別小説

「続・天国への道」

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「天国への道」の続編です。
BLですので、お嫌いな方は避けて下さいね。


「続・天国への道」

1

 2002年サッカーワールドカップは韓国と日本の合同主催だった。ディヴィはもっぱら韓国へ取材に行っていたのだけれど、ついでに日本にも寄って、知り合った女の子をLAへ伴ってきた。
 彼女はぼくと同い年の十七歳で、外国人相手のバーにつとめているうちに、天性の才能たる語学力を生かして、すっかり英語を覚えてしまったのだそうだ。
 168センチと、アメリカ人少年としてはずいぶん小柄なぼくよりも、モネは10センチ近く背が低い。日本人の女の子としてもちいさいほうだろう。アメリカ人の目から見るとほんの子供にしか見えないモネは、てきぱきと話し終えてディヴィとぼくを交互に見やった。
「なかなかの人生だろ」
「ぼくと似たとこあるって?」
 それもあるよ、とディヴィはうなずいた。
「児童虐待ってのはアメリカでも日本でも問題になっている。それについての文章を書こうと思ってるとは、おまえにも話しただろ」
「ぼくは協力しないよ」
「と、おまえは言う。おまえに無理強いするつもりはないし、まずは日本の子供から取りかかってみようと思っていたところ、日本で知り合ったモネが協力してくれることになった。取材させてもらう礼金がわりにLAへ連れてけと言うし、おまえに会わせてみたかったのもあって連れてきたんだ」
「クリフもわたしに似た育ち方したんだってね。だけど、わたしは虐待されたつもりなんかないよ」
「そうなんだな。モネはそう言うんだ」
「ぼくも別に虐待されたとは思ってないな。ママと対等に喧嘩しつつ大きくなったんだ。そして勝手に育ったんだ」
「わたしも。っていうか、わたしが親父の面倒見てやりつつ育ったの」
 たしかに気が合うかも。たぶんディヴィは、そういう酒場で働く若い女の子ならば、きっとなんらかの事情を抱えていると踏んだのだろう。LAまでも連れてきたのが男の子だったらぼくは怒り狂うけど、女の子だからいいか。
「実は今夜は客がいるんだ」
 帰り道で、ディヴィは言った。
「そんなのないよぉ、そしたら今夜、できないじゃないか。あんなこともこんなことも」
「おまえと会ったらホテルへ送っていく。おまえが怒るのは目に見えてるから、うちには泊めないことにして、ホテルを取ってあるんだよ。とにかく会ってみろ。面白い子だ」
「子?」
「ぶつぶつ言う前に会えばいいんだ」
 まったく横暴なんだからぁ、とはいうものの興味が湧いて、ぼくは紹介されたモネの話を聞いた。たしかになかなか興味深い話だった。
「でもさ、いいの? だってモネは未成年だろ。親に無断で連れてきちゃっていいのかな」
「いいのいいの、パパはわたしには無関心だから、勝手になにやってもなんにも言わない。しばらくいなくったって平気なんだ」
 それを言うならぼくだって未成年なんだけど、ママは行方不明で、カンペキ放棄されてるんだからどうってことはない。
「けど、パパはわたしには暴力はふるわなかったよ」
「暴力だけが虐待ではないがね」
「虐待っていえば、ディヴィのほうがさ」
 ちろっと見たぼくをディヴィは無視し、モネが言った。
「アメリカはいいなぁ。だって、あなたたちはゲイのカップルなんでしょ? ゲイに寛大なお国柄なんだよね」
「かつては日本のほうが、というか、仏教国のほうが寛大だったんだよな。キリスト教国は非生産的なセックスを犯罪と見なした」
 こむずかしいことを言うディヴィを、今度はぼくが無視してモネに尋ねた。
「あれれ、モネもゲイなの?」
「ゲイというのとはちょっとちがうんだけど」
「自分が男だと思えるとか?」
 性同一性障害とやらいう、ややこしい病気があるのだそうだ。ぼくは男として男を愛する体質なんだけど、そういうのって大変だろうなと漠然となら想像できる。だが、ディヴィとモネは顔を見合わせ、ややあってモネがぷっと吹いた。
「やだ。クリフったら、わたしを女だと思ってたの?」
「ははーん、それでか。俺が男の子を連れてきたってのに、まるっきり怒らないからおかしいと思ってたんだよ」
「ま、慣れてるけど」
「ええーっ?!」
 びっくり仰天とはこのことである。
「きみ、男?」
 けろっとうなずくモネは、どこからどう見ても女の子にしか見えない。アイダあたりよりよっぽど女っぽい。ちいさくて華奢で、声だってややハスキーとはいうものの、男っぽさはかけらもない。
「なんなら証拠を見せてあげようか」
