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小説8(男は明日はくためだけの靴を磨く)後編

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フォレストシンガーズストーリィ・8・つづき

「男は明日はくためだけの靴を磨く」・後編

4

 いくぶんかは余裕もできてきた俺たち三年生の年の男子部キャプテンは、渡辺さんという。篤実温厚な高倉さん、けれん味も感じられたスター型の金子さん、前任者たちとは打って変わったタイプの男だった。渡辺さんよりも前に立ちたがる副キャプテンの溝部さんがまた、乾と俺を滅茶苦茶に敵視していた。夏休みの合宿では溝部さんがひっかき回して大混乱が起き、ヒデと呼ぶようになっていた小笠原英彦が、いみじくも言ったものだった。
「溝部さんは本橋さんや乾さんをライバル視してるんですか。年上だっていったって、溝部さんじゃ本橋さんや乾さんのライバルにもならないでしょうに。俺、合宿のときに他の奴と話してて気がついたんですよ。ライバルってのは実力伯仲している者同士でこそなりたつんでしょ。徳永さんだったら本橋さんや乾さんのライバルにもなれるけど、溝部さんではね……」
「おまえもけっこう弁が立つんだな。だからこそシゲとはいいコンビなのか」
「シゲと俺も、本橋さんと乾さんみたいになれますか。歌のほうじゃなくってですよ」
「歌じゃなかったらなにで? 乾と俺もいいコンビなのか」
「もちろん。ほら、あいつらもいいコンビになりそうですよ」
 ヒデが示した場所には、小柄な一年生男子がふたりいた。
「髪の長い、目つきの悪いほうが木村章。木村は合宿には来てなかったんですけど、もうひとりの高校生みたいな坊やが三沢幸生です。合宿のときに三沢とはなにかと話しをしました。その前からあいつらとは親しくなりかけてたんですけど、三沢って奴は馬鹿がやないがか……おっとっと、土佐弁が……」
 高知出身のヒデは、時として土佐弁を口からこぼす。金沢の乾にしろ、栃木の山田にしろ、地方出身者は東京にいると方言は使わずに話そうとつとめるもので、三重県出身の本庄繁之、シゲなんぞはめったと三重弁は使わない。ヒデにしても標準語で話そうとしているのだが、話が佳境に入ってきたり、興奮したりすると土佐弁が飛び出すのであるようだ。
「三沢は阿呆じゃないかと思えるほどに人なつっこくってね……本橋さん、あいつらの出身地も当てます? おーい、三沢、木村、こっち来いよ」
 ガキみたいにじゃれ合っていた一年生のふたりは、ヒデに呼ばれてやってきた。名前と顔とは結びついているが、彼らの人となりはよく知らない。俺は言った。
「個人的に話すのはほぼはじめてだな。おまえたちが入部してきてから半年近くたつんだから、存在は知ってるよ。名前も知ってるんだけど自己紹介してみてくれ。出身地は抜きにして」
「出身地ヌキでですか? はい。三沢幸生、経済学部の一年生です。小学生時代は少年合唱団にいました。近所のおじさんに、幸生くんは歌がうまいから本格的にやらないかと誘われたんです。俺があんまり可愛いから、このおじさんはよこしまな心を抱いて誘惑してるんじゃないかと……」
「横道にそれてんじゃねえんだよ。誘惑なんかされてないんだろ」
「されてません。おじさんは純粋に俺の歌に耳を留めてくれたようです。それで少年合唱団で歌ってました。中学生になって遅ればせながら変声期を迎え、少年合唱団を惜しまれつつ去りました」
「……変声期は迎えたのか」
「迎えましたよ。あったり前じゃん。俺も大人になりかけてる男なんですからね。実は俺、本橋さんと乾さんに……」
「そこらへんでいいよ。次」
