novel

小説312(Young men)

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フォレストシンガーズストーリィ312

「Young men」

1

 オリジナル曲を作っても、音楽に詳しい人間には、どこかで聴いた曲だな? と首をかしげられる。ヒットソングというものが出てくるようになってから百年はたつのか。人間の考えつくことには限りがあるって意味か。
 そのせいばかりではないのだろうが、隆盛であるカバーソング専門の番組が誕生した。俺たちが売れないころから仕事をくれていたFMラジオ局で、パーソナリティは大ベテランシンガーの野添竜平氏と、若手のDJが月替わりで組むと聞いている。
 「The covers!!」のタイトルの番組の第一回は、一時帰国中の酒巻國友が野添氏とペアになり、ゲストも何組か呼んで特別枠で長時間放送される。俺もゲストとして呼んでもらった。
 野添さんは音楽評論家も顔負けなほどに内外の歌に造詣が深い。自身もカバーソングを手がけていて、プロデュースもやっているのだから適役だ。若い奴は知らなくても、野添さんならば、あ、この歌、あれね、とピンと来て苦笑するだろう。
「このイントロ、あの曲だなぁ、と思って聴いてたら、誰かの新曲だったりするからびっくりするよ。本橋くんだったら知ってるだろうけど、酒巻くんは気づかない場合もあるだろ」
 それは俺が若くないってことだな、とこっちも苦笑いしていると、酒巻が言った。
「僕は勉強不足かもしれませんが、本橋さんとだと三つしか年齢がちがわないんですよ」
「へ? そうなの?」
「僕は本橋さんが大学の合唱部キャプテンだった四年生のときに、一年生として入部したんですから」
「そうすると三つちがいだね。計算は合ってるね。だけど見えないよ。本橋くん、年をごまかしてただろ」
 そう言われるほどに、酒巻は若い。若いというよりも幼い。
 幸生は童顔少年体型、章も若作り骨々体型でたいへんに若く見えるが、三十歳をすぎれば大人らしくもなってきている。少なくとも外見だけは少々は老けてきた幸生や章と較べても、酒巻は幼すぎる。
 小柄で細くて筋肉がなくて、ひげも体毛もないのだそうだから、いや、体毛はまったくないわけではないのだろうが、俺にはあるものが彼にはなかったりするそうだから、そのせいもあるのか。
 ニューヨークに留学してひとりでがんぱって勉強しているのだから、中身はしっかりしてきた……はず。はずだが、顔も幼い。こいつのどこが三十二歳なんだっ!! と、野添さんでなくても驚きかもしれない。
 知っている俺でさえ改めて考えると、酒巻が三十代か、嘘だろ、と思ってしまうのだから。
 ぱっと見ただけでは大学生にだって見える酒巻は、ア・カペラグループ集結ライヴの司会のために帰国していて、日本にいたころにはやっていたDJの仕事も一時的に復活しているのだった。
「はい、本番いきまーす」
 ディレクターの合図ではじまった番組は滞りなく進んでいき、俺もよく喋った。酒巻だって学生のころからは考えられないほどに饒舌になって、DJの仕事もそつなくこなす。野添さんも舌はなめらかなほうなので、三人のトークは熱が入っていた。
「お疲れさまでした」
 このあと、野添さんは飲みにいくと言う。酒巻も野添さんに連れられて出ていき、俺は仕事の電話をかける用事があったので、あとで行くことにしてラジオ局の廊下のベンチで、ケータイで話していた。
「……はい、では、その件につきましては後日……」
 ケータイに向かって喋っていると、視線を感じる。目を上げると、俺を見つめている奴がいる。いくぶん太った背の高い男だ。知り合いだったかな? 思い出そうとしても思い出せない。
 一応はフォレストシンガーズも名が売れてきたから、リーダーの俺の顔は世間に知られるようになってきた。俺たちのような地味なルックスの男五人だと、各々の名前と顔を結びつけられるのは、すなわち、フォレストシンガーズのファンの方だ。
 テレビにもめったに出ない俺たちは、世間一般には、フォレストシンガーズ? ああ、そんなのいたね、と言われる程度で、それだって昔に較べれば大躍進なのだ。
 そんな程度なのだから、やはり俺がフォレストシンガーズではいちばん有名だと言っていいだろう。さきほども酒巻が放送で言っていた。
「フォレストシンガーズというと、MCで中心になる三沢さんと、リーダーの本橋さんがもっとも名前と顔を知られてるんですよね。というか、本橋さんがプライベートタイムに外を歩いていたりすると、あ、フォレストシンガーズのリーダーだ、って感じですか」
「どこかで見たことのある男だな、とかですね。僕もそんなふうにだったら知られていますよ」
 野添さんも言っていたように、俺もそんなふうに世間に認知されているのだろう。
 若い女性ファンは木村章に、熱烈なる女性ファンは年齢を問わずに乾隆也に、面白い奴が好きだと言うファンの方は三沢幸生に、であるから、子供のファンがいるとしたら、たいていはユキちゃんファンだろう。
 で、一般的な音楽好きは本橋真次郎に関心が向くらしい。もうひとりいる奴は……どういうファンだろう。渋好みだと本庄繁之に興味を持つのか。男の低い声が好きな女性ファンだとも考えられる。
 そのように分類されるファンの方が、多少は増えてきている我々なのだから、こうして俺がベンチで電話をかけていたら、ああして見ているファンの方がいてもおかしくはない。フォレストシンガーズの本橋真次郎がいる、なのか、あいつ、見たことあるような気がするけど、誰だろ、なのか。