「そんなもんは見たくないけど。じゃ、いったいなにがどうなってるの? 自分を女だと思ってる性同一性障害ってやつでもないんだね」
「女だとは思ってないよ。生まれたときの性別が男だったから、そのまま男として育っただけ」
「きみの話に出てきた、となりの部屋のお兄ちゃんとやらに、襲われてゲイになったとか?」
 またもやモネはぷぷっと笑った。
「彼は浪人だったから、つまり、大学受験に失敗した人のことね、浪人って。お兄ちゃんは二度も三度も受験に落ちて、勉強にも飽きて暇だからわたしの面倒を時々見てくれただけ。しまいには諦めて田舎に帰っちゃって、それっきり会ってないよ。わたしの初体験の相手は女だし」
 中学生になったモネは、アルバイトをしようと思い立った。小遣いなんかはろくにもらっていなかったから、お金にはいつも不自由していた。
「友達が携帯電話の出会いサイトで、援助交際してたんだ」
「なに、それ」
 説明してくれたのはディヴィだった。
「エンジョコウサイ、早い話が売春だよ。日本では女子高校生どころか中学生や小学生の少女が、小遣いほしさに見知らぬ男と会って寝て、金をもらうのがよくある話らしい。寝るところまではいかなくても、食事につきあったりカラオケにつきあったりする程度ってのもあるらしいが」
「日本って歪んでる」
「アメリカ人に言われたくないね」
 ごもっともです、かもしれない。
「でね、わたしにも紹介してくれたの。いたずらっ気を起こして、女の子として男のひととメールのやりとりをした。そのうち会おうってことになった」
 男の子よりは女の子のほうが、交際相手は見つかりやすい。モネならば裸を見せなければ女の子で通ると、友達に入れ知恵されたのだそうだ。日本のガキは恐ろしい。きっとまたアメリカ人に言われたくない、と言われるだろうけど。
「やってきたのはけっこうかっこいいひとだった。若かったし、お金も持ってた。高級な食事をおごってもらって、誘われたんだ」
 ねぇ、ホテルに行こうよ、との誘いに、モネは覚悟を決めて打ち明けた。
「実はね、ぼく、男なんだ」
「ほんと?」
 怒るかと思っていた相手は、まじまじとモネを見、ぶしつけに胸をひと撫でしてから笑い出した。
「ほんとだ。いくら子供でも女の子でここまでぺったんこはいないよね。じゃ、僕の秘密も教えてあげる。ついといで」
「男なんだよ。いいの?」
「いいからおいでって」
 首をかしげつつ、モネはホテルの一室についていった。
「いっしょにシャワー浴びようって、そのひと、さっさと服を脱いだんだ。ぶかっとしたシャツとジーンズのカジュアルな服装をしてた。シャツを脱いだのを見て驚いた。ブラジャーしてるんだもん」
「女装趣味の男?」
「逆だよ。男装趣味の女」
「はあ?」
 なんというややこしい世界なんだー。
「女の子と寝てみたかったんだけど、きみみたいな男の子だとそそられる、なんて言ってね、お金たくさんくれるって言うから寝てみた。別にどうってこともなかった」
 一見美少女の男の子と、一見かっこいい男の女、倒錯しているというべきか、実は、普通じゃないかと言うべきか。
「それから時々アルバイトしたの。女の子だと偽るのもめんどくさいから、わたしは女の子みたいな男の子なんだけど、男っぽい女のひととおつきあいしたいって。どんどん誘いが来たよ。ろくでもないのもいっぱいいたけど、それなりのひととは寝た。そうしているうちに知り合ったお店のママに勧誘されて、中学を卒業してそこにつとめるようになったんだ」
「十七歳の子を風俗で雇うのは法律違反のはずだけど、どこの国でもよくやってることだな」
 肩をすくめたディヴィが、タバコに火をつけた。
「パパはわたしが稼ぐようになったから喜んでる。どうせ中卒じゃたいした仕事にもつけないし、喫茶店づとめだと言ったら信じてるよ。お金さえ稼げばどうでもいいんだ」
「モネの人生を狂わせたのは、親父さんだけじゃないな。さまざまな要素がからまり合って、もともとの素質もあって、こんなふうになっちまったんだ。きみは今の暮らしに満足してるんだろ」
 訊いたディヴィに、モネはうんとうなずいた。
「厳密に言えばモネは被虐待児童といえる。クリフもだ。だが、おかげで強くなっちまったとも言える。俺はそういう子供にアプローチしてみるかな。よくある文章とはちがった観点で書こうかと思ってるんだよ」
「きみは男とは寝たことないの?」
「ない。でも、絶対いやじゃないし」
 わっ、危険だー。こういうタイプはディヴィは決して嫌いではないはずだし、モネの流し目はたいへんに危ない。ああ、安穏とした日々とはさよならしなくてはいけない羽目になったみたい。