 放っておくととめどなく喋りそうな奴だ。口では乾のライバルになりそうだな、とひそかに笑ってから、俺は木村に目を向けた。こちらは目つきがとんがっている。三沢は無邪気な顔で甘くなめらかな高音で話すのだが、木村はトゲトゲキンキンした高音で口を開いた。
「知ってるのに自己紹介しなくちゃいけないんですか。木村章です」
「学部は? 小笠原は心理学だって知ってるよな。俺は理学部、宇宙科学科だ」
「工学部です」
「木村、おまえも喋れば三沢に負けてないくせに、本橋さんが相手だからって臆してるのか」
 問いかけたヒデにも、木村は棘の感じられるまなざしを向けた。
「臆してはいませんけど、俺は幸生みたいには……」
「本橋さんは人の出身地を言い当てるのが得意なんだよ。俺は土佐だろ。土佐弁も使うから、一瞬で当てられた。乾さんもそうだったんだってさ。シゲは本橋さんにもわかりにくかったらしいけど、三重県は曖昧エリアだからむずかしかったんだろうな。それでも当たったんだぞ。本橋さん、三沢や木村はどうですか」
 あったり前じゃん、と三沢は言った。じゃんじゃん言葉は今どきどこの地方でも使うのかもしれないが、発祥の地は横浜だとも言われている。神奈川弁の一種とも見なせる。
「三沢も木村も特徴的ななまりはないな。木村は隠してるとも考えられるが、三沢は関東だ。横浜か」
「じゃんって言ったから? じゃんは俺の口癖なんですけど、章もじゃんって言いますよ」
「若い奴は言うよな」
「本橋さんは若くないんですか」
「おまえたちほど若くねえよ。横浜じゃないのか。近いだろ……鎌倉じゃないな。横須賀」
「はーい、俺はスカボーイでーす。章は?」 
 しょうむなぁ、と木村がぼそぼそ言っている。しょうむないとは関西弁だろうが、木村はわざと使っていると見える。
「北国の匂いがする。雪の匂いがする」
「……ユキは俺ですけど……」
「おまえは黙ってろ」
 おそらくこれが、俺が三沢幸生に発した「おまえは黙ってろ」の第一声だった。その後、覚えてもいられないほどに幾度も発する台詞になろうとは。
「東北じゃないよな。東北なまりだったらわかるよ。北陸だと乾のなまりと近いのか。新潟、富山ってのは金沢とはちがうよな。おまえのかすかなイントネーションの差は、北陸でも東北でもない。消去法で行くと北海道だ。北海道のどこだろ。有名な土地か。観光地か」
「観光の拠点にはなるでしょうね」
「北海道なんだな」
 むろん木村の出身地を知っているのであるだろう、ヒデと三沢は好奇心をたたえて俺を見ている。札幌、函館ではなく、観光の拠点になる土地。空港のある土地。港のある土地。
「……稚内」
「本橋さんって……北海道だってのはともかく……咄嗟に稚内が出てきますか?」
「出てきたんだよ。当たりか。おし、俺の自信が確信に変わったぞ」
「……変な……いいえ、失礼」
「変だろ、木村? 変でもいいんだよ。俺の趣味なんだから。なんの役にも立たない趣味だとしても、俺には楽しいんだからいいんだ」
「役には立ちますよ」
 三沢が言った。
「コミニ……えと、コミュケ? なんだっけ? それには活用できるじゃん? 章はぶすっとしてたのに、目が輝き出してる」
「それを言うならコミュニケーションだよ。コミュケってなんだ? コミケか」
「コミケ、おたくの魔窟?」
「コミュニケーション、社会的活動を営む上で、言語、文字、その他の視覚、聴覚などに訴える諸々を媒介として、知覚、感情、思考を伝達する手段……日本語のほうがむずかしいじゃんかよ」
「章、受験勉強の名残だろ、おまえのそれって?」
「そうかも……どうだっていいだろっ、うるせえんだよっ、おまえはーっ!!」
「おー、出た、章のヘヴィメタシャウト!」
 なんとまあ、けたたましいガキどもだ、が俺の率直な感想だった。木村と三沢は罵り合いをはじめ、しまいには蹴飛ばし合って、少年のごときハイトーンヴォイスで騒ぎを繰り広げていた。