 いずれにしても男だし、俺には声はかけてこないだろうと思っていたら、俺の思惑ははずれていた。彼が俺ににこやかに話しかけてきたのだった。
「本橋さんですよね。俺なんか覚えてないでしょ」
「え? どこかでお会いしましたか」
「……加藤です」
 加藤というと、俺たちの同窓生にいる。学生時代にもちょっとは言葉をかわし、卒業してからも何度かは触れ合った加藤大河。
 徳永渉の親友であり、章の弟の木村龍の大学の先生でもある加藤と、この加藤は関係があるのだろうか。顔は特に似てもいないからちがうのか。加藤なんてどこにでもある姓だしな……と思っていると、彼は言った。
「思い出せませんよね。会ったのは一度だけですから」
「どこでですか」
「広島、いや、実際に会ったのは山口ですけど、広島って言ったほうが、本橋さんには思い出しやすいんじゃないかな」
 年のころなら俺よりは五、六歳年下か。広島の加藤……忘れかけていた女性の面影を思い出した。
 我々がデビューして二年余りのころ、合唱部の先輩であり、レコード会社のプロデューサーでもある高倉誠氏に広島に連れていってもらった。高倉さんがファンであって、俺も彼に洗脳されてファンにされてしまったカープの二軍練習場、あそこは広島ではなく、山口県にあった。
 二軍のピッチャーに紹介してもらい、彼の球を受けさせてもらい、俺は考えていた。いつかはフォレストシンガーズがプロ野球の始球式をやりたい。
 始球式はまだ実現していないが、そのときの決意やらなんやらも思い出す。無残なまでに売れていなかった俺たちは、時々は鬱勃とした気持ちになっていたものだった。ちょうどそのころ、知り合った広島のひと。
「あ、あー、もしかしたらあのピッチャー?」
「思い出してくれました?」
 高校出たての有望な二軍ピッチャーの加藤、彼とは一度会ったきりで、一軍で活躍するようになったというニュースも聞かなかったから、いつしか忘れてしまっていた。
 あのときに彼と同時に知り合った、彼の姉……名前はなんだったか。
 弟の球を俺が受け、彼はいつまでもさぼっていられないと言って、練習に戻っていった。そこにやってきた彼の姉を高倉さんが誘い、三人で高倉さんの車に乗って広島市内に入った。そのあと、高倉さんは故郷の宮島に行き、俺と彼女はどうしたのだったか。
 ルーキーピッチャーだった彼の名前は聞いたのだったか。姉の名前は聞いたけれど、覚えていない。思い出したくないのかもしれない。
 なんにもしたわけでもない。ただ、電話で話したり、仕事で中国地方に行ったときにデートしたりしただけだ。彼女はごく平凡な女性で、なのに俺は会えずにいる間に妙に美化して、会うとがっかりして。そんな些細な罪の意識が残っていた。
「加藤くんだよね」
 短い間にそれだけを思い出している俺を、彼は穏やかな表情で見つめていた。
「野球は続けてる?」
「ちゃんと思い出してくれたんですね。いえ、野球はやめました。今は事務用品の会社で働いてて、このラジオ局にも営業マンとして出入りしてるんですよ」
 ラジオ局にだって普通の会社の営業マンがやってくるのも、不思議ではない。
 しかし、ラジオ局なのだから文化人だの芸能人だの、放送関係の有名人だのも出入りする。加藤延彦と名乗った彼は、そういうのもここに来る楽しみなのだと笑った。
「今夜も見たことのあるひとがいるなと思って、見てたんですよ。あれは誰だったかなって……本橋さん、どうして笑うんですか」
「いやいや、俺だと最初からわかったわけじゃないんだね」
「すみません。そこまでよくは覚えてなかったんです」
「俺だって同じだよ」
 ベンチにすわり直し、飲みにいこうかと誘うべきかどうか、と悩みつつ、ひとまず自動販売機で缶コーヒーを買った。
「それでも本橋さんは有名だから、思い出したんですよね。あ、ありがとうございます。お金は……」
「これぐらいおごらせて」
「はい、ありがとうございます」
 若いころから礼儀正しかったスポーツ少年は、三十歳近くなっているのだろうか。運動をやめたスポーツマンの体型になっていた。
「俺は二軍でいっこうに芽も出ないうちに自由契約になりました。十八でプロに入って、五年ほどで終わってしまって、よその球団のテストなんかも受けても駄目でした。二十三、四だったかな。まだ若いからなんとかなるだろって、東京に出てきて普通にサラリーマンになったんです。あんまりうまく行かなくて、転職もしましたけどね」
「今の会社は続いてるんだろ」
「結婚しましたからね、働かないと食えません」
「ああ、そっか」
「子供もいるんですよ。本橋さんも結婚なさったんですよね。知ってます」
 缶コーヒーを飲みながら、延彦はゆっくりと語った。
「俺は夢をかなえられなかった。一度はかないかけたのに挫折しちまった。そんな人間、どこにだっているんですよね。ちょっとは荒れたこともあったけど、今の嫁と知り合って励ましてもらって、結婚して子供もできて、落ち着きましたよ」
「それはよかった」
「嫁はいい年してアイドルが好きで、なんとかいうアイドルグループのなんとかいう美少年に熱を上げてますが、俺は時々は、フォレストシンガーズの公式サイトを見てました。最近は見てなかったから、本橋さんをすぐには思い出せなかったんですよね」
 夢をかなえられなかった男は、俺たちをどんな想いで見ていたのか。彼がどんな返答をしたとしても、俺には上手な反応はできそうになかった。
「残業?」
「いえ、今日はここが最後だから、直帰です」
 ならば、飲みにいこうかと誘えばいい。その言葉が出ないのは、彼の姉が俺の心にひっかかっているからだった。


