番外編

番外編75(異・水晶の月5)

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番外編75

「異・水晶の月5」


1

 リゾートホテルのプールには、人影は四つしかない。こんなところに連れてきてもらえたのは、準のおかげだったのだろう。
「準は俺とふたりっきりなんていやだと言うんだよ。もちろん内緒だけど、夕里、星を誘ってふたりで来いよ」
 なにが内緒なのかといえば、夕里を誘った礼仁には男の恋人と女の恋人がいるということだ。男の恋人の準が本命なのだと夕里は思っていて、女の恋人の夕里は遊び相手。夕里にだって本命の彼氏はいるのだから、それでもかまわない。
 去年の夏に夕里が好きだったのは、金子将一。彼は鷺の森大学の寮長をつとめていて、その寮に準と國友という高校生が体験入寮してきた。
 準は将一の大学に入学したものの、寮には入らず、國友は入学入寮を両方果たし、将一は大学を卒業した。男子寮なのだから夕里は入れるはずもなく、将一だっていなくなってしまったのだから、大学入試に不合格だったのも、今となっては慙愧の至りってほどでもなかった。
 鷺の森大学とは隣同士といってもいい、女子の薬学大学に入学した夕里は、もちろん彼氏がほしかった。大好きだった将一は卒業して社会人となって遊んでくれなくなって、未練がないわけでもないけれど、いつまでもとらわれていたら新しい恋ができない。
 なのだから将一はすっぱり忘れようと決めて、他の男に告白した。その告白は断られたものの、結果的には将一の先輩である二十五歳の星丈人の彼女となれた。
 のみならず、刺激的な遊び相手までができた。
 本命の彼氏は星丈人、遊び相手は藤原礼仁。丈人は長身で彫りの深い美貌を持つ青年だが、普通のビジネスマンだ。秀才の集まる鷺の森大学のバイオテクノロジー専攻卒業のエリートなだけに、高給取りではあるようだが、年齢からしてそれほどの収入があるのでもない。
 が、礼仁は金持ちの息子であるらしい。彼も本人の収入はさほどでもないのに、こんな高級なホテルのプライベートプールつきの部屋をリザーブして、恋人の準を伴って滞在している。おまけに後輩の丈人と、その彼女の夕里も招待してくれた。
 学生時代には寮で暮らしていただけに、丈人も礼仁も地方出身だ。ふたりともに現在はマンション暮らしで、夕里は両方の部屋に招かれた。
「おまえは礼仁さんともつきあってるのか」
 丈人には問い質された。
「遊んでもらったりはしてるけど、寝てないよ」
「……信じておくよ。そんならお招きに預かろうか」
 ひょっとしたら相当な大富豪の息子かもしれないのに、学生時代は寮ですごしていた礼仁。故郷ではけっこうな家の息子らしいけれど、質実剛健気風が両親にも本人も意向に沿ったとかで、同じく寮暮らしだった丈人。
 普通のサラリーマンの息子であるようで、仕送りも潤沢ではないにせよ、気弱で泣き虫の準には男子寮の生活は合わないだろう。両親も理解を示してくれたそうで、準は小さいマンションを借りてもらっている。
 夕里は東京出身で親の家も東京にあるので、親元で暮らしている。両親ともに多忙なビジネスマンだからか、幼少のころから干渉はほとんどされなくて、だからこそかな、とは将一に言われていた。
「おまえは放任主義のご両親に育てられたから、わがままないたずら娘になったんだろ。俺が怖い兄貴の役をしてやるべきかな」
 高校生のときに彼の両親が経営する輸入家具店のセールのアルバイトに雇われて、そのおかげで親しくなった将一は夕里をやんちゃな妹だと見ていたのだろう。夕里のほうは恋焦がれていても、異性として意識はしてくれていなかった。
 卒業してどこやらの研究所勤務となった将一には、美人の彼女ができただろうか。夕里のほうはたびたび将一を思い出し、彼氏がふたりもできても忘れてはいないのに、将一は完全に忘れてしまって、年上美人とでも恋をしているかもしれない。恋ではなくて遊びまくっているかもしれない。
 そんならあたしだって……仕返しするつもりもないし、仕返しする筋でもないのに、夕里は丈人の彼女となり、礼仁の誘惑にも乗った。丈人は夕里が礼仁と遊んでいるのを知って、先輩にメールで釘をさしたようではあるが、しつこくは言わない。
 今回、礼仁に招かれたリゾートホテルにふたりでやってきたのも、丈人には目論見があるからかと夕里は思う。が、それもスリルがあって楽しいじゃん、とも思っていた。
 南国のビーチでも模したかのように、白いプールに青い水。プールサイドにはカウチとパラソルが並び、飲みものや軽食を販売する売店がある。やしの樹や果樹が葉陰を作り、時に涼しい風も吹いている。夕里が着替えて出ていくと、男三人がプールサイドで喋っていた。
「おまえは男には興味ないんだろ。準が恥ずかしがってるじゃないか」
 礼仁が言い、丈人は薄く笑みを浮かべ、準が真っ赤になっていた。
 色白でひょろひょろっとして背も低く、少年でしかない体型の準は、十八歳なのだからこれで尋常なのかもしれないが、夕里と同い年にしては子供っぽすぎる。夕里と高校までの同級生だった男の子の中には、おじさんに近いほどごついのだっているのに。
 それに引き比べて丈人と礼仁は、背も高くて筋肉もついていて、美しい若い獣の身体つきをしている。二十五歳前後は夕里から見れば立派な大人で、それでいておじさんではなく、理想的だ。このふたりがふたりともにあたしの彼氏。夕里はふたりを見比べて誇らしい気分になった。
 ふたりっきりなんて恥ずかしいからいやです、それだったら僕は行きません、恋人にも丁寧に喋る準がそう言ったのだそうで、このホテルには今日、ふた組のカップルがほぼ同時に到着した。丈人と礼仁はもとより鍛えた浅黒い肌をしているのだが、準は生っちろい。