 ホテルまで送っていこうとディヴィは言ったのだが、モネはなぜか、クリフに送ってほしいと言う。
「いいけど」
 出がけにモネとディヴィが、なにやらこそこそ言い合っていた。激しく気になったけど、帰ってからディヴィを追求しようと決めて、ぼくらはホテルへの道をたどりはじめた。ホテルはここから近い。夜風が気持ちよくて、たまには歩くのもいい。
「まったくディヴィったら、仕事のことばっか考えてるんだよな」
「でも、魅力的だね、ディヴィって」
「惚れたの?」
「さあね」
 やっぱり危険なんだ、とぼくは改めて思ったのだけど、ホテルについて部屋に入ると、モネはぼくを誘った。
「ディヴィはちょっと仕事したいから、クリフはしばらくわたしと話してくるといいって」
「さっきこそこそ話してたの、そのこと?」
「まあね。ねぇ、シャワー浴びようよ」
「きみはぼくを誘惑したいわけ? 無駄だよ。ぼくは子供には興味ないんだから」
「わたしはなにに興味があるのかわからない。好きな相手と寝たことなんかない。いつだってお金のためだった。人を好きになった経験もない。友達なんてのもいない」
 エンジョコウサイに誘う友達なんて、たしかに友達じゃないよな。なんだか寂しげな口調にほだされて、ぼくはオーケイした。
「ぼくと友達になりたいの? え? ええ? ……おわっ!」
 なんなんだよぉ。女じゃないか。裸になったモネを見て、ぼくはあとずさりした。バストはちっちゃいけど、しっかりふっくらふくらんでいる。女の生裸なんて長年見たことないけど、絶対に男じゃないよ。
「そう、女だよ」
「デ、ディヴィも知らなかったの?」
「ディヴィは知ってる。わたしがつとめてるバーには、男の子も女の子も働いてて、女の子がディヴィを誘惑したの。そしたらディヴィは、俺はゲイだって応えた。だからわたしは男の子のふりをして、ディヴィを誘惑してみたんだ。ディヴィはわたしをちらっと見て、そんな身体つきの男はいないとかなんとか」
「じゃあ、ふたりがかりでぼくをだましたんだ」
「だましたっていうのかな。クリフがわたしをどっちだと思うか、敢えてどちらとも言わずにためしてみようって、わたしが言ったの」
 そういえば、彼とも彼女とも言わなかった。この子だとか、子、だとか言ってたっけ。
「ぼくの最初の印象が当たってたんじゃないか」
「そうだね。でも、わたしのひとことにころっとだまされたじゃない。ディヴィはわたしが男だと言ったら、ちょっとびっくりしたみたいだよ。わたしが目配せしたから、乗ってくれただけ」
「なんのために?」
「なんのためなんだろう。よくわからない。クリフはそんなに性別にこだわるの? 男の子とだったら友達になれるけど、女の子じゃいや?」
 裸の女の子に切ない目をして迫られるのは、ぼくには初体験だった。
「なんのためにいっしょにシャワーを浴びるんだよ。友達になりたいだけなら、裸になる必要なんかないじゃないか。なにをたくらんでるんだよ」
「同じ年頃の、お金なんか関係ない男の子と、いっぺん経験してみたいな、みたいな」
「はぁぁ……」
 淡い小麦いろのきれいな肌、華奢でスリムで、ほっそりした肩からすんなりした腕が伸び、こぶりのバストがかすかに揺れて、きゅっとしまったウェスト、ほそいけど丸みを帯びた腰、まっすぐな脚へと続いている。女の子の裸をまじまじ観察するのも初体験で、不思議と嫌悪感はなかった。
 ベッドにすわったぼくのひざに手をかけ、ひざまずいてぼくを見上げる。この子はまちがいなく女だけど、どこか見捨てられた仔犬みたいで、ほんのちょっぴり心がゆらめく。
「寝たいの、ぼくと?」
 数時間前、モネに比べればずーっと野獣みたいな女の子に向かって、同じ台詞を発したんだった。あのときはただ、ディヴィへの面当てだった。心はすこしざわめいたけど、アイダに対してなにかを感じたわけではない。心の底には女への嫌悪があった。なのに今は、決していやじゃない。
「ぼくはゲイなんだよ。大人の男としか経験ない。正直に言っちゃえば、ディヴィにしか抱かれたことはないんだ。好きで好きでたまらないディヴィが、今のところは最初で最後のひとなんだ。ディヴィはぼくが大人になったら愛してくれなくなる。その前に無理心中でもしかけてやろうかと思うくらいに、ぼくはディヴィを愛してる」
「そう、いいな」
 ふっとモネは吐息をついた。
「そこまで人を愛するって、どんな感じなんだろう。わたしは親に愛されてこなかったから、愛するっていうことがどういうことなのか、わかってないと言われたことがある。けど、クリフも同じなんだよね。親には愛されてこなかったけど、そんなにもひとりのひとを愛してる。愛ってなんなのかなぁ」
「ぼくの心を切り裂いて、ディヴィへの想いを見せてあげたい。そしたらきっとわかるよ」
「見て……みたいな」
 真剣な顔をするのでちょっと怖くなった。ほんとに心臓を切り裂かれたりして。
「ぼくに危害を加えようったってそうはいかない。ぼくはこう見えてわりかし強いんだ。もと不良少年なんだから、きみみたいにちっぽけな女の子には力では負けないよ」
「わたしの目が怖いの?」
「……怖い」
 ふううっとモネの目から光が消えた。ぼくのひざから手を離し、床にぺたんとすわり込む。ぼくはおずおず手を伸ばし、モネを抱きしめた。
「裸の女の子を抱くなんて、生まれてはじめてだよ」
「裸じゃない女の子なら抱いたことあるの?」
「んんと、ない」
 抱かれたことなら何度もある。ディヴィではない男にも、抱きしめられたことはある。赤ん坊だったころには、ママにも他の大人にも抱かれたことがあるんだろう。だけどぼくは、人を抱いたことがない。ずっとずっと与えられてばかりだったんだとはじめて気づいた。
「きみって仔犬みたいだね」
「仔犬だったら抱いたことある?」
「蹴飛ばしたことならあるよ」
「ありがと。わたしを蹴飛ばさないでくれて」
 なんて切ない声を出すんだよぉ。理性が吹っ飛ぶじゃないか。ぼくがゲイじゃなかったら、きっとモネをベッドに押し倒していただろう。だけどぼくはゲイだ。遊びでだったらできるかもしれない。アイダが相手ならできたかもしれない。けれど、ぼくはきみにはできない、決してできない。
「ぼくが言っても説得力ないだろうけど、セックスイコール愛じゃないよ」
「セックスが愛じゃないのは知ってる。でも、そしたらなに?」
 無理だよ。ぼくにはそんな問いに、明確な答えを出すことはできっこない。ぼくはただ、モネのやわらかな身体を抱いていた。