2

 結局は加藤延彦とはラジオ局で別れ、野添さんにも断りを言って、ひとりで我が家に帰ってきた。今夜は美江子が残業だそうで、遅くなるとメールが入ってきていた。
 あれは何年前だろう。デビューしたころからフォレストシンガーズは売れず、ようやくちょっとは好転してきたのは、シゲが結婚したころからだ。ってことは、俺たちの不遇な時代は五年ほど続いた計算になる。
 売れない時期が悲惨すぎたので、すこしよくなったら気分も晴れ晴れだったわけで、現在でもスターだとまでは名乗れない。それほどのものだったとしても、自分でスターだとは言えないが。
 あのころ、俺は大学三年生のときに家出して、独立するために借りたアパートにそのまんま住んでいた。貧しかったから、メンバーは全員、学生時代から引っ越しもしていなかった。俺は結婚することになってはじめて引っ越したのだから、面倒だったからもある。
 狭い部屋は掃除も楽だと強がって、不自由ったって寝るだけなんだからどうでもいいと笑い飛ばしていたころの荷物は、いくらかは新居に運んできていた。
 クロゼットの中に箱がある。そこには美江子がデビュー直後から、フォレストシンガーズ関連記事が目についたら切り抜いて、スクラップしてくれていたファイルが入っている。年度別に分けられたスクラップブックの、最初のほうは記事がたいへんに少ない。
 少ない記事なので薄いスクラップブックや、何年間分をまとめたものやら、俺はそれら数冊をめくってみた。
「ああ、このあたりだ」
 島根県のローカル新聞の記事を発見した。

「スーパー竹富の秋のイベント。
 数多い流行歌手を迎えて、華やかに開催された。
 出演は……」

 そんな紹介記事の中に、新垣ハヤタ、フォレストシンガーズなどの名前がある。小さな写真も掲載されていた。
 スーパーマーケットの屋上だったか、駐車場だったか、特設会場にしつらえられたステージに、司会者の男とフォレストシンガーズがいる。白黒の小さな写真だから服装も顔もはっきりしないが、俺にはもちろんわかる。
 若かったなぁ、二十代だもんな。幸生や章なんかはガキそのものだったよな。
 この写真では乾とシゲが司会者の両脇に立って、なにやら喋っている。松江と加賀の相違だの相似だのを話していたような記憶があった。
 それから、新垣ハヤタ。彼の歌は青春歌謡曲っていうのかな、なつかしい感じだよな、と乾が言い、俺、ああいう曲調は好きだな、GSに通じるところがありますよね、と幸生が言い、俺も嫌いじゃないよ、と章も言っていたのを思い出した。
 たしか……新垣も含めて六人で楽屋で雑談をした。ガールズトークならぬボーイズトークで盛り上がっていた。
 つきあっている彼女には言われたくない台詞、なんてものを持ち出したのは幸生だったはず。あのころは新垣も我々もまるで売れていなかったが、若い男が六人も集まれば、呑気な会話もしていたものだったのだ。
 具体的な内容は記憶にないが、どうせ幸生がリードして話を拡散させていったのだろう。
 乾は上手に話題に乗っかり、新垣と章と俺はけっこう楽しく参加し、シゲは困惑気味。新垣がいなかったらいつもと同じ、そんな構図が目に浮かぶ。
 島根で仕事をして東京に帰る電車の中で、俺は加藤投手の姉に会いにいきたいと考えていた。途中下車して行ったのだったか? いや、行かなかった。東京に帰って彼女に電話をして、島根での楽屋トークの話をした。
 新垣ハヤタ、あのときの共演者もどうしているのだろうか。彼の名がメディアで話題になった記憶もとんとない。
 さらにスクラップブックをめくっていくと、事務所のパソコンで作ったこんなものがスクラップしてあった。

