきに参ります~♪

年の差カップル。
ふふふ~♪ 好きな設定です。男女が逆になることもあるかな。つまり、女性が年上ってやつ。
朱鷺は、まっとうな恋愛はあんまり描けません~、というか、物語の中に、進行上の都合として恋愛が入り混じることがある程度で、ラヴ・ストーリィというものは描いたことがありません(^^;

ただ、いろんなモノに恋をします。
恐らく、自然の造形美や、悲しくてではなくて嬉しくて泣く人々の姿にとか。
特技、もらい泣きです。

まぁ、そんなことはいいとして。
冷たい男に噛み付く仔猫みたいな、わがままで気まぐれで愛情深いこの女の子。
いや、可愛いですねぇ。

ではでは。
ご無沙汰のお詫びとご挨拶を兼ねて。

また来ます♪

朱鷺さんへ

ご訪問、コメント、ありがとうございます。
とーっても嬉しいです。

三日間ほど旅行に行っていましたので、お返事が遅れて申し訳ありません。

いろんなものに恋をするというのは素敵ですよね。
恋心は人間の男女間にだけ通うものではない、ですものね。

わがままな女の子は近くにいるとイライラするでしょうけど、書くのは好きです。
そういうタイプの女の子に振り回されつつも、上から目線で適当に操っている男……どっちが操ってるんだか? なんて関係も書くのは好きです。

他にもショートストーリィもたくさんたくさんありますので、またお時間がおありのときに遊びにいらして下さいねー。

R18と言う表現は人それぞれですね。

私もところどころにR18用の記事を載せてます。
よくコメントの意見にこんなの別にR指定にしなくていいじゃんとか言われたりもします。
私にとってはこれはまだ一歩手前の段階ですね。正直Rにするかは迷いますけど・・。
私のは基本はこういった官能でRにしますが、時には残酷なシーンも自己判断でRにします。
注意しないと後で苦情が来ますからね(笑)。

この二人は歳の差カップルなんですね。女の人は甘えん坊さんですね。愛欲の語らいは歳の差関係なく男、女になったりしますからね。私は同性間でしか描いた事がないので、いつかは異性間でもって考えてます。

映画でもよくR指定が入りますが、ことハリウッドでは結構規制が厳しいようです。とあるシーンで12歳以下はダメとか、その他諸々あります。
今話題の「バットマン対スーパーマン」もどうやらR指定が入ってるようです。先日鑑賞してきましたが、あかねさんのある言葉を思い出しました。
こちらの記事で「ゴジラは台風のようなもの」と言ってた事です。
少々ネタばれになりますが、今回は災害と言ってもいいでしょうね。

あかねさんは「バットマン」や「スーパーマン」は映画で観た事あるかわかりませんが、この二大ヒーローはご存じかと思います。私もこの二人からアメコミを知ったくらいですからね。
私の創作の一つになってるとも言っていいほどです。
小説書いたりするのって、映画やら小説から始まるのだなって思ったりもします。官能ものも。

想馬涼生さんへ

コメントありがとうございます。

このたぐいのフレーズにはFC2はかなりうるさいですし、読んで下さる方の中にも、けっこうきびしい方がいらっしゃいますよね。
BLだとか官能的なのだとか、暴力シーンだとかは注意書きを入れておいたほうが無難かと思われます。

官能的な表現の場合、書いてる私が恥ずかしいのです。
私の趣味は偏っていますので、自分だけ「きゃわわ、いやらしい~」とか思っていて、読者さまは、なにが? どこが? だったりする場合もありそうですが。

バットマンは、昔々、テレビで見たかなぁ。
スーパーマンは映画で見たことありますよ。
アメコミってあの絵柄があまり好きではないのですが、スパイダーマンなんかも人気ありますよね。

超人だったらデビルマンとか、サイボーグ009とかが好きでした。
古くてすみませんv-467

ええ追記です。

バットマンは昔アニメでやってたのを観て知りました。その時ははまってませんでしたが、実写版を観てはまっていったって感じですね。でも最高なのはここ最近のバットマンの「ダークナイト」三部作ですね。

スーパーマンはテレビで観て知りました。あの時は純粋に好きだったですね。
最近のスーパーマンは全く違った形のスーパーマンですからね。

スパイダーマンは日本の漫画にもなった事あります。でも02年~07年のトビー・マグガイア三部作は良かったですね。悩める青年感が出てたと思います。

確かにアメコミの絵柄は好きではないですね。日本は漫画、アニメ大国なので、ああいった絵柄は好まれないかもしれませんね。でも実写映画はリアルで面白いですね。

デビルマンは再放送で観た記憶があります。サイボーグ009は観た事ありませんが、石の森章太郎原作だと言う事は知ってます。

想馬涼生さんへ

スーパーマンは昔のしか知りませんので、最近のを見たとしたら違和感がありそうですね。

私はアニメも特定のものしか知らないし、近頃は映画もほとんど見ないし、テレビも野球とニュースしか見ないし、映像的なものには疎いのです。
文章を書くのと読むのがいちばん好きなんですよね、結局。

デビルマンもサイボーグ009も、昔のあの手のアニメには哀愁が漂っていたように思えます。日本人は切ないのが好きみたいですよね。
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