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小説24(Bye Bye Recollection)

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フォレストシンガーズストーリィ・24

「Bye Bye Recollection」

1 

 アーキラーとおかしなイントネーションで俺を呼ぶ奴は誰だ? 章ではなくアキラと呼ぶのは、ロックバンド時代の仲間たちか。いや、女の子の声ではない。章とアキラでは同じのはずなのだが、なぜか微妙にちがう、耳になじんだ呼び名だった。
「アキラー、ここだよ、ここ。僕」
 アパートの入り口付近で、すらりと立ち上がった奴がいた。
「……誰だ、おまえ?」
「忘れちゃったの? つれないなぁ」
「男なんかにつれないと言われる筋合いはないんだよ」
 まじまじ顔を見つめたら、記憶の底から浮かび上がってきた名前があった。
「レイ!」
「やっぱ覚えててくれたんだね。嬉しいな、アキラ、久し振り」
「背が伸びたな」
「だろ? 成長期だもんね」
 ロックバンドをやっていたのは、俺が十九歳からの一年余りだった。「ジギー」という名の女の子バンドで、俺はヴォーカルを担当していた。女の子バンドにもなぜか女の子のおっかけってやつがいて、女の子がなんで女の子にきゃあきゃあ言うんだろ、と俺は不思議だったものだ。追っかけガールズは男の俺よりも、バンドで楽器を演奏する女の子たちの熱烈なファンだったのだ。
 とはいえ俺にもファンはいた。アマチュアバンドばっかり追っかけるファンの存在も不思議ではあったのだが、もしもバンドがプロになって売れでもしたら、あたしは彼らがデビューする前からファンだったんだよ、と自慢したい、という心理もはたらいていたのかもしれない。
 黎はその、数少ない俺のファンを自認している少年だった。こっちもプロではないので、ファンの子たちとも気安く口をきいたり、時には俺は女の子とごちゃごちゃしたりもしていたのだが、レイとも話はした。
「レイ? 女みたいな名前だな」
「名前をつけたのは親だもん。僕に責任ないもんね」
「たしかに。俺も親のつけたアキラだなんて平凡な名前じゃなくて、プロになったらステージネーム使おうかな。レイラとかってどう?」
「そっちのほうが女みたいだよ」
 あのころは高校一年生だったか、小柄でルックスも女の子のようだったレイは、俺にすり寄ってきた。
「アキラはギターも上手なんでしょ? 教えてよ」
「ミミに教えてもらえ。あいつのほうがギターは俺よりうまい。なんたってうちの本職ギタリストなんだから」
「断られちゃったんだもん。女の子にだったら教えるけど、男の子はやだってさ。どうしてなんだろうね」
「男っても、おまえじゃ人畜無害だろうにな」
 あたしたちは女のミュージシャン育成にだったら手を貸すけど、男は男同士でやってりゃいいんだよ、がミミのそれに対する説明だった。俺にはもうひとつわからない理屈だったのだが、うちのメンバーたちは女の子バンドというものに燃えていたらしい。
「だったらなんで俺にヴォーカルやらしてんだよ」
「アキラの声は面白いし、アキラってあんまり男って感じがしないから、かな」
「……どうせ俺は……」
「あんまり、じゃなくて、アキラは男ではない」
 横からそう言ったのはローザだったかマリだったか、スーではなかったはずだ。
 そういうわけでミミは教えてやらなかったので、俺がたまにレイにギターを教えてやった。教えてやったといっても、ジギーはじきに空中分解してしまったので、レイに教えるのは半端なままだった。なににしても、俺はそんなにギターが上手なわけでもないのだし。
 そのレイが目の前に立っている。計算してみるとレイは俺より三つ、四つ年下だ。俺が二十二歳になっているのだから、レイは十八、九か。大学生になったのだろうか。えらく背が伸びて俺を追い越してしまっていた。
「ジギーが解散しちゃってつまんなくなって、ロックバンドのおっかけなんてものも自然にやめちゃったんだよ。だけど、音楽は好きだから、ラジオなんかもよく聴いてる。そしたらこの間、出てただろ」
「俺たち?」
 このたびデビューしました、フォレストシンガーズです、って、各地のFM放送局に挨拶に出向いていた時期があった。レイはそのうちのどれかを聴いたのだろう。
「コーラスグループ? そんなの興味ないもん。よその局に回そうとしたら、木村章です、って声が聞こえて、思わず手を止めたよ。この声を聞きまちがえるはずもない。あのアキラだ、やっぱりそうだった。アキラがなんでコーラスグループになんかいるんだよ」
「いや、それにはなにかと事情もあってだな……なんで俺がおまえに言いわけしなくちゃいけないんだ。ほっとけ」
「ロックは捨てたの? ロックヴォーカリストとしてプロになるって決意してたんじゃなかったの?」
「そうなんだけどさ」
 ロックであろうとコーラスであろうと、歌にはなんら変わりないじゃないか、とは今もまだ俺は心からは思っていないのだが、レイに話す必要なんかない。俺が黙っていると、レイは言った。
「なんにしたってなつかしい名前だったし、プロになったんだったらまさか前のアパートには住んでないよね、とは思ったんだけど、とにかく来てみたんだよ。そしたらメールボックスに、「木村章」って名前があるじゃない。まだこんなボロアパートに住んでるんだね」
「俺たちはデビュー間もないんだ。金なんかないよ」
 ついでに仕事もそんなにはない。
「前に何度か、アキラの部屋でギターを教えてもらったよね。ギターは捨てたの?」
「俺はもともとヴォーカリストだ。ギターは本職じゃない。だけど、ギターは捨ててないよ。作曲したり、ただ単に弾いたり、ギターを捨てられるわけがない」
 その台詞が仇になろうとは、そのときの俺は想像もしていなかった。レイは目を輝かせて俺に迫ってきたのだった。
「僕は今、バンドやってるんだ。アキラが挫折したロックバンドで成功するって夢を、僕がかわりにかなえてあげるよ」
「恩着せがましく言うな。勝手にやりゃあいいだろ」
「でもね、僕ら、下手なんだよね。僕のギターが特に下手なんだって。アキラが中途半端で放り出すからだよ。責任取って」
「……俺のせいにすんな」
「教えてよ。昔みたいに」
「俺はそんなに暇じゃなーい」
「暇そうに見えるけど?」
 うぐっと返答に詰まった俺に、レイがたたみかけてきた。
「アキラは僕がなつかしくないの? あんなに仲良しだったのに」
「誰が誰と仲良しなんだ」
「僕はアキラとは仲良しのつもりだったよ。アキラはバンドやってるったってアマチュアだったんだし、僕とは年もそんなにちがわないし。いろいろと可愛がってくれたじゃないか」
「可愛がった覚えはない」
 へええ、彼って章が可愛がってた少年? とかなんとか、幸生あたりが故意に曲解して言いそうな気がする。
「久し振りなんだし、部屋に上がれって言ってくれないの?」
「……上がれよ」
 言わされてしまった。
「ほんっと久し振りだよね」
 部屋に上がりこんできたレイは、周囲を見回して言った。
「ちっとも変わってないんだね、この部屋。アキラ、ギター弾いて」
「おまえは大学生になったのか?」
 ギターを取り上げながら尋ねると、レイはかぶりを振った。
「大学になんか行ってない。ジギーのおっかけやってて、僕もギターを弾きたいと切に願うようになったのは、アキラの影響なんだよ。アキラが親切にギターを教えてくれて、おまえ、筋がいいじゃん、って言ってくれたから」
 言った覚えはないが、レイは想い出を美化しているのかもしれない。
「それで高校の友達とバンドを組むようになった。アキラ、いつか言ってたね。男のギタリストって黒革のパンツのよく似合う細くて長い脚が命なんだぜって」
 それは言ったかもしれない。俺にはとうていかなわぬ理想だ。俺の脚は細いけど長くない。
「僕の脚、それだけは合格でしょ? その上ギターがうまくなったら最高じゃないか。ね、ね、そうでしょ?」
「とりあえず弾いてみろ」
 アンプにつなぐと、格好だけは一人前に、レイがエレキギターを弾きはじめた。
「アキラが教えてくれた曲、サンタナの「ブラックマジックウーマン」にしようかな」
「無謀だ。やめろ」
「そう? じゃあ、ジギーの曲にするよ。これってスーが作詞して、アキラが作曲したんだよね」
 スー……その名前を口にするな、俺の心の傷をひっかくな、と言いたいところだったのだが、言うとなにかとうるさいだろう。俺は聞かないふりをしておいた。