 そのころの俺と乾は、プロのシンガーになろうとの決意を固めていた。大学三年ともなれば、そろそろ就職活動を開始しなければならない。親もうるさい。のんびり歌ってないで就職を考えなさい、と俺はおふくろにせっつかれていた。親にもそうとは打ち明けず、話したのは山田にだけで、俺と乾は幾度も相談をかわしていた。
「おまえっていいうちの坊ちゃんなんだろ。ちっとも詳しく話さないけど、なんとなくはわかるよ。匂うんだ。俺とは育ちがちがう。庶民の出じゃないな? 皇室ではないだろうけど、華族階級だとか?」
「金沢に華族はいないよ。家族はいるけど」
「……またそうやってケムに巻こうとしやがって。華族じゃなかったら士族か。加賀百万石、前田利家の末裔か」
「末裔は末裔なのかもしれない。末端だろうけど昔は士族だったみたいだ。母方がね」
 追求に追求を重ねたら、ようやく乾は氏育ちを口にした。
「現在では庶民だよ。士族なんて関係ない。父は金沢の和菓子商の主。母は華道の家元だ。父は婿養子ではないが、母方の家で暮らしてる。祖母は母の母。祖母は俺が十七歳の年に亡くなって、母が祖母の跡を継いだ」
「ひとり息子だよな」
「ああ、俺はひとりっ子だよ」
「おふくろさんの跡は……」
「俺は華道はやってない。和菓子屋のオヤジにもなりたくない。歌いたいんだ。俺の家庭の話しなんかいいんだよ」
「しかし、そういう家の息子が好き放題に勝手にやっていいのか。俺は三男だし、継ぐ家なんてものもないんだからいいけど、おまえはそうは行かないんじゃないのか」
「行くんだよ。いいんだ。俺の親との話し合いは俺がする。それよりメンバーを固めよう」
 デュオではなくグループで、とのふたりの意志も固まっていた。メンバー候補が浮上した中には、シゲとヒデもいた。徳永もいいと俺は思う。が、最終決定には至っていない。
 三年生の一年も素早くすぎさっていこうとしている。さまざまな要素を考え合わせれば、三沢と木村もメンバー候補に入れられる、そう考えていたころに、俺はキャプテンの渡辺さんから話しを聞いた。木村が合唱部を退部すると、渡辺さんに申し出てきたのだというのだった。
「学校も中退するんだそうだよ。木村にはやりたいことがあるんだそうだ。大学はその妨げになる。合唱部もしかり、だそうだ」
「引き止めないんですか」
「引き止めたかったよ。木村は素晴らしい喉の持ち主だ。ロックが好きだそうで、コーラス向きではないと彼自身は思ってるみたいだった。そうでもないんだけど、彼の心はロック一途になってしまってるんだ。なぁ、本橋」
「はい」
 次期キャプテンはおまえだよな、と渡辺さんは、俺をまっすぐに見据えた。
「やめると言っている者を無理に残しても、合唱部のためにも彼自身のためにもならない。今後もこういうことだってあるかもしれない。やめるという決意の固い者に足枷をかけるなよ。木村は惜しいよ。残ってもらいたかったよ。だけど、去るものは追わずだ。木村がいなくなっても三沢がいる。僕は三沢には将来性を見出してるんだよ。そう思わないか」
「渡辺さんの目と耳に狂いはないと俺も思いますよ。渡辺さん、相談っていうんでもないんです。乾と俺は決めてるんだから、相談するまでもないんですけど……聞いてもらえますか」
「プロを目指すのか。いいね、応援するよ。乾とのデュオでか」
 去年の合宿での際の、本橋くんと乾くんの顔はね、との沢田さんの台詞、俺たちはルックスが地味だから、と言った乾の台詞なども話すと、渡辺さんは破顔一笑した。
「顔か。プロの歌手ともなると大切なのかもしれないな。きみらの歌には顔はいらないってこともないか」
「顔はいるでしょう。口がないと歌えませんよ」
「それもそうだね。グループか。誰が候補?」
「三沢も仲間に入れますよ。木村も候補のひとりだったんですけど、あいつはロックに生きるんでしょう。すると、本庄、小笠原、徳永……他にも二、三」