「なんだかな、俺の認識とは微妙にちがうんだが」
 ディヴィの家へ帰りつき、モネとの一幕をざっと語り終えたぼくを見つめて、ディヴィが苦笑いを浮かべた。
「どういう意味?」
「いや、いい。で、モネを抱いたのか」
「抱きしめただけだよ。抱けるわけないじゃない。ディヴィはぼくがあの子と寝ればいいと望んでたの?」
「そういうふうにはならないと思ってたよ」
「なりっこないよ。それよりぼくはあなたと……。だいたいからして仕事のことばかり言ってさ、ぼくが邪魔なの? だからあなたって人は……」
 キスで言葉がさえぎられ、頭の中がもわもわになって、ぼくはディヴィに抱かれて天国への階段を上っていく。


2

 しらけ顔のモネと、びっくり顔のフィルを見比べてから、ぼくはこほんと咳をした。
「女の子なの?」
 おずおずとフィルが手を伸ばしかけ、慌ててその手を引っ込めた。
「わ、失礼」
「おまえ、どこさわろうとしたんだよ?」
「さわろうとしたわけじゃなくてぇ、ただ、驚いて……だって、クリフに女の子の友達なんてはじめてじゃない?」
「ぼくに女友達がいちゃだめなの?」
「クリフは新しい友達をつくるには、いちいち古い友達の許可が必要なの?」
 同時に言うふたりの声は似たタイプだ。モネには男っぽいところはまったくないと思ったけど、ごくごく普通の女の子とはややちがうし、フィルにも男っぽいところはほとんどないけれど、かといって女でもない。ちょっぴりハスキーでいて子供っぽい、性別不明の声は似た印象を持っていた。
「遅くなってごめん」
 待ち合わせた店にあらわれたもうひとりの、ぼくの友達を見て、今度はモネがびっくり顔になった。
「きれい……」
「そう? ありがとう。きみもとってもきれいだよ」
 こっちはまるっきり動じず、ベンが微笑む。
「改めて紹介するよ、ぼくのふたりの親友。フィリップ・アイテム、ベネディクト・スチュワート」
「フィルって呼んでね」
「ぼくはベン、よろしくね」
「この子はモネ」
「フランス人じゃないよね……日本人なの?」
「やっぱりクリフって変」
 髪を脱色して淡いブルーのメッシュをかけ、ブルーのアイシャドー、ブルーっぽいピンクの口紅のメイク、水色のシャツに白いパンツのフィル。
 きらきらさらさらの生まれつきのプラチナブロンド、くるくる巻き毛も生まれつきだ。ノーメイクでも輝くばかりの美貌を誇る、シルバーグレイの夏のスーツを涼しげに着こなしたベン。
 ふたりをかわるがわる、長いこと見つめて見つめて見つめてから、モネが言った。
「友達が変だもん」
「変かな、ぼくら?」
「ぼくは変なのは認めるけど」
 茶色と金髪のメッシュの長めの髪、大きめの白いTシャツにわざとぼろぼろにしたジーンズ、派手なメイクのモネも、どこの国の人間なんだかも性別までも不明で、十分に変だ。
「だったらみーんな似たもの同士じゃん」
 外見はぼくがもっともまともだと思うけど。
「そうかもしれない。まぁ、クリフはどの角度から見ても男の子にしか見えないよね。わたしも含めてあとの三人は、注意深く見ないと男か女かわかんない。特に……っていうか、あんたもあんたも」
 今まであまり意識したことはなかったけど、そういわれればそうかもしれない。別に選んでるわけでもないんだけど、類は友を呼ぶってやつか。
「もうひとりいるんじゃないの、クリフ?」
 ベンがにこやかに言った。
「きみの親友」
「誰?」
「ティムは? 仕事?」
 重ねて問いかけるフィルに、ぼくはかぶりを振った。
「あれは仕事仲間。親友じゃないよ」
「つめたいのね」
 つるんでるといえばもうひとり、ロックシンガーのジェムがいるのだけど、ぼくが親友だと認めているのはフィルとベンだ。彼らもそう思っていると信じている。
「親友なんてものは、そうそうたくさん持つもんじゃないよ」
「そうだね」
 あっさりうなずいて、ベンはモネに視線を向けた。
「……ほんとに綺麗」
 シンガーのティムのバックで演奏している、ぼくの仕事仲間たちはごつくて陽気なアメリカンガイばかりだ。ああいう男が世間一般に、アジア人種などにも認知されている「アメリカ男」だろう。
 その規格から大幅にはずれた男もアメリカにはたくさんいるわけで、ぼくのミュージシャン友達は全員がそのタイプだ。ピアニストのベン、ヴォーカリストのティムとジェム、フルート奏者のフィル、ギタリストのぼく。
 ティムにも父親はいないが、ママに愛されて田舎で育った。ジェムには田舎に両親も兄弟もいて、ごくごく普通のおいたちを持っている。
 生まれたときから繊細すぎて美しすぎたのか、ベンはなぜだか両親に疎まれていたらしい。本人は詳しい話はしてくれないが、憶測もまじえて話せば、ベンの少年時代はこんなふうだ。
 なんとなく疎ましく思っていたはじめての息子のあとに、もうひとりの息子が誕生した。両親はベンの弟を溺愛し、ベンもまた弟を愛していた。なのに、弟は幼くして天に召されてしまう。ベンの両親は心を閉ざし、ママはたったひとり残った息子をなおさら疎ましく感じて口もきいてくれなくなった。
 親に愛されないかわりに、神はベンにピアノの才能をあふれるほどに与えた。彼は音楽学校の寄宿舎に入り、学校の教師たちの愛で育っていったらしい。
 なのだから、ベンはその容姿に相応して、さほどに悲惨な子ども時代ではなかったとぼくは思っている。ぼくやフィルに較べれば、ベンは恵まれていたほうだ。
 ブルーと白だけでできたビスクドールみたいなフィルは、幼いころから女の子のようで、血の気のない人形のようだった。彼も詳しく語ろうとはしないが、親というよりも兄や姉に疎まれて苛められ、家出してロスアンジェルスにやってきた。
 類は友を呼ぶとは事実で、ぼくの周りにはそんな奴ばっかりがいる。
 大なり小なり事情はちがっても、フィルもベンもモネもぼくも、いろんな意味で大人や年長者に虐待された子ども。それでもみんなきちんと大人になった。きちんと、というと語弊はあるだろうけど、みんなひとりで働いて食べていってるのだし。
「それで、モネの恋愛方面は?」
 フィルが尋ね、モネはクールに応じた。
「わたしは恋愛なんてしたことがないよ。フィルやベンはどうなの?」
 そのあたりもぼくたち三人はいささか似ている。ぼくは何度か聞いたことのある話を、フィルが語りはじめた。

