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小説19(春一番)

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フォレストシンガーズストーリィ・19

 「春一番」

1

 ポップでいてハードでもあるロックナンバーが流れている。音源は章の部屋のCDラジカセだ。床に置かれたCDを取り上げたら、バンド名は「ZIGGY」。派手派手なビジュアル系ロッカーが四人、それぞれにポーズを決めているジャケット写真を見て、俺は首をかしげた。
「ジギー? これはおまえのいたジギーじゃないよな?」
「こっちはZIGGY、俺たちはジギーです。俺たちのバンド名はカタカナですよ。第一、こいつらはみんな男でしょ。こいつらなんて言ったらいけないかな。乾さん、知らない? 俺たちよりはずっと年上で、ずっと前にジギーよりずっと有名だったZIGGY。かっこいい曲でしょ。彼らはプロだったし、ヒット曲もあるんですよ。俺らのジギーとは格がちがうんだ」
「おんなじバンド名なのは偶然なのか」
「実は俺たちも知らなくて、あとから知ったんですけどね。デビッド・ボゥイの「ジギースターダスト」って曲から拝借した名前で、そこんところも同じ。ま、俺たちはアマチュアのまんまだったから、ぱくったって問題になることもなかったし、問題になる前に俺たちは解散しちゃったんだけど、ZIGGYを見ると複雑な気分になる。なのに聴きたくなる。けっこう好きなんですよ」
 いいわけめいていると聞こえなくもない口調で言って、章は照れ笑いを浮かべた。
「ZIGGYは今でも活動してるけど、ジギーは過去のバンドですよ。それより乾さん、やっぱ引き受けちゃったんでしょ?」
「引き受けるしかないだろ。どんな仕事でも仕事は仕事なんだから」
 ZIGGY最大のヒット曲だというが、俺は聴くのは初の「GLORIA」が流れる中で、俺もいいわけめいて言った。
「今度は乾さんひとりで? 大変ですね。がんばって下さい」
「章、おまえ、面白がってるだろ」
 いえいえ、と手を振っているくせに、章はまぎれもなく面白がっている。今回は章は出演しなくていいので、ほっとしているのだろう。
 去年の暮れに章と俺は、雪に慣れてるんだからきみたちが出ろ、と社長に命じられてテレビ出演をした。東北の雪山で、ジャパンダックスのシブとゴン、フォレストシンガーズの章と俺の四人がケーブルテレビのバラエティ番組に強制的に出演させられたのだ。そのことについては忘れたい。コメントもしたくない。さっさと忘却の彼方へと去ってほしい経験だった。
 なのになのに、その番組のプロデューサーから社長に電話がかかってきたとかで、俺はまたしても社長に懇願された。乾、頼む、と言われては断れないではないか。
「出演する予定だった名もないタレントが、病気で入院しちまったんだと。急遽代役を立てないといけなくなったんだが、急すぎて代わりのタレントが見つからない。プロデューサーさんは考えに考え、思い当たった。以前に出たフォレストシンガーズの乾だ、彼しかいない、ってな」
「……はあ。俺は今回はなにをすればいいんですか? この前の仕事のときは、現場に行ってからなにをするのか聞かされて、心の準備もなんにもできなかったんですよ。せめてあらかじめ教えて下さい」
 バラエティ番組でやらされることといえば、なぜシンガーがそんな仕事を? と愕然とするようなものと相場は決まっている。シンガーはシンガーでも高名な人間ならば、ゴージャスな旅をして美食三昧なんて仕事もあるのだろうが、なにせ当方は無名の身。おいしい仕事がころがり込んでくるいわれはないのである。
 別段うまいものを食わせてもらっても嬉しくない。テレビに出るんだったら歌いたい。歌わせてもらえるのならば、さらし者にされても耐えてつとめてみせる。が、今回の仕事も歌はゼロで、ひたすらに身体を使う羽目になりそうだった。今回も雪の中、しかも芝居? バラエティではなかったのか。
「乾にやらせる必要もないだろ、と私も抵抗をこころみたんだがね、前回のきみの出演は評判がよかったんだそうだよ。木村もシブもゴンも本筋から離れてあばれてただけだったようだが……」
 ミエちゃんと本橋とシゲと幸生はテレビを見ていて、幸生が録画しておけと仰せつかっていたらしいのだが、故意にだか失念したのだか、幸生は録画するのを忘れたという。ゆえに、社長はその番組を見ていない。俺にとっては幸いだった。
「乾は本筋の仕事もきちんとやってたし、絵になるって話だったな。うん、たしかにきみはテレビ映りもいいだろう」
「そんなふうに褒めていただいても……あまり……」
「嬉しくないか。そうでもないだろ。きみたちもいずれは歌でテレビに出演する。私もそのために手をつくしてはいるんだよ。うちのミュージシャンたちはテレビをメインにするようなタイプではないんだが、名前と顔を売るにはテレビがもっとも手っ取り早い。乾、フォレストシンガーズの代表としてしっかりやってこい」
「かしこまりました」
 かしこまらされて仕事を引き受けた俺は、明日には単独で現場へと向かう。今夜は仕事帰りに章の部屋に立ち寄って、愚痴とも決意ともつかない台詞を口にしているのだった。
「だからぁ、乾さん、聞いてるんでしょ?」
「聴いてるよ、ZIGGYの曲は。おまえ好みのロックってこういうのか」
「幸生みたいなシャレはやめて下さい」
 ジャパンダックスのレパートリーについては、章は酷評していた。あんなのはロックではない、ポップスだ、と力説していた。俺はロックには疎いのだが、ZIGGYは章の好みで、ジャパンダックスは好みではないとはわかる。ロックとポップスはどう定義すればいいのか、定義などは関係なく、音楽なんてものは人の好き嫌いに左右されるジャンルなのだともわかっている。
 クラシックが最上の音楽で、ポピュラー系は愚劣だと考えている者もいるだろう。ジャズは上等、ロックは下等、と分類するジャズ好きもいるだろう。ブルースが最高、だったり、女性アイドルの可愛い歌が大好き、だったり、ソウルが命、だったり、演歌でなくっちゃ、だったり、ラップがいちばん、だったり、ひとの趣味は多種多様だ。章のように、ロック以外の音楽はカスだ、と考えている者もいてもいい。
 ロックでなくっちゃカス、とまで考えていたら、章はフォレストシンガーズではやっていられないはずだ。俺たちのレパートリーには今のところ、ロックはない。しかし、ロックを語る章の目はきらきら輝いて、ほんとにおまえはロックが好きなんだなぁ、と感動さえ覚えるのだ。
 なにが上でなにが下かなどとは、俺はまったく考えていない。音楽は俺のすべてを賭すべきもの。ああ、にも関わらず俺は、音楽とはなんの関係もない仕事をしなくてはならない。なんの因果か……と嘆きたくなっていると、章がCDを取り替えた。
「これは……」
「ブラックフレームスですよ。トミーさんのギター」
 ギターが吼えている。唸っている。苦悩の叫びか。あんたのギターが哀切なまでに叫ぶのは、なにを思って? トミーへのわだかまりが完全に消えてはいない俺は、ついついラジカセを睨んでいたのだろう。章がぼそっと言った。
「乾さん、トミーさんとは大阪ではじめて会ったってのは本当なんですか」
「本当だよ」
 その前から名前は知ってたけど、会ったのは大阪のFM放送局が正真正銘のはじめてだった。大学時代から数えたら俺は何人かの女性と恋をしたけれど、尚子さんへの恋のような想いもはじめてだった。見知らぬ男の影がちらつく女。過去の恋は幼かったからなのか。彼女のモトカレの影なんて、あったとしてもたいしたものではなかったはずだ。
 尚子さんにしても過去のひとだけど、彼女が愛した男であるトミーは見知らぬ男のままでいたほうがよかったのか、知り合ってよかったのか、結論は出せていない。章はなにか勘ぐっているらしく、俺の顔をじっと見てから、ブラックフレームスの歌に合わせて歌い出した。タイトルは「黒い炎」。ブラックフレームスそのまんまだ。
 
「黒い炎が俺を焼く
 燃え盛る劫火
 浄化の炎に焼き尽くされて
 生まれ変われるなら…… 
 そう、フェニックスのように……」

 ヴォーカリストはトミーではない、作詞もトミーではない。ブラックフレームスのヴォーカルはユズルという名の男だ。それでもこの歌詞には、いい気なもんだね、などと思ってしまい、俺はかぶりを振った。へヴィな曲調に乗せて、章とユズルがデュエットしている。きわめつけハイトーンのへヴィメタル声の男ふたりのデュエットは見事に天高く上っていった。
「ユズルだったよな。彼よりおまえの声はさらに高いんだ。おまえほどのハイトーンヴォイスの男は、ロック界にもそうそうはいないんだろ」
「いなくもないけど、俺の声はやっぱり特別かな」
「そんなおまえをロック界からこっちに引っ張り込んだ、俺たちは罪深いんだろうか」
「……なに言ってんですか、今さら」
「今さらか? いいからもっと歌えよ」
「乾さん……うーん、俺にもよくわかんないしな……でも、なんか引っかかるんだよな。乾さんがトミーを……うーん、なんだろ。初対面の男と乾さんの間になにが……女がらみか。ちがうのか」
 ぶつぶつ言っている章の声にぎくっとしたので、仕事の話に切り替えた。
「テレビを観てて幸生が妙なアテレコをしようしたら、ぶん殴ってでも蹴飛ばしてでも猿ぐつわを噛ませてでも阻止しろよ」
「……そうなりそうな内容なんですか」
「見ればわかる。おまえまでが幸生といっしょになって遊ぶな」
 今回も生放送なので、当事者の俺までが仲間たちとともにテレビを観る、などという事態は避けられる。録画もしてほしくない。幸生が録画を忘れてくれるようにと祈っているしかなかった。


 一歩ずつ一歩ずつ、冬が歩み去っていこうとしている季節だ。視聴者のみなさまには俺の姿はどう見えるのだろうか。えらくでかい雪女か。雪男と雪女は別ものなのだから、雪男には見えないはずだ。
 風にも耐えなん風情の、弱々しくほっそりした白づくめの美女。世間の認識では雪女とはそういうルックスの女であろう。少なくとも俺の認識ではそうだ。昔話に登場する雪女は、愛した男の裏切りに遭い、本性をあらわにして空へと舞い上がる。そのときの彼女は禍々しい真紅の瞳を見開き、それでいて哀しみをたたえたまなざしで男を見て、雪の中へと消えていく。
 美しく哀しい昔話のヒロインは、決して化け物でも妖怪でもない。だが、今の俺は白塗りの化け物だとしか思えない。白壁みたいな厚い化粧をほどこして、真っ白な衣装に身を包んだ雪女……厳密には女装ではないのだが、雪女の扮装は女装の一種だ。我ながらおぞましい。
 女性が男装をすると、凛々しくも美しく見える。男が女装をすると、なんだってこうごつさが際立つんだろう。俺はごつい体型はしていないのだが、肩幅といい身体の輪郭といい、普段よりもたくましく見えてしまう。見たくもないけど鏡でおのれの姿を確認して、俺は撮影現場へと出ていった。
「きゃああ、お化けっ!!」
 共演者の女性タレントが、真っ黄色の悲鳴を上げる。俺は彼女に躍りかかり、ゆったりした衣装の中に彼女の全身を包み込む。と、俺の腰につけたロープが空へと吊り上げられ、彼女ともども空に舞い上がる。ロープはむろん、テレビに映らないように細工してある。彼女の悲鳴の余韻の中で、雪女の俺は被害者を拉致して上空へと消えていく、という趣向だった。
 やがて別の共演者たちが登場して、彼女を探して雪の中を右往左往する。彼女と俺は一旦は引っ込んで、次なる出番まで待機していることになっていた。大急ぎで化粧を落として服を着替えて男に戻り、彼女のいる場所へと行くと、さやかさんがぼつりと待っていた。
「荒っぽくやりすぎました? 大丈夫ですか」
「大丈夫ですよ。だけど、乾さんったら鬼気迫る表情をしてるんだもの。本気で怖かった」
「悲鳴に臨場感がありましたね」
 雪女だったら本物の女性を使えばいいのだが、女性では女性を抱き上げて拉致していけないだろうというわけで、男が雪女を演じているのである。共演タレントの彼女はさやかさん。小さくて軽くて拉致するのは楽だった。
「乾さんは歌手なんでしょ。こんなことやらされて、大変ですね」
「仕事ですからね。さやかさんは役者さんですか」
 打ち合わせはしたものの、仕事以外の話はしていなかった。待機中は暇なので、なんとなくふたりで話していた。
「アイドルとしてデビューしたんですけど、売れないまんまだったの。年ばっかり食ってしまって、方向転換しなくちゃいけなくなってしまったのね。今後はバラエティタレントとしてしか生きられないのかな。それでもいいんだけど、それもけっこうむずかしいみたい。バラエティで成功したひとも何人もいるけど、その予備軍として虎視眈々ってひともいっぱいいるから」
「この世界はそうなんですね……僕なんかは新米も新米ですからよく知ってるってほどでもないけど、売れるためには苦労の限りをつくさないといけないんですね」
「乾さんは新人歌手なのね。いくつ?」
「二十四です」
「そっかぁ……」
 正確な年齢は知らないが、さやかさんは俺より年上かもしれない。アイドルになるには薹が立っているのかもしれない。さやかちゃーん、さやかちゃーん、と、彼女を探す演技をしている女性たちの声が聞こえてきた。今回は男は俺のみ。共演者たちは全員女性だ。
「さてと、行きますか」
「よろしくお願いします」
 続く芝居は、雪の中に倒れていた彼女を抱いた俺が、彼女の友人たちの前に出ていくというものだ。さやかさんは雪女にさらわれて、なにがどうなったのか雪女に変身させられている。吸血鬼じゃないんだから、血を吸われて仲間にされたってわけでもないのだろうが、そのあたりは曖昧な芝居なのである。
 演劇仕立てのバラエティは着々と進行していく。雪女に変身させられたさかやさんは、いつしか愛し合うようになった俺の口づけでもとの人間に戻る。ここは白雪姫か、ってなものだった。
「おのれ、人間の男め。私の仲間をよくもよくも……」
 再び出現した雪女は、本物の女性だ。さきほどの俺と同一人物の設定だが、身体つきがちがいすぎる。最初の雪女はさやかさんを抱いてさらっていかなくてはならないので、男の俺が演じた。なかなか手が込んでいるのだが、視聴者のみなさまはお見通しだろう。これがさっきの雪女? と笑いころげているにちがいない。
 雪女の出現に、女性たちが悲鳴を上げて俺の背後へと逃げてくる。俺は彼女たちを雄々しくかばって雪女に立ち向かう。かっこいいのはここまでで、雪女の視線に焼かれて俺は倒れ、雪女は高笑いを響かせる。芝居にしてもバラエティにしても無茶苦茶だと思うのだが、そこでシーンが切り替わり、雪の中でさやかさんが目を覚まし、なーんだ、夢だったのかぁ、と呟くのである。
「雪女も夢? そうだよね。そしたら、私と愛し合ったあのひとも夢? 素敵なひとだったのに残念」
 呟いているさやかさんのもとに友人たちが駆け寄ってきて、彼女たちは安堵の顔を見合わせる。
「さやかちゃん、無事だったんだね」
「うん、へっちゃらだよ。おなかすいちゃった」
 そこにどやどやと地元の人々が大鍋を運んできて、女性たちの食事のシーンになる。おいしいー、あったまるぅ、などと女性たちの賑やかな声、そしてジ・エンド。俺はさやかさんの夢の中の登場人物なので、食事シーンには参加させてもらえないのだった。やれやれ、お疲れさん、である。
 テレビを観ていた俺の仲間たちは、呆れているか笑っているか、幸生はなにを言っているんだろうか。女性たちの悲鳴に合わせて、幸生もきゃあきゃあ騒いでいるのではあるまいか。
 ちょっとはかっこいいシーンがあったから、悪くない仕事だったと考えておくしかない。それにしても寒い。腹も減ってきた。早く撮影が終わって、俺もあの湯気の立つ鍋のもとに行きたい、と思って首を伸ばしてみると、さやかさんがにっこりした。指でOKサインを出しているさやかさんの周囲を取り巻く女性たちが、乾さーん、おいでよ、おなかすいたでしょ? と呼んでくれていた。
 うん、まあ、以前よりは楽しい仕事だったな。しかし、こんな仕事は二度としたくない。俺たちはいつになったら、本来のシンガーの仕事でテレビに映れるんだろう、と考えつつ、俺は腰を上げた。


2

 二度も録画を忘れてはやばいからなのか、今回は幸生はしっかりビデオに収めていて、見たくなーい、と言う俺を無理やりテレビの前にすわらせた。ミエちゃんも本橋もシゲも章もいて、彼らにとっては二度目の番組鑑賞会になっていた。全員でテレビを観るとなると事務所なのだが、社長が留守なのは気楽だった。
「女装だったら俺のほうが似合うのにな。衣装はルーズフィットだから身体の線はあらわになっていないけど、乾さんだと背も高いし雪女には無理がありますよ。俺ぐらいの背丈の女はよくいるでしょ。身体つきも俺のほうが華奢だし、顔だって俺のほうが女の子っぽいよね。顔は厚化粧でわからなくなるとはいえ、俺のほうが似合うよ。俺が出ればよかった」
「幸生、おまえは実はものすごーくテレビに出たいんだろ?」
「シブやゴンとごたごたするのはまっぴらだけど、女がいっぱいの今回は出てもよかったな。乾さんの役柄はなかなかかっこいいじゃん。綺麗な女性を抱っこしたり、夢だったのか、素敵なひとだったのに残念、だなんて言われたり……」
「だから、おまえにはできないんだよ」
 冒頭のシーンではさやかさんが友人たちと、わー、すごい雪!! 寒ーい、つめたーい、と騒いでいる。そこには俺は出てこないので、幸生と章は女性の声に負けない高い声で言い合っていた。
「雪女だろ。俺はユキちゃんなんだし……雪は得意じゃないけど、なせばなるだろうが」
「ユキだの雪だのややこしい。雪はともかくとして、このひとを抱き上げてさらっていくんだぞ。そんな力がおまえにあるのか」
「なんだとぉ。あるよ。こんな小柄なひとだったら抱き上げられる」
「力がいるから乾さんが最初の雪女役だったんだ。おまえには無理無理」
 できる、できない、ともめている幸生と章を見て、ミエちゃんが言った。
「生放送を観てたときにも、こんなふうにもめてたのよ。力だけだったら本橋くんかシゲくんのほうがいいんじゃない? って言いかけて、あのときも私は吹き出したんだ。乾くんの雪女だったらまだしも、本橋くんやシゲくんがその扮装をしたら……本物のお化けじゃないの。怖ーい」
「お化けなんだからいいだろうが。幸生も章も山田も黙れ。そろそろ乾が出てくるぞ」
「リーダー命令だからって黙らなくていいよ。三人ともどうぞお喋りを続けて下さい」
「乾も黙れ。黙って観ろ」
 はーい、リーダー、と仕方なく返事をして、俺も見たくもないテレビに注目した。
「これってバラエティっていうより劇じゃないですか。芝居だったらなおさら出たかったな」
「おまえはシンガーやめて役者になりたいのか」
「できれば両方……」
 またまた喋りはじめた幸生と章を、本橋がぎろりと睨んだ。
「やかましいんだ、幸生も章も。黙らないと黙らせるぞ」
「どうやって黙らせる? やってやって」
「乾……てめえもうるさい。シゲ、乾を黙らせろ。山田、ちょっと録画をストップさせてくれ」
「暴力は駄目だよ」
 と言ったものの、ミエちゃんがビデオを止め、なにをするつもり? と本橋を見返した。
「シゲは乾をどうやって黙らせる?」
「俺にはできません。幸生や章にだったらできますから、乾さんは本橋さんにお願いします」
「そうだったな。じゃあ、幸生、章……」
 本橋がふたりを手招きし、ふたりはそろってぶるぶる頭を振り、俺は言った。
「どうやって俺を黙らせるんだ。やってみろ」
「……挑戦的だな。簡単だぜ」
「気絶させるのか? させてくれ」
「気絶したいのか? そんなにも録画を見たくないのか? 雪女役ってのはたしかに、俺がやらされなくてよかったってなもんだったけど、男のまんまで出た分は悪くなかったじゃないか。なあ、山田?」
「そうだね。彼女が恋する夢の中の青年役でしょ? 章くんや幸生くんだったら雪女はやれても、かっこいい大人の男はちょっと……だし、本橋くんとシゲくんは逆にちょっと……だし、雪女と青年の二役となると乾くんしかできないよね」
 なんで俺は青年役ができないの? なんでなんで? と幸生と章は追及し、ミエちゃんはそらっとぼけた。
「だって……ねえ……あとで鏡を見てごらん、そっちのおふたりは。本橋くんとシゲくんがどうして雪女を演じられないかは、ご本人たちも承知してるよね?」
 まあな、と本橋、はい、とシゲは答え、幸生と章は事務所の鏡を覗いている。ミエちゃんは続けて言った。
「お化けだからいいって本橋くんは言ったけど、雪女は美しき妖怪っていうの? 雪男役だったら本橋くんもシゲくんもぴったりだろうけど、なんたって女なんだものね、雪女は」
「俺も男なんですが……」
「乾くんも男だとは知ってるよ。女じゃないのはわかってるの。だけど、いろいろと考え合わせたら、乾くんにしかできない役だって納得できるでしょ? 幸生くんと章くんも納得できた?」
 鏡を見ていた幸生が発言した。
「ガキっぽいからって美江子さんは言いたいんでしょ? 章にはできないけど、俺にはできます」
「俺はやりたくないから、できないほうがいいです」
「おまえが前に出たのだったらやりたくないだろうけど、今回はよかったじゃないか。可愛い女の子がいーっぱい出ててさ、乾さん、仕事のあとになにかなかったんですか? 美江子さんがいるから言えない?」
「なんにもない」
 ほんと? このこのぉ……と幸生は俺を小突く真似をし、ミエちゃんに視線を向けた。
「ただひとつの気がかり。できるかどうか……できるはずだ。美江子さん、やってみたらいけません?」
「なにを? なにたくらんでるの?」
「なにもたくらんではいません。美江子さんは彼女……なんて名前、乾さん?」
「さやかさん」
「美江子さんはさやかさんより重いよね。怒ります?」
 体重の話をしたがらないミエちゃんなのだが、今は怒りはせずに応じた。
「そりぁね、さやかさんは小柄でたおやかなタイプよね。私のほうが重いに決まってるよ。幸生くんがなにをしたいのか読めてきた。乾くんも読めてきてない?」
「読めてきたよ。幸生、ためしてみなくても大丈夫だ。さやかさんは子供と変わらないほど軽かった。おまえにも充分抱き上げられる。俺は経験者なんだから保証してやるよ」
「やってみたいなぁ」
 その時点で章も幸生のやりたいことがわかった様子で、呆れ顔になった。本橋とシゲはわかっていないようで、なんだ? さあ? と首をかしげている。ミエちゃんはため息をついて言った。
「やってみたいんだったらやってみてもいいけど、できなかったらどうするの?」
「よお、山田、幸生はなにを……あ、もしかして……シゲ、わかったか?」
 問いかけかけてようやく思い当たったらしき本橋は右手を左手に打ちつけ、シゲもこっくりした。
「……たぶん」
 シゲが幸生に耳打ちし、うなずいた幸生は大声を出した。
「シゲさんったらひーどいんだぁ。やめとけ、できなかったら美江子さんが気の毒だろ。おまえもあまりのてめえの力のなさが悲しいだろうし、美江子さんは美江子さんで、私ってそんなに重いの、って惨めになるぞ、だって。そのほうがあんまりな台詞ですよ。ね、乾さん?」
「俺はそんなことは言ってないっ!!」
 顔を赤くして言ったシゲに、俺は言った。
「言ってないよな。そんな長い台詞を言うほどの時間はたってないし、おまえはそういう方面には頭が回らないと俺は知ってる。本橋が言ったんだったらあり得るけど、シゲはそんな失礼なことは言わない」
「そうですよ……ん? 俺の頭は……?」
「そういう方面には回らない、と限定つきだよ」
「どういう方面にも回りませんよ」
 嘘ばっかり言うから、本庄さんがひねくれちゃったじゃないか、と章が言い、シゲはそっぽを向き、幸生は舌を出している。肩をすくめた本橋が言った。
「俺だってそんな方面に頭は回らないよ。おまえじゃあるまいし」
「俺は女性に失礼な言動は取らないよ。ミエちゃんに無礼な言葉を投げかけるのはおまえだろうが。ほら、初詣のときだって……忘れたとは言わせないぞ」
「そんな古い話を蒸し返すな」
「古くない」
 今度はリーダーと乾さんがもめてるよぉ、と幸生が嬉しそうに言い、シゲは言った。
「そもそもの発端はおまえの嘘だろ」
「そうだよ。そう考えてるのはおまえなんだから……ってことは、美江子さん、いちばん失礼なのはこいつですよ」
 章も言い、幸生は反論した。
「あれは俺も含めて、だからね。美江子さん、ごめんなさい。でもさ、きっとできるからやってみさせて。ユキちゃんのお願い聞いて、お姉さま。ごろにゃーん」
「……やってみれば?」
 ミエちゃんは苦笑いで言った。
「もしもできなかった場合は、幸生くんの非力のせいだと考える。私はそんなに重くないもん」
「そうそう。それでこそ美江子さんです。ではでは、失礼」
 なにがどうなってこうなったんだったか……と俺が考えていると、幸生はミエちゃんに歩み寄り、彼女の肩と膝のうしろあたりに腕を回した。軽々と、という感じでもなかったが、ミエちゃんの身体が持ち上がり、章が拍手した。
「できるじゃん」
「おー、大成功!! そんなには重くないですよ」
「私も安心しましたわ。もういいから降ろして」
「章もやってみるか?」
「俺は前に……」
「そうよ、章くんにはおんぶしてもらったよね。章くんも幸生くんもちゃんと腕力あるってわかったからもういいでしょ? 降ろして」
 名残惜しそうな表情で幸生はミエちゃんを床に降ろし、本橋がぶすっと言った。
「んなもん、できて当然だろ。馬鹿馬鹿しい」 
 おまえには当然でも、幸生のプライドのためには喜んでやれよ、と言いたかったのだが、一段落つけてしまうと、さて、ビデオに戻ろう、となりそうなので、俺はシゲに言った。
「おまえだったら片手で抱き上げられるだろ?」
「どうでしょうね」
「ミエちゃんにやろうって言ってるんじゃないけど、原始人の男が女の髪を引っ張って引きずってくっての、あれもシゲだったらできそうだよな」
「できたとしてもやりません」
「そりゃそうだ」
 あくまでも生真面目にシゲは反応していて、本橋が一段落をつけてしまった。
「乾、てめえは往生際がよくねえんだよ。てめえの出演シーンをしっかり見ろ」
「……はあ、わかりましたよ」
 急用を思い出した、と逃げたりしたら、卑怯者だと末代まで罵られそうだ。俺は覚悟を決め、テレビの前にすわり直した。


 それでいて観はじめたら熱意がこもって、ここはこうすればよかった、ああすればよかった、となって疲れた。仲間たちも熱心に批評してくれて、次はそうしよう、と言いそうになって困った。次なんかないようにと願ってるってのに、俺って難儀な性分なのかも、と思ってしまう。願わくば次は、歌えるテレビ出演でありますように。
「じゃあ、そういうことでな。そろそろ帰るか」
 テレビを切った本橋が言い、他の四人は立ち上がったのだが、幸生が言った。
「俺はもう一回観たい。近い将来には俺は芝居もやりたいから参考にしたいんですよ」
「そんなら俺ももう一度観る。幸生がひとりで観てるとろくなことにならない気がする」
「ろくなことってなあに、乾さん?」
「ろくなことというのはだな、うん、あとでな」
 私がいると言えないの? とふふっと笑ったミエちゃんが、そんなら私たちは帰ろうね、と言って、本橋とシゲと章を連れて出ていった。さーて、と幸生は俺と向き合った。
「ろくなこととは?」
「おまえこそ、なにか質問があるんだろ」
「ああ、そういう意味でね。やーね、乾さんったらっ」
「やーね、はいいんだよ。なんだ?」
「んんとね、んんとね……」
 ほぼ予測がついていた通り、さやかさんって可愛いですよねー、が幸生の口から出た。
「俺は知らなかったんだけど、売れないアイドル?」
「俺も知らなかったよ。アイドルとしてデビューしたって話しだったけど、売れないからバラエティタレントになるしかないかも、って言ってた。いずこも同じ秋の夕暮れ、だよな」
「……? 冬でしょ?」
「俺たちは秋ではなく春だ。はじまったばかりなんだから」
「だったら誰が秋? さやかさんですか。やっぱり話をしてたんじゃん。他にはどんな話をしたんですか?」
「この世界は苦労が多いなってさ」
 地元の人々と女性たちが賑やかに食事をはじめたシーンで番組は終了し、俺も仲間に加えてもらったから、鍋を囲んで会話はした。さやかさんは俺を励ましてくれた。
「デビューしてからたったの半年? まだまだこれからじゃないの。私みたいにアイドルを目指してた女は、年を取ってくるとむずかしくなってくるけど、歌手は年を取っても平気でしょ。乾さんは若いんだし、まだまだよ」
「さやかちゃんったらおばさんみたい。さやかちゃんだって若いんじゃないの?」
 ぐるりと見渡せば、他の女性たちは俺よりも年下に見えた。いずれも売れないタレントであるらしく、俺の知らないひとばかりだった。そのうちのひとりが意地悪な口調で言い、さやかさんはさらりと切り返した。
「そうだね。私も若いんだけどね……まあいいか。食べよう。おいしいよ、はい、乾さん、どうぞ」
「あ、どうも」
 たしかに鍋料理は美味だったけれど、俺としては居心地のよくない雰囲気だった。おそらくは彼女たちの中でもっとも年上、もっともキャリアも長いのであろうさやかさんを、女性タレントたちがねちねちといびっているムードに包まれて、しまいには誰かが言ったのだった。
「さやかちゃんは乾さんにずいぶん親切だね。いい感じじゃない?」
「くっついちゃえば? どこかの雑誌の記事にでもなったら、さやかちゃん、有名になれるかもよ」
「あ、それいい」
「フォレストシンガーズの乾隆也とアイドルタレントのさやか、熱愛発覚!! きゃあ、いいじゃんいいじゃん」
「……やめてよ。乾さんに迷惑じゃないの」
 迷惑ではありませんが……と俺はもごもご言うしかなく、女性たちがそんな話題で盛り上っているうちにと、そそくさと逃げ出すしかなかった。その話をすると、幸生は言った。
「男の嫉妬も醜いって言うけど、女のひとのも怖いですね。さやかさんは一応主役だったでしょ? やっかまれてたのかな。でも、あの中ではさやかさんがいちばん可愛かったし、目立ってましたよ。可愛くても売れないんだね」
「小さすぎるのかなぁ、とも言ってたな。近頃のアイドルの女の子ってのは……」
「背が高くて細くて、出るべきとこはどどーんって……そのあたりはどうでした?」
「ノーコメント」
「知ってるくせに……抱っこしたんだから」
「おまえが知りたがってる部分には触れてない」
「それってどこ?」
「やかましい」
 若い男としては興味がそちらに向くのも当然ではあろう。俺だって興味がないわけではないけど、共演者にそんな邪な感情を抱くのは不躾だと思う。話をそらそうとして言った。
「おまえはほんとに女好きだよな」
「そうですよ。乾さんは女が嫌いなんですか」
「嫌いじゃないよ。しかし、俺の場合は特定の女性に恋をして、そのひとだけを見ていたいんだ。おまえは……」
「俺だってそれがベストなんですけどね、本気の恋をする能力が俺にはないのかもしれない。俺だって俺だって、女だったらなんでもいいんじゃないけど、特定の誰かがいないんだもん。いたためしがないんだもん」
「いたためしがない? かつての彼女たちは?」
「うーん……あれもこれも……」
 あれもこれも、のすべてを俺は知らないのだが、幸生の恋の話はひとつふたつは知っている。幸生は腕組みをして言った。
「ちがったのかなぁ。アイちゃんもワオンちゃんも……おっと、名前を呼んでしまった。また乾さんにぶん殴られそうだから、これ以上は言わないでおこっと。乾さんって深く静かに怒りがくすぶるタイプですからね。そんなときの乾さんがどれほど怖いかは、俺だけが知っている」
「俺は危険な奴なのか」
「章も多少は知ってるだろうし、本橋さんだって知ってるんだろうけど、ああいう怒りを見せたのは俺にだけでしょ?」
「ああいう怒り? あれは対等に喧嘩したんだろ」
 なにをおっしゃる乾さん、と節をつけて言い、幸生は続けた。
「乾さんと俺が対等に喧嘩なんかできるわけないでしょ。人間のできがちがうんだから……」
「その台詞の裏の意味は?」
「裏も表もそのまんま。乾さん、後悔してたりするんですか」
 あれは二年ばかり前だったか。当時の幸生が恋をしていた……と俺は認識していた女の子が、幸生の口説きにどうしてもうなずいてくれないと言って焦れていた。ある日ついに、やっちゃったよ、と俺に打ち明けた幸生の表情が痛々しくて、本音でもあるまいに、なんだってそんなふうに言うんだ、と俺も苛立った。
 黙れと言っても幸生は黙らない。どんな方面であろうとも、幸生の場合は口も頭もくるくる回る。心にもない台詞をそれ以上言わせたくないのが半分、半分は俺もむかむかしてきて、幸生に手を上げた。手加減ってものがよくわかっていなかったのは、俺が本橋のように喧嘩慣れしていないせいだ。相当に強烈なパンチを叩き込んだ。
 うわ、やっちまった、とは思った。だからってあやまるのもなんだし……というわけで、俺は煙草をくわえた。俺の思い出の中では、あれは幸生と喧嘩をした、となっているのだが、幸生は別の形で覚えているらしい。
「乾さんは先輩だから、それもあるけど、そればっかじゃないんですよ。俺はいい加減な奴ですよね。その意味では章のほうがまっとうかもしれない。だからね……なんて言うのかな。あまりにもひどいことをしてしまわないように、あのとき、乾さんに思い切り叱られたのが……歯止めっていうの? そんなふうに……」
「俺はそれほど……買いかぶりすぎだ」
「乾さんがなんと考えていようとも、俺にはそうなんだからいいんです。俺は女は好きですよ。おばあちゃんだってちっちゃな女の子だって、女だったら好き。女のひとと話してたら楽しいし、女のひとがそばにいたら楽しい。赤ん坊をお守りしてやるにしたって、男の子よりは女の子のほうがいいもんね」
 ここまで行くといっそ天晴れな女好き。ある種男の鑑とは……言えないか。
「俺がまともな恋をできないのは、この性格が災いしてるんだろうか。ああ、かわいそうな幸生くん」
「……わかったよ。おまえの台詞はどこかしらでねじまがって、冗談へと突き進んでいくんだよな。わかった」
「なにがわかったんですか。ねじまがってるのは乾さんの性格でしょうが」
「それもわかったから。幸生、メシ食いにいこう」
 ごまかさないで、と言うのかと思ったら、幸生は勢いよく立ち上がった。
「おー、待ってました。俺も腹が減ってきてたんだ」
「うんうん、若者には食い気も大切だよ」
「シゲさんほど食い気ばっかってのも……うーんと……乾さん、ラーメンは?」
 シゲとラーメンがつながるってのはこれいかに? であったのだが、深く考えずに俺は言った。
「ラーメンって気分じゃないな。酒を飲むとおまえにからまれそうだし、カレーでも食おうか」
「からみませんけどね。そっか、ラーメンはいやか。おごってくれるのは乾さんなんだから、乾さんの嗜好に合わせますよ」
 もう一度録画を観るはずが、幸生に夕食をおごるなりゆきになってしまった。事務所の外に出ると、幸生はうーんとのびをして言った。
「初詣のときの豪勢な天丼、うまかったな」
「ああ、あれはうまかった」
 今日は私がごちそうしてあげるからね、と、ミエちゃんが言ってくれて、ごちそうさま、お世話になります、とは言ったものの、俺はすこし気がかりだった。六人分の天丼豪華版となると、けっこうな金額になる。学生時代から同年齢の友達と食事や酒となるといつだって割り勘だったから、ミエちゃんにたかるのは気が引けたのだ。迷った末に、いくらかの紙幣をミエちゃんにこそっと手渡した。
「ミエちゃん……わずかながら……」
「いいのに。でも、プライドの問題もあるよね。はい、本橋くん、支払いはお願いね」
 おう、と支払いに立った本橋は、ほい、とミエちゃんにおつりを手渡した。おつりにまぎれて彼もなにがしかは足していたのだろうと俺は睨んでいる。ふたりして歩き出しながら、幸生はあのときの話をした。
「結局、乾さんと本橋さんにもおごってもらったんだよね。先輩ってなにかと大変ですね。ごちそうさまでした」
「……なにを言ってやがんだよ、今さら」
「言ってやがんだ、だなんて、本橋さんみたいなガラの悪い台詞は似合いませんよ」
「俺にも本橋並のガラの悪い台詞は言えるぞ。しかし、あの根っからの東京っ子の巻き舌、べらんめえだのてやんでえだのに近い言葉は、田舎者の俺には板につかない。だから言わないんだよ」
「本橋さんだってべらんめえのてやんでえのは言いませんよ。江戸っ子じいちゃんじゃないんだから」
 だーれが田舎者? と幸生は俺を横目で見て、話題を章に移した。
「章は本物の田舎者でしょ。稚内なんだもんね。田舎者としかいいようがないじゃん。だけど、本当のことを言われるとひとは怒る。あんまり言ったらいけないのかな」
「章とおまえの仲で、そういう気を使うほうがよくないんじゃないのか」
「ほどなる……なるなる……ぼとぼとは濡れてるって意味だな。なるほどどなるど……あれれ?」
「勝手に言ってろ」
 シリアスな話しなんかしてるよりも、そのほうがおまえらしいよ、おまえの頭と俺の頭の構造はどう似ててどうちがってるんだろうな、なんてことも考えて、幸生の頭をとっつかまえてこんこんと叩いてみようしたら、いやーん、乾さんったら、と気持ちの悪い声を出してしなだれかかってこようとする。
 まったくおまえだけは……俺にもお手上げだよ、と両手を上に上げたら、えへへっ、勝った!! と万歳するのだから、まったくどうにもこうにも、幸生にはお手上げとしか言いようがないのだった。


3

この寒いのに、公園のベンチにかけて寂しそうな風情を漂わせている女の子がいた。ショッキングピンクのフェイクファーらしきコートで身体をくるんで、超ミニスカートにヒールの高いブーツ。けたたましいまでのメイク。女性ロッカーなのだろうか。
 男のロッカーにはいくらかなじみもできたのだが、女性ロッカーというものには俺は慣れていない。身近にいるにはいるが、彼女たちは親しくしたくない。ここにいるひとにも、近寄ると食いつかれないかな、などと失礼なことも考えつつ、俺は彼女とは別のベンチにすわって煙草を取り出した。俺は幸生じゃないんだから、ナンパなんかしませんよ、警戒しないでね、と心でいいわけして、俺は歌を口ずさんだ。

「歪んだ煙を見つめながら
 あてにならない明日を占えば
 いつもより少しマシなはず
 泣き出しそうな空の下でも」

 I wanna make it tonihgt……今の状況に似合ってる。これはなんの歌だった? 煙草の煙を目で追って思い出そうとしていると、彼女が小声で言った。
「お兄さん、ロックやってるの? そんな感じじゃないけどね」
「ロックとはあまり縁はないんですけど、後輩にロック大好きって奴がいて……そいつの部屋で聴いた歌でした、これは」
「ZIGGYの「GLORIA」だよね」
「ああ、そうだった」
 厚い化粧のせいで素顔がよくわからないが、声にも口調にも幼さが残っている。ロッカーだかロックファンだか、ロック好きなのはまちがいないのだろう。
「この歌、知ってるんですね? いっしょに歌いましょうか」
「あたし、歌は下手だもん。お兄さんは上手だね」
「……恐縮です。あなたはロックを?」
「あたしはただのロックファンだよ。楽器もできない、歌も歌えない、派手なかっこして好きなバンドの真似っこしてるだけの、みっともないでぶでぶ女」
「みっともなくなんかありませんよ」
 太ってもいないし、ナチュラルメイクにしたら可愛いはずだよ、とは、初対面の女性に言えるはずもない。俺が困っていると、彼女は呪詛の響きを込めて一息に言った。
「俺はおまえなんかとつきあってるつもりもないし、おまえなんかとデートしてるつもりもないんだよ。おまえは俺の趣味じゃないんだよ。化粧は濃すぎるしでぶでぶだし、みっともねえのはおまえの顔と身体だろ。俺はちっちゃくて華奢で、さりげなく化粧してる女が好きなんだ。服装は派手でも似合ってたらいいけど、おまえなんかファッションセンスもなんにもねえだろうが。おまえなんかはロッカーじゃなくて、まがいもののロックフリークじゃないか。ロッカーの真似してそんな格好をしてても滑稽なだけだよ。おまえは楽器が弾けるのか。歌が歌えるのか。ただのロックファンだったらそれらしく、おとなしくしてろ。一人前の台詞をほざくな。俺にお節介焼くな。おまえには関係ないんだよ。おまえなんか……って、あいつが……あいつが言った」
「なんということを言う奴だ」
 長々と並べ立てた台詞を暗記していたのだとしたら、驚異的記憶力である。誰かが言いそうな台詞にも思えたが、そんな偶然はまさかないはずだ。
「そうでしょ? ひどいよね。怒ってやってくれる?」
「そいつをここに連れてきたら、意見してあげましょう。女性に向かってそんな台詞をほざく奴は、来世にはミミズになっちまうぞ、ってね」
「ミミズ?」
「ミミズは口をきけない」
「口をきけないのって他にもいっぱいあるでしょ?」
「ミミズじゃなかったらミジンコ、あるいはゴカイ。おまえなんかは魚の餌になればいい、と言ってあげる」
「……変なの」
 涙ぐんでいたようだった彼女は、急にくっくと笑った。
「そいつはあなたの彼氏?」
「彼氏になってほしいの。あたしはあいつの彼女になりたい。でもね、あいつはあたしなんかただの友達だって言う。キスもしてくれない」
「……そうかぁ」
 ミミズだのミジンコだのになっちまえ、となら言えるが、いくら口が達者だと定評のある俺にしたって、この状況で言える適切な言葉は思い浮かばない。困惑するしかない俺に、彼女は言った。
「お兄さんはロックやってるひとじゃないんだね。服装も雰囲気もちがうもん。ロック好きの友達がいるの?」
「います。そいつはきわめつけのロックファンであって、もとロッカーでもある。そいつの部屋に行くといつもいつもロックがかかってるんで、「GROLIA」も自然に冒頭は覚えたんですよ。だけど……俺はロックにはそもそも疎くて……」
「歌はすっごくうまいじゃん。もっと歌って」
 もっと歌って、と言われても、「GROLIA」の歌詞の続きも浮かばないので、我々の持ち歌を歌ってみた。フォレストシンガーズファーストシングル「あなたがここにいるだけで」はほとんど売れていないのだが、春には新曲を出す予定になっている。セカンドシングルの「SWEET FREGRANCE」だ。 

「あなたの香りに包まれて
 あなたのぬくもりに包まれて
 眠らせて、今宵はこのままずっと…… 
 ただ、あなたを感じていられたら……」

 だせっ、なに、その歌? と彼女はとがった声を出した。
「そんな歌は嫌い」
「そうですか。すみません」
「けど……なんだか聴いたことがあるんだよね。嫌いだけど続きを歌って」
「はい」
 我々の持ち歌なのだから、続きを忘れる道理もない。五人のコーラスではじまるこの歌の、続きは本橋のソロだ。