「バイバイ ロンリーガール
 俺もそうしてロンリーボーイ
 好きだったよ、っておまえは言ったけど
 俺はおまえなんか好きじゃなかったよ
 強がりが風に吹かれて
 バイバイ マイメモリー」
 
 幼稚な歌詞に幼稚な曲、下手な歌、下手なギター、なのに涙が出そうで、俺はレイのギターに合わせて歌った。

「バイバイ ロンリーシティ
 俺はこうしてロンリーボーイ
 恋なんかほしくない、別れてせいせいするよ
 おまえも俺なんか好きじゃなかったんだ
 さよならに背中向けて
バイバイ 俺の想い出
 なにもかもに バイバイ」

 タイトルは「Bye Bye Recollection」。メッセージロックのつもりのオリジナルと、既成の曲のコピーが多かったジギーにとっては、ラヴソングといっていいジャンルの曲だった。俺が歌いはじめるとレイはギターに専念して、歌が終わると同時に言った。
「おまえ、本物の下手くそだな」
「アキラ、歌は最高にうまいね」
 ふたつの台詞が同時に出たのだが、互いに聞き取れた。
「当たり前だ。ロックじゃなくても俺は歌のプロだぞ」
「アキラが途中でほっぽり出すからだよっ」
 またもや同時の台詞。俺は叫んだ。
「うるせえんだよーっ! ギターを教わりたいって言うんだったら、俺が喋ってから喋れ。会話になってねえだろうがよっ!」
「あいかわらずすげぇ声……教えてくれるんだね。やったーっ!」
 はめられたか。レイが喜色満面で俺に抱きついてこようとした。俺はそれをかわして立ち上がり、ギターだったら乾さんのほうが上手なんだけど、乾さんはロック畑のひとじゃないし、レイを押しつけるわけにもいかないし、だけど俺はいやだし、だからってレイは簡単には諦めないだろうし、どうすりゃいいんだよぉ……そんな思いを堂々巡りさせていた。