 
 本名はフィリップだけど、そんな男の子みたいな名前、ぼくには似合わないでしょ? 子どものころには兄や姉に、a failureって呼ばれてたよ。できそこないって意味ね。
 フィリップの頭文字はPじゃなくてFだろ、なんて笑われたりしてね。そんなニックネームよりは、普通にフィルがいいでしょ。家を出て兄や姉のことも忘れるようにしてからは、ぼくはフィルとしか名乗らなくなったの。
 外見が異様だと中身も異様? そんなところもあるんだろうけど、ぼくは異様なつもりもなかったんだよ。なのにさ、兄と姉には異様な弟に見えたんだよね。妹だったらよかったんだろうにね。
 十五歳のときにぼくは家を出た。両親はぼくには冷淡だったけど、姉や兄にはなかった音楽の素養ってものを認めてくれて、大好きなフルートを習わせてくれたから感謝してる。家出できたのもフルートの先生のおかげだよ。
 フルートの先生は女性。ええ? ぼくってゲイに見える? まあね、ディヴィだのレイだのって大人の男性には惹かれるんだけど……クリフ、睨まないでよ。ディヴィを奪ったりしないからさ。おまえなんかに奪えるディヴィじゃないって? その通りだよね。
 うん、だからさ、ぼくはゲイではないんだ。ぼくにセックスを教えてくれたのは女性だもの。
 先生に連れられて故郷を出奔して、ロスアンジュエルスに来たの。先生はぼくに仕事を見つけてくれて、私はフィルの内縁の妻、主婦をやるわ、なんて言ってたんだけど、ぼくを置いてどこかに行ってしまったんだよ。
 そりゃあ先生に捨てられたら寂しかったけど、最初に見つかった音楽スタジオでの雑用係から、専門のフルートの仕事になって、他の金管楽器も練習してこなせるようになった。ぼくは金管楽器の才能だけはあるみたいなんだよね。
 十八歳の今は故郷とも両親とも兄姉とも縁は切れてるよ。ぼくはスタジオミュージシャンといっていい立場だから、フィルやティムやジェムみたいに人前に顔は出さない。ベンみたいにクラシックの分野では有名人ってわけでもないから、故郷のひとたちはぼくをとうに忘れただろうね。
 あいつはどこかで野垂れ死にした、とでも思ってるんじゃないの?
 ううん、そんなの平気さ。ぼくは故郷にも家族だった人々にも未練はないの。ただね、恋人がほしいなぁ。クリフみたいに誰かに愛されたい。
 え? ディヴィに愛されたいのかって? そうじゃないけどさ……うん、女のひとでも男のひとでもいいな。気持ちの悪い奴、ってぼくのことを避けたがらない、可愛いフィルって愛してくれるひと……そんなひとがいてくれたら、ぼくはそれだけで幸せ。
 だからさ、クリフは贅沢なのっ。あんな素敵なひとに「俺のクリフ」って呼ばれてるくせにさ。文句ばっかり言ってたらディヴィをさらっちゃうよ。


 ふん、勝手に言ってろ。
 ディヴィはぼくを「俺のクリフ」などと呼んではくれないけど、フィルには浮気しないと信じている。おそらくはしない、たぶんしない、きっとしない、んんと……メイビー。
「ベンは?」
 モネが問いかけると、花の香りの風に包まれているような微笑を浮かべて、ベンも話しはじめた。
 
 
 イギリスの湖水地方で生まれたぼくは、十二歳で音楽学校の寄宿舎に入ったんだ。現代でもイギリスの少年は寄宿学校に入る場合もよくあるから、両親が育児放棄したわけでもないんだよ。日本でだったら中学生の年頃になっていたんだしね。
 ピアノは大好きだったから、順調に上達したんだろうね。二年ほどするころには、先生方が口をそろえて言うようになった。
「ベネディクトはこんな田舎にいてはいけない。ロンドンの音楽学校に入るべきだ」
「ニューヨークのジュリアードのほうがよくないか」
「パリ国立高等音楽院は?」
 先生方がぼくをそっちのけで議論して、ロスアンジェルスにあるブルックナー私立音楽大学・LA分校に留学すると決まったんだ。両親は先生におまかせするとの返事だった。
 もちろんぼくはクラシックピアノの勉強をしていたんだけど、LAはロックやポップスの本場でもあるでしょ。休日にはライヴハウスに出かけたりして、そっちの専門家と仲良くなったりもしたんだよね。それでね……ふふっ。
 いや、なんでもないんだよ。よくある話さ。
 あのひとはぼくをベネディクトと呼んだ。縮めた愛称は使わなかった。だからね、ぼくはあのひとのもとに、ベネディクトって名前を残してきたんだ。あのひとと会うことは二度とないだろうから、誰にも「ベネディクト」とは呼ばせない。モネも「ベン」って呼んで。
 ベネディクトがベンってちょっと変? 日本語で「べん」って美しい響きの言葉ではないらしいけど、ぼくはイギリス人なんだから、日本語の意味なんて知ったこっちゃないよ。
 まあ、いわばラヴスキャンダルだよね。十五、六の少年がジャズミュージシャンと不祥事を起こして学校を退校になって、クラシック界からは追放されたようなものさ。クラシックの世界ってお堅いところもあるんだ。イメージを大切にするんだね。
 だけど、ポップスの世界はそういうのがむしろ勲章? ベンほどの才能があるんだから、男同士の恋愛スキャンダルなんて傷にはならないって言われたよ。
 現在のぼくはクラシックでもジャズでもポップスでもロックでも、童謡でもなんでもこいのピアニストだよ。恋愛のほうだってなんでもこい。きみとだって寝てもいいよ、どう、モネ?