「フォレストシンガーズファンクラブ会報VOL1

 このたび発足いたしましたファンクラブにご入会いただきましたみなさま、まことにありがとうございます。
 フォレストシンガーズはデビューしてから二年余り、世にあまねく知れ渡ったヴォーカルグループであるとはとうてい名乗れない現状であります。
 そんな僕たちのファンだと言っていただいて、あまつさえファンクラブにまでご入会いただいて、僕たちは月を仰いで落涙したいほどに感激しております」

 この文章は乾だろう。
 売れてもいないグループにファンクラブだなんて、時期尚早だとも言っていた。が、宣伝になる、ファンクラブがあるほどのグループなのだと世間に知らしめる、はったりの意味もあって、作ろうと社長が提案した。
 そうだ、思い出してきた。
 加藤投手の姉を好きになったような錯覚を起こしていた俺は、彼女に会いたくて、口実を作ったのもあったのかもしれなくて、ファンクラブの会長になってもらいたかった。彼女に気持ちが接近した理由のひとつは、フォレストシンガーズのファンだと言ってくれたからだったのだから。
 しかし、どうしても彼女の名前が思い出せない。ヒデと関連していたような……ヒデコ? ヒデミ?
いや、そうではなくて、別のなにかがヒデと関係あったはずだが、それも思い出せない。
 三十歳までくらいの俺は、わりにたやすく女とつきあった。恋にはなったりならなかったりで、どっちだっていいからベッドには入った。わりに簡単に男と寝る女がたいていだったから、というのもあった。
 ベッドにまで入ったつきあいの女の中にも、心に残っているひとはいる。思い出すと胸が痛い女もいるから、名前を列記したりしたくない。
 が、加藤の姉とはほんとになんにもしていない。
 会いたくなって広島まで会いにいき、なんだ、どうってこともない女だな、と身勝手にも落胆して、ファンクラブ云々とは告げずに帰った。つきあってほしい、今夜はきみさえよかったら……とまで考えていたのに、なにひとつ言わなかった。
 東京に向かう夜行列車の中で、自分勝手に暗くなっていた若い俺をも思い出す。
 それから議論を重ねてファンクラブが正式に発足し、現在ではけっこうな会員数になった。ファンの集いとしてさまざまな行事もやっている。ファン代表の女性たちに集まってもらって、フォレストシンガーズの未来!! なんてテーマで座談会もやった。
 こうして思い出をたどっていると、あのころの俺たちが脳裏に浮かぶ。本物のガキだった幸生や章、結婚前で、彼女なんか一生できないといじけていたシゲ、もてまくっているくせに、恋はたやすくないね、とすかしていた乾。
「で……うん、やっぱり気になるな」
 ヒントを与えてもらえないだろうか。
 メールアドレスだけは聞いてあったので、苦手なケータイメールを延彦に送ると、間もなく返信があった。

「本橋さん、今夜はありがとうございました。
 楽しかったですし、有名になっている本橋さんが、一度しか会っていない俺なんかと気さくに話して下さって、メールまでいただいて、とても嬉しかったです。
 本橋さんが言ってらしたヒデさんのブログを、帰ってから読みました。ヒデさんって高知出身なんですね。
 俺の故郷も高知です。高知には両親がいまして、姉もいまして、姉は結婚して子供もいます。
 缶コーヒー、ごちそうさまでした。では、おやすみなさい」

 そうだったのか。故郷がヒデと同じだったのだ。
 これで疑問も氷解したし、名前を思い出せない彼女が結婚して子供もいると知れて、なんだか安堵もした。今さら名前を知っても仕方がないのだから、それだけでもよかった。