 コーラスグループなんてやめちゃいなよ、またいっしょにロックバンドやろうよ、と俺に訴えたスーは遠いひとになってしまったけれど、あれから俺のアパートをしげしげ訪ねてくるようになったレイが、スーとおんなじことを言う。
「アキラにはそんなの似合わないよ。アキラはロックじゃなくっちゃ」
「レイ、俺はアキラではない、章だ」
「……アキラでしょ?」
「漢字の章だ」
「漢字の章ねぇ……それってロッカーだったアキラじゃないって意味?」
「そうだよ」
 顔中不満でいっぱいにして、レイは下手なギターを弾いた。
「それにだな、呼び捨てにすんな。せめて章さんとでも呼べ」
「章さんなんてアキラじゃないよ。アキラー、変な影響受けてるよね?」
 ロック命のレイは、コーラスグループなんてへっだ、と言うくせに、フォレストシンガーズについての知識はあるらしい。
「アキラが中退した大学の、合唱部の先輩が本橋、乾、本庄って三人で、三沢ってのがアキラとは同級生なんでしょ。そんでなんだか、先輩には敬語で喋ったりするんだよね。ロッカーのやることだとは思えないよ。先輩ってえらいの?」
「俺は今ではロッカーじゃないんだよ」
 この台詞を口にするたび、一抹の寂しさが胸をよぎるのだ。
「先生だって先輩だって、先に生まれたってだけじゃないか。それだけでえらそうにするなんて最低だよ」
「聞いたふうな口叩くなっての。それってロッカーらしくてかっこいい台詞だとでも思ってんだろ」
「……どうせ売れてもいないんだろ。アキラ、そんなのやめない? 僕のバンドに入らない? うちには専門のヴォーカルはいないんだ。ギターの僕とドラムとベースとキーボードがいて、オーソドックスな構成ではあるけど、歌は誰かが歌う。オリジナルを作る能力も誰にもないから、コピーばっかりだよ。アキラがヴォーカリストとして加わってくれたら、どんなにか……アキラには歌もつくれるんだし」
「やだよ、そんな下手くそバックに歌うなんて」
「これから上手になるよ」
「俺もこれから売れるんだよ」
 これからこれからって、レイにも俺にも保証もないのに。
「アキラ、電話に出ないの?」
「ほっとけ」
 さっきから電話が鳴っていた。一旦切れてもまた鳴りはじめて、執拗に俺を苛立たせる。函館から落ち込んで帰ってきたってのに、レイは面倒なことを言うし、電話はしつこいし、俺の苛々が最高潮に達しようとしていた。
「アキラはそれでもプロなんだもんね。僕たちがもしもプロだったとしたらどう? それでも断る? 下手くそとはいや?」
「いやだよ。おまえはうるさいんだ。帰れ」
「帰らない」
「そんなら俺が出ていくよっ。俺が帰ってきてもまだいたりしたらぶん殴るからな」
 あんな坊やを相手に、俺はなにを苛々しているんだろう。頭を冷やしてこようと、俺は外に出た。金もないし、つけのきく店も知らないから飲みにもいけない。デビュー前から本橋さんちの近くの公園で歌のレッスンをしていたのを思い出して、公園でひとりで歌った。歌ったのはヴァン・ヘイレンやらキッスやらのハードなナンバーで、近くで遊んでいたちっちゃな子供たちが、俺を変質者でも見るような目で眺めていた。
 畜生、真夜中にでもならなきゃ歌も好き勝手には歌えないのか。くそくそくそ、ロックを歌いたいなぁ。せめてジギー程度にはテクニックのあるバンドをバックに、ステージで思い切りシャウトしたい。マイクスタンド蹴倒して、あばれたい。叫びたい、がなりたい。
 ジギー時代にも大きなステージで歌った経験はない。いつだってちっぽけなライヴハウスで歌っていた。フォレストシンガーズで大きなステージに上がれる日が来たとしても、歌うのはラヴソングにバラードにポップスに、せいぜいがソウルミュージックか。かったるいなぁ。
 マイクスタンドのかわりに公園の大木を蹴飛ばしたら、当たりどころがよくなくて足首をくじいてしまった。俺ってとことんついてない奴……脚をかばいつつ歩いて部屋に戻ったら、玄関のドアごしにぼそぼそした会話が聞こえてきた。レイはまだ居座っているようだが、話し相手は誰だ? あの声は本橋さん? 俺はドアを開けた。
「いたんだろ、電話にぐらい出ろ」
 怒り顔の本橋さんが言い、俺の足に目を留めた。
「どうしたんだ、怪我したのか」
「ちょっとくじいただけです」
「ころんだのか」
「じゃなくて、いえ、なんでもないんです」
 さっきからの電話は本橋さんだったのか。樹を蹴飛ばしてくじいたとも言えなくて、俺は曖昧にごまかして訊き返した。
「電話、なんだったんですか?」
「仕事の話なんだけど、おまえが電話に出ないから来てみたんだよ。そしたら彼がいた。話は聞いたぞ」
「レイ、おまえ、なにかよけいなこと言ったんだろ」
「よけいなことは言ってないよ」
 畳にじかにあぐらをかいている本橋さんと、エレキギターを抱えているレイの回りには、CDや楽譜が散乱している。どれもこれもがハードロックだ。レイがなにを話したのかもおおよそわかるってもので、本橋さんはしばらくの沈黙のあとで言い出した。
「いつか乾が言ったんだ」
「はい」
「乾が言うには、おまえはなにかっていえばすぐ怒る、怒りっぽいのは性格だからどうしようもないのかもしれないけど、これだけは禁句にしろ、ってな」
「禁句?」
「おまえが入ってうちの形が固まったころだったな。シゲはともかく、幸生といいおまえといい、今でもそうだけど、あのころはもっともっとガキだったろ。幸生は頭のネジがところどころぶっ飛んでるし、おまえはおまえで……なぁ」
 その続きもわかる気はした。
「だから、怒るべきときには怒れ、って乾は言いやがったんだよ」
「で、禁句って?」
「やめちまえ」
「……」
 黙りこんでしまった俺を、レイがじーっと見ていた。本橋さんは続けて言った。
「けどな、おまえはロックに未練があるんだよな。レイから聞いたよ。誘われてるんだって? おまえがどうしてもロックに戻りたいんだったら……」
「禁句を口にするんですか」
「おまえ次第だ」
 一時期インドにはまって麻薬にもはまっていたビートルズが、「ルーシーインザスカイウイッズザダイヤモンド」って曲を発表した。ルーシーがL、スカイがS、ダイヤモンドがD、つなげてLSD。その幻覚に包まれたジョンやポールの頭の中は、今の俺みたいだったのではなかろうか。頭の中でなにかがぐるぐる回ってる。言葉にできない。
「あ、なんともないんですったら」
 あとずさりしたのだが、本橋さんは俺の足首の具合をたしかめている。軽く足首をひねって俺に悲鳴を上げさせて、救急箱はないのか? と尋ねた。
「そんなもん、ありません」
「医者に行くほどでもないだろうけど、捻挫してるんじゃないのか。薬を買ってきてやるから、今の俺の話、よく考えとけ。おまえがレイとロックバンドをやると決めるんだったら、俺はあいつらを裏切ってもいいよ」
「……本橋さん……」
 薬なんかいらない、と言う間もなく、本橋さんは出ていってしまい、レイが身を乗り出してきた。
「本橋さんってアキラたちのリーダーなんだよね。リーダーがああ言ってるんだよ」
「帰れと言ったはずだろ。帰れ」
「やだよ。ねえ、アキラぁ、僕とやろうよ」
「帰らなかったら殴るとも言ったぞ」
「怪我してるくせに。僕のほうが身軽だよ。身長だって体重だって僕のほうがアキラに勝ってるよ。おとなしく殴られてなんかやらないけど、それでもいいんだったらどうぞ」
「このガキ、生意気な」
 飛びかかったら、レイはひらっと身をかわした。俺ははずみで転倒し、くじいた足首をなおもひねってしまった。唸っている俺に馬乗りになってきたレイが、くそくそくそーっ、と叫んで頭を殴りつける。はねのけることもできない。このガキ、いつの間にこんなに……悔しいぞーっ。
「なにやってんだ、おまえらはっ」
 怒声がして、本橋さんが帰ってきた。俺にははねのけられもしなかったレイをたやすく俺から引き剥がし、ぽいっと投げ出して俺を抱き起こした。
「大丈夫か? こら、レイ」
「なに?」
「章は負傷してるんだぞ。それにだな、おまえは章にギターを教えてもらってるんだろ。いわば先生なんじゃないか。章のほうが目上なんだと考えろ。そんな章におまえはなにをするんだ。あやまれ」
「アキラが最初に……」
「黙れ。あやまれ」
 ふんっだ、とふてくされて、レイはそっぽを向いた。
「まあまあ、本橋さん、レイは俺たちとはちがうんだし……」
「ロッカーだからか。ちがいはしない。ロッカーだってなんだって、ものを教わってる相手にはそれなりのけじめってものが必要なんだ。こら、章、なにを笑ってるんだ。おまえもこんな若いの相手に、殴られっぱなしとはだらしない。足はひどくなってないのか」
「痛いけど……いえね、本橋さんらしいなぁって」
 なにを言ってるか、で俺の頭をごちん、もののついでにレイの頭もごちん。レイは本橋さんにはおとなしく殴られておいて、べーっと舌を出した。
「なんだ、その舌は、腹が立つんだったら俺にかかってこい。受けて立ってやる」
「本橋さんとじゃ無理みたい。強そうだもんね」
「おまえは弱い相手にしか抵抗しないのか」
「処世術でしょ、それって」
「処世術だ? そういう男は俺は大嫌いだ」
「本橋さんに嫌われてもいいもん」
「ガキのくせして処世術だのなんのとほざく奴は……」
「まあまあ、まあまあ、ね、リーダー?」
 こうなると俺は仲裁役になるしかない。レイにしても本橋さんにしてもあまりにもらしくて、俺は笑ってしまった。
「本橋さんだってアキラを殴ったじゃないか」
「俺がやったのとおまえがやったのはちがう」
「どうちがうの?」
「……」
 言葉に詰まった本橋さんに、俺は言った。
「アキラと章のちがいぐらいですよね」
「あきらとあきら?」
「もういっぺん発音してみて下さい。ロッカーだった俺はアキラだった。今は章です。先輩たちに厄介ばっかりかける章ですよ。今度は怪我なんかしちまって、普通に歩くのに苦労しますよね。最後にロッカーみたいなふるまいをしたってことで……」
「ロッカーみたいなふるまいをすると怪我をするのか」
「マイクスタンド蹴飛ばして、マイクスタンド空中回転、さあ、ロックンロールショーがはじまるぜ、ここまではこんな歌。で、ここで叫ぶんだよな、レイ?」
「ARE YOU READY? レッツゴー、やるぜーっ、ってアキラの声、思い出すよ」
 なんの話なのか察したようで、本橋さんは口の中で言った。アキラ、章……ニュアンスがちがうのか? 
「俺はもう章なんですよ。ロックに未練がないとは言わないけど、歌えるってことが俺にはいちばんだ。ねえ、リーダー、いつか俺たちがステージを自由自在にできるようになったら、俺にロックを歌わせて下さい。エレキ抱えてシャウトするんだ」
「ああ、そういうのもステージでやれるといいな」
「やりましょうよね。こうやってさ。レイ、下手なギター弾け。「Bye Bye Recollection」だ。さよなら、追憶」
 下手はよけいなんじゃないの? とレイは言ったが、前奏をかなではじめた。ふむ、たしかに下手だな、と本橋さんが呟き、レイはむっとしたらしいが、黙って弾き続けた。
 捨て切れるのか、諦め切れるのか、未練も追憶も、生まれながらのロッカーだと自分で自分を信じていた俺の魂も、エレキギターもロックヴォーカリストのシャウトも、おまえは捨てられるのか、章? 優しく静かに恋を語る歌をうたって、それでおまえは幸せなのか?
 いいや、捨てなくてもいい。ロックヴォーカリストから「ロック」をはずしても、俺はヴォーカリストじゃないか。夢は半分しかかなわなかった、なんて考えるのはよそう。歌詞は甘めだけれど、メロディはのっけからハードロックのこの曲を叫んで、このひとときだけは俺はロッカーだ。たったひとりの下手な演奏と、たったひとりの聴衆。俺の魂は永遠にロッカーだよ。こうしていたら、函館でのよくない想い出も、足首の痛みも忘れていられる。
 ロッカーだった日々の追憶にバイバイするんじゃなくて、函館での追憶にバイバイするんだよな、うん、そういう意味で歌おう。俺は出せる限りの最高音で叫んだ。バイバイマイメモリー!!