「徳永はなぁ」
「賛成できませんか?」
 うーん、と考え込んで、渡辺さんはややあって口を開いた。
「性格的になぁ……徳永はきみらにえらい敵愾心を燃やしてるだろ。はたから見ててもひやひやするよ。溝部なんかはごまめの歯軋りだ。あんなのは歯牙にかけなくてもいいけど、徳永は合わないと思うよ。あいつは独立心も旺盛だから、ひとりでやりたがるんじゃないか」
「ごまめの歯軋り……なかなかひどい」
「ひどくないよ。事実だ。でも、徳永も仲間になったらいいかもしれない。六人か。本橋、乾、徳永、本庄、小笠原、三沢、性格も声もバラエティ豊かで面白そうだね。僕がプロデュースしたいよ」
「していただきたいですね」
「僕は歌じゃなくて……」
「司法試験ですか」
「僕は法学部だからね。人にはそれぞれの将来への展望がある。僕はきみたちをずっと応援してるよ。とりあえずは来年、本橋、合唱部を頼む」
 まだ決まったものでは……と口ごもると、渡辺さんはきっぱりと言った。
「僕は頼りないキャプテンだった。暴走しかねない溝部を抑えるのに精一杯で、合唱部のためにはなにもできなかった。溝部が悪いんじゃなくて、僕の力量不足を痛感してるんだ。金子さんや高倉さん、その前のキャプテンの足元にも及ばない、どうしようもないキャプテンだったね。すまなかった」
「そんなことはありません」
「あるんだよ。みんなの噂だって知ってるよ」
「俺はそうは思ってません」
「ありがとう。楽しみだな。本橋がキャプテンになった来年の合唱部も、さらに先のきみたちの将来も……」
 本当に人の性格とはさまざまなものがあるのだなぁ、と、歴代キャプテンを見ていても思う。先輩、同輩、後輩たちを見ていても思う。おのれだけしか住んでいなかった俺の心に、他人への配慮ってやつがほんのちょっと芽生えたのは、合唱部ですごした四年間のたまものだった。


 そういったわけで四年生になっても就職は決めず、歌ってばかり、走ってばかりの日々を送っていた。三年生になったシゲやヒデとは親しみを増し、三沢にもなつかれて、この三人は俺たちのグループに参加してもらいたいと強く願い、それでいてまだ言い出してはいなかったそのころ、合唱部に新一年生が入部してきた。
 毎年、合唱部には大勢の新入生が入ってくる。退部していく者もいる。続けていく者もいる。水が合う、合わないもあるのだろう。俺が男子部のキャプテンとなり、乾は副キャプテンと決まって、気楽な立場が一転して重圧がかかる。渡辺さんはああ言っていたけれど、きちんとキャプテンの責任を果たしたではないか。俺にもできる。できないと思われていたら、皆が俺をキャプテンに選ぶはずはないのだから。
 今年は夏前にもちょっとしたコンサートをやろうかと相談がまとまり、その選曲に頭を悩ませていた。その日はほぼ全員が部室に集合していて、俺の頭の中はてんやわんやと化していた。
「誰か窓を開けろ。暑い。男臭い」
 俺が言うと、乾が応じた。
「男ばっかいるんだから、男臭くてもしようがないんだよ。男の匂いを強く発散してるキャプテン? いやだったら女子部に行ってきなさい」
「あっちは女臭くて化粧臭いだろ。どっちもどっちだ。女子部? あの楽譜は女子部にあるんだよな。おーい、誰か、女子部に行って楽譜を借りてきてくれ」
 俺が行こうか、と言いかけた乾の横から、三沢が顔を出した。
「俺が行ってきます。なんの楽譜ですか」
「おまえは駄目だ。おまえが行け」
 なんで僕ちゃんは駄目なのぉ、と三沢が問い、三沢を無視して俺は、身近にいた新入生に命じた。
「酒巻だったな。おまえが行け。ここにメモしてある楽譜を借りてきてくれ」
「わかりました」
 三沢よりも背が低くてか細くて、高校生どころか中学生といっても通用しそうな子供っぽい酒巻は、しかし、声がずいぶんと低い。その低い低い声で返事をして、酒巻は出ていき、三沢が言った。