3

「本橋、これ、見たか?」
 事務所のパソコンでシューティングゲームをしていたら、乾が勝手にインターネットに切り替えた。怒ろうかとも思ったのだが、暇つぶしだったのだから怒るほどでもない。乾がアクセスしたサイトは、「落花流水」という名のロック喫茶のものだった。
「……ふーん、俺たちの大学の先輩がやってるんだ」
「ああ。俺も以前に覗いてみたんだよ。なぜだかマスターに早く帰れって言われたから、帰るしかなかったんだけどな」
「先輩に失礼な言動を取ったんじゃねえのか?」
「そんなことはしません」
 合唱部や学部の先輩ではなくても、相手が無礼でなければ彼も礼儀正しく対処するのが乾隆也だ。では、なぜロック同好会出身の先輩に追い返されたのか?
「色っぽい女性がいたから、あのひとのせいだったのかな」
「??? その女性にもてたのか」
「特に話もしてないんだから、もてるのなんのじゃないよ」
 話もしていなくても、見た目だけでもてる、ひと目惚れされる、乾隆也はそういった種類の男になりつつあるらしい。
 どちらかといえばつきあいが深くなってきた女に恋される場合のほうが多いようだが、中年が近くなってきた現在、乾隆也は若いころよりもなおさらもてるようになっている。やはり女は俺みたいな荒っぽそうな外見の男よりも、おしゃれで小粋な男がいいのか。
 ま、俺は結婚しているのだからもてなくていい。独身の乾と幸生と章がもてていればいいのだ。達観して俺は言った。
「社長が帰ってきたら、おまえに頼むよ」
「落花流水に?」
「時間があるから行ってみる」
 サイトをざっと見て予備知識を仕入れて、俺はタクシーに「落花流水」の場所を告げた。
 音楽だったらなんでも好きだ。クラシックからはじまってジャズやポップスに至り、ロックには詳しくもないが嫌いでもない。歌うのはバラードが、書くのならばラヴソングが得意だ。
 うまいコーヒーと、俺の同窓生たちが集まる店。そんなところに興味を持って入っていったロック喫茶には、マスターらしき男と先客がいた。
「お」
 マスターのこの表情は、俺を知っていると見た。
「こんにちは。えーと……俺もあなたの顔が記憶にあるんですが……」
「俺はあなたの四年上だから、同じ時期には大学にはいませんよ、本橋さん」
「四年も上の先輩なんですね。呼び捨てにして下さい」
 笑っているマスターは、しかし、俺の記憶にある。どこで会ったのだったか、長身で端正な顔をした印象的な男だ。
「お名前はなんとおっしゃるんですか」
「林原ですが、ああ、本橋くんだったら、ヤスつながりで俺を知ってるんじゃないかな」
「ヤスって、柴垣さんですよね」
「昔々にだったら、ヤスが演奏しているところにいたこともあるよ」
 解散してしまったパンクロックバンド、「チキンスキン」のベーシスト、柴垣さんにとっても、林原さんは先輩に当たる。俺も柴垣さんたちのライヴを聴いたことはあるので、そのあたりの店で会っていたのかもしれなかった。
 そして、もうひとり、サングラスをかけた先客の男は? 黒いサングラスは変装か。有名人か。同窓生の有名人でありながら、にわかには顔と名前が結びつかない男は?
「……音羽さん?」
「史人はいないんだから、俺が……」
 マスターが外に出ていくと、音羽さんがサングラスをはずした。
「史人ってのはこの店のバイトで、俺たちのぐっと下の後輩だそうだ。今日は休みなんだそうだよ。本橋くん、久し振り」
「お久し振りです」
 同じ大学の出身者の中では一、二を争う有名人の音羽吾郎だ。
 金子将一さんと同い年で、金子さんとは親しくしているらしいが、俳優の彼とは俺はあまり話をしたこともない。いっとき、金子さんと音羽さんと金子さんの彼女がなにやら? という噂が耳に入ってきていたが、俺はほとんど知らない。
 そもそもシゲと俺は鈍感なので、仲間うちの秘め事も知らない場合がある。まして仲間ではない人間のことなんか、知るわけがない。
 あのころの金子さんの彼女って誰だ? 現在の彼女の沢田愛理さんならば知っているが、その前なんか知らない。金子さんは乾と張り合うほどにもてもてなのだから、彼に関わる女なんかいちいち知っていられない。
「きみも俺も名前は知られてるから、臨時休業の札をかけにいったんだろ。俺が来たときにかけにいくって言ってたんだけど、誰かが入ってきてからにしてほしいってお願いしたんだ。そのおかげで本橋くんに会えたね」
「マスターも音羽さんも、呼び捨てにして下さいよ」
 戻ってきたマスターにも言うと、ふたりしてうなずいた。
 四つ年上のマスターと、ふたつ年上の音羽さん。サークルも学部もまったくちがうが、先輩は先輩だ。俺は体質的にも体育会系らしく、先輩と後輩のけじめというものはきちんとしたほうが心地いい。この体質も空手馬鹿の兄貴たちの影響か。