 生っちろくて弱々しい身体に黒いTシャツを着て、下は赤い水泳パンツ、ひょろーっと細く短い脚には毛もはえていないから、夕里の目には中学生に見える。丈人がそんな準に性的なからかいでも向けたのか、礼仁が咎め、準が恥らっているらしい。
「俺は男には興味ありませんよ。礼仁さんみたいに節操のない男じゃないんだから、そりゃあ夕里がいいに決まってる」
「俺にも節操はあるよ」
「そう願いたいものですね」
 同じ大学の同じ寮の先輩後輩となると、たった一歳の差でもこんな言葉遣いになる。夕里が寮の男子大学生たちと出会って知った、新鮮な驚きだった。
「夕里も大学でサークルに入って、先輩とも親しくなったんだけど、敬語なんて遣わないよ」
「夕里さんはなんのサークルに入ったの?」
 準が尋ねた。
「僕は大学でもあまりなじめなくて、サークルにも入ってないんだ。夕里さんはどこのサークル?」
「花嫁修業サークル」
 うそっ、と準の口が動き、礼仁と丈人はぶははははっと笑っている。本当は「美男好き」というサークルなのだが、丈人にだって正直に言う気はなかった。
「女子大ならではかな」
 男子もいる大学には、「美男好き」ってサークルはないの? そしたら夕里は女子大でよかったかな、と考えつつ、丈人の言葉にうなずいた。
「丈人さんは準ちゃんになにをしたの?」
「ちょっとパンツの中を覗こうとしただけさ」
「男の子のパンツの中を覗いてどうすんの?」
「こいつは大人なのかどうか、確認しようとしたんだよ」
「……」
 なにを確認しようとしたのか、夕里が視線だけ上向けて悩んでいると、礼仁も言った。
「夕里が大人なのかどうかも、確認してもいいか」
「どこで確認するんですか?」
「ケツの青い痣だよ」
「痣ってほどのものはありませんよ」
「丈人は見たのか」
「まあね」
 ふたりとも、見たくせに……とは言えなくて、夕里は黙って準を見た。準は首まで赤くなってもじもじしている。本当に彼は純情なのか、純情ぶっているのか、夕里も確認したくなってきた。
「女の子だったら身体中に恥ずかしい場所はいくつかあるでしょ。ここだとかここだとか。男のひとが恥ずかしいのってどこ?」
「人前でモロに見せるのが恥ずかしい箇所は、パンツで隠れてるだろ」
「お尻を見せるのって恥ずかしいの?」
「俺はここでだったら平気だよ。丈人は?」
「見せてやってもいいよ」
 大人の男ふたりは平然と言っていて、準はいっそう真っ赤になっていた。
「そうすると、準は例外としても、男が見られたくないのは厳密には一箇所だけだな。俺はそこもここでだったら平気だけど」
「礼仁さんって変態」
「そうかぁ?」
「それで、おまえはなにが言いたいんだよ?」
 だって、夕里だって女の子だもん。準ちゃんのそんなところ、見せてって言えないわ。夕里は恥らってみせてから、すこし穏当な場所を口にした。
「あたしも準ちゃんのお尻に痣がないのかどうか、見たいな」
「や、やですっ!!」
「もうひとつ、大人かどうか確認できるところ、見せてくれる?」
「ぜーったいにやですっ!! 礼仁さん、助けてっ!!」
「きみにだってケツに痣はないだろ。見せてやれよ」
「うわうわうわっ、やですっ!!」
「俺だって見たことないもんな。見たいよ」
 赤くなっていた準の頬から血の気が引いて、青ざめてきている。礼仁さんが見たことないの? ってーと、そうなの? 夕里が半ばきょとんとしてると、丈人が言った。
「礼仁さんも無理強いしたらいけませんよ。見たかったらふたりっきりになってから、脱がせたらいいんでしょ」
「そうしようか」
「夕里も見たいなぁ」
「……や、や、やですったらぁ……丈人さん、助けて」
「助けてやるよ。夕里、馬鹿言ってるとおまえの水着のパンツをひん剥くぞ。おまえのケツにだって青い痣はないけど、赤い手形をつけてやろうか」
「やーん、冗談だよぉ」
「当たり前だ。悪い冗談はやめろ」
 煙草を取ってくるよ、と言って、丈人が部屋に戻っていった。
「……丈人さん、怖いんだよね。ほんとにぶたれるの?」
 怯えた口調で準が尋ね、礼仁が言った。
「ぴしゃっとやるぐらいだったらあるだろうけど、ぶつってほどじゃないだろ、夕里?」
「内緒」
「もしもきつくぶたれたりするんだったら、おまえが悪い子だからだな」
「いーっだ」
 脅し文句を口にされると、夕里は怯えてしまう。丈人の叱責は変幻自在。声に緊迫感が加わると、ほんとに叩かれるのはいやっ!! とびびってしまって、言いつけを聞いてしまう。癪だという気分もなくはないけれど、時としてきびしく叱られるのは嫌いではなくて、だからこそ、そうしてくれる将一が好きだったのだろう。そうしてくれる丈人も好きだ。
 将一は丈人よりは若い分、威厳が足りなかったのか。将一ならば翻弄できても、丈人には夕里の歯は立たなくて、一部分は従順になっていた。たまには従順な女の子になってみるのも、嫌いではないと夕里は初に知った。
「夕里」
 背後に足音が聞こえ、丈人の声も聞こえ、夕里の頭上から布切れが降ってきた。
「なんなんだよ、これは」
「知らないよ」
「知らなくないだろ。おまえ以外の誰がやるんだ」
「……それって、女のひとにもらったんでしょ」
「上司だよ。女性なのはまちがいないけど、四十代の既婚女性だ。おまえが妬く相手じゃない」
「そんなの、捨てたらいいのに」
「上司のプレゼントを捨てられるか」
 夕里の頭に丈人が浴びせたものは、細切れになった布。なんなのかな? 準が首をかしげていると、礼仁が言った。
「ネクタイだろ。夕里は着替えるのに時間がかかるから、最後にプールサイドに出てきたよな。その間に丈人のネクタイを切り刻んで、丈人に見つかりやすいようにしておいたんだろ。痴話喧嘩がしたかったんだろうからさせておけ」