「バスに決定でしょ、酒巻くんは。日本の男ってバスは少ないんですよね、本橋さん?」
「本物の深く響きのいいバスは少ないようだな。体格の差だろ。うちにも本庄を筆頭としてバスパートの男は数名いるけど、本庄だって黒人バスシンガーみたいな本物のバスじゃないよ。こう、胸板の厚い男そのものって体格の男が、太くて深くて低い低い声を出すんだな」
「酒巻は全然胸も厚くないのに。黄色い声を出したら似合うのに」
「小さくて細い女性シンガーにも、とてつもなく声量豊かなのがいるじゃないか。あいつは例外だよ」
「うらやましいな。俺もあんな声、出してみたい。酒と煙草で喉を潰すって手もあるんですよね」
「そういうのも聞くな。やるなよ、三沢。おまえはその声が値打ちなんだから」
「そうですか。そんならやめよっと。ところで本橋さん、キャプテン? 俺はどうして女子部にお使いに行かせてもらえないんでしょうか」
「わかってんだろ」
「わかんないもーん」
「うるさいんだよ。おまえはちと黙ってろ。考えがまとまらない。乾、相手をしてやれ」
「三沢、こっちにおいで」
「はいはーい、乾さん」
 大きなデスクに紙面を広げ、コンサートで歌う曲の検討をしているうちに、酒巻が脳裏から消え失せた。頭を抱えていた俺に、酒巻よりは細めのバスが呼びかけて、意識が戻った。
「酒巻が戻ってきませんね」
「あん? シゲか。女子部で苛められてるんじゃないだろうな。徳永、見てきてやってくれないか」
「知らないね。乾が行けば?」
「……おまえはこういう些細なことでまで……」
「些細なことにまでキャプテンの威光を発揮したいのか」
「威光だなんてオーバーな……」
 行こう、行こう、魔の山へ、フニクリフニクラー、と歌っているのは三沢だ。ヒデがいっしょに歌い出し、乾は立ち上がった。
「見てくるよ。酒巻だと女の子たちの……ああ、戻ってきたな。酒巻、ご苦労さん」
「はい。楽譜を借りてきました」
 真っ赤な顔をした酒巻が楽譜を差し出し、乾は言った。
「どうした? からかわれでもしたか?」
「おまえのほっぺたってすべすべじゃん。髭ははえないの?」
 またもや三沢が口を入れ、酒巻はいっそう真っ赤になった。
「髭なんて……三沢さんははえるんですか」
「俺の名前も覚えてくれた? 嬉しいね。はえるよ。髭くらいはえる。髭もない男がなんでそんな声を出せるんだよ。本庄さん、どこまで低く歌えるか、酒巻と競争してみません?」
「馬鹿らしい」
「おまえはほんっとに馬鹿がやないがか」
「おっ、小笠原さんの土佐弁、もっと喋って」
「……うるさーい。三沢は黙れ」
 木村が大学を中退して、彼と仲良くしていた三沢は、一時期元気をなくしていた。このお騒がせ坊やが無口でいると不安にもなるのだが、近頃はすっかりもとのテンションを取り戻している。そうなると、俺では手に負えない。黙れと言っても三沢の口は閉じる暇もなく、酒巻になにか言ったり歌ったり、かと思えば、コーラスについての的確な意見を口にしたりもする。どうにも得体の知れない奴だ。
 一年のときにはゆかり、二年のときには乃理子とつきあっていた俺には、四年生になって大学生活三度目の彼女ができていた。彼女は短大卒業後に就職していて、名は一美という。女には珍しい怪獣好きで、怪獣フィギュアの収拾マニア。変わり者なのかもしれないが、趣味も合えば外見も俺の好みに合う。高校時代の同級生だった彼女とは、互いの家も近所で、高校卒業後に最寄の駅で会って話しをしながら帰ったときに、趣味が合うとはじめて知ってつきあうようになっていたのだった。
 それから一ヶ月ばかりたったある夜、一美と大学近くの公園を歩いていたら、見覚えのあるカップルがいた。え? 山田と酒巻? 俺は目を疑い、一美に小声で言った。
「あれって恋人同士か」