「フォレストシンガーズって十年以上もやってるのに、まだ先輩後輩って言ってるの?」
 若い奴らには冷笑されたりもするし、章には不満もあるようだが、これがフォレストシンガーズの体質になってしまっている節もある。
 なのだから、年長者には敬意を表す。なにかしら関わりのある先輩にはなおさらへりくだる。俺は合唱部の大恩ある先輩の前では小さくなって、後輩の前では大きくなると言われている、犬型体質でもあるらしい。
「マスターがこの店をやってくれてるおかげもあって、プライベートで本橋に会えましたよ。フォレストシンガーズのみんなと飲みにいこうって、数年前から言ってるのに、ちっとも実現しなかったもんな。みんなは元気なんだろ」
「おかげさまで元気です。音羽さんもご活躍ですよね」
「貧乏暇なしだよ」
 誰かが音羽さんを悪く言っていた……ああ、そうそう、徳永渉だ。
 他人の悪評のせいで彼を悪く思いたくはない。しかも、悪評を口にしていたのは徳永渉。俺を嫌っている奴だ。俺は徳永を嫌ってはいないが、気に入らない男ではあるのだから、徳永の台詞なんて頭から締め出そう。
「本橋は美江子さんと結婚したんだよな。子供は?」
「いません」
「そう……」
 なにか言いたそうにしたものの、音羽さんは口を閉じ、マスターは俺のためにコーヒーを淹れてくれていた。
「金子は……愛理さんだっけ。アナウンサーはアナウンサーでも、ラジオだろ」
 ラジオだとなんなんだ? この見下げたようなもの言いは? これだから徳永が彼を嫌うのだろうか。俺は音羽吾郎という、金子さんと同い年の先輩との触れ合いはきわめて少ないから、好きも嫌いもなかったのだが。
「愛理さんみたいな体格だったら、子供はばんばん産みそうだよな」
 微妙な話題なので、俺は曖昧に笑っておいた。
「美江子さんって怖いだろ」
「怖いというのはどういう意味ですか」
「彼女の性格からして、怖い女房なんだろって言いたいんだよ」
「まあね」
 怖くないとは言えないが、怖いと言い切るとかかあ天下の家庭みたいで……きっとそうなのだろうけれど、言いたくはなかった。
「だけど、遊びは別だよな」
「……はあ」
「だろ。惚れて一緒になった女房がいたって、いい女がいたら抱きたくなるのが男だろ」
「浮気は絶対にしないとは……いえ、当分はしません」
「当分は、か? 正直でいいね。いや、これは一般論で、俺の話じゃないんだけどさ」
 そこからは音羽さんは、女優のあの女は、この女は、といった下世話な話題を繰り広げた。マスターは口をはさまずに苦笑している。そりゃあ、俺とは世界のちがう女優たちの下ネタまじりの話は面白くなくもなかったのだが、そればっかりだと辟易だ。
「歌手の女ってのも似たようなもんか」
「俺は女の歌手はよく知りませんよ」
 なんだってこう、この人は女の話ばかりしたがるのだろう。随所に、俺はもてるからね、が混ざりこんでいる。そんなふうにもてるのは、乾のようにもてるよりは単純でいいのかもしれないが、自慢ったらしく言われると臭みさえもが漂う。
 女優の卵だったら俺の周囲にもいた。周囲というよりも、乾がもてていた女の子のひとりにいた。
 佐田千鶴。可愛くて色っぽい子だった。オーラとでもいうのか、特別な人間だけがまとうとされているオーラになりかけの空気を持った子だった。
 だった、と過去形で言う必要はないのだが、俺は千鶴とはなんの関わりもなくなってしまったので、過去形になってしまう。変わらず乾にはなついているようだが、恋愛にはならないようだ。俺が望んでいた結果にはなりそうにない。
 映画で共演した乾隆也と佐田千鶴が結婚したら、俺の身近に女優って人種がごろごろいるようになる。女優ってものはシンガーやミュージシャンの女とは異人種のようで、どうしたって憧れの目で見てしまう。
 そんな女たちが周囲に何人もいるとなったらどんなだろ。親友の妻が女優で、もしかしたら幸生や章も女優とつきあったり? などと、物語のような夢想をしていた。
 が、乾は千鶴にはっきりと言ったらしい。俺はおまえに恋はしていない、と。乾隆也ってのはそんな奴だ。
「いや、ここだけの話だよ。マスターは聞かなかったことにして下さいね。あの女、ほら、「桜舞う」の主演女優もさ……ものすごい年下の男とつきあってるんだそうだよ。俺はその男に聞いたんだけど、ヒモってのかなんてのか、そんな立場なんだな。格差結婚なんてのも流行ってるらしいけど、格下の男を囲って可愛がってるって感じだね。女もああなるとおっさんと同じだよな」
 どうも音羽さんの話は聞いていて気持ちがよくないので、俺はそんなことなど考えて、気をまぎらわせていた。