「夕里さん、ほんとにぶたれないかな」
「どうってこともないさ。ほっとけよ」
「かわいそうですよ」
「それもプレイみたいなものなんだったら、かわいそうでもないさ」
「……プレイ?」
「きみはさっきから赤くなりっぱなしだな。可愛いね」
 横目でもう一組のカップルを気にしながらも、準は礼仁に抱き寄せられるままになる。
 彼のマンションに遊びにだったら行っているから、シャワーを浴びて出てきた礼仁の、腰にタオルを巻いただけの姿だったら見ている。かっこいいな、たくましいな、強そうだな、と見とれてしまう。どきっとしたりずきっとしたりもする。
 男のひとのセミヌードを見てときめく男の僕は、すなわちそういう性癖。認めるしかないけれど、抱きしめられるところまででストップしてほしい。
 抱きしめられて淡いキスをされれば、準は満たされる。けれど、礼仁はそれでは物足りないのでは? 彼は決して無理強いはしなくて、脱がせたい、裸になれ、などとも言うけれど、実力行使はしない。それでも、徐々に段階を踏んで最終ラインに近づいてきているのではないか。
 頭を抱き寄せられて頬や額にキスされたのが第一段階。それから腕の中に抱かれたり、くちびるにキスされたりするようになった。今日はふたりともに裸に近い姿で、プールサイドで抱きしめられている。礼仁がその気になったら、抱かれて部屋に運ばれてベッドに……礼仁にだったらそうするのはたやすいだろう。
 ジェラシーを丈人にぶつけている夕里。言い訳したりなだめたりするのではなく、強硬に持論を主張している丈人。ふたりの諍いが礼仁を止めてくれている。ふたりっきりでここに来たのではなくてよかった。
 だけど、抱かれているといい気持ち。強い腕の中で火照った身体に、水面を渡る風が涼しく吹きつける。準の身体もうずきはじめてきたので、礼仁の胸を押した。
「準、そっちに行くんだったらジンジャーエールでも買ってこいよ。酒にはまだ早いけど、丈人と夕里も喧嘩したら喉が乾くだろ」
 礼仁が言っているのに返事をせず、準はカウチに近づいていった。こんなところにも礼仁は仕事のための資料を携えてきていて、カウチにそのファイルが置いてあるのを知っていた。
 近寄ってぱらぱらやってみると、薄いファイルに化学式かなんかを書いた用紙が挟まっている。準には理解できない難解な式ばかりで、文字列も大変にむずかしい。なぜだか準はその式や文章に嫉妬して、ファイルをプールに放り込んだ。
「……準」
 その手を礼仁に止められたときには、ブルーの水にライトグリーンのファイルが沈んでいっていた。ファイルがばらけて中の用紙が水面に浮かんでくる。やっておいて自分でびっくりしたのもあって、準は泣き出した。
「きみは悪いことをしては、俺がなにか言う前に泣くんだよな。ずるいってのか、機先を制されて怒れないってのか。ああ、丈人、よけいな真似はするな。おまえは夕里を叱ってればいいんだよ」
「夕里とはあとで続きをやりますよ。仕事の書類なんでしょ? ネクタイだったらいいにしても、あんなものを夕里があんなふうにしたら、俺だったらケツぐらいはひっぱたきますけどね、礼仁さんはやらないんですか」
「俺は準を叩く気はないよ」
「甘いんですね」
「コピーだから、もとの書類は会社にあるよ」
「大事なものだったとしても?」
「そんなものは持ってこないさ。準」
 しゃくり上げながらも、準は顔を上げた。
「理由はあるのか」
「礼仁さんったら……僕よりも仕事が……こんなもののほうが僕よりも……」
「今どき、女だってこんな馬鹿は言いませんよ。おまえは……」
「準は俺のものだ。おまえは黙ってろ」
「はいはい、黙ってますよ。夕里、来い。泳ごう」
 目をやると、夕里はすねているようでいやいやしていた。丈人が歩み寄っていき、夕里を抱き上げてプールのほうに歩いていく。夕里は盛大に手足をばたつかせつつも、嬉しそうに言った。
「礼仁さんって優しすぎるかもね。そんなんだったら恋人が図に乗るんでしょ」
「俺はおまえに優しすぎはしないだろうに、おまえは図に乗ってるじゃないか」
「乗ってないよ。丈人さんがいけないんだもん」
「あとからゆっくり言い聞かせてやるから、泳ごう」
「夜ごはんにはおいしいもの、おごってくれる?」
「いいよ」
 あっちのカップルがプールに入っていく。丈人が丁寧に書類とファイルを集め、プールサイドに出してから、改めて泳ぎはじめる。夕里も丈人も泳ぎは達者で、男女の人魚が水中でたわむれているようで、準には映画のワンシーンのようにも見えていた。
「さとて、準は……」
 半分は泣いていて、半分はぼわーっとしている準の隣に、礼仁が脚を長く伸ばして腰かけた。
「俺の仕事に妬いてるのか」
「だって、こんなところにまで仕事を……」
「のんびりするときには読書をするだろ。そのかわりに、カウチで昼寝するときにでも読むつもりだったんだよ。そしたら眠くなって熟睡できる。書類なんて可愛くもないし大切でもないし好きでもない。きみのほうが好きだよ」
「……礼仁さん」
「ってか、きみと較べるものじゃないだろ。つまらないものに妬くな、馬鹿」
「馬鹿じゃないもん」
「可愛いジェラシーは可愛いけど、俺だっていつも優しいばかりじゃないんだぞ」
「……はい、ごめんなさい。もうしません」
 優しくなくはない。礼仁は優しい。準がこくこくうなずくと、礼仁が頭を撫でてくれた。
 叱られるのもきびしくされるのも苦手だから避けたかったけど、こうして優しく叱ってもらうのはいやじゃないな。なぜって、たった今は礼仁さんは僕だけを見ていて、僕のことだけを考えていて、僕にだけかまってくれているのだから。