 厚顔無恥にふるまおうとすればできなくもないらしい、さすがのモネが身を引き、ベンは声を上げて笑った。
「こうして聞いていたら、ほんと、ジェムやティムは普通だよね」
 脚色も多少はあるのかもしれないが、フィルもベンもけっこう数奇な少年時代をすごしてきている。そのせいで十八歳にして、ベンは超然としすぎ、フィルは超然としなさすぎの人間になったのかもしれない。
 ぼくがティムとジェムは普通だと言うと、フィルが反対意見を述べた。
「ティムは普通かもしれないけど、ジェムは普通じゃないでしょ」
「あいつは普通に育ったじゃないか」
「普通に育ったって、変な奴になったって見本よ」
「そうかもしれない」
「……どう変なの? あ、もういいや。わたしも変な奴だと思ってたけど、アメリカ人やイギリス人ってスケールがちがうかも」
 モネが言い、フィルが尋ねた。
「ジェムの境遇は聞きたくないの?」
「ジェムってロックシンガーだったよね。おなかいっぱいになってきたから、ちょっとだけ話して」
「ちょっとだけね」
 クリフ、言ってよ、と促されて、ぼくは言った。
「ジェムはふたりの男と同居してるんだよ。兄がアダム、弟がヒース、バーンズ兄弟」
「えと……兄は小説家、弟がイラストレーターだよね」
 そこまで聞いたら十分だとばかりに、モネは椅子の背もたれに身体を預けて、大きく息を吐いた。
「そのふたりって、ふたりともにジェムって子の恋人?」
「そうだよ」
「ジェムって男だよね?」
「ぼくの友達にはモネ以外には女の子はいないから」
「アメリカ人って、みーんなカミングアウトしてるんだね」
 みーんなでもないが、ぼくの友達はたいていゲイだったりバイセクシャルだったりするのを正直に言っている。日本人はそうはいかないのだそうで、遅れている、と言っていいのだろうか。
 