 先だって加藤延彦に会ったラジオ局で、「The covers!!」の録音が行われる。生放送だった第一回の俺のトークが好評だったそうで、急に入ってきた仕事だ。
「本橋さんとまたこうして、ラジオでお話できるのは嬉しいです。僕、不安だったんですよ。その不安は、こうしていたって消えませんけどね」
「仕事がなくならないかと不安だったのか?」
「そうです」
 今夜は野添さんは仕事だそうで、酒巻と俺とのトークが録音される。仕事前に酒巻と喫茶室で話していた。
「おまえが自分で決めて、ニューヨークへ勉強に行ってるんだろ」
「そうなんですけど、それでも不安ですよ」
「気持ちはわかるけど、気は強く持て」
「……はい、でもね……」
 スケジュール上、仕事は深夜になるので、喫茶室にも人が少なくなっている。弱気な酒巻の発言を聞いていると、むこうから背の高い女が近づいてきた。
「本橋さん、音羽さんからなにを聞いたの?」
「……セシリアさん?」
 こんばんは、でも、お久し振り、でもなく、セシリアさんは難詰口調で尋ね、俺のむかいにいる酒巻のとなりにすわった。
 彼女とはちょっとした因縁がある。その昔、我々が見事に悲惨に売れていなかった、デビューしてから一年もたっていない夏だった。あの夏には関東の海辺と、沖縄離島とのイベントがあって、売れてはいなくても仕事はあった。
 関東の海では売れないタレントたちに混じっての歌のショー。あのときには章が、現在では大女優になっている当時のアイドルとすったもんだしていた。
 海辺でのイベントが終わってから、ここにいるセシリアさんの前座の形で、沖縄離島の豪華ホテルオープニングイベントに出演させてもらった。あの島でもなんやかんやとあったのだが、過去すぎるから割愛しよう。
「お断りします」
「早まっちゃよくないわよ。プライドと売れるののどっちが大切? 可愛がってあげるから。公的にも私的にも、あなただけじゃなくてあなたの仲間たちもよ」
「失礼します」
 スターさんたちに挨拶をしようと、早めにホテルに出向いた俺の耳に届いた、セシリアさんと章のやりとり。
 濃密な南国の花の香りがむせ返るほどにたち込めるホテルの庭園、セシリアさんの毒と蜜のしたたるような声と、章が断ったその声とが、十年たっても俺の耳に残っている。よし、章、よく言った、と拍手したかったのもくっきり記憶に焼きついていた。
 当時からスターだったセシリアさんは、そのまんまずーっとスターだ。章はその後、彼女に会い、そんなことなどなんにもなかったように、作曲を依頼されて受けていた。
「章の関わった女ってさ、けっこう出世するんじゃないの? セシリアさんはもとからスターだったけど、桜さんはさ、おまえってひょっとして……」
 それからずいぶんと年がすぎてから、幸生が言っていたのも思い出す。
「俺が宣伝してやろうか。そしたらおまえの前に、出世したい女の子たちが行列つくるかもよ」
 幸生はそうとも言って、章はいやないやな顔をしていた。
「うちの木村が書いた曲もヒットしたんですよね。あの歌、いかがでしたか」
「そんなことはどうでもいいのよ。音羽さんはなんて言ったの?」
「セシリアさんの話はしてませんでしたよ」
 年齢不詳ではあるが、おそらく四十代だろう。プチ整形だのリフトアップだのなんだのかんだの、テレビに出るような女性はアンチエイジングのために涙ぐましい努力をしているとは、俺だって知っている。
 もちろん、セシリアさんもしているのだろう。巧みな化粧もあって、三十五歳の俺よりも年下に見えなくもない。
 遠目だったりカモフラージュした写真だったりしたら、三十代はじめくらいに見えなくもないセシリアさんも、こうしてごく近くで見ると肌がお疲れだ。深夜のせいもあって、俺にでもわかるくらいに目元や口元に年齢があらわれていた。
「嘘ばっかり。音羽さんから聞いたんだから」
「俺は覚えてませんよ」
 横で酒巻はうろたえていて、セシリアさんは言い募った。
「年下の男とつきあうと、ただでさえ口さがなく言われるのよ。彼も私も独身なんだから、別にかまわないのに、なんでごちゃごちゃ言われないといけないんだろ。うるさいからマスコミには秘密にしてるんだけど、事務所だとかも公認の仲なのよ。あなたにまで文句をつけられる筋合いはないわ」
「いや、俺はなんにも言ってませんよ」
「嘘よ。音羽さんが言ってたわ」
 そうだったのか、音羽さんはセシリアさんとつきあっているのか。
 だからこそ音羽さんは、セシリアさんについてはなんにも言わなかった。セシリアさんはあのあとで音羽さんと会い、音羽さんが本橋に会ったと話した。それを彼女が邪推しているのか、音羽さんが変なことでも言ったのか。
「セシリアさんってすげえばばあだろ、だなんて言ったんでしょ」
「言いませんって」
「名誉毀損で訴えるからね」
「……言ってません」
 ここですみませんと言うと、認めたことになる。アメリカ方式でいこう。
 うちの事務所の先輩のニーナさんあたりだと、あたしはおばさんだけどばばあじゃないわよ、と言って落としてくれるのだが、セシリアさんは大真面目だった。
「私はあなたよりも年下よ」
「は?」
 計算が合わない。その前に、音羽さんはセシリアさんよりも年下だと言ったではないか。
「あの、十年前には……」
「十年前なんて私はデビューもしてないけど、なにかあった?」
 公式な発言でもないのだから、冗談だと受け取っておこう。
「もしもマスコミに漏れたりしたら、本橋さんがリークしたんだと思うからね。よけいなことは言わないでよ」
「言いません」
 知らなかったのに、てめえがばらしたんじゃないか。俺が吐息をつくと、セシリアさんは酒巻をきーっと睨んだ。
「あなた、本橋さんの付き人? あなたも喋ったら駄目よ。あなたがろくでもないことを言ったら、抹殺しちゃうからね」
「ま、抹殺ですか」
「この業界からって意味よ。あなたは小柄で可愛い感じだけど、顔が綺麗じゃないんだよね。それでは……ま、私には関係ないからいいわ」
 なんにも飲みもせず、じゃあね、のひとこともなく、言いたいことを言って、セシリアさんは喫茶室から出ていってしまった。
「へええ、音羽さんって……いえ、僕は聞こえてませんでしたから」
「今、誰かいたか?」
「ここには本橋さんと僕しかいませんよね」
「ああ、そろそろ時間だな」
「はい、スタンバイしましょう」
 笑みをかわし合って、酒巻と俺も立ち上がる。セシリアさんもこの局で仕事か。すでにすませたのかもしれないが、局内で会ったら、なにもなかった顔をして挨拶しよう。俺にだってそのくらいの芸当はできる。
 それにしても、若くても、実際にはそれほど若くなくても心が若いという奴でも、男もいろいろと大変なのだ。
 道半ばで志を閉ざされた奴も、夢をかなえた奴も、みんな苦労している。女には別の苦労があるのだろうが、俺だってなんだかんだと大変だ。音羽さんもあんな女と……その苦労は楽しいのか否か知らないが、すこしばかり同情したくなっていた。