2

 静謐な空気をまとってたたずむ豪壮な邸宅。こんな屋敷で育ったからこそ、乾さんは独特の雰囲気を身にまとうようになったのかと、幸生は手を打ち合わせたくなっていた。
「俺んちは横須賀で、夏休みだからって帰省するほどの距離でもないんですよ。乾さんだって知ってるでしょ」
 大学からは遠くもないのに、母も妹たちも猫たちもうるさいから、勉強できないよぉ、と理由をつけて独立させてもらった。本当はマンション住まいがしたかったのだが、父が寮に入れと言い、家から出ていけるのだったらいいか、と譲歩した幸生だった。
「どっかに遊びにいきたいな。乾さんは就職が決まったって、金沢へ報告にいかないの?」
「行く必要はあるだろうな。おまえは彼女とバカンスとかってしないのか?」
「金、ないもん」
 それに、そこまでの彼女はいないもん、幸生がぼやいていると、隆也が言った。
「連れていってやろうか」
「わ、わわわっ!! だから、乾さんってだーい好き」
 金沢の旧家のひとり息子、乾隆也、幸生とてその程度は知っていたが、これほどの豪邸だとは想定外だった。庶民レベルではない古びた屋敷は、古いがゆえに風格までもを感じさせる。夏だというのに和装の隆也の母親に出迎えられて、屋敷に通された。
「くつろいでいいよ」
 純和風の邸宅では椅子は使っていないのだそうで、コクタンだと隆也の言った座敷テーブルに、涼しげな座布団が並べられていた。
「幸生、あぐらでいいんだぞ」
「あぐらだなんてはしたないわ。ねぇ、乾さん、この座布団カバーって特別なもの?」
「夏だからちぢみだよ」
「チヂミ? 韓国のお好み焼きみたいの? これ、食えるんですか」
「ちぢみっていう布地だよ。これは小千谷だな」
「おじや? 食えないおじや?」
「食えない奴はおまえだろ」
 小千谷ちりめんって知らないか? 小千谷って地名も知らないか? と隆也に問われ、幸生は頭をひねりすぎて畳に倒れそうになった。
「ちりめんじゃこ?」
「なんだっておまえはそう食いものばかり連想するんだ」
「ユキってちりめんじゃこみたいにちっちゃくて、可愛いから」
「そうじゃなくて、縮緬ってのも布地だよ。夏の和服に使ったりもする。座布団だって布地で包んであるんだから、新潟の小千谷ってところで作られたちぢみで夏用のカバーをこしらえてもらったんだ」
「夏にはおじやでチヂミを作るのか。けっこううまそうかも」
 もういい、勝手に言ってろ、と隆也は呟き、きゃー、ユキちゃん、隆也さんに勝っちゃった、と万歳していると、襖が開いた。
「いらっしゃいませ」
 座布団も涼しげならば、畳に正座をして襖を開け、すわったままで閉めてからお茶を出してくれた女の子も、冷茶のグラスも添えられた茶菓子も涼しそうだった。
「あ、こんにちは」
「ごゆっくり」
 笑いたいのをこらえているような顔をして、女の子はおしとやかに部屋から出ていった。
「あれ、浴衣? お母さまの着物もあの女の子の着物も、高級そうですね」
「浴衣ってのは寝巻きみたいなものだから、客を迎えるときには正式にはタブーだよ。母の着物も彼女の着物も、夏の絽」
「ロって食える?」
「植物なんだから食えなくもないだろ。食いたかったら食えよ」
 庶民の家で育って寮で暮らしている幸生のヴォキャブラリーと知識では、乾家には太刀打ちできない。ひとつひとつが未知の領域だった。
「あの子、誰?」
「うちは祖母も母も華道家なんだ。そのお弟子さんじゃないのかな。行儀作法を習うためにかわるがわる、お手伝いさんのような仕事をしてくれてるんだ。遠縁の娘なんてのもいるんだろうけど、俺は家を離れてるから、最近の女の子は知らないな」
「時代劇みたいですね」
「我が家は現代離れしてるんだよな」
 屋敷に圧倒され、品のよすぎる隆也の母にも圧倒され、来るんじゃなかったかも気分になっていた幸生だったのだが、お茶を運んでくれた女の子の可愛らしさに、気持ちが明るくなった。
「おふくろはごちそうしたいとか言ってたけど、おまえはうちでメシを食うのは気詰まりだろ。今夜は外で食おう。金沢ははじめてだって言ってたよな。案内するよ」
 近くを散策して、隆也が子供のころに遊んだという川のほとりやら、小学校や中学校にも連れていってもらい、金沢駅近辺の繁華街で夕食をすませた。幸生とて寮と家は近いとはいえ、夏休みには両親に顔を見せにいくべきだろうから、そのためのお土産も金沢で買った。
「この家、ものすっげえ広いですもんね。寝室は別々かぁ、寂しいな」
「ひとりで寝るほうが清々しくていいじゃないか」
「いつもはクニと同室で、うっとうしい?」
「そうでもないけどな」
「俺は乾さんとひとつ部屋で寝たかったのに」
 本気にしてはもらえなかったが、半ばは本気だ。今年になって一部は部屋換えが実施され、隆也と一年生の國友が同室となると聞いて、幸生は思った。クニは章と同室にして、俺が乾さんと同じ部屋になりたいな。
 そんな望みは実現しなかったのだから、隆也の生家では布団を並べて寝られるのかと楽しみにしていた。広すぎる屋敷では客は別間となるのだろう。落胆するほどでもなかったし、ひとり部屋のほうがいたずらはできるので、それはそれでいいのであるが。
 幸生が与えられた部屋の向かいに離れが建っている。そちらには目下のところ、行儀見習いの女性がふたり暮らしているらしい。乾家はこの近在では有名なので、近所の人たちが幸生に話してくれた。
「乾さんとは縁のあるおうちから、夏休みだからって学生さんがアルバイトってのか、見習いってのかで来てるそうですよ。高校生と短大生だそうです」
 体験入寮に近い形なのだなと、幸生も納得したものだった。
 昼間にお茶を出してくれたのが短大生のほうで、高校生もちらっとは見た。女の子たちはいずれも美少女だ。短大生のヒロコは涼しげな風情で、高校生のジュンコはぽっちゃりしているせいか、着物を着ていると暑がっていた。
 そのふたりはすでに離れの一間で眠っているのか。幸生の部屋からも確認できる彼女たちの部屋の灯りは消えてひっそりしている。
 隆也も自室に入ったのか、あるいは、母親に就職内定の報告をしているのか。隆也の父親は和菓子店を営んでいるのだそうで、幸生も挨拶だけはした。両親と隆也は水入らずで語り合っているのか。隆也の部屋も居間も離れているので、幸生にはわからないのだが。
 横須賀の俺んちなんて、どの部屋にいてもうち中の様子は丸わかりだったけどな、と思いつつ、幸生は布団からシーツを剥がした。懐中電灯を手に、そろそろと離れに近づいていく。シーツをかぶっていると前が見えず、歩きづらいことはなはだしかったのだが、苦労して離れの前まで歩いていった。
 一軒屋になっているのではなく、別間というか、庶民の家には離れなどあるわけもないのだから、幸生にはこの建物も形容しにくい。幸生の部屋の方向に面しているほうは広いガラス戸で、カーテンが引いてあった。
「こんばんは」
 ごく小声で言い、ガラス戸をこつこつやる。幾度か繰り返していると、中でひそひそ声がした。
「誰か来てる?」
「こんな真夜中に誰が来るんよ」
「だって、物音がするよ」
「ヒロちゃん、見てきて。お姉さんやんか」
「そんなぁ、怖いよぉ。ジュンちゃん、一緒に行こう」
「う、うん」
 ひそやかな足音。カーテンが引かれ、キャミソールにショートパンツの寝巻き姿の女の子たちの姿が見える。寝るときには現代少女だと知って、幸生は妙に安堵していた。
「だ、誰?」
「きゃ……きゃああーっ!!」
「きゃああーっ!!」
 シーツを頭からかぶり、顎のあたりから懐中電灯で照らした幸生を見て、ふたりそろって悲鳴を上げる。絹を裂くような女の悲鳴とはこれか。おおげさにも腰が抜けたのか、そろってぺたっとすわり込んで抱き合って、声を上げて泣き出した。
「どうしたのっ!! 魔物っ!! これでも食らえっ!!」
「うきゃーーっ!!」
 今度は悲鳴を上げたのは幸生だ。駆け寄ってきた隆也の母が長い武器を手に、幸生を殴りつけようとしたのだった。
「うわーっ、ごめんなさいっ!! 俺ですっ!! いたずらですっ!!」
 頭からシーツを払いのけて、幸生は地面に膝をついた。
「……三沢さん? なんの真似ですか」
 乾さんによく似ているなぁ、かっこいいおじさんだな、と幸生が感じた隆也の父が、隆也の母の肩をつかんだ。
「とわ子さん、薙刀はおさめて。学生さんのいたずらですよ」
「なんてことを……どういう意図でこんないたずらをするんですか。隆也さん、ジュンコちゃんとヒロコちゃんをなぐさめてあげなさい」
「承知しました」
 母親の命令に従って、隆也が女の子たちに近寄っていく。ごめんね、気を静めて、と優しい声で言われた女の子たちは、隆也が広げた腕の中にふたりともに飛び込んだ。
「よしよし、ごめんね。俺の後輩がガキみたいな悪さをしたんだから、かわりに俺が詫びるよ。許してやって。あとで俺が幸生を張り倒す。いや、こっちのほうがいいかもな。お母さま」
「はい」
「幸生の横っ面を一発、ぴしゃっとやってやって下さい」
「こうかしら」
 薙刀で突かれるとか斬られるとかよりはましなのだろう。隆也に叩かれるよりは中年女性のほうが力が弱くて、痛みも少なかったのかもしれない。けれど、男子大学生が中年女性に叩かれて、泣くわけにもいかないではないか。
「……すみません。俺が悪うございました」
「反省してるんでしたらいいんですけどね。隆也さん、これでいいんですか」
「お母さま、ありがとうございます。幸生、この馬鹿野郎。部屋に入って朝まで謹慎してろ。朝になったらランニングだ。寝てこい」
「はい。どうもすみませんでした」
 隆也に抱かれて泣いている女の子たちにも、隆也の両親にも深々と頭を下げて、シーツを手に、幸生はとぼとぼと自室に向かって歩いていった。どうせ叩かれるんだったら隆也さんに……そしたら泣けたのに。ちぇっ、あの子たち、いいな、なんて気分は、胸の奥に封じ込めて。