3
 

 満ち足りて眠ったぼくは、その夜夢を見た。やけに穏やかな顔つきのディヴィと向き合っているのはぼくなのだけど、微妙に様子がちがうのだった。
「いやだよ。勉強なんかやだ」
「そういうことを言うと連れてってやらないぞ」
「ずるいよ。ディヴィなんか大嫌い。ぼくは勉強なんかいやなの! ねえ、遊ぼうよ」
 横目で見るとエメラルドブルーの水をたたえた大きなプールがあった。
「泳ごうよ、遊んでよ」
「そんな時間はないんだ。俺はあとで出かけないといけない。先に勉強だろ」
「やだってぱ。ディヴィなんかずるーい。ぼくは勉強はしたくないの。遊びたいの。ディヴィが出かけるのもいや。遊ぶんだから」
 かんしゃくを起こしたぼくは、プールサイドのテーブルの上にあったノートを、地面に叩きつけた。
「拾ってこい」
「やだ」 
 なんだかずいぶん辛抱強いディヴィだな。なんで怒らないんだろ。これは夢だとわかってる。ぼく自身の口から出る声が、甲高くて幼い子供のものだともわかった。つまりぼくは、おそらくは十か十一くらいのガキなんだ。
 十七歳のぼくだって、これと大差ない駄々をこねたりすることもある。そんなときディヴィの取る態度はただひとつ、横っ面をぱっちーんだ。なのに今はディヴィは怒らない。ため息をついて、拾ってこいと繰り返す。
 いくらなんでもプールにノートを放り込んだりしたら、ここにいる温厚そうなディヴィも怒るだろう。そう考えた上で、ぼくはノートを投げつけるのを地面にしたわけだ。夢の中のクリフと重なるようにして、十七歳のクリフも存在していた。
「拾ってきたら遊んでくれる?」
「クリフ」
 声にいささかの凄みと迫力が加わり、ぼくは仕方なくノートを拾いにいった。ついでにプールの水面におのれを写してみる。ここがどこだかは知らないけど、くしゃくしゃのストロベリーの髪、きらめくエメラルドの瞳、細くてちっちゃな、今のぼくをそのまんま小型にしたような、小生意気そうなガキが見返していた。
 白地にピンクの文字が躍るTシャツ、カーキいろのジョギングパンツ、ひまわりの茎みたいに細い脚がひょろひょろっと伸びている。
 そういやぁ、ぼくってガキのころはこんな感じだったな。ママにはほとんどほったらかしにされてたから、このころの写真はあまりないけれど、不良になりかけのぼくはこんなガキだった。記憶に忠実な夢なんだ。
 ノートを拾ってテーブルについたぼくに、ディヴィが講義をはじめる。フランス語講座だ。ディヴィがぼくを連れてってくれると言っているのは、パリあたりなのだろう。
 ディヴィは語学に堪能だ。世界各地を取材して歩くルポライターなのだから、当然といえばいえるのかもしれないが、世界の主要言語はほぼだいたいこなせる。フランス語やドイツ語ならばこみいった会話も可能だ。
 そこにととっと走ってきたのがジェム。現実のジェムはティムと同い年の十九歳で、ティム、ベン、フィル、クリフ、ジェムの中ではいちばん背が高い。が、夢の中のジェムはぼくと同じくらいの身長と体格をしていた。
 ティムには仕事で会っているし、フィルとベンには昼間に会ったから、しばらく会っていないジェムが夢に出てきたのか。
 デイヴィには抱かれて満ち足りたわけだが、彼とはいつだって会っていたいのだから、夢の中でも接触している。夢に理屈なんかいらないってのに、ぼくは無意識でそんな分析をしていた。