「そうなんじゃない? 男の子はちっちゃいね。おんなじくらいの身長? 女の子の足元はスニーカーだね。そしたら身長は同じくらいだ。まあ、女の子の趣味もいろいろあるから、ちっちゃくて可愛い男の子が好きってひともいるのよ」
「ちっちゃくて可愛い男が好きだ?」
「私は本橋くんみたいに、背が高くて男っぽいひとが好きだよ」
「俺もおまえみたいな……いや、いいんだけど」
「よくないよぉ。言って言って」
 嘘だ。山田が背の低い可愛いタイプの男が趣味だなんて考えられない。山田の大学時代の男といえば、合唱部の三年先輩、高倉さんの同輩だった星さん。星さんは長身で声が低かった。他にもいたのかもしれないが、俺が知っているあとひとり、山田が三年生のときにつきあっていた男も、長身で声が低かった。あるいは山田は、酒巻の低い声に魅せられたのか。
 にしたって、酒巻は山田よりも三つも年下で、髭もはえないガキではないか。似合わないにも程がある。一美が恋人同士だというのだからそうなのだろう。お節介は承知の上で、俺は山田の背後に声をかけた。
「なにやってんだ、こんな時間に、おまえらは」
 酒巻はかきーんと凍りつき、山田は言った。
「……本橋くん? なによ、その作り声は。変な声出したってわかるんだからね。なにか文句でもあるの?」
 一美は俺のかたわらで山田をじっと見つめて会釈し、俺は言った。
「こんな遅い時間にこんなところをうろうろしてるんじゃないんだぞ、女子供が」
「女子供? あんただってこんな時間に、こんなところをうろうろしてるじゃないのよ」
「俺はいいんだ」
「なんで?」
「たとえ遅い時間だって、なにかがあったとしたって、俺は俺自身と連れの身くらいは守れる。おまえたちだとそうはいかないだろ。だから言ってるんだ。さっさと帰れ」
「えらそうに……あんたにそんなふうに言われる筋合いはないの。ほっといて」
「ほっとけねえよ。おまえはともかく、なにかあったらそっちの男は……いいから帰れ。帰るのがいやだったら、人通りの多い賑やかな場所でデートしろ。夜中の公園なんかをうろついてるんじゃない」
 そっちの男は……山田をほったらかして逃げるのがオチだろ、とは言いたかったけれど言わずにいたら、山田は怒り声で、彼女の背中に隠れているように見える酒巻に言った。
「本橋くんに言い返すのは、酒巻くんには無理だろうけど、こんなことを言われて黙ってるの?」
 返事がない。酒巻は震えている。俺がそんなに恐いのか、山田の怒りがか。
「俺はなにもおまえらを脅してるわけじゃないんだぞ。山田、そいつを見てみろ」
「なに?」
 山田が振り向く。酒巻は目をそらす。酒巻は泣き出しそうな顔をしていて、俺は言った。
「な、だから言ってるんだよ。そんなのといっしょにいたらおまえのほうがボディガードをやらなきゃいけなくなる。ま、おまえだったらできるかもしれないけど。とにかくとっとと公園から出ていけ」
 行こう、と俺は一美を促し、一美は言った。
「大変だね、じゃあね」
 あっちのカップルに背を向けて歩き出すと、一美は俺を見上げた。
「あのひと、誰? 紹介してくれないの?」
「紹介するほどの奴じゃないよ。ただの友達だ」
「綺麗なひとだね」
「……綺麗ってあいつが? おまえ、目がゆがんでないか?」
「失礼だなぁ。それにしてもさ、あんな彼じゃぁあのひと大変かも、変わった趣味だね」
「だよな。なにを思ってあんな男と……」
「その点、私は本橋くんと歩いてると安心してていいんだよね?」
「安心していいよ」
「安心ばかりじゃつまんないかも」
「どういう意味だ? こういう意味か」
「きゃ……」
 うしろでなにやら山田が、酒巻につんけんと言っているのが聞こえていた。その声も聞こえなくなってから立ち止まり、俺は一美を抱き寄せた。
「下手」
「キスが? なんだと? これでも下手か」
「ちょっとずつ……嘘だよ。ね、愛してる?」