 幸生は隆也にくっついて隆也の故郷へ出かけていった。尚吾は彼女のサミの故郷である秋田へついていきたかったのだが、婚約者でもないのに同行はできない。彼女も連れていってくれないし、行って彼女の親に挨拶しなくてはならないとなると厄介だろうから、尚吾としても断念するしかなかった。
「秋田ったら強二もだけど、サミと一緒じゃないんだったら秋田には行きたくないしな」
 ならば暇だ。尚吾の故郷は愛知県だが、親の家に帰ってなにが面白い。里帰りなんて最小限にして遊びたい。そう思っていると、英彦が言った。
「俺の故郷は土佐だよ。尚吾もシゲも遊びにこないか」
 おー、ラッキー、であった。
 遠慮している繁之も促して、三人でフェリーに乗って高知県を目指す。高知といえば幕末の史跡の宝庫であって、繁之は興味津々だ。純理系の尚吾は歴史にはなんの関心もないので、暑い高知の街を英彦とふたりでぷらぶら散歩していた。
「シゲさんは龍馬とか慎太郎のゆかりの地を見物にいったんでしょ」
「そうみたいだな。俺たちも見物にいこうか」
「なんの? 鯨博物館?」
「俺は鯨にも別に興味はないきに。そうじゃないって」
 路面電車に乗って、尚吾には土地勘ゼロの駅で降りる。なんの変哲もない住宅地になにがあるのかと尚吾がきょろきょろしていると、英彦が足を止めた。
「あそこちや」
「あれ、女子寮?」
「そうだよ。こっちに回ると……」
 裏手には物干し場があって、色とりどりの女の衣類が夏の風にはためいている。巧みに目隠しはしてあっても、風に煽られて下着も見えていた。
「ヒデさん、下着泥棒するつもりですか」
「アホ。んなことしてばれたら、寮にいられなくなるだろ」
「大学も退学ですよね」
「その前に留置所じゃ」
「ばれないようにやるんですか」
「アホ。やらんわ」
 アホアホを連発して、英彦が尚吾の脚を蹴飛ばす。アホはあんただ、と言い返して蹴り返してやりたいのはやまやまなれど、相手は先輩なのだからぐっとこらえた。
「ほら、これ」
「……双眼鏡?」
 これもなかなかタチが悪い気がするが、誘惑には勝てない。英彦とふたりして物陰に隠れて、尚吾は双眼鏡を眼に当てた。
 窓を開け放った女子寮の一室が見える。なんと、そこにいる女の子はショーツ一枚の格好をしている。そんな格好で寝そべって雑誌を見ては、ごろんとうつぶせになったり仰向いたり、腹を掻いたりしている。腹にぽつぽつ虫刺されの跡があるのが、変に生々しく色っぽかった。
 そこにもうひとりの女の子が入ってきた。声までは聞こえなくて、無言劇だ。あとから入ってきた髪の長い子が、先にいた髪の短い子の脛を踏んだらしく、踏まれたほうがわめいている。言い争いのシーンに続いて、取っ組み合いになった。
「うわ……壮絶」
 男同士でだってふざけて取っ組み合いはやっているが、あんなものには色気もなくてガキの喧嘩に近い。が、双眼鏡のむこうで取っ組み合っている女の子たちは、一方がほぼ裸体。尚吾は息を飲んで見入っていた。
「壮絶ってなにが?」
「パンツ一枚の女の子と、ミニスカートの女の子の取っ組み合い。わ、キスしてますよ」
「女同士で? 見せろ」
 キスは嘘で、女の子たちは半分はじゃれているように取っ組み合っている。英彦が尚吾の手から双眼鏡を奪おうとし、奪われまいと尚吾が遠ざけ、しているうちに、双眼鏡が地面に落ちた。
「あんたら、なにをしちゅうんじゃ」
 ドスのきいた声に、尚吾と英彦は動きを止めた。
「どこかを見ちょったががやないがか」
 背が低くてがっしりした体格の老女が、尚吾と英彦を睨みつけていた。
「いえ、なんにもしとらんきに。な、行こう、尚吾」
「はい。おばあさん、いいお天気ですね」
 愛想笑いでごまかして、そそくさと逃げ出す。尚吾としては惜しくてたまらなくて、双眼鏡を拾い上げた。
「こわれてますよ」
「みしくれてしもうたか。いや、まあ、えいきに。覗き見も犯罪ちや」
「あのね、ヒデさん、意味不明」
「えいからえいから。このへんでやめられてよかったよ。俺も女の子同士のキスシーン、見たかったけどな」
「それは嘘です」
「ああ、そうなんか。うん、男同士よりは女同士のほうがえいよなぁ」
「同感」
 こわれた双眼鏡をバッグにしまい込み、英彦は言った。
「こんなとこ、強二やクニに見られのおてよかったのぉ」
「シゲさんにもでしょ」
「まっことその通り」
 この土地にいると土佐弁が強くなっている英彦と顔を見合わせて、尚吾は自棄のような笑い声を立てた。
 