2

 去年の秋のはじめにデビューして、デビュー間もないころにはオフィス・ヤマザキ主催のライヴで初の本格的ステージに立った。各地のFM放送局にデビューの挨拶に赴いたり、乾さんと俺がふたりでバラエティ番組に出演したり、地方での小さな仕事をこなしたりもした。
 一年の間には、人との出会いも別れもあった。俺は生涯で何度目かに女の子にふられた。続けざまにふられた。夏の失恋は悲惨なまでの経験だった。俺だけではなくきっとみんなにも、六人がいっしょにだったり、各自別々だったりの、いろんないろんなできごとがあった。
いまだ俺の中にはロックへの拘泥とともに、スーがいる。ロックではなくても歌っていられたら幸せなはずなのに、心の半分がロックを追い求めている。
「ロックってそれほどのもんか」
 本橋さんはそう言う。俺にはそれほどのものなのに、誰もわかっちゃくれないと思うと、ひねくれたりひがみたくなったりして、乾さんには言われた。
「他人の気持ちを他人が芯からわかるわけがないだろ。多少は読めた気になっても、それはわかったつもりにすぎないんだ」
「甘えるなって?」
「甘えたいんだったら家に帰って、おふくろさんに甘えてこい」
「意地悪なんだから」
「知らなかったのか」
「……ほんとに意地悪なんだからっ!」
 一度は縁の切れていた合唱部時代の先輩たち三人と、幸生ともめぐり会い、フォレストシンガーズに引っ張り込まれる形になってから、アマチュア時代もプロになってからも、俺は馬鹿ばかりやって先輩たちに怒られてきた。幸生にまで説教された。その中でも特に俺を叱る筆頭は乾さんだ。
 リーダー本橋さんは幸生や俺を気安くぽかっとやるが、案外シリアスには殴らない。本庄さんは幸生だったら投げ飛ばしたりもするが、俺には時々しみじみとなにかしら言う程度。幸生はシャレやら冗談暴走やらをまじえるので、対等の言い争いになって取っ組み合いに発展する。乾さんとは対等にもなりはしない。説教なんてのは日常茶飯事で、そのあげくはこうなる。
「口で言ってもわからない奴には身体に教えるしかない。章、かかってこい」
 かかってこいと言われても、かかっていってかなうわけがないじゃないか。かなわぬ喧嘩をするのは愚も愚も愚だ。だから俺は逃げる。精神的にも肉体的にも逃げる。本橋さんは言っていた。
「乾って奴は優男に見えるだろ」
「見えますけど、そうでもないんでしょ」
「そうなんだよな。俺も知り合ったばかりのころはそう思ってたよ。あいつと俺が本気で殴り合ったら、俺が勝つ自信はある。腕力や喧嘩のテクニックは俺が上だ。シゲには物理的な力では負けるけど、暴力で喧嘩をしたら勝つ。だけど、精神力はあいつらのほうが上なのかもしれないよ」
「負けず嫌いのリーダーがそんなふうに?」
「さまざまに考え合わせたら、結論はそうなるんだよ」
 だったら俺はすべてに於いて、先輩たちに勝てるはずがない。幸生にだって総合的には負けるだろう。俺にだって負けず嫌い根性はあるのだから、深く考えると悔しい。けれども、なんとかして先輩たちに勝ちたいと考えるよりは、俺は後輩でよかったのかな、一応は対等の関係の幸生もいてよかったのかな、と考えておのれをなだめている。
時おりみんながする学生時代の思い出話には、俺はたいていついていけないのだが、実は会ったことがあるのだ、合唱部の先輩たちに。誰にも話してはいない、こんな想い出が俺にはある。
 ロックスターになる予定が夢破れ、うらぶれて居酒屋でちんたらアルバイトをしていたころに、その店で見覚えのある客を見かけた。背が高くて顔のいい男がふたりで飲んでいるうちのひとりをたしかに覚えていた。彼も俺を漠然と覚えていたのか、店から出がけに俺に声をかけてきた。
「きみとはいつかどこかで……○○大学の合唱部にいなかった?」
「……溝部さん?」
 すっとぼけようとしたのに、つい応じていた。彼はうなずき、連れの男に言った。
「金子さん、木村ですよ。金子さんとはいっしょにやってませんね。俺は渡辺から聞いてるから知ってます。木村、よかったら仕事がすんだらちょっと、どうだ?」
「今夜は遅くなりますから」
「そうか、残念だな」
 ふたりとも若いビジネスマンか。かっこいいスーツを着て、羽振りもいいように見えた。金子さんも名前は知っている。鈴木の情報にも出てきた、俺より四つ年上の合唱部の先輩だ。金子さんはキャプテンで、溝部さんはその一年後の副キャプテンで、溝部さんには問題もあったようだが、大学では合唱部キャプテンや副キャプテンはいっぱしの存在だったのだから、そんなひとたちは卒業してもそれなりにうまく世間を泳いでいっているのだろう。
 そんな先輩たちに同情なんかされたくない、と肩肘張って、溝部さんの誘いを断った。それっきり忘れていたけど、フォレストシンガーズとしてデビューしてから、今度は街で渡辺さんに会った。渡辺さんは俺をはっきりと覚えていてくれて、お茶でもどうだ、と誘われてついていった。
「フォレストシンガーズ、プロになったんだね。本橋や乾や本庄や三沢も元気にしてるようだね」
「はい、売れてはいませんけど元気です。渡辺さんは?」
「司法試験にチャレンジし続けてるよ。失敗ばかりだ」
「渡辺さんは秀才なんですから、そのうち……なんてね、俺が言っても説得力ないか。まるっきり縁もゆかりもない世界ですもんね、歌とは」
 そうだな、とうっすら微笑んでいる渡辺さんに、尋ねてみた。
「俺がまだフォレストシンガーズに入ってなくて、居酒屋でバイトしてたころに、溝部さんに会ったんですよ。金子さんって先輩もいっしょでした。金子さんはシンガーになりたくて、今も暗中模索中らしいってうちの先輩たちから聞きましたけど、溝部さんはサラリーマンになられたんですか」
「いつ? ああ、そのころか」
 同時期にキャプテンと副キャプテンだったのだから、渡辺さんは溝部さんの消息を知っていた。
「そのころっていえば、金子さんも不遇だったんだな。溝部も就職した保険会社がよそと合併するとかで、大変だった時期のはずだよ」
「ふたりとも、ぱりっとして見えましたよ」
「金子さんはいつだって強気の男だったから、少なくとも表面上には弱みは見せないよ。溝部は金子さんに愚痴でも聞いてもらってたんじゃないのか」
「……みんないろいろとあるんですね」
「そうさ。きみはいい人生じゃないか」
「そうですかね」
「そう言い切るには若すぎるかな。ところで、小笠原は?」
「知りません」
「そうか」
 あのとき、溝部さんや金子さんにつきあっていたら、どんな話を聞かされたのだろう。俺も歌は捨ててサラリーマンにでもなろうか、と考えたこともあるが、サラリーマンにでも、とは浅薄な考えだったのかもしれない。俺ばっか恵まれない若者だと世をすねていたけど、誰だって大変なんだな、とちょっとは反省した。
 世間って奴は若者への風当たりが強い。人生はひとしなみに若者には残酷で、油断していると牙を剥いて襲いかかってきて、過酷な運命の波にさらわれる。さらわれて行き着いた先は、俺にとってはフォレストシンガーズ?
 それっていい人生なのかな。ふてくされて就職してしまっていたりしたら、俺の大嫌いな世界で翻弄されてわくら葉となり果て、半分死んでしまっていたかもしれないので、それよりは今のほうがいいだろう。先輩たちには怒られ、幸生には疲れさせられ、売れてもいない、成功もしていない無名のシンガーズだけど、サラリーマンよりはいいんだろう。
 だけど、俺の心には不満がごろごろしている。俺だって大変なんだからーっ!! と叫んでみたら、俺よりさらに大変な莫大な数の人生の先輩たちに、甘えるな、と怒られそうだけど。
 