「んん、まあな」
「愛してるって言ってよ」
「いいからさ」
 態度で示せばいいんだろ、とばかりに強く抱いてくちびるを合わせ、しかし、山田と酒巻はなんだって……と考え続けていた。同じ合唱部だとはいえ、なにがきっかけでふたりは仲良くなったのか。ああ見えて酒巻は女に手が早いのか。
 あとからもさらにお節介を焼いて、山田に猛然と反論されてたじたじとなったのだが、なににしたって、山田は酒巻とはほどなく別れた。俺も一美とは別れた。大学時代の俺たちの恋は年替わりで、あの年頃は誰だってそんなものかとも思う。いつかは長続きする恋もできるのかもしれない。いつか大人になれば。
 

5

 両親にも兄貴たちにも、就職はしないでプロのシンガーになるんだ、と告げて猛反対を受けた。それでも俺は歌で生きてみせる、仲間だっている。こうなれば家出を敢行しよう。そう決めて家を飛び出し、帰省すすると言った乾とともに金沢に赴き、彼の上品な母上にも会った。
 俺は親兄弟とは絶縁状態になったのかもしれないが、乾は一応は母上の了承を得、花火を見ながら互いの決意を再確認して、東京に戻ってきた。
乾もなにかと協力してくれて、引っ越しをすませ、はじめてのひとり暮らしの部屋で、乾と乾杯した。どうしても必要なものは親の家からかっぱらってきたものの、ろくろく家財道具などもないのだから、部屋はがらんとしている。
「おめでとうでいいのか?」
「めでたいんだろ。親元で暮らしていては初志貫徹ができない気がするし、どうしても頼ったり甘えたりしてしまう気もする。部屋を借りる金を貯められたのは兄貴たちの経済的援助のおかげなんだから、結局は頼ってるんだけどな」
「そうなんだろうな。俺だって強がってはいるけど、両親がいなかったら東京には来られなくて、金沢にいたらおまえとは出会わなくて、歌に生きるなんて発想も起きなかっただろうから、つまるところは両親に感謝だよ」
 家出して、初に知ったる親心? と乾は笑う。こいつの頭には言葉ってやつが無尽蔵に詰まっていて、詞や長台詞や議論やら、言葉を用いておこなうありとあらゆるものに対処できるようになっている。今回は俳句であるらしい。
「下手な俳句だな」
「俳句には季語がいるんだ。今のは季語がないから川柳だね」
「どっちでもいいよ。どっちにしたって下手だろ」
「下手だよ」
「そういえば、高倉さんにデュオを組めって命令されたときにさ、高倉さんとおまえが話し合ってただろ。俺はおまえの頭の構造やら、生きてきた世界やらに思いを馳せたもんだ。三年以上前なんだから細かくは覚えてないけど、あのころは俺もガキだったなってつくづく思うよ。おまえが大人に見えたんだから」
「ほお。高倉さんはほんとに大人だったけどな」
 そりゃあ、六つも年上なんだから当然だろう。あのころに乾が書いた詞も思い出した。
「孤独な魂が呼び合って、僕らはなにができるんだろう、ってな詞は書かないのか」
「覚えてるじゃないか。あんなものは破棄したよ」
「ラヴソングのほうが書きやすいのか。経験がものを言うんだもんな」
「そんな経験はしてないけどな」
「俺の知らないのもあるんだろ。乾、洗いざらい吐け」
「ないって。それより本橋」
 するっと身をかわして、乾は言った。
「来年のキャプテンは誰になるか、おまえの予想では?」
「ヒデじゃないのか。シゲが副キャプテンってのが妥当だろ。あいつらは今の三年の中では実力はトップなんだから」
「実力だけではキャプテンはつとまらないよ。俺はヒデでもシゲでもない気がする」
「そうかな?」
 二十歳もすぎて強い酒を飲むようになり、乾は焼酎のオンザロックを一口やって続けた。
「今のところ、俺たちのヴォーカルグループの最有力メンバー候補は、シゲにヒデに徳永に三沢だろ。その中でのキャプテン気質はおまえだけだ。グループにリーダーたる人物はひとりでいい。複数いるとこうなる。いわゆる、両雄並び立たずってやつだな」