 今夏休みは誰かが誰かにくっついて帰郷するのがトレンドになっている。幸生は隆也の故郷の金沢へ、尚吾と繁之は英彦の故郷の高知へと旅に出、真次郎は強二の故郷の秋田へ向かった。こうなると残るは章と國友。
「章さんって故郷は北海道ですよね」
「おまえは山形だろ」
「そうです、あのぉ……」
「俺は帰省なんかしないし、おまえの故郷へ遊びに行く気もないよ」
「あ、そうですか」
 はー、よかった、と胸を撫で下ろした國友だった。
 ならば僕はひとりで帰省しようと思うのだが、先立つものがない。寮では質素に暮らし、食事が準備されていなければ、ラーメンやコンビニのおにぎりですませる。身体の大きな真次郎や尚吾、食欲ありすぎの繁之や英彦ほどには國友は食べないのだから、経済的なのだ。
 にしても、毎日けっこうお金がかかる。郷里の山形までは青春18きっぷでも使って帰ろうか。そのためにはアルバイトか。バイトなんてしたこともないのに、僕にできるだろうか。なんのバイトがいいかな、と考えていて、夕里の言葉を思い出した。
「将一さんの両親って輸入家具店を経営してるんだよ。あたしはその店、金子ファニチャーでバイトして将一さんと知り合ったの」
 まったく知らない店よりはいいかと、國友は将一に連絡を取った。前寮長の金子将一は、去年の体験入寮の際に國友にもケータイナンバーを教えてくれていた。
「ああ、クニか。しっかりやってるか? バイト? 俺の親の店? おまえだったらきちんと働くだろうから、聞いてみるよ。そしたら今日の昼、メシでもおごってやろうか」
 そんなぁ、悪いですぅ、と遠慮しつつも、國友は彼の誘いにうなずいた。
「クールビズとかってあるけど、俺はノーネクタイでジャケットを着るのは好きじゃないんだよ」
 待ち合わせた街角には、将一は時間きっかりにあらわれた。純白の半袖シャツにベージュのパンツ、淡いグリーン系のプリントのネクタイを締めて、上着はなしのスタイルが決まっていた。
「親に聞いてみたら、面接に来てほしいって話だよ。ほら、地図」
 金子ファニチャーの電話番号と最寄駅からの地図をメモにしたものを國友に渡し、将一は歩き出した。
「明日、簡単な履歴書を持って行ってこいよ」
「ありがとうございます」
「昼メシ、あそこのホテルで食おうか」
「……あそこのホテル? なんでホテル?」
「たまにはいいだろ」
 準は金子さんに恋をしていたけれど、金子さんは男に恋をする体質ではないはず。恋ではなくても、男をホテルに誘う趣味もないはずだ。純粋に食事をおごってくれようとしているだけ。僕って変な影響受けてるな、反省しつつ國友は言った。
「高そうですよね」
「安くはないだろうけど、泊まるんじゃないんだし、ランチだったらさほどでもないよ。夏バテしないようにスタミナのつくものを食おう」
「そんな……悪いし……」
「悪くはないよ。後輩が金の心配なんかしなくていいんだから」
 きびしい寮長さんが優しくなったなぁ、くすぐったいような気分で、國友は将一に連れられてホテルのレストランに行った。
「ここからプールが見えるだろ」
 普段の國友では値段を見ただけで降参しそうなランチをオーダーし、将一が言った。
「あれはホテルの一般客向けのプールで、見えないところに特別なプールがあるんだよ」
「特別って?」
「特別な客のためのプール。秘密乱交パーティ専用」
「ら、ららら……らんこう」
「乱交の意味ぐらい知ってるだろ」
 意味ぐらいはむろん國友だって知っているけれど、なんだってそんな話をする? いぶかしんではいたものの、将一がそこでその話題をやめたので、國友も口を閉ざした。
「ごちそうさまでした」
「うまかったか」
「はい、とっても」
 そのあとは大学や寮の話をしながらランチを終え、将一が席を立ったので國友も続いた。
「俺はこのあと、仕事で人に会う約束があるんだけど、先方さんの都合で夕方にならないと会えないんだ。クニ、つきあえよ」
「ど、どど……」
「どこへって? プールだよ」
「僕、水着を持ってません」
「裸で泳ごうか」
「……堪忍して下さいっ!!」
「騒ぐな」
 社会人になって、金子さんったらおかしな趣味に転向したの? 怖いよぉ。國友は半べそをかき、恐怖のあまり反抗もできなくなって将一に従った。
 つかまえられているのでもないのだから、逃げるつもりになったら逃げられるはずだ。なのに足が将一についていってしまう。好奇心もあり、怖いもの見たさもあり、の國友に、将一は悠然とした口調で話した。
「このホテルは俺の親戚が経営陣に関わってるんだよ。それで、藤原さんに頼まれて割引料金でプライベートプールつきのルームを予約した。そのときに藤原さんから聞いた。藤原礼仁、原製薬の研究所勤務の寮の先輩だ。乾が原製薬の藤原さんとはポジションちがいの部署に内定が決まったんだそうだな」
「乾さんの内定は聞きました。藤原さんって……礼仁さん?」
 夏休みがはじまったばかりのころに、寮の外から夕里が庭を覗いていた。背の高い男に肩車をしてもらって、そうしたからこそ小柄な夕里の顔が塀の上に見えていた。あのときに夕里を肩車していた男の名前が、レイジンだった。
「……それは、その?」
「藤原さんと準と、星さんと夕里。四人が滞在してるはずだよ。四人ともに俺にとっては知り合いだし、おまえだって準や夕里とは友達なんだから、挨拶しにいこう」
「それだけですか」
「挨拶以外のなにがしたいんだ」
「だって……らんこうとかって……」
「俺はそんなものはしたくないけど、おまえはしたいのか」
「したくありませんっ!!」
 挨拶だけでもおっかないけど、それだけでよかった。でも、怖い。怯みたがる足に力を入れて、國友は将一のあとから地面を踏みしめていった。


3

 朝晩は涼しいとはいえ、東北も夏は暑い。強二は秋田育ちなのだからそんな知識もあったが、東京っ子の真次郎には意外だったようだ。
「秋田の田舎のほうに行ったら、都市部よりは涼しいですよ。行きましょうか」
「親孝行しなくていいのか」
「顔を見せたらそれでいいんです。大メシ食らいの息子はいないほうがいいでしょ」
「大メシったら俺のほうが食うよな」
「本橋さんのことを言ってるわけではありませんが……」
「ごめんな。秋田の米はうまくて、いくらでも入るんだもんな」
 新米が出てくればさらにうまい。秋には母に頼んで寮に米を送ってもらおうと決心して、強二と真次郎は強二の両親の家から、貧乏旅行に出発した。
「本橋さんは就職は決まったんですか」
 なまはげの里、男鹿半島までやってきたふたりは、海の見えるベンチで弁当を広げた。強二の母が作ってくれた超特大弁当には、超特大おにぎりが十個も入っている。強二はそれほど大食のほうではないが、真次郎はなんでもうまいうまいと言ってよく食べるので、母が目を細めていた。
「うちにも真次郎さんみたいな息子がいたらねぇ」
 などと母が言って、真次郎を頼もしそうに見るので、実は強二は妬けていたのだが、口に出しては言わない。かわりに就職の話をした。
「決まってたら言うよ。こうやって遊んでる場合でもないんだけど、現実逃避かな。海の風はいい気持ちだし、メシはうまいし、極楽だよな」
「極楽ついでに温泉に入りましょうか」
「いいな。混浴温泉ってないのか?」
「なくもないかもしれないけど、混浴だったらばあさんばっか入ってますよ」
「美人じゃなくてもいいから、若い女と混浴してえぞ」
「俺もです」
 寮では男ばかりと触れ合っているし、強二や真次郎の学部には女子は少ない。それでも、本橋さんには彼女はいるんじゃないのかな。今はいないとしても、前には夕里とつきあっていたのだし、彼女と混浴なんて……強二は頭の中で、可憐な夕里の裸身とたくましい真次郎の裸身をからみ合わせ、じきに遠ざけさせた。
「今夜は混浴風呂のある宿を探しましょうか」
「ぱあちゃんとでも混浴ってのはいいかもな」
「こっちのばあちゃんの言葉は、本橋さんにはなにを言ってるのかわかりませんよ」
「音楽みたいでいいじゃないか」
 ばあちゃんではなくて、東京から旅行に来ている若い女性のふたり連れとでも知り合わないだろうか。そうなったとしても、彼女たちはふたりともに、本橋さんがいいと言うのではないだろうか。そうでなかったら、ふたりとも趣味じゃないわ、と言うだろう。
 ならば女の子なんかじゃなくて、先輩とふたりだけの旅を続けているほうがさっぱりしていい。雄大な海に沈む夕陽の見える露天風呂で、本橋さんの背中でも流してあげよう。強二はそう決めた。