「こら、待て」
 ジェムを追っかけてきたのはヒースで、そのうしろからアダムも小走りでやってくる。ディヴィとヒースとアダムはほぼ同年輩だから、夢も現実も同じ、長身の大人の男だ。ヒースはがっしりしていて、ディヴィはしなやかな鞭のような身体つき、アダムはほっそりしている。
「ジェム、待ちなさい」
「待てと言ってるだろ」
「こらっ、クリフ。おまえは行くな」
「やだよっだ」
ぼくも立ち上がって走り出し、ディヴィがやれやれと呟いている。
 長い脚で走って追いついたヒースは、ジェムの細い腰を両手で抱えて頭上に差し上げた。口をとがらせて暴れているジェムを見ていたぼくも、アダムにかるーく抱き上げられた。
「……やだよっ、降ろしてよっ!!」
「離せよーっ!!」
 大人の男たちは、少年たちを子猫みたいに扱って余裕綽々で笑っている。アダムに抱き上げられるのは決していやではないけれど、ぼくはディヴィがいい。肩に回ったアダムの手に噛みつくと、ぽいっと放り投げられてデイヴィの腕の中におさまった。
「アダム、噛まれたか?」
「ああ、たいしたことはないけど」
「クリフは野良猫なんだから、扱いは要注意だって言ってあるだろ。まったくおまえは……」
 十七歳のぼくを叱るときよりははるかに優しく言って、ディヴィがぼくの身体を膝の上でうつぶせにする。必死になってじたばたしても無駄な抵抗で、ジョギングパンツもトランクスも引き下ろされた。
「言うことは聞かないし、他人に噛みつくし……」
「うきゃっ、痛いよっ!!」
 おっきい手にお尻をぶたれているぼくを、大人の男たちは笑って見ている。おまえもああしてやろうな、ってアダムに言われて、ジェムも水泳パンツを下ろされて、立ったまんまのアダムにお尻をぶたれている。
 子どもたちは大騒ぎして泣いていて、大人たちは笑っている。ぱんぱん叩かれて熱くなってきた素肌を、心地よい風が撫ぜてくれる。身体は子どもで心は十七歳のクリフは、お仕置きを受けながら考えていた。
 現実でディヴィに叩かれたら、泣いて武者ぶりついていってベッドに投げ飛ばされて、それからぼくは天国へと連れていってもらえる。今は? 叩かれるだけ? 十かそこらだったらベッドで抱いてはもらえないよね。そんなのやだよ。
「痛いと目が覚めるんだろっ!! 痛いよっ!! もとのぼくに戻りたいよっ!!」
 叫んだ拍子に目が覚めた。
 淡い闇の中、目を開けて考える。ぼくはベッドにひとりきり。ディヴィはどこに行った? あれは夢だったから、別にどこも痛んではいない。ただ、ディヴィのてのひらが触れた感覚が残っていて、肌が火照り、うずいてきていた。
「ディヴィ……」
 廊下を歩いてくる足音が聞こえて、ぼくは素早く全裸になってしどけないポーズを取った。
「……抱いて」
「元気だな」
「ディヴィは一回だけで限界? すこし寝たら取り戻してるだろ。できないっての? だらしねえの」
 くすっと笑ったディヴィが歩み寄ってくる。うずく全身を抱きしめられて、荒々しい愛撫とキスにもみしだかれる。ここから続くのがぼくの、天国への道。

つづく(may be)


 
 

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