「両雄ってほどのもんかよ」
「それほどでもないけど、他に適切な言葉が浮かばない」
「おまえでもそんなもんか」
「そんなもんだよ。俺なんかまるで言葉を知らないんだ」
「……そうすっと俺は……」
 これで言葉を知らないと言われたら、俺なんかじゃ詞を書く資格もないってことに……いやいや、なけなしの語彙を振り絞って書くんじゃないか。思い直して言った。
「来年のキャプテンはヒデやシゲたちが決めるんだろ。うん、どうも今年の三年には他には……」
「実松は?」
「ああ、あいつはいいかもしれない」
 だろ? とうなずいてから、乾は言った。
「ヒデには他にも理由が……ま、いいか。俺たちが関れなくなる合唱部……俺たちは今後とも、彼らに幸多かれと祈るしかないんだ」
「おまえはあいかわらずかっこつけ……うん、ま、いいか。しかし、なぁ、乾、早いよな、四年間って」
「なににつけても別れるって切ないな」
「俺はキャプテンだっていったって、なんにもしなかったよ」
「多少の変革はしたじゃないか。充分だとは言えないまでも、そんなにたいしたことはできっこないんだよ。でさ、徳永はどうする?」
「当たってみるか」
 彼も就職を決めたとの話は聞かない。あいかわらず徳永は乾にも俺にも喧嘩腰で、態度が悪い。あの性格ではおまえたちとの折り合いがよくないだろうと渡辺さんは言っていたし、ヒデも乾に、徳永さんは合唱部ナンバースリーだから、と言っていたらしい。ナンバースリーだなどと言われれば、徳永としては気分がよくないのだろう。
 乾とふたりして徳永を呼び出し、俺たちとやらないか、と持ちかけたら、徳永は断固として拒んだ。拒んだあげくに俺に喧嘩を売って、はじめて彼と殴り合った。四年生のふたりが部室の外で喧嘩なんかして、下手をしたら不祥事だぜ、ってなものではあったのだが、結果は、なんだよ、口ほどにもない奴だな、であった。
 口ほどにもなくあっという間にダウンした徳永は、地面に両手をついて唸っている。あのていたらくでなんだって俺を殴りたいなどと言ったのか、と首をひねりひねり、俺は見物していた乾に近づいていった。
「なんなんだよ、あいつは。わけもなく俺を殴りたかったのか」
「わけはあるんだろうけど、俺にはわからないよ。高倉さんに目をかけてもらってたのは俺もだろ。なのに本橋だけに喧嘩を売りたかったというのはなぜだ? 俺では歯ごたえがなさすぎると見られたのか」
「そうでもないぞ。あの程度だったら、俺よりおまえのほうがいい勝負ができるんじゃないのか」
「……ああ、そうですか。どっちにしても、俺は意味もない喧嘩なんか買わないよ」
「俺は売られた喧嘩は買う」
「知ってるよ」
 よろよろと立ち上がった徳永は、くっそー!! とひと声吼え、俺を見つめた。
「……美江子さんを幸せにしてやれよな。俺は引き下がるよ」
 後日、その話しをすると、山田がきょとんとした。
「……じゃあ、乾くんは意味のある喧嘩だったら買うんだね。意味のある喧嘩ってどんなの?」
 乾は口の中でむにゃむにゃと意味不明の言葉を呟いていて、俺は言った。
「おまえと殴り合いをやりたい、と言われたんだぞ。意味があるのかないのかなんて以前の問題だ。売られた喧嘩を買わなかったら男がすたるだろうが。おまえは喧嘩を売られても買わないのか」
「私? 私は殴り合いなんてやったことないよ」
「……そうか、おまえは男じゃなかったんだ。なににしてもだ。あのときは喧嘩を売られたのが俺だったんだから、躊躇なく買った。乾だって口ではごちゃごちゃ言ってるけど、いざとなったら受けて立つに決まってるんだ。乾、だいたいからしておまえはうだうだ言いすぎなんだよ」
「……おまえは男じゃなかったんだ? 忘れてたの?」
 忘れてはいないけど……うん、忘れてはいない。今のはだな