 よそのお母さまにぶたれた頬は痛いほどでもないけれど、心がもやもやする。泣くに泣けず、隆也は部屋にも来てくれず、寝つきもできなくて、幸生は夏蒲団を抱きしめて悶々と寝返りばかり繰り返して
いた。
 こうしているといつもの妄想が巻き起こる。
 女の子だったらあんないたずらをしても、隆也さんもそのご両親も笑っていただろうか。ジュンコちゃんもヒロコちゃんもああまで大げさ反応を示さなかったかもしれない。いや、シーツをかぶってオバケの真似をして脅せば、その正体が男でも女でも同じか。
 すると、あんないたずらをした俺がユキだったとしたら? ユキは隆也さんの大学の後輩で、寮ではなくマンションで同棲している恋人同士。隆也は両親に就職内定の方向がてら、ユキを紹介するために故郷へ連れてきてくれたのだった。
「……なんておいたをするんだ。子供みたいに」
 シーツをかぶってジュンコとヒロコを脅して、彼女たちが泣き出すところまでは同じ。幸生ではなくユキがシーツから顔を出すと、隆也にびしっと叱られた。
「ジュンコちゃんとヒロコちゃんにあやまりなさい。ユキ、俺の言いつけが聞けないのか」
「はい、ごめんなさい。ほんのいたずら心で……」
「いたずらにしたらタチが悪いだろ。ユキは俺が部屋でしこたま叱っておきますので、お母さま、ジュンコちゃんとヒロコちゃんをよろしくお願いします」
「いいんですけど、ほんとに子供っぽいお嬢さんね」
 苦笑いの両親の前から隆也に引っ立てられて、ユキは部屋に連れていかれた。旧家の現代離れしたならわしというのか、結婚しているのでもない大学生カップルは別々の部屋をあてがわれていた。
「だってだって、ユキは隆也さんにほったらかされて寂しかったんだもん」
「だったら、普通にジュンコちゃんとヒロコちゃんの部屋を訪問して、お話しでもしてもらえばよかったんだろ」
「ジュンコちゃんもヒロコちゃんも隆也さんにひと目惚れしたのよ、きっと。敵意のこもった目で見られたもん」
「ついさっき会ったばかりだぜ」
「ひと目惚れってそういうのをいうのっ!!」
「そのやきもちもあったのか。そんなことがあるわけないだろ」
「あるもんあるもんあるもーんっ!!」
 駄々をこねていると抱き寄せられ、片腕にとらえられて甘く脅された。
「おいたはするしそうやって聞き分けはないし、俺を疑ってるし、そんな子はお仕置きだな。ここには広い押入れがあるんだから、閉じ込めてやろうか。それとも蔵か」
「蔵に隆也さんとふたりで入るの?」
「そんなのはお仕置きにならないんだよ」
「ユキはジュンコちゃんとヒロコちゃんにごめんなさいしたよ」
「ごめんなさいをしたって、おいたをしたのは消えないだろ。ジュンコちゃんやヒロコちゃんがうなされたらおまえのせいだぞ。さ、おいで」
 片腕に抱え上げられて、ユキは抵抗した。
「こんな夜中に蔵になんか入れられたら、ユキがうなされて夜泣きするよぉ」
「それもいい薬だ。蔵に入ってろ」
「隆也さんも一緒に入ってよぉ。だって、隆也さんがユキをほったらかしにするから、ユキがおいたをしたんだもの」
「身勝手な理屈だな。そしたら別のお仕置きにしようか」
「どんな……あ、きゃ?」
 服に手がかかる。脱がされるの? 怖いような恥ずかしいような、なにをされるのかと期待するような気分で見つめると、隆也は静かに囁いた。
「悪い子のユキも可愛いな」
「隆也さんっ!!」
 うとうとと眠っていたのか。幸生は布団を力いっぱい抱きしめて、もがいていた。そうと気づいたのは、誰かが部屋に入ってきた気配でだった。
「幸生、悪い夢でも見てたのか」
「あ、乾さん、お世話になりました。俺は帰りますから」
「今時分に電車もないだろ。寝ぼけてるのか」
「ちがうよ。俺なんかはどうせ邪魔だから、帰るのっ。あんな悪さをしたのに叱ってもくれない、乾さんなんか嫌いだ」
「ガキみたいになにを言ってるか。叱ってほしいんだったら……」
「……つっ!!」
 頬にぴしゃっと平手打ち。こうされたからといっても手放しでは泣けないのは幸生が男だからだ。
「乾さんなんか嫌いだもん」
「女みたいになにを言ってるんだ。俺がおまえを連れてきたんだから、帰るまでは面倒は見る。勝手に抜け出そうなんてつもりになってるんだったら、蔵に放り込むぞ」
 ……なんだか、夢うつつのあれに近いシーン。幸生の妄想が再び形をなそうとしていた。
「いたずらはしないで、駄々もこねないで、いい子にしてろ。幸生、返事をしないのか。もう一発か」
「怖い隆也さんって素敵。一緒に蔵に入りましょ」
「俺はいやだよ。抱いていって放り込んでやろうか」
「隆也さんは子供のときに、蔵に入れられるお仕置き、されたんだったよね」
「おまえにそんな話、したっけ? そうだったな。おまえはどことはなしにガキみたいで女の子みたいなんだから、そんなお仕置きは酷か。幸生、いい子にできるんだな?」
 いい子にしなさい、ってのは子供扱いではなく、女の子扱いのお叱り言葉? 俺は乾さんに叱られて、このくらいだったらぶたれたかったのだから、お仕置きはほっぺたをぴしゃりで十分。抱きついて泣くには理性が残りすぎているので、幸生としてはそれだけで満足して、いい子になって言った。
「はいっ」
「よーし、いい返事だ」