 今年の正月のたった一日の休みには、美江子さんも含めて六人で初詣に行った。
 正月なんてロッカーには関係ない、なんてこともなくて、十九歳の大晦日はアマチュアはアマチュアなりにカウントダウンコンサートに出演していた。いまや俺はロッカーではないけれど、とにもかくにもプロシンガーになれて、二十二歳の大晦日、そして新年を迎えた。デビュー一年目の暮れはなかなかに忙しかった。
 平成XX年の年が明けて、たった一日の休みの今日、一月三日はみんなで初詣だって。ロッカーたちにも初詣に行く奴らもいたのだが、俺たちは初詣や成人式には背中を向けてたっけな、などと考えながら、俺は鏡に向かっていた。
 東京も寒いでしょ、と母が送ってくれたお年玉がわりの手編みのセーター、昔の彼女のスーがプレゼントしてくれた胸に大きく「I AM ROCK'NROLLER」とプリントしてあるTシャツ、どちらも着ようかどうしようかと迷ってやめて、ピンクのセーターに黒革のパンツを穿いた。革のパンツを穿くのは久し振りだ。
 脚、短いなぁ、まーたそんなロッカーファッションして、と冷やかされそうな気もしたけど気にしないことにして、白いコートを着込んで外に出た。Tシャツに毛皮のコートだったらバッチリなんだけど、毛皮のコートを買う金はないし。
 途中で会った幸生とふたりで待ち合わせた神社近くの駅につくと、乾さんと本橋さんが来ていた。乾さんはグレイのコートが決まってる。乾さんはセンスが良くてかっこいいけど、あんまりかっこいいって言うなよ、と幸生が言うので、感想は飲み込んでおいた。ほどなく本庄さんもやってきて、美江子さんもやってきた。
 紅白の垂れ幕みたいじゃん、と幸生が嘆いたのは、彼は真っ赤なコートを着ているからだ。本橋さんと本庄さんは服装にはかまわないので、どうでもいいようなスタイルでいる。美江子さんはいつになく女らしいピンクのコートを着ていて、乾さんが褒め言葉を口にした。
「ミエちゃんのサーモンピンクのコートは素敵だね。今日はジーンズじゃなくてワンピース?」
「お正月だものね。着物が着たかったんだけど、無理だったし」
「残念だな。ミエちゃんの晴れ着姿が見たかったよ」
 華麗なる振袖姿の美江子さんか、俺も見たかったな、と思っていると、本橋さんが言った。
「おまえが着物なんか着てきたら、帯が苦しくてメシが食えないってうるせえだろ。歩くのだってとろくなるんだろ。それで充分だ。行くぞ」
 素敵だね、などと言う本橋さんではないのは知っているが、彼は恋人のファッションも褒めたりはしないのだろうか。俺も女を褒めるのは苦手だけど、スーには、可愛いな、くらいだったら言った。幸生はどうなんだろ? と思っていると、その幸生も言った。
「今日の美江子さんはフェミニンでとっても可愛いですよ。乾さんとデートってのがいちばん似合うかな。そしたら俺たちはなんだ、章?」
「まだ全然売れてもいないんだから、六人で歩いてても誰も気にもしないよな。リーダーと本庄さん、幸生と俺が別々に初詣に来た、彼女もいないかわいそうな男ふたり組。そのへんが妥当なんじゃねえの」
「言えてる。そっちのふたりとこっちのふたりは雰囲気がちがいすぎる」
 だよな、と乾さんも苦笑した。
「正月だってのに本橋もシゲも……ま、いいか。それでこそおまえたちだ。シゲは服なんかより食い気だもんな」
「そうですよ。今日は昼に豪華な天丼が食えるってんで、朝メシはヌキで来たんですから」
「予約しておいたよ。シゲくん、食いっぱぐれはないから安心していいからね」
 なにを着ようかで頭がいっぱいで、俺も朝メシは食っていない。昼には天丼が食えるんだし、遅刻しなくてよかった、と考えながら、ぞろぞろと神社に向かって歩き出した。
「ゆっくり歩け。ミエちゃんが遅れてる」
 六人で初詣に来るのははじめてだし、俺はそもそも初詣なんてほとんど経験がない。こんなにすげえ雑踏なんだ、と呆れているうちに、美江子さんの姿が見えなくなった。乾さんが立ち止まって振り返り、本橋さんは言った。
「ガキじゃあるまいし、そんなに気を使わなくてもいいんだよ。あんまりそういうことを言うと、山田がかえって怒るぞ」
「あり得るな。私が女だからって気を使いすぎるのは嫌いよ、ってつんとされそうだ」
「お、乾さん、美江子さんの口真似がお上手」
 こうなったら負けていられない、とばかりに幸生も真似をした。
「本橋くんみたいにデリカシーがなさすぎるのも困るけど、乾くんほどってのも頭に来るのよね。ほどほどがいいのよ。あなたたちってば両極端なんだから。幸生くん程度がいちばんいいの」
「あっそ。その通りかもしれないな。おまえは勝手に言ってろ。俺は見てくるよ」
 駆け足に近いスピードで乾さんは引き返していき、本橋、本庄、幸生、と俺は再び歩き出し、幸生が言った。
「でもさ、リーダーだって美江子さんが気になるんでしょ? シゲさんも気になるよね。章もだろ? 俺もだよ。待ってましょうよ、このあたりで」
「そうだな。ん……しかし、腹が減らないか。シゲは朝メシ食ってないんだろ。俺もなんだよ。昼まで保たないぞ」
 立ち止まった本橋さんが言い、本庄さんも言った。
「実は俺も腹が減ってきました。店がたくさん出てるんだし、なにか買ってきましょうか」
「たこ焼き食いたいな。あそこに売ってますよ」
 歩いていると俺も腹が減ってきたのでそう言うと、たこ焼きか? と本庄さんが渋い顔になった。
「そうしよう。たこ焼きくらいだったら昼までにまた腹が減るさ」
 本橋さんも賛成してくれて、幸生を残してたこ焼きを買いにいった。
「あんまりうまそうじゃないけどな……」
「そうですか、本庄さん? いい匂いがしてますよ」
「ソースの匂いは食欲をそそるけど、章、おまえは大阪のたこ焼きを食ったことあるか?」
「大阪ってたこ焼きの本場? ないかな」
 たこ焼きの屋台の前にも、人がずらりと並んでいる。本橋さんが行列の中でちらちらと遠くを見ているので俺も見てみたが、背の低い俺には人間の群れしか見えなかった。
「むこうでなにか……ああ、乾も山田も戻ってきてるな。たいしたことじゃなかったのか。章、ほれ」
「ごちそうさまでーす。本庄さんは食わないの?」
「食うよ」
 ひとつの舟から本庄さんとふたりでたこ焼きをつつきつつ、本橋さんについていくと、本橋さんもたこ焼きを口に入れ、あちち、と言ってから幸生たちのところに歩み寄っていった。
「乾、なにかもめてなかったか?」
 背の高い本橋さんにはなにかが見えていたらしいのだが、乾さんはかぶりを振った。
「なんてことはないよ。ミエちゃんが義憤に駆られて酔っ払いに注意しただけだ」
「……山田、危険な真似はすんなよ。義憤だかなんだか知らないが、正月早々他人ともめるなよ」
「よく知りもしないでよけいなことを言わないで。だいたいあんたはえらそうなのよ」