END






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~ Comment ~

NoTitle

似ている曲といえば、youtubeで似ている曲を比べた動画を見たことがあって、
よく見つけるなぁと感心するくらいたくさんの曲がアップされていました。
確かに似ている。
でも全部が意図して真似たものじゃないと思うんですけどね。


本橋くんは記憶力がいいですね。
一度話しただけの人を覚えてるなんてすごいです。
同級生の顔も思い出せない私からすると驚異的です。

でも猫のことは覚えてますよ(笑
以前話したブラインドの隙間に顔を突っ込む猫が、
子猫と一緒にねこ鍋して最高に萌えるCMを見るたび1人で興奮しています。


それと猫は関係ないですが、auのCMで実はこっそり一寸法師が出ていると知り、
探すのに必死になっています。
鬼ちゃんが「鬼嫁~、子供5人~」と言っているので、
鬼ちゃんが座っている座布団の隅に、ちょこんと座っているのを見つけ、
これもまた興奮しました。

ハルさんへ

コメントありがとうございました。

うちのネットのプロバイダが悪いのか、我が家の環境が悪いのか、このごろまたまたネットの接続が不安定で困ります。
急に切れるとこっちがキレそうになったりして。

フォレストシンガーズの五人は、記憶力はいいですね。
役者や歌手は記憶力はいいかなぁと思ってますが、悪い人もいるのかな?

似ている曲、そうですよね。
私は自分のデジタルウォークマンを聴いていて、あ、このイントロ、外国のあれだ、と想像していたら、日本の曲だったりってよくあります。

作曲をする人は、まずは模倣からはじめるといいますから、無意識もあるでしょうね。
パクリもあるかとは思いますが。

仔猫と大人猫の猫鍋っ!!
私もあれ、たまりませんわ。
仔猫がほしい~一匹くれ~、って呻いています。
母猫であろうに、声はおっさんってのもシブイですよね。

一寸法師は知りませんでした。
今度、探してみますね。

ケータイのCMって、地方によってちがう場合もあるでしょう?
昔、どこかのケータイCMで、藤原紀香が関西弁で喋っているのがあったのです。
同じCMを仙台で見たら標準語になっていて、びっくりしました。

仲間由紀恵のお酒のCMは京都弁ですけど、あれは全国区なのでしょうか。
仙台弁バージョンとか博多弁バージョンとかも面白そう。
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