 社会人は長い夏休みなど取れないのは、夕里だって知っているけれど。
「ええ? もう帰るの? 丈人さんってば、自分のお金はあんまり使わなくて礼仁さんにたかって、そんなんで夕里をどこかに連れていってくれるのもごまかして、ずるーい」
「俺は明後日から仕事なんだ。明日は家で調べものをしたいから、朝には帰ろう」
「いやっ!!」
 夕里が丈人を睨み上げていると、礼仁が準に言っていた。
「俺も帰らなくちゃいけないから、準は夕里とここにいるか」
「夕里さんとなんかいたくないです」
「準とだったら俺も安心できるから、礼仁さんさえいいんだったらここにいろよ」
 丈人までが言い、夕里は準の手を引いた。
「その相談をしようよ、準ちゃん」
「え? 僕はやですよ」
「あたしはやじゃないもん。親のうちに帰るのはやだから、もっとここにいたいの。準ちゃん、来て」
 渋る準の手をぐいぐい引いて、彼氏たちには声の届かない場所まで連れていく。彼氏たちはふたこと、みことの言葉をかわして部屋に入っていき、夕里は考えた。
 衝撃の告白をしてやろうかな。あたしは礼仁さんとも寝たんだよ、って。そうしたらどうなる? 準ちゃんは気絶するかもしれないけど、丈人さんは平気だったりして? 本命の彼氏がへっちゃらな顔をしていたら、傷つくのはあたしだ。
 そしたらどうすればいい? 丈人さんが本当にあたしを愛しているのか、礼仁さんは準ちゃんを愛しているのか、ためしてみたい。
「準ちゃんは礼仁さんの愛が信じられる?」
「愛って……」
「はぐらかそうったって駄目だよ。準ちゃんは礼仁さんを愛してるんでしょ」
「恋……なのかなぁ。僕は礼仁さんは好きだよ。優しいし、なんでも教えてくれるし、僕を大切にしてくれるし」
「それだけで愛が信じられるの?」
 ペットにだってそんな態度は取れる。そんな態度は愛の証明ではない。
「僕は礼仁さんを信じたいけど……」
「信じたいけど信じていいのかどうか? あたしもおんなじ。だからね、ためそう」
「どうやって?」
「それが思いつかないんだよね」
 礼仁と丈人は部屋に入って、明日の朝には帰る支度をしているのか。今夜はとびきりの夕食をおごらせてから言う通りにしてやってもいいのだが、それでは夕里は不満だった。
「どうしようかなぁ。あ? あれ、将一さんっ」
「クニちゃん……」
 ホテルの下層階へと降りていくエレベータへと続くドアのほうから、金子将一と酒巻國友があらわれた。将一は言った。
「星さんと藤原さんは?」
「クニちゃん、どうしてここに?」
「金子さんはこのホテルのオーナーさんと知り合いなんだって。星さんと藤原さんに挨拶に行くっておっしゃるから……」
 将一は丈人や礼仁の大学、寮での後輩に当たる。礼仁からここに滞在していると聞いていたのだと、國友が話してくれた。
「じゃあね、将一さん……あん、そんなの駄目よーっ!!」
 突如として夕里が悲鳴のような声で叫び、國友と準はぎょぎょっとした。
「夕里には彼氏がいるんだからねっ。夕里は将一さんが好きだったのに、相手にしてくれないから他の男のひとの彼女になったんじゃないのよっ。あたしが大人っぽくなってきて綺麗になったからって、もったいなくなってきたんでしょ。今さら、好きだって言ったって駄目駄目っ!!」
「……」
 あからさますぎて鼻白む気分ではあったが、将一もつきあってやることにした。礼仁や丈人の愛が信じられない、と夕里が準に言っているのが聞こえていたせいもあった。
「駄目駄目と言ってるくせに、おまえの瞳は揺れてるよ。心も揺れてるんだろ。準もクニも黙ってろ。これは星さんと夕里と俺の問題だ。先輩方、お暑うございます」
 あれだけ大きな声で夕里が叫んだのだから、礼仁と丈人にも聞こえたのだろう。礼仁が、続いて丈人が、こちらに歩み寄ってきていた。
「お邪魔します。いやぁ、星さん、あなたはさすがですね。あのじゃじゃ馬おてんば娘の夕里が、見た目は女っぽく愛らしく、セクシーにまでなってるじゃありませんか。あなたが夕里をここまで熟れさせて、こうなったら飽きたでしょ。俺に返してくれませんか」
 無言で将一に近寄ってきた丈人が、こぶしを繰り出した。予測はしていたので将一は両手を出してこぶしを防御し、力まかせに押し戻した。
「これがあなたの返事ですか」
「寝言は寝てから言え。失せろ」
「そうですか。では、失礼しました。クニ、帰ろうか」
「あ、はっ、はいっ!! 先輩方、夕里さん、準ちゃん、ではではっ!!」
 大慌ての國友が将一に走り寄る。将一は國友を従えて、泰然とエレベータのほうへと向かっていった。最後にひとこと、夕里、これでいいんだろ、と呟いたのが、準には聞こえていた。
「将一さんはやっぱかっこいいわ。あたし、両方とも捨てがたい気分だな」
「この浮気娘が。おまえの魂胆は読めてるんだよ」
「きゃーーっ!!」
 怒っているのか笑っているのか、丈人が夕里を抱き上げて拉致するかのように部屋へと運び込んでいく。魂胆なんかないもーんっ、やだーっ!! と騒いでいる夕里の声も、こころなしか嬉しそうに準には聞こえていた。
「金子と丈人はぐるかな。そんなはずはないよな」
「そんなはずないって?」
「あれで丈人が、そしたらおまえに譲るって言ったとしたら、金子は丈人のお古をもらうことになるだろ。夕里はそれでもいいんだろうけど、金子が大損害をこうむるじゃないか」
「夕里さんって損害ガールですか」
「その通りだよ」
 将一にここにいると告げたのは礼仁だそうだが、口裏を合わせているとも考えられて、誰が真実を口にしているのか、準にはまったくの謎だった。
「なにがどうころんでも夕里が有利なんだよな」
「ゆうりがゆうりで、僕は? 礼仁さん、僕にも……」
「きみが自ら、僕にも言ってってねだるのか? 怖くないのか」
「怖くなくは……ないけど……」
「情熱的な愛の言葉を囁けば、俺は暴走するよ」
「あっと……えっと……だったらストップ」
「小娘も少年も、自分勝手だな。俺の燃えたぎってるやつも考えてやってくれよ」
 燃えたぎってるって……恥ずかしくて顔を伏せると、礼仁の指が準の顎にかかった。
「いつまでも我慢はしてないぞ。秒読み段階だ」
「礼仁さん……僕、怖いです」
「ああ、だからゆっくりとな」
 準にだって礼仁のすべては信じられない気分はあった。夕里の気持ちもわからなくはなかったのだから、彼女が上手な手段で恋人の心をためそうと提案していたら、乗ってしまっていただろう。でも、そんなことはしなくてよかった。
 きっと夕里は丈人に部屋に運び込まれて、口や手や指やなんやかんやで闘ったりなだめたり、なだめられたり、泣いたり怒ったり笑ったりする。準はまだ経験はしていない、薄い闇の中でベールをかぶっているエリアの部分にまで到達して仲直りするのか。
 僕はまだ今すぐには経験したくない。垣根のむこうから礼仁さんが腕を伸ばし、おいでと呼んでくれて僕がうなずいたら、その世界にさらっていって。それまでは礼仁さんは待っていてくれると信じられるから、僕はあなたが好き。
 それだけは準は信じている。それだけが信じられたら、僕ってどういう人間? 僕の恋ってなんなの? そんな気分さえも置き去りにして、礼仁の腕に身をまかせていられた。


END


追記(本物リスト)

金子将一→三十七歳。ゲイのケはゼロながら、偏見はない。熱愛する彼女がいる。独身歌手。
酒巻國友→三十二歳。子供っぽい小柄な青年で、ゲイは嫌いなほうだが、偏見を持ってはいけないと自分に言い聞かせている。先だってふられたばかりの独身DJ。
栗原準→二十五歳。既婚。ゲイは好きではないが、このご時勢、しようがないかと思っている。気弱で情けない歌手。
本橋真次郎→三十五歳。フォレストシンガーズのリーダー。既婚。ゲイは嫌い。
乾隆也→三十五歳。フォレストシンガーズのサブリーダー。もてもて未婚。ゲイには偏見を持たないように努力している。
本庄繁之→三十四歳。フォレストシンガーズのベースマン。既婚。ゲイなんて信じられない。
三沢幸生→三十三歳。フォレストシンガーズの下っ端。未婚。女好き。ゲイにはなんの偏見もなく、ただし、俺はやりたくないと考えているが、根っこにはほんのすこぉし、なくもないような気がしなくもなく。
木村章→三十三歳。フォレストシンガーズの下っ端。未婚。恋愛体質。ゲイはやりたい奴は勝手にやってろ思想。
小笠原英彦→三十四歳。バツイチ未婚、婚約者あり(このストーリィを漫画にしている女性)。ゲイなんてものもあるのだなぁ、いやだけどしようがないよなぁ、と考えている。
鈴木強二→三十三歳。既婚ビジネスマン。フォレストシンガーズの同窓生。
尾崎尚吾→三十二歳。既婚家電量販店店員。フォレストシンガーズの同窓生。
星丈人→三十八歳。ゲイ嫌い女好き、もてもて。独身ビジネスマン。
藤原礼仁→まったくの架空キャラ。
夕里→まったくの架空キャラ。
サミ→まったくの架空キャラ。

最初はみずき霧笛のシナリオ、「水晶の月」からはじまり、漫画家の蜜魅がこのストーリィをBL化しようとたくらんだ。そうしてできていったのが、異次元世界の「水晶の月」です。



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