「……美江子さん、本橋さんとまでもめないで下さいね」
 言った本庄さんに、ほっといてよ、と言い返して、美江子さんは乾さんの腕から腕を引き抜いて、先に立って歩き出した。あちゃ、って顔をした本橋さんは、こら、なんとか言え、と乾さんに睨まれて、美江子さんに呼びかけた。
「おーい、山田、おまえも食わないか?」
「いらない」
「ほらぁ、美江子さんが機嫌を損ねちゃったじゃん。リーダーが悪いんですよ」 
 幸生が言い、俺は頭をめぐらせた。義憤か……臆しもせずに酔っ払いに注意するとは、美江子さんらしい。
「義憤って、なにをしてたのか俺にも見えなかったけど、美江子さんってそういうひとでしょ。ね、乾さん?」
「そうだよ。本橋がえらそうに咎めるような問題じゃない。ミエちゃんにあやまってこい」
「……わかったよ」
 大股で歩いていった本橋さんは美江子さんに追いついて、つまようじに突き刺したたこ焼きを差し出した。
「食えよ」
「……本橋くんがあやまるってこうするの? いらないって言ってるでしょ。私のおなかの容量は本橋くんやシゲくんほどはないの。そんなの食べたらお昼が入らなくなるよ」
「嘘つけ。これしきで」
「東京で売ってるたこ焼きはおいしくないからいらないの」
「それが本音か。そんなら俺が食う」
 ぽいっと口に放り込もうとしたたこ焼きがすべり落ちたのは見えた。美江子さんのコートに落っこちたんだ、と幸生が言い、本橋さんは焦り声を出した。
「わっ、ごめん!! うわわ、汚れた……」
「なにしてくれんのよっ。馬鹿」
「ごめんな、山田、許せ」
「やっちゃったものは仕方ない。たこ焼きごときで怒ったら、山田美江子の名がすたる」
「そうかぁ? うん、そうだな、ごめんな」
「いいよ」
 さすがにミエちゃんは潔いよな、と乾さんが呟き、俺は落ち込みそうになった。乾さんが言いたいのはこうであろう。おまえもミエちゃんを見習えよ、だ。ふんだ、どうせどうせ……と俺が口の中でぼやいていると、本庄さんが言った。
「そうそう、東京のたこ焼きはまずいですよ。俺は三重県の出でしょ。ガキのころに親に都会へ連れていかれるとなると、名古屋にも大阪にも行きました。俺は大阪のほうが好きだったな。大阪のほうが食いものがうまい。なんたってたこ焼きは大阪だ。今度大阪に行ったら、たこ焼きを食いにいきましょう」
 だからいやそうにしてたのか。そのくせ本庄さんもたこ焼きを食っていた。俺にはまずいとも思えないが、幸生もたこ焼きをひとつ食べて、うまくはないな、と呟いた。うまくなくても腹がふくれればいいんだよ、と俺が幸生の前からたこ焼きを遠ざけると、乾さんが本庄さんを横目で見た。
「シゲ……大阪はたこ焼きだけか」
「え? 乾さん、大阪には……いいですよ、それは」
「シゲさん、なんだか意味深?」
 指で幸生につつかれた本庄さんは、怒り顔で言い返した。
「なんでもないよ、大阪にはたこ焼きしかないんだ」
 稚内出身の俺には大阪はまったくなじみがなかった。去年、FM放送局に出演するために大阪にも行ったけど、大都会なんだからたこ焼きしかなくはないだろう。中心部には摩天楼が林立していたではないか。大阪っていうと俺が思い出すのは、ブラックフレームスのトミーだ。彼とロックの話をしたのは楽しかった。
 徐々に本橋さんと美江子さんとの距離が開いていき、気がつくと本橋さんが美江子さんの腕を引き寄せているのが見えた。酔っ払っているような足取りの老人が美江子さんに近づき、本橋さんと三人でなにか言い合っている様子だったのだが、声までは聞こえない。本庄さんが不安げに言った。
「あっちにもこっちにも酔っ払いがいますね。けど、大丈夫ですよね」
「本橋がついてるんだから……とは言うものの心配だな。本橋こそが心配だよ。急ごう。ちょっと失礼」
 近づくと老人の声が聞こえてきた。
「いやいや、なにもしないよ。綺麗な奥さんだね。いいねぇ。ん? 夫婦にしちゃ若いか。恋人同士かな。いいねぇ、わしにもこんな年頃はあったんだが……お嬢さん、ちょっとだけさわっちゃいけないかね?」
「いやです」
「……そうだろうね」
 老人が歩み去っていくと、幸生が言った。
「リーダーと美江子さんもカップルに見えるんだね。美江子さん、今度は俺と歩きましょ」
「いいよ」 
 いつになったら目当ての場所につけるんだかわからない。初詣ってこんなにゆっくりしか歩けないものであるらしい。幸生は本橋さんと交代して、澄まして腕を差し出した。
「腕をどうぞ」
「……幸生くんには彼女はいないの?」
「いませんよぉだ」
 いるんじゃないの? ちびのくせにおまえってお盛んなんだよね、そのわりには近頃は彼女の話をしなくなったな、と俺が考えていると、本橋さんがぼそっと言った。
「……姉と弟にしか見えないな」
 ぎゃはは、と思わず俺は笑ったのだが、幸生は聞こえないふりをしている。乾さんが本橋さんに話しかけた。
「本橋もいくらなんでも、お爺さんには乱暴はしないんだな。俺はおまえがなにをするかと気がかりで追ってきたんだよ」
「爺さんったって矍鑠としてるってのか、あの年になってもスケベ心はあるんだな。ちょっとさわるぐらいだったらさわらせてやればいいのに」
 そりゃないでしょ、と俺が口をはさむと、本庄さんも言った。
「いくらお爺さんにだって、女のひとはさわられるのはいやですよ」
「そうかぁ」
 首をかしげている本橋さんに、乾さんが尋ねた。
「だったらなにか。おまえはお婆さんに、ちょっとさわらせて、と頼まれたらさわらせるのか」
「場所にもよるが、さわられるぐらいがなんだって言うんだ」
 さわらせて、って女に言われたら? お婆さんだったらやっぱいやかなぁ、妙齢の美女にだったら? 美江子さんにだったらどうだろ? などなどと妄想をふくらませそうになっていると、ふいに幸生が言った。
「章、美江子さんがおまえとも歩いてくれるって。よかったな、チェンジ」
「あ、そんならまあ……美江子さん、よろしく」
 お婆さんとでもいっしょに歩くくらいだったらいいけど、そりゃあ美江子さんと歩けるほうが嬉しい。しかし、どんな話をしようか、と悩んだ俺は言った。
「この間、函館でね……」
「ああ、歌のショーだったね」
「聞いてないでしょ? 幸生と俺はおんなじ女の子を好きになっちゃって……」
「あらら、喧嘩したの?」
「見事ふたりともふられましたから、喧嘩ってほどではなかったんですよ」
 泰恵ちゃんを好きになって競って告白して、私には恋より仕事が大切なの、とふられた。俺はしばし落ち込んでいたけれど、幸生はどうやって立ち直ったのだろう。その次に会った際にはけろっとしていた。
「乾さんがこんな歌を作ってくれました」
 タイトルは「She's my girl」、幸生と俺の掛け合いソングだ。あのときの俺は歌いたい気分ではなかったのだが、幸生が歌ったのを覚えてしまっていた。

「Which do you choose?
 He or I? I or He?

 きみを腕に抱けるのは
 あいつ? それとも俺?

 I love you
 It is quite unnecessary
 Only you the wanted one
 You are mine

 愛してる
 何度でも言うよ 愛してる
 きみを My Girl と呼べるのは俺だよね
 囁いて、その声で
 
 好きよ、あなたが好き
 そう言って俺に
 言ってよ、俺に」
 
 歌い終えると、美江子さんが訪ねた。
「……だけど、章くんにはえっちゃんっていう彼女がいるんじゃなかった?」
「悦子はただの友達ですってば」
「章くんはそう思ってても、えっちゃんは気を悪くしそうだね。私がいるのに章くんは別の女の子に恋したなんて」
「そんなの知らないよ」
 むこうがどう考えているのかまでは気にしていられない。俺は悦子は好きじゃない。悦子と恋をしているんだったら、泰恵ちゃんに告白なんかしない。美江子さんに説教されたくなかったので、俺は本庄さんに呼びかけた。
「じゃ、今度は本庄さんね」
 え? 俺? と目をぱちくりさせたものの、本庄さんは照れくさそうに俺と交代した。うしろの仲間たちと合流すると、美江子さんの声が聞こえてきた。
「章くんは暴言、乾くんは詭弁、幸生くんは冗談暴走、本橋くんは腕力主義でしょ。シゲくんは苦労するよね」
「苦労ですか。俺なんかはなんでもかんでも本橋さんと乾さんに丸投げで、苦労なんぞなんにもしてませんよ。俺には歌以外の能はないんですから、この声と歌で貢献します。他にはなにもできません」
「謙遜しすぎ。シゲくんのように穏やかなひともいないとどうしようもないのよ」
「穏やかですかね、俺は」
「そうじゃないの? 本橋くんは穏やかなんて薬にしたくもない性質だし、乾くんは一見温和だけど、かっと燃えるとたぎってくるし、章くんはかなりの激情型だし、幸生くんは止まらない口を持ってる。ヒデくんもけっこうかっかするタイプだったじゃないの。だからこそ、結婚となるとわき目も振らずに突っ走ったんだよ」
 激情型か。たしかにそうだろう。美江子さんは俺たちを傍観していて、彼はこうで彼はこうで、と性格分析をしている。たいていは当たっている。
 ヒデさん……小笠原英彦さんだ。俺も大学一年のときにすこし親しくしてもらっていた。小笠原さんが脱退したからこそ、俺は今、ここにいるのだ。ヒデさんってどうしているのかな? 俺はほとんど考えたこともなかった。かたわらで幸生が、ヒデさんはパパになってるのかな、と小声で言い、乾さんがうなずいていた。
「ねえ、大阪になにかあるの? 」
 尋ねた美江子さんへの本庄さんの返答は、またしてもこうだった。
「たこ焼きでしょ」
 たこ焼きにこだわるひとである。食いものの恨みは恐ろしいのか。恨むほどまずいか? と俺がたこ焼きの味の記憶をたどっていると、幸生が言った。
「……たこ焼きたこ焼きって、大阪のひとが聞いたら気を悪くするよ」
「大阪にはたこ焼きしかない、ってシゲは言ってたけど、そうなんじゃないのか。他になにかあるのか?」
 本橋さんまでたこ焼きしかないって……? ラジオ局もテレビ局もライヴハウスもコンサートホールもあるだろうが。が、幸生の興味は別のところにあるらしく、言った。
「お笑いがありますよ。俺は大阪に行ったらお笑いライヴを聴きにいって、ギャグのネタを蓄積してこようと楽しみにしてるんです」
 ほぼ同時にみんなして言った。
「そんなものをそれ以上ふやさなくていい」
「……さようでございましょうけどね」
 やっとやっと神社の本院が見えた。賽銭箱を取り巻く凄まじい人並み。本庄さんと美江子さんが立ちすくんでいるところに、本橋さんが近づいていった。
「シゲ、肩車してやるから思い切り小銭を投げろ」
「狙いがそれて人の頭に当たる恐れがあるって、シゲくんは言ってたのよ」
「いや、俺もね、美江子さんに遠投能力を尋ねたのは、そうしたらいいかなと思ったわけで……だけど、悪くしたら人の頭に危害を加えるからやめたほうがいいですね」
 まさか、ミエちゃんを肩車できないだろ、と乾さんは言い、幸生が言った。
「シゲさん、俺を肩車して。狙い過たず投げてみせます」
「ほんとか?」
「やってやろうじゃん」
 がっしりした本庄さんの肩にすわった幸生は、中学生みたいに見える。恥ずかしげもなくはしゃいで言った。
「おー、背が高くなっていい気分だ」
「やれそうか。おし、じゃあ、章、おまえは俺が肩車してやるから、幸生と競争で投げろ。どこまで飛ばせるか勝負だ」
 身をかがめた本橋さんに促され、俺は質問した。
「勝ったらなにか報酬が?」
「負けたほうが晩メシをおごる」
「そんなの報酬じゃなくて罰じゃん」
 幸生が不平を言うと乾さんは言った。
「ミエちゃん、俺たちはなるだけ前に出て賽銭を投げよう。それとも、あなたは俺が肩車しましょうか?」
「前に行くほうがよさそうだね」
 ほら、乗れよ、と本橋さんに言われて、俺は照れくさい気分で肩車をしてもらった。もっさりした格好のお兄さんの肩に乗っかったガキふたり、他人にはそう見えるのではなかろうか。
 その間に美江子さんと乾さんは前に進み、幸生とふたりでコインを投げた。幸生の投げたほうは有言実行で狙いあやまたず賽銭箱へと飛んでいき、俺のほうは大失敗。人に当たらなくてよかった、ってなもので、幸生は勝ち誇った鬨の声を上げた。本橋さんも勝負ごととなると張り切るけど、幸生もなんにでも熱くなる。幸せな性格だ。
「俺の勝ちっ!! 章、参ったか」
「くそぉっ、もういっぺんやりましょう」
 なんて言ってるけど、俺も乗せられてつい熱くなり、コイン投げに再チャレンジした。ふたりして投げたコインの狙いがそれて、どういうわけだか寄り添って飛んでいき、見知らぬ男のコートの首筋からすっぽりと中に入ってしまった。幸生と俺は顔を見合わせ、俺は呟いた。
「リーダー、やばい」
「……気づかれたらやばいかもな。シゲ、逃げるぞ」
「乾さんと美江子さんをほっとくんですか」
「山田はケータイを持ってる。あとで電話するよ」
 なんだなんだ? なにが? ときょろきょろしている被害者に、ごめんなさーい、と幸生が頭を下げて、ふたりとも先輩たちの肩から飛び降りて走り出した。
「今年もまた俺たちって、お騒がせシンガーズなのかな。正月早々なんやかんやとあるよね。俺たちらしくていいじゃん」
 ノーテンキにも幸生は走りながら笑い、馬鹿たれ、と本橋さんに怒られている。そっか、俺たちはお騒がせシンガーズか。うまいこと言うじゃないか。それでなくてもお騒がせなんだったら、俺がそれ以上騒がせないようにしないとね。はい、自覚はしてるんですよ、とちろりと舌を出して、俺は足の速い本庄さんを追い抜かすつもりで駆けた。

END
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~ Comment ~

レイ君かっこいいですw
あかねさんは、ありそうで無さそうな衝突とか掛け合いの書き方がほんとに上手いですよね。
たいへん参考になったり、いい言葉が浮かんだりします。

もう乾君がかっこよすぎて駄目ですww

レイをまた書きたくなりました

結麻月さん

コメントありがとうございます。
レイがかっこいいなんて言ってもらったのははじめてで、そう言われるとまたレイを書きたくなる私です。

この後、レイはちょこちょこっとは出てきますので、お見かけになったら可愛がってやって下さいね。

乾くんもかっこいいって……音琴さんもそう言って下さいました。
私も実は……だったりしますので、著者冥利につきます。

嬉しいでーす。

章くんの葛藤が。

こんな風にロックを、スーちゃんを想い続ける章くんの葛藤と、諦め、希望、前向きになろうとしたり、過去に引きずられたりと、苦悩する様がいつも清々しい青春だなぁ、と思ったり。夢の意味を問い直す姿勢に共感します。
何度も何度も自らに問いただしながら、‘今’を選び直して、進むことを決意し直して。
きっと、今、出来ることを懸命に尽くそうとしているんだろう、と思えます。

結局、これ! と決めた道を運良く貫ける人間なんて一握り。葛藤にもがき苦しんで、流されるまま人生を生きるヒトがほとんどだろうけど、それでも、そこへ自ら飛び込むのか、イヤイヤ引き込まれるかで雲泥の差がある、とハリーとダンブルドアが言ってたことを思い出します。

選んだのは自分なんだと知っているかどうか。
覚悟を決めたかどうか。

そこから人生は始まる。

章くんの今後の心の有りようを追い続けたいな、と思います。

fateさん、ありがとうございます

>選んだのは自分なんだと知っているかどうか。
>覚悟を決めたかどうか。

ほんとにそうですよねー。
章はまだ、そういったことを自覚していないみたいですけど、徐々にわかってきて、徐々に反省し、そのくせ、でも、やっぱりあったま来る~っ!! と絶叫するのです。

fateさんに章をそんなふうに評価していただくと、彼は私に似てます、なんて言えなくなりますがv-49ハズカシイ。

このあたりはご感想をいただく前に書いたものですが、最近に書いた分には、fateさんからいただいご感想も反映させている……つもりです。



「このあたりはご感想をいただく前に書いたものですが、最近に書いた分には、fateさんからいただいご感想も反映させている……つもりです。 」

↑↑↑ええええええっ
そ…、そんなことせんでええですって~~~~
と、ちょっとfateは焦りました(^^;

あ、でも、fateもすぐにご感想に影響されるから(その結果が今、花籠4に至り、収拾がつかなくなっている…)ヒトさまのことは言えませんが(^^;
でも、ちょっと「うひゃああ…」と責任感に押しつぶされそうになっております。
だけど、ちょっと嬉しかったりもしておりますが(^^)

もう少し謙虚になろう、と決意を新たにしました。
(が、5秒で忘れたらすみません…(--;)

fateさんの影響を……ってのはありますよ

fateさん、ありがとうございます。

ずっと同じ人間を書いているわけですから、ああ、fateさんがああ言ってらしたなぁ、と思い出し、反映させてしまったりはするのですよね。

続きが読みたい、とか言っていただくと、喜んで続きを書く。
私も影響を受けやすい人間です。

NoTitle

過程があって、今があるというのはあると思います。
アキラがあって章があるのと同じですね。
それとことれはまた別物として扱って欲しいという感情もあるんでしょうね。

LandMさんへ

アキラがあって章があって、その過程があって今がある。
いいお言葉ですね。
ありがとうございます。

このあたりのnovelは無駄に長くて、どうでもいいことばかり書いていてすみません。
五年くらい前に書いていたもので、あのころはフォレストシンガーズを書くというだけで楽しかったものです。
今はあまり長いエピソードが出てこなくなってしまいました。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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