「あなたの肌の香りは
 僕を夢の国へといざなう
 優しく細い指が僕の頬をくるみ
 僕の指はあなたの髪を梳き……」

 あーっ、思い出したっ!! と彼女は叫んだ。
「そこ、章が歌ってたんだ」
「章?」
「そうだよ。さっきのひどい台詞も章」
「……章……」
 あの章だろうか。そんな偶然があるのだろうか。
「この公園は章によく連れてこられるの。章は今はプロのシンガーなんだけど、アマチュアのころにはここで先輩たちと歌の練習をしてて、いろんな思い出があるんだって」
「章の姓は?」
「木村」
 決まりだ。木村章という名のプロシンガーは他にもいるのかもしれないが、アマチュア時代にここで歌の練習をしていて、彼女に「SWEET FREGRANCE」を聴かせる木村章は、おそらく他にはいない。
「あなたの名前は悦子さん?」
「……なんで知ってるの? あんた、誰?」
「乾隆也と申します。木村章の口から聞いた覚えはありませんか」
「……あーっ!!」
 わりあいに鈍い女性であるらしい。ようやく話がつながったのに気づいたらしく、彼女は俺をまじまじと見た。
「フォレストシンガーズの?」
「その通り」
「……うえー……なんで? なんであんたが……」
「章にとっての想い出の公園であるのなら、章の仲間である俺にとっても想い出の公園なんですよ。さっきから話していたあなたの言う「あいつ」と、俺の言う「そいつ」は同一人物だったんですね」
「そうなんだ。びっくり!!」
 タネキ目メイクをしたまん丸の目で、悦子さん……えっちゃんは俺をますますまじまじと見た。しばらく凝視してからぷっと吹いた。
「乾さん……ってさ、自分をかっこいいと思ってるんだってね」
「思ってませんよ。章がそう言ったんですか」
「言ったよ。たいした顔もしてないのに、てめえでてめえをかっこいいと思ってる寒い奴だって」
「ふむ、なるほど」
 我ながらぶすっとした返答になったのだが、えっちゃんは楽しそうに続けた。
「他の先輩のことも言ってたよ。えっとね……」
「あなたの記憶力は素晴らしいけど、聞きたくありません」
「そう? いいじゃん。言わせてよ」
背が高いからっていばってる馬鹿と、力ばっかりの馬鹿と口ばっかりの馬鹿と、女のくせにえらそうな馬鹿、と並べて、えっちゃんはわはははと大口を開けて笑った。誰をさしているのかは確認しなくてもわかる。しかしね、と俺は言った。
「他の三人は当たらずといえども遠からずでしょうね。ただし、女のくせにってなに? あなたも女性でしょ?」
「章が言ったんだもーん。あたしは知らないもーん」
 しらっと言ったえっちゃんは、俺のとなりに移ってきた。
「あたしって可愛くない?」
「俺はロックには疎いんで……」
「ロックは関係ないんだよ。あたしはどう? 章が言うほど乾さんって……ううん、いいの。章はあたしを彼女にはしてくれないんだから、乾さんの彼女にしてよ」
「あてつけはお断りします」
 一瞬怯んだものの、えっちゃんは俺の膝に手を置いた。
「あてつけだっていいじゃないのよ。男は好きでもない女とでも寝られるんでしょ? 章はそんなことはしないって言うけど、できるんでしょ?」
「できる奴もいるらしいですね」
「乾さんにだってできるくせに。キスして」
「……命令ですか」
「そうだよ。責任取って。乾さんはいっつも章にえらそうにしてる先輩なんでしょ? むかつくって言ってたよ」
 言ってるんだろうなぁ。結局そうやって都合のいい部分でだけ彼女に甘えて、恋人にはなりたくない、か。勝手な奴、ずるい奴、とも言えるのだが、そうとも言い切れない。章なりのけじめでもあるのだろうから。
「章みたいな奴の先輩なんだから、章に抱いてほしいのに抱いてくれないんだから、乾さんが責任取ってよ」
「無茶苦茶だね。あなたは章が好きなんだろうけど、章はあなたに恋をしていない。それでもそんな男に抱かれたい? 遊びでいいのか、って訊かれても寝る?」
 しばし逡巡してから、えっちゃんは曖昧にうなずいた。
「あなたがそれでもいいんだったら、俺にとやかく言える問題ではないね。俺には章の気持ちもわかるよ。だからって章のかわり? 死んでもいやだ」
「……硬いんだね」
「俺が責任を取る問題ではない。俺は好きだと思えない女性は抱かない。帰ろう」
「……送ってくれるの?」
「そういう責任だったら取りますよ。俺の後輩の章が悲しませたあなたを、ひとりきりで帰らせるわけにはいかないでしょ。章の先輩として、男として送っていきましょう」
 できるのはそこまでだよ、とまでは言う必要もないだろう。えっちゃんは恨みがましい目で俺を見つめ、諦念したかのように立ち上がった。
「すげえヒールだね。えっちゃん、老婆心ながら忠告していい?」
「老婆? 乾さんってお婆ちゃんなの?」
「俺はなにがどうなってもお婆さんにはならないよ。ばあちゃんっ子だった昔はあるけど、そういう意味じゃない。よけいなお節介をしてもいい?」
「なに?」
「章は言わないのかな。その高いヒール……俺より背の高い女はいやだ、って言わない?」
 言うよ、とえっちゃんは憤怒の形相で応じた。
「化粧が濃すぎるだとか、俺より背が高くなるなだとか、きゃんきゃんうるせえんだとか、スーの話しなんかするなだとか、いちいちあたしの言うことにケチつけるんだから」
「……恋人になってもくれない男の言うことなんか聞かない、か。今どきの女の子は男の言うことなんか聞かないよね。あなたにはあなたの主義があるんだろうけど、章は背が低いんだから、いっしょに歩くときには慮ってやってくれないかな」
「おもんぱか?」
「……気を使ってやって。そのブーツだとえっちゃんの背丈は、俺と変わらなくなって章が腐る」
「腐る? あいつは女の腐ったような奴って意味?」
 どうも話が噛み合わない。章にしてもかなり語彙が豊富なほうなのだが、彼女は章の台詞の意味がわかっていて会話をしているのだろうか。それこそお節介だろうから、そこまでは突っ込まずにおいた。
「章もよく変な言葉を使うけど、乾さんって章以上だね。ね、乾さん?」
「はい?」
「あなただとか敬語だとか、あたし、男にそんなふうに話しかけられたことはないかも。礼儀正しすぎて調子が狂うよ」
「そうかな」
「……そんなのはどうでもいいんだった。あのね、乾さん、あたしが……乾さんに……内緒にしておいて」
「章に? 承知しました。おまえの来世はミジンコだ、とは言ってもいい? さりげなくそれとなく、ね」
「それは言っていい」
 責任取って、章のかわりに……と言ったのは、えっちゃんの本音ではなかったのだろう。後悔しているのか。章には内緒にして、とは、けなげな女の子じゃないか。だからといって、えっちゃんを恋人にしてやれよ、とは俺には言えない。黙ってしまったえっちゃんと歩いて、地下鉄の駅にたどりついた。
「ここでいいよ、ありがとう」
「気をつけて」
「乾さんって……あたし、章なんかじゃなくて乾さんを好きになればよかった。ううん、駄目か。あたしはロッカーしか好きにならないし、乾さんもあたしなんか好きじゃないんだもんね。あたしはフォレストシンガーズの歌なんか大嫌いなのに……章も大嫌いになれたら……バッカみたいバッカみたい」
 泣くのをこらえているような顔をして、えっちゃんは地下鉄の階段を駆け下りていった。
 章の想い出の公園だからこそ、えっちゃんもたったひとりで公園に来てベンチにすわっていたのだろう。他人の恋に俺がくちばしをはさめるわけはないけれど、切ない女心に感情移入してしまったようで、俺も切ない心持ちになっていた。翌日、さりげなくそれとなく、歌にしようか、と考えて、俺は章の前で歌った。

「もしも生まれ変わったら
 また私に生まれたい
 この身体とこの色で生き抜いてきたんだから
 …………
 あつかましい
 生まれ変わったらミミズかミジンコだよ、おまえは」

 はあ? と章が俺を見返した。
「最初のほうは知ってる。途中からのはなんですか」
「うん? 俺、なんか言ったか」
「言ったよ。なんですか?」
「おまえの空耳だよ」
 えっちゃんから聞いた俺たちに対する論評にしても、そうか、おまえはそう考えてるんだな、と言ってやりたかったのだが、言えない。秘密厳守は貫かねばならない。よくよく考えてみれば、えっちゃんの台詞がすべて、章の口から出たそのままとも限らないので、問い質したい気はあったのだが。
さりげなくミミズ、ミジンコは口にしたので、それでいいことにしよう。えっちゃん、言ってやったからね、と心で話しかけて歩き出したら、章が追いかけてきた。
「ミミズかミジンコって俺?」
「ほお、自覚はあるんだな。おまえは生まれ変わったら口をきけない生き物になるんだろ」
「意味わかんねえよ。なんで俺が口をきけなくなるんですか。それは幸生でしょ」
「幸生も俺も口がきけないと生きてる張りがないから、喋れる生き物に生まれ変わらないといけないんだ。地球上で喋れる生き物は人間だけか。エイリアンでもいいから、言葉を持つ生き物に生まれ変わりたいもんだよ」
「乾さん、なに言ってんですか」
「なにやら言ってたおまえの舌を、横合いから引っこ抜いてやりたかったな」
「……全然わかんねぇっ。なにやらってなに?」
 つまり、章はえっちゃんにああいうふうに言って、鼻の骨が折れかねないほどのパンチを食らったのだ。因果応報ってやつであろう。
「もって他山の石とせよ、とも言う。幸生、お互い気をつけよう」
「は?」
 ふんふんと鼻歌まじりにスタジオにやってきた幸生に言うと、彼も目をぱちぱちさせ、章は幸生にすがった。
「幸生、乾さんがさっきから意味不明の台詞を連発してるんだよ。俺、乾さんになにかしました?」
「おまえは俺にはなにもしてないよ」
「乾さんにじゃなかったら誰に?」
「章はしょっちゅう誰彼にとなくなんかしてるから、俺にも咄嗟にはわかんないな。乾さん、なになに?」
「おまえには一切無関係だ」
 言い捨てて足を速めた俺の背後で、幸生と章はああだこうだと言い合っていた。


4

 がやがやと男たちの声がする。新曲発表前のPRのために訪れていた、ラジオ局の廊下だった。
「トミーさんの声がしてますね」
 本日は幸生と俺がこの局に、リーダー本橋は単独で別の局に、シゲと章はまた別の局にと、分担しての仕事だ。ラジオ出演をすませて廊下に出たら、幸生が立ち止まった。
「よお、乾くんに三沢くん。久し振り」
 会ってしまった。ジャンルちがいとはいえ、同業者となったのだから今後も会う機会はあると考えていたのが当たっていた。トミーはにこやかに手を上げ、幸生と俺も彼に会釈した。
「今日はスタジオライヴをやるんだよ。お客さんは入ってないんだけど、局のスタッフたちが聴いてくれるんだ。仕事は終わったんだったら、きみらも聴いていってくれる?」
 売れっ子はスタジオライヴか。名もない新人は自己PRに必死だが、ここらへんは彼我の人気の差だろう。よかったら来て、と言い置いてトミーはスタジオに入っていき、幸生は言った。
「乾さん、俺、聴きたいな」
「おまえはロックは好きだったか」
「特別に好きでもないですよ。章ほどのロック趣味はないけど、音楽だったらなんにでも興味があるし、ブラックフレームスとなると興味津々。乾さんはいやですか」
「いやじゃないよ。行こうか」
 ブラックフレームスの音楽は強いて聴かないようにしていたのだが、生で聴けるとなると別だ。技量のほどを知りたい。トミーの生ギターも、広い意味ではライバルに当たるユズルのヴォーカルも聴きたくて、幸生と俺はスタジオに入ろうとした。
「おい、部外者は立ち入り禁止だよ。あんたらはブラックフレームスのファンなんだろ」
 横柄な態度の男が俺たちの前に立ちふさがり、幸生は口をとんがらせた。
「トミーさんが誘ってくれたんですよ。チケットがいるんですか」
「チケットはいらないけど、トミーさんが誘ったって証拠は?」
「トミーさんに確認して下さいよ」
「彼らは準備中だよ。スターさんにそんなことは聞けない。ファンは帰りな」
「俺ら、ただのファンじゃないんだけどな……俺たちは……」
 背中をつついて黙らせて、俺は言った。
「ファンは帰りな、って、ファンってものはミュージシャンにとってなによりも大切な存在だと、あなたはごぞんじないんですか? 部外者が紛れ込んできたら迷惑でしょうけど、口のききように気をつけて下さい。我々はブラックフレームスのファンではないが、本物のファンだったら気を悪くしますね。それでブラックフレームスのファンをやめようとなったら、あなたはファンの方々にも、ブラックフレームスの面々にも申し開きが立たない。いいんですか」
「なんだと、生意気な……」
「生まれつき生意気にできてましてね。年長の方に向かってのご無礼の段はお許し下さい。しかし、あなたもこういう場所で働いていらっしゃるんでしょう? それぞれのミュージシャンのファンの方への対処法は学んで下さい。若輩者が生意気を言って、たいへん失礼しました。幸生、帰ろう」
「……は、はい」
 しかめっ面の男に馬鹿丁寧に礼をして、俺はきびすを返した。
「幸生、おまえの言い草もなってない。ただのファンじゃない? ただのファンより俺たちは上なのか」
「ごめんなさい。失言でした」
 章ならばあれこれ言い訳するのだろうが、幸生は詫びるのは潔い。むしろこちらがバツ悪くなった。
「俺こそごめんな。八つ当たりめいてたよ」
「いいえ。俺は考えも言葉も足りないな。ああ、乾さん……隆也さん、あたし……だから隆也さんって好きぃ」
「こんなところでやめなさい、ユキ」
「いやんいやん。早くふたりっきりになれるところへ行きましょ。隆也さん隆也さん、ふたりっきりになったら……想像したらぞくぞくしちゃうわ。ユキちゃん、じわじわーんと……あへ?」
 立ち止まった幸生がほげっと見上げたのは、ラジオ局のディレクター氏だった。長身の彼女はくっくと笑いながら言った。
「三沢さんの芝居は堂に入ってますね。乾さんとはそういう関係?」
「はい、こういう関係です。花菱さん、さきほどはどうもです」
 花菱さん、と姓のみしか知らないのだが、彼女はさきほど我々が出演させてもらった番組を担当している。先刻のやりとりも聞いていたらしく、言った。
「乾さんって……お若いのにね……なんて言ったら私は年寄りみたいだけど、あなたたちよりはだいぶ年上だし……うん、ね、三沢さん、乾さんといっしょにまた出て。その芝居、やってくれます?」
「喜んでっ!!」
「ほんとに喜んでるんだ。乾さんは?」
「幸生との芝居をやらなくちゃいけないんですか。仕事とあらば受けさせていただきます。よろしくお願いします」
 こちらこそお願いします、と改めて言い、花菱さんは俺をまっすぐに見た。
「乾さんのそういう姿勢は、心からのものですね。乾さんの目や声にあらわれてましたよ。そんな乾さんがいるんだもの。フォレストシンガーズは売れないわけがないと私は思いますよ。ちょっと待っててね」
 謎めいた言葉を残し、花菱さんはガードマンであるらしき男に近づいていった。途端に男は態度をがらりと変え、花菱さんになにか言われてへどもどしている。花菱さんは戻ってきて指でOKサインを出した。
「我々だってファンよりえらいわけでもないんですよね。よく自分に言い聞かせておきますよ。ブラックフレームスのライヴ、聴いていらして下さいな。ユキちゃん、乾さんって素敵ね。私がもらっていいかしら?」
「駄目。乾さんはユキちゃんのものだもーん」
「そうだったね。おふたりで幸せになってね」
「五人で幸せになります。中でも隆也さんとユキちゃんは特別に……ねぇ、隆也さーん?」
「それはもういいからな」
「もうおしまい?」
 もっとやってよぉ、と冗談っ気の多い花菱さんに見送られて、幸生と俺はスタジオに入っていった。ガードマンが苦々しげな表情を向けるのに、ふたりしてにっこりしてみせて中に入ると、さまざまなスタッフたちが立ち見でブラックフレームスの演奏を待っていた。
 なかなかに熱気があふれている。若い男女が中心だが、中年もいる。比較的広いスタジオのステージにブラックフレームスが登場すると、ライヴハウスのごときノリになった。
「今日はどうもありがとう。ここから生録だからね、みんなの声も電波に乗るよ。さてと、まずは一曲、「黒い炎」行くよーっ!! 準備はいいかーっ!!」
 おーっ!! とどよめきが応じ、ユズルが歌いはじめた。ユズルとトミーはルックスがよく、他の三人の顔立ちは凡庸ではあるのだが、ロッカーなだけにファッションや雰囲気は決まっている。歌はフォレストシンガーズのほうがうまい、と俺は最初はライバル心に燃えていたのだが、次第に引き込まれて邪念は去った。
 いくつかのステージをこなしてきた俺たちも、拍手と歓声を浴びさせてもらった経験はある。ロックバンドではないのだから、若者たちの熱狂の渦の只中に、俺たちが主役としての身を置いたことはないけれど、ひとりずつでも俺たちのファンの方がふえてきていると信じて、俺たちも歌いたい。あんたたちのように歌いたい。
 いつしか俺も、トミーに対するわだかまりを一時棚上げにして、その場に集う人々に溶け込んでいた。ライヴの醍醐味ってこれなんだな、と実感しながら。


「実はちらっと聞こえてたんだよ」
 飲みにいこうか、とトミーが幸生と俺に声をかけてくれ、ブラックフレームスの仲間たちとは別行動となって、三人で居酒屋に腰を落ち着けた。幸生と俺も今日の仕事は終了している。トミーは長い髪をひとまとめにしていて、そうしているとそうは目立たないらしく、居酒屋にいてもサインをほしがるファンの方とは遭遇しないらしかった。
「ファンか……乾くんはそんなふうにね……」
「俺たちにはファンのひとなんてそんなにはいないんですけどね」
「章にはいるんですよ」
 幸生が言った。
「あいつはあんな顔してるし、もとロッカーだからね。ジギーのころには人気があったんだって。そうそう、トミーさんはグラブダブドリブって知ってるでしょ?」
「もちろん。俺たちもあんなにうまくなりたいよ」
「そういうものかぁ。乾さんは知ってます?」
「いくらロックに疎い俺でも、ブラックフレームスもグラブダブドリブも知ってるよ」
 ブラックフレームスはデビューしてから二年ほどか。グラブダブドリブにしてもキャリアはブラックフレームスとさして変わらない。ロックをやっているバンドは超メジャーにはなれない傾向があるようだが、現在日本ではこのふた組のバンドが人気を二分しているかもしれない。
 他にもロックバンドは多々あるものの、実力ではグラブダブドリブがピカイチだとは俺も聞いていた。加えて、グラブダブドリブは五人のメンバーがそろいもそろって美青年で、ルックスの面では俺たちは足元にも及ばない……とっと、すぐにライバル心を燃やすのは俺の悪癖だ。本橋の負けず嫌いが伝染しつつあるらしい。
「そのグラブダブドリブのね……俺、びっくり仰天、口をあんぐり、だったよ」
「なにについて?」
「トミーさんもびっくりするかな。章はグラブダブドリブのドラムのひとと知り合いなんですって」
「ドルフ・バスターだよな」
「そうです。乾さんは知ってました?」
「初耳だよ」
 きわめつけロック志向の章は、歌うほうはともかく、聴くのはロック一辺倒である。幸生が章の部屋に遊びにいっても、章がかけるCDはロックばかり。ふたりしてバトルゲームで対戦していてさえも、章はロックを流したがる。幸生とふたりでグラブダブドリブのCDを聴いていたら、章が言ったのだそうだ。
「出世したなぁ、彼は」
「彼って誰?」
「こいつ」
 CDの中にはさまっている歌詞カードを広げ、章は指で示した。真っ赤な髪のアメリカ人ドラマーだった。
「俺たちと同類のアマチュアロッカーだったんだよ。俺は女の子バンドジギーでただひとりの男。ドルフは女の子バンドプシィキャッツでただひとりの男。見た目も中身も大違いだけど、男はひとりだけってのは同じだったから、時々話したんだ。俺は昔からこうでさ」
「こうって?」
「わかってるんだろうがよ。弱気で弱虫でだらしねえ奴だよ」
 自嘲して言い、章は続けた。
「ドルフは全然そんなんじゃなくて、でかくて強くてたくましくてかっこよかった。俺、リーダーに言われたときにドルフを思い出したよ。ドルフにも言われたんだ」
「男だろ、しっかりしろって?」
「うん、鍛えれば強くなれる、要は精神力だ、ってさ」
「昔からそう言われてるんだな、おまえって」
「そうだよ。悪かったな」
 誰しも考えるのは同じだな、と幸生が笑っていると、章は言った。
「ジギーもプシィキャッツも解散して、ちりぢりになった。ジギーの女の子たちがどこでどうしてるのかは俺は知らない。プシィキャッツもそうなんだけど、ドルフはここにいる。プシィキャッツはドルフも女たちもみーんな背が高いんだけど、その中でもひときわ目立つ女、目つきの悪い女、チカ、ギタリストだ。チカはイギリスで武者修行中らしいよ。かっこいいよな」
 なんだそうですよ、と幸生はトミーを見た。
「ギタリストのチカ……加西チカか。名前は知ってるよ。章くんは有名人と知り合いなんだな」
「そうなんですよね。章はやっぱ俺たちとは若干、生きてる世界がちがったんだな、って思ってしまいました」
「引け目を感じるのか」
 尋ねてみたら、幸生は勢い込んで応じた。
「俺もそのうちには有名になるもん」
「そうだよな。そうでなくっちゃやってられないよ」
「お、乾くんの目が光った」
「乾さんのこの目って……」
 幸生がトミーに内緒話をしかけ、ふたりでうむうむとうなずいている。俺の目? 自分では見えないので目を押さえていたら、トミーが言った。
「訊きづらいんだけどさ……乾くん、俺になにか確執がある?」
「ありませんよ」
 気づいていたのだ。章も気づいていたのだから、幸生もなにか察しているにちがいない。トミーも気にしていた。
「俺には思い当たるふしはないんだけど、前に会ってる?」
「大阪でが初対面でしょ」
「そのはずだよな」
「トミーさんには彼女はいるんですか」
 なにげないふうで尋ねたら、トミーが遠くを見やるまなざしになった。
「忙しくてそんな時間はない」
「もてるでしょ?」
「もてなくはないつもりだけどね」
 もてるっていえばさ、と幸生が口をはさんだ。
「リーダーももてます? 乾さんがメッチャもてるのは知ってるし、章ももてるらしいけど、リーダーは謎だよ」
「あいつがもてないはずはないだろ」
「そう? 美江子さんにも訊かれたんだよね」
 本橋くんって、俺はもてるんだっていばってみたり、俺なんかもてねえよってひがんでみたり、どっちがほんとなの? とミエちゃんは幸生に質問し、俺はよく知りません、と幸生は逃げたのだと話した。
「本橋くんは男っぽくて硬派タイプだから、ああいうのが趣味って女は大勢いそうだよな」
「トミーさんの言う通りだよ。男の男気に惚れる女は、この現代日本にもまだまだ生息してるんだ」
「軟派な男の可愛げに惚れる女は?」
「いる。安心しろ、幸生」
「安心しましたぁ」
 話がそれていたのを、トミーが引き戻した。
「昔はね……ライヴハウスってのか、酒場ってのか、どっちもありの店でバイトしてたときには、同棲してた彼女がいたんだよ。ちょっとひねくれ者でさ、世をすねたようなところもあったけど、いい女だった。どうしてるかな、あいつ」
「ギターのバイトですか」
「うん。なににしたって昔の話だけど、あいつは……」
 そろそろと探りを入れているようにも感じられる幸生に、トミーはその名は告げなかった。だが、「月影」「尚子」の名は俺の耳に聞こえた気がした。
 尚子、幸せになってるか、なってるといいな、とトミーは心で言っているのだと、俺は決めた。そうではないのかもしれないけど、そうだと俺は信じる。センチメンタルだってかまわない。いっときは俺も愛したひとを、トミーも愛していた。今、トミーと俺は同じ女性を想っている。
「乾くんももてるって? そりゃそうだよな」
 想いを振り切るようにトミーは言い、俺も想いを振り切った。あれっきり一度も会うこともなかったひとだ。俺はトミーを悪い奴ではないと決めた。あなたはいい男と恋をしていたんだよ、と尚子さんに胸のうちで言って、すべてを思い切ろうとも決めた。
「もてませんよ。ふられてばっかりですから」
「ふられたふりして実はふってたりとか?」
「おー、トミーさん、鋭い」
「馬鹿か、てめえは。ふりなんかしてねえっての」
「へえ、乾くんもそんな口をきくんやな」
 以前もそうだったのだが、トミーは酔うにつれて大阪弁が出てくるタチであるようだ。もてるだのもてないだの、ふられただのふっただの、女ってのはどうもな、だの、歌やロックの話だの、子供時代、学生時代、故郷の話だの、会話があっちにそれ、こっちにそれ、すっかり酔って外に出たときには、夜が深くなっていた。
「今夜は風が強いわねぇ。隆也さん、ユキちゃんをそのコートの中に包んで」
「……歩きにくいから断る」
「ああん、つめたいんだ。ユキちゃん、泣いちゃうから」
「泣けよ」
「トミーさーん、隆也さんが意地悪するの」
「ええからふたりでやっててな。俺を巻き込まんといて」
「トミーさんもいけず」
「いけず? 変なイントネーションやな。いけず、言い直してみ」
「いけず?」
「いけず、や」
 いけず、とは意地悪という意味の関西弁だ。いけず? ちゃう、いけず、や。とトミーとやり合っていた幸生が降参した。
「むずかしすぎるー。トミーさんのいけずぅっ!!」
「よし、それで合格」
「ほんまどすか?」
「ほんまどすか、やろうが。三沢くんの関西弁はひどいな」
「だって俺、横須賀人だもん。生粋の関東人だもん。そうじゃーん、スカボーイじゃーん、じゃん」
「じゃーんじゃーんのじゃじゃーん」
 横須賀大阪金沢、生まれも育ちも別々の俺たちが、こうして三人で歩いているのはなんのお導きなのだろう。幸生はトミーにまかせて空を見上げると、突風が吹いた。
「春一番かもね。乾さん、トミーさん、歌いましょう」
「キャンディズか。ええなぁ」
 ロックバンドのギタリストと男コーラスグループのメンバーが、ふたりでキャンディズを歌うとは一興であろう。俺は参加せずに聴いていた。

「風が吹いてあたたかさを運んできました
 つくしの子が恥ずかしげに顔を出します
 もうすぐ春ですね
 彼を誘ってみませんか」

 世にも可愛い声を出す幸生に、トミーががっくりした様子で、負けた、と呟いた。幸生は嬉しそうに、勝った!! とガッツポーズをする。
 春一番か。俺たちにも早く春が来るといいな、仕事の面で春が来たら、私生活にもきっと訪れる、野にも山にも町にも花咲く春が。そうと信じて歩いていこうな、幸生、と見つめると、乾さんも歌おうよ、と幸生が誘っている。俺も加わって歌い出すと、夜道に時ならぬ男声コーラスの「春一番」が響いていった。

END





 
 


 
 
  
 



 



 

 





 
 
 
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~ Comment ~

春一番というから…

あったかい話かと思ったら、けっこうまだ寒かったんですな。
そして、乾くん、えっちゃんには会うし、尚子さんの元彼の心中を探ったりして…
おおおお! なんや? そういう‘春’の気配???
(いや、かんけ~ねぇだろう(^^;)
今まで出てきた人々の総集編みたいで、いろいろ思い出しました。

人の出会いってなんか不思議だぁ、と思う。
物語の中でも、現実でも。
事実は小説より奇なり、とは館長がよく使うフレーズですが、プロの作家さんも言いますね、自作なんかより現実のドラマの方がすごい! って。

だけど、さすがに伊坂worldにかなう現実はないと思う。fateは彼の世界を愛している!
と、同じように、この世界も大好きです。
こちらはリアリティがある。
そして、たくさんの人間がここに生きているのが分かるから。

こちらブログサイトでは、つきしろさんの次にあかねさんに出会った気がします。
ということはかなり初期ですね。
出会いに感謝です。

来年も懲りずによろしくお願いしたします(^^)
どうか良い年をお迎えください。

fateさん、新年おめでとうございます

2012年初お返事、fateさん、ありがとうございました。

たしか去年の後半にfateさんがふとコメントをつけて下さって、それからfateさんつながりで何人かの方と知り合ったのだと思います。

fateさんのブログからたどって来たとおっしゃる方や、私がfateさんのところからたどって訪問した方やらが、読んで下さるようになったのですよね。

本当に感謝しています。

フォレストシンガーズはまだしばらくは「冬の時代」ですけど、いいことだってありますから、がんばって行きますよ~
応援してやって下さいね。

私はプロ作家さんでひとりだけ「好き」と選ぶのはできませんね。そのときどきで好きな作家も変わりますから。

今だったら柴田よしきさんとか乃南アサさんとか、女性ミステリ作家が好きです。
愛してるのはやっぱり自分のキャラかなぁ。ナルシストですね。ほんと。

こちらこそ、お見捨てなきよう、よろしくお願いします。

NoTitle

「あつかましい
 生まれ変わったらミミズかミジンコだよ、おまえは」

・・・ある意味、真理を突いているんですよね。
生まれ変わったら、ミミズかミジンコかもしれないので、日々一生懸命生きなきゃいけないのだ・・・と思うようになりましたね。

昔は生まれ変わったら・・・というのを思っていたんですけどね。
今は、自分の人生を最良のものにする為に日々仕事をしています。
亡くなるときも含めて。自分が今亡くなったら、臓器提供してくれ、などなどは自分の親兄弟には伝えています。

・・・なんか私のコメントはいつも浮いていますね。申し訳ありません。

LandMさんへ

いーえー、浮いてませんよ。
いろんな方がいろんなふうに受け取って、いろんなふうに解釈してくださるのはとてもありがたく興味深く嬉しいです。
いつもありがとうございます。

私は生まれ変わるのでしたら、樹木になりたいです。
学校の庭に立つ樹木なんていいですね。
風が吹いてきたり、小鳥がやってきたりして話をしてくれる。
子どもたちや大人たちの人間模様も黙って見ていられる。
これは傍観者気質ってものなのでしょうか。自分が当事者になるよりも見ていたいのです。
もう人間には生まれ変わりたくないなぁ。

臓器提供はいいことなのでしょうが、死んでいたら麻酔もかけずに切られるんですよね。
痛覚が残っていたらどうします? ぎゃああ、痛いの嫌い。
……失礼しました(^^;

あかねさんへ!!

暫くぶりのコメントです。汗)
温泉治療とか、散歩を再開して酒を断っていたもので元気をなくしブログを開く元気もなかったのです。汗)いずれはしたいと希望しています。せめてもの倍返しですね^^。笑)又宜しくお願い致します。
虎はとうとう何時もの通り負けてしまいましたね^^。監督の責任で、愈々、川藤か掛布に変えた方がと主思っています。情けないことですが・・・

荒野鷹虎さんへ

コメントありがとうございます。
お加減いかがてすか?

え? 川藤さん?
掛布さんも……私はあまり監督向きではない気がしますが、一度やってみてもらうのもいいかもしれませんね。川藤さんは勘弁です。
大阪読売放送では、川藤&赤星コンビの解説だとまず負けるというジンクスがあります。
CS第一試合はそのコンビプラスマエケンだったのですから、負けて当然だったのですよね(^^;

最近の監督としては、私は岡田さんがいちばんよかったです。
なんといっても彼には「阪神愛」を感じ取れました。
ノムさんも星野さんもあまり好きじゃなかったし、早く矢野さんにやってほしいかな。まぁ、矢野さんも未知数ですけどね。
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