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小説112(Take me out to the Ball game)

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トラッキー


フォレストシンガーズストーリィ112

「Take me out to the Ball game」



 近所のグラウンドで俺が卒業した大学の野球チームと、地元のおじさんやお兄さんたちの草野球チームが試合をするという。今日はちょうど休みなので、野球となると見たくなって、俺はグラウンドへ出かけていった。
 我々フォレストシンガーズも、スタジオや事務所のスタッフたちを加えてたまに野球をするのだが、俺たちのチームには名前はない。俺はユニフォームを作ったのだが、他の人々はてんでばらばらの服を着て試合に臨む。本格的な試合でもないし、真剣に野球が好きなのは俺だけなのかもしれないので、仕方がないのであるが。
 本橋さんや幸生にはプロ野球のひいきチームがあるのだが、彼らは見るのが好きなのであって、俺のように野球をやるのが好きなのではない。俺は両方好きなのだが、ま、ミュージシャンにとっての野球は、真剣にやるものではないのだろうから、それも仕方ないのだろう。
 さて、彼らのチームはなんという名前だろうと、グラウンドに到着した俺はまずはそこを見た。すでに試合ははじまっているので、ユニフォームを見ると、胸に両方のチームの名前が読み取れた。
 かたやフォレスターズ。フォレストシンガーズとやや似ているのは、我々もグループ名を決めるときに、出身大学の名にちなんでつけたからだ。フォレスターズは俺たちの母校の野球チームなのだから、フォレストがつくのだろう。森の星たちという意味か。
 ただし、彼らは正式な野球部ではないらしい。趣味的に野球の試合で遊びたい、楽しくやっていればいいという、楽をしたい奴らなのだろう。大学には野球部もあるのだが、彼らは同好会だ。フォレスターズは森の緑のユニフォームを着ていた。
 一方はフロッグス。こちらが草野球チームであろう。カエルたちか。カエルみたいな緑いろを基調としたユニフォームを着ている。双方ともに緑なのでまぎらわしいのだが、フロッグスのほうは黄緑に近い。区別はつくだろう。
 帽子のチーム名イニシャルも、双方ともにF。白地に緑も同じ。なにかにつけてまぎらわしいのだが、楽しくやればいいのだからいいとしよう。俺も楽しく見物させてもらうことにした。
 こっちは見学者なのだから、ただただ楽しく見ていればいいのだが、野球となるとつい真剣になってしまう。誰ひとりとして知っているひともいない上に、ユニフォームに名前が書いてあるわけでもない。そこはプロ野球ではないのだから当然だ。なのに、俺はついつい叫んでいた。
「そこの五番の人、バットの持ち方がなっちゃいないですよっ!! もっとこう……そうそう、こうですよ。それで打てるようになるかって? そこまでは知りませんけどね」
 打者に声をかけて身振りまでしたり、守備をしている人に声をかけたりして、俺はいつしか本気モードになっていた。
「キャッチャーのひと、そんなんだから落球するんですよ。こう、すわり方がまずい。こうです。こうですったら」
「うるせえな。あんた、誰? 草野球にスカウトに来たってんでもないんだろ?」
「スカウトではありませんが、ああ、見てられない」
「うるせえってんだよ。あんたは野球がうまいのか。自称、名選手か」
「いえ、うまくはありません。すみません」
 怒られたのでおとなしくしようと、見学に熱中した。
 それでもついつい、いらぬお節介を焼きたくなる。俺がきちんと野球をやっていたのは小学生時代で、少年野球でさえも下手くその万年補欠だったのだが、野球となると熱が入る。最近は仕事がまずまずあるので、プロ野球ばかりは見ていられないが、テレビで見ているときにも熱中して、ひとりで叫んでいるのだから。
 もしかしたら、うちの野球チームが試合をしなくなったのは、俺がうるさかったからか? もともとみんなそんなに好きではないと言っても、勝負ごとには熱くなる本橋さんあたりは、試合となると張り切っていたのだが、俺が小うるさいからいやになったのだろうか。
「そんなこと言ったって、できませんよ。本庄さんが内野も外野もやればいいんだ。俺はしんどいのは嫌いだーっ」
 章は叫び、幸生は言った。
「シゲさん、ひとりで全ポジションを守って、縦横無尽の大活躍ってどう? 俺は声援してあげる。きゃーっ、シゲさんっ、かっこいいっ!! よーっ、大統領っ!! 野球の天才っ!! さっすがもと野球選手!! なんでプロからスカウトが来なかったの?」
 本橋さんは言った。
「おまえ、野球となると目の色が変わるな。人も変わるんじゃないか」
 乾さんはこう言った。
「ほんとはシンガーじゃなくて、野球選手になりたかったんだろ。今からでも遅くはない。もう一度鍛え直してプロを目指すか」
 などなどと言われていたのは、俺が彼らの守備や打席に口出ししたからで、だからこそ、みんなは野球チームなんていやになって……そうとも考えられる。見学していてさえもやかましく言ったら、水でもぶっかけられるかもしれないので、口を閉じて試合を見ていた。
「お兄ちゃんっ!! 打て打てっ!! ホームラン打ってっ!!」
 黙っていると、甲高い子供の声が聞こえてきた。応援に来ているのは試合をしている彼らの身内や友達だろう。この子はチームの誰かの弟だろうか。見てみると、子供はタイガースの帽子をかぶっていた。
 男の子だ。小学校の低学年か。俺が人生で一度も出した覚えのないボーイソプラノで、きゃあきゃあ騒いで飛び跳ねている。俺がじっと見ていたせいか、彼が話しかけてきた。
「あーあ、お兄ちゃん、外野フライだ。ねえ、あのおじさん、さっきはピッチャーやってて、一度は代打を出されたんだよ。なのにまた、今度はファーストやってる。あんなのってあり?」
「草野球はプロ野球とはルールがちがうんだろうね。代打を出されても、もう一度出てくるのはありなんだよ。きみ、ひとり?」
「うん。うちは近いから」
「誰かの弟さん?」
「フォレスターズの四番打者は、僕の隣の家の兄ちゃんだよ」
「なんて名前?」
「僕? トオル」
「トオルくんか。野球が大好きなんだね」
「大好きさ。おじさんも好きなんでしょ」
「ああ、えと、もちろん」
 大学生のころにだって、子供にはおじさんと呼ばれた。二年生のときに合宿所に迷い込んできた小さな女の子は、合唱部の仲間たちをお姉さん、お兄さんと呼び、俺ひとりをおじさんと呼んだ。なのだから、二十四歳の俺をつかまえておじさんと呼んでも、子供だったらしょうがないし、としか思えない。
 それでもいささかショックなので、笑みがひきつってしまう。お兄さんって呼んでくれないかな、と言って、お兄さんじゃないじゃん、と言われたらショックが倍増しそうなので、俺は言った。
「俺、シゲって言うんだ。シゲさんって呼んでくれないかな」
「うん、いいよ。呼んであげる」
「ありがとう」
「ねえねえ、シゲさん、おやつ食べる?」
 午後からの試合なので昼食はすませてきたのだが、トオルくんが開いた包みには、俺の嫌いな甘いお菓子ではなく、うまそうなサンドイッチが詰まっていた。ついつい食欲が刺激されたのだが、子供のおやつを横取りしては悪いではないか。
「いいよ。昼メシは食ってきたから」
「僕、こんなに食えないよ」
「野球やってる兄ちゃんたちと食べるつもりだったんじゃないのか」
「今はあの人たちは食べられないでしょ。おなかすいたもん。食べようよ。今日は暑いから、長い時間がたったら腐っちゃうよ」
「そうかもしれないな。いいの?」
「いいのいいの。いっぱいあるんだもん」
「じゃあ、ごちそうになるよ。いただきます」
 ハムに卵にポテトサラダに野菜をはさんだサンドイッチだ。俺はフォレストシンガーズのサンドイッチシゲだが、サンドイッチは大好物。いただくと大変にうまかったので、食欲が暴走しないようにセーブして食いながら、トオルくんと野球見物。野球談義。最高の休日になった。
「シゲさんもタイガースファンなの? 僕も僕も」
「帽子を見たらわかるよ。あのピッチャー、けっこういい球を投げるな」
「チェンジアップ?」
「俺にはそこまではわからないけど、きみはたいしたもんだね。いくつ?」
「九歳。三年生だよ」
「すごいな。今の球は?」
「フォークでしょ」
「うん、あれだったら俺にもわかるよ」
 ただいま五回表、ビジターであるわが母校の後輩たちのフォレスターズの攻撃だ。遠いので顔までは見えないが、なかなかいい身体をした四番打者が打席に立った。彼がトオルくんの近所のお兄ちゃんなのだろう。
「お兄ちゃんっ、ホームランっ!! フォアボールなんて最低だよっ!! ホームランが無理だったら流して。ほらっ、流し打ちっ!! 引っ張っちゃ駄目だってばっ!! そんなフォームだと打てないよっ!!
打ち上げちゃ駄目だよ。せめて叩きつけて内野安打っ!!」
「うるせえな。外野、じゃなくて観客席か。黙ってろ、トオル」
 声で誰なのか判明したらしく、四番打者がトオルくんに怒鳴り返した。太い声に迫力はあったが、トオルくんの言う通り、打席に迫力はない。敢えなく三振を喫し、再びトオルくんに言った。
「おまえがうるせえから気が散っただろ」
「僕のせいじゃないもん。お兄ちゃんが下手だからだよ。ね、シゲさん、あれで四番なんだから、だからフォレスターズは弱いんだ。お兄ちゃんが野球部じゃなくて野球サークルに入ってるのも、下手だからだよね」
「トオル、聞こえてるぞ」
「聞こえるように言ったんだもん」
 観客席に近づいてきて、トオルくんを睨み上げた彼は、こぶしを振り上げて言った。
「降りてこい。ぶん殴ってやる」
「やーだよ」
「きみさ、なんて名前? 子供相手に本気で怒るなよ」
 俺が言うと、彼は俺をも睨みつけた。
「あんたは誰だよ。トオルの親父じゃないよな」
「俺はまだ二十四なんだけど……えーと、一応、きみたちの大学の先輩なんだよ」
「うちのサークルの?」
「ちがう。合唱部」
「合唱部か。それでも先輩は先輩ですね。俺は上村っていいます。先輩、野球が好きなんでしょ? 代打で出ませんか」
「遠慮しておくよ」
「そうですか」
 表情をほころばせて、俺に軽く会釈して、上村くんはベンチに戻っていった。
「シゲさんってお兄ちゃんと同じ大学?」
「そうだよ。先輩って意味も知ってるんだね」
「知ってるよ。ええとええと、お兄ちゃんは二十歳で、シゲさんは二十四歳? そしたら、シゲさんが卒業してから、お兄ちゃんが大学に入ったんだね」
「その通り。トオルくんはかしこいな」
「こんなの普通じゃん」
「普通か。三年生だったらそのくらいの計算はできるよな。ごめんごめん」
「二十四歳……ふーん」
 なにを言いたいのか知らないが、しかめっ面で俺を見たトオルくんは、とりたててなにも言わずにサンドイッチをかじった。
 それからもトオルくんと俺は、熱心に試合を見ていた。試合は乱打戦の様相を呈してきて、どちらの応援をするわけでもなく見ている分には面白い。トオルくんは野球評論家顔負けの意見を述べる。専門用語もばんばん出てくるので、うへっ、負けそう、とたじろぎそうになりながらも、俺も熱意を込めて彼と野球談義を続けていた。
 どちらの応援もしないつもりでいても、一方は俺の大学の後輩たちなのだから、いつの間にやらフォレスターズをひいきしたくなる。トオルくんは当然、フォレスターズびいきなので、試合が進行していくにつれ、俺も後輩たちに声援を送っていた。
「十対九だよ。ピッチャーがへぼいよね」
「バッターがすごいんだろ」
「エラーばっかじゃん。守備が下手なんだよね」
「草野球だもんな。トオルくんも野球はやってるの?」
「やってる。僕、高校生になったら甲子園に出るんだ。シゲさんは甲子園に行ったことはある?」
「タイガースの試合を見にだったら行ったよ。俺は三重県出身だから、東京からよりは甲子園は近いんだ。子供のころに親父に連れられて、兵庫県西宮市の阪神甲子園駅にはじめて降り立ったときには、胸が最高にときめいた」
「甲子園って大阪にあるんじゃないの?」
「兵庫県だよ」
 東京の人間には、甲子園は大阪にあると思い込んでいる者も多い。小学生ならば無理もないので、俺は持っていたノートに地図を描いて、甲子園の場所をトオルくんに教えた。
「そうなんだ。僕は行ったことないんだよ。お父さんは忙しいから、そんな遠くに連れてってくれないの。今日だって一緒に来たかったのに、お父さんは仕事なんだ」
「仕事なんだったらしようがないよな。きみは高校野球大会に出るんだろ。がんばれよ」
「うんっ!!」
 試合を熱心に見てもいたのだが、そんな話もした。俺もトオルくんの年頃には、同じような夢を見ていた。中学生になるころには断念した夢だが、七年ばかり将来には、トオルくんの夢が実現するようにと祈っていた。
「先輩。出ませんか?」
「せんぱーい、打って下さいよ。俺たち、負けてるんですよっ」
 上村くんが話したようで、九回表になると、後輩たちが口々に俺を呼んだ。トオルくんも、シゲさん、行けーっ!! と叫ぶので、渋々、いや、実は喜んで代打に立った。
 ぼてぼて内野ゴロ。だったのだが、守備は上手ではない。俺の足が勝って内野安打となり、トオルくんが拍手と口笛と大歓声を送ってくれたのも聞こえていた。シゲさんっ、俊足、かっこいいっ!! と叫んでいるトオルくんに、手を振って応えた。
 結局、十二対十一で試合はフォレスターズの惜敗だったのだが、俺はひたすらに楽しかった。打ち上げにも出ませんか、と誘われたのを辞退して観客席に戻ると、トオルくんのかたわらに綺麗な女性がすわっていた。
「息子がお世話になりまして……」
「あ、お母さんですか。お世話だなんてとんでもない。僕のほうこそお世話になりました。サンドイッチもいただきまして、ごちそうさまでした」
「シゲさん、お母さんの前では俺って言わないの?」
 うう、鋭い。トオルくんはにやりとし、お母さんは言った。
「よかったね、トオル。お父さんが来なくても寂しくなかったでしょ」
「うん。シゲさん、大好き」
 じーんとしてしまって、照れ笑いでごまかして、俺も母と息子の近くにすわった。
 おいくつですか、とは聞けない。お名前は? とも聞けないので、お母さんとしか呼べないのだが、トオルくんの母親にしては若い。二十代なのではないだろうか。このお母さんよりも俺は老けているのはまちがいなくて、トオルくんにはおじさんに見えたとしても、当然だと思えた。
 ソプラノの声も綺麗で、ふっくらふわりとした雰囲気の綺麗なお母さんと三人で、彼女が持ってきてくれたミルクティを飲み、話した。秋の太陽はつるべ落とし。グラウンドのむこうに真っ赤に大きく見えていた。
「シゲさんっておっしゃるんですか? 上村さんの大学の先輩さんなんですってね。トオルから聞きました。お仕事は? なんて伺ってもよろしい?」
「えーと、まあ、えーと……」
 トオルくんも上村くんもこの近所に住んでいる。俺のアパートとも近い。すると、いつかまた会うことがあるのだろうか。仕事を曖昧にすると、怪しい奴だと思われるだろうか。
「売れない歌うたいです」
「歌手でいらっしゃるの? あら、じゃあ……」
「シゲさん、歌ってよ」
「野球の歌? 六甲おろしか? そうじゃなくて……これ、どう?」
 恥ずかしかったのだが、俺は歌ってみた。

「Take me out to the ball game,
 Take me out with the crowd;
 Buy me some peanuts and Cracker Jack,
 I don't care if I never get back.
Let me root, root, root for the home team,
 If they don't win, it's a shame.
 For it's one, two, three strikes, you're out,
 At the old ball game.」

 グラウンドには草野球選手はいなくなり、観客席にも人々がいなくなりつつある。楽しかった休日もすぎていこうとしている。母と息子は俺の歌を静かに聴いてくれていて、拍手してくれてからトオルくんが言った。
「英語だね。すげえじゃん。その歌は僕も知ってるけど、どんな意味なの?」
「訳してみるとこんな感じかな」

「私を野球に連れてって 観客席へ連れてって
 ピーナッツとクラッカージャックも買って
 家に帰れなくったってかまわない
 さあホームチームを応援しようよ
 勝てないなんて許せない
 ワン、ツー、スリー、ストライクでアウトだよ
 昔なじみの試合スタイルで」

 すげえ、シゲさんもかしこいね、とトオルくんが言い、お母さんも微笑んでいる。
 このひとが独身だったらな、と考えそうになって、俺は頭を振った。このひとが結婚してトオルくんを産んでくれたからこそ、俺は休日の午後のひとときを楽しくすごせたのだ。失礼なことを考えてはいけない。
「さてと、引越しの荷造りもだいたいは終わったから、帰って晩ごはんにしようか。シゲさん、息子をありがとうございました」
「シゲさん、楽しかったよ」
「うん。俺も……またね」
「まったねーっ!!」
 微笑んで頭を下げてくれたお母さんと、トオルくんが歩み去っていく。トオルくんはお母さんに、試合の模様を話している。上村の兄ちゃんは凡退ばっかりだったよ、との声が聞こえた。
 お母さんは引越しと言っていた。どこへ引っ越すのかは知らないが、遠くに行ってしまうのだろうか。
 ご近所さんとはいっても、今までは会った覚えはない。会ったとしても記憶にないのだから、会っていないのと同じだ。なのだから、いなくなってしまってもどうってことはないはずだが、寂しい気持ちになってしまう。
 美しいお母さんと、俺と話の合いそうな野球好きの少年は、ご近所さんではなくなってしまうのか。楽しかった一日もすぎていこうとしているから、俺は寂しいのだろうか。
「寂しくなんかないよな。トオルくん、がんばれよ。お母さんもいろいろとがんばって下さいね。ああ、そうか。ちょっとだけ寂しいのは……ヒデがいないからもあるんだ。なあ、ヒデ、今日の乱打戦、面白かったぞ。トオルくんはお父さんと見たかったんだろうけど、俺はおまえと見たかったよ。トオルくんと三人で、タイガースもしっかりしろよ、って話もしたかったな。ヒデだったら代打に出てホームランを打って、サヨナラゲームってのは……表の攻撃だからサヨナラはできないか。ヒデ……どこにいるんだ?」
 むにゃむにゃと呟いていたつもりだが、一部は声になっていた。誰も聞いていないのだから、口に出していたとしてもかまわない。誰も聞いていないのに、ヒデに聞こえるはずもないのに。
 顔を上げて夕陽に目を細める。悲しいほどに美しい夕陽が、今しもその姿を没していこうとしている。ヒデもどこかでこの夕陽を見ているのだろうか。都会にも時にはある美しい自然のドラマを、俺はじっと見つめていた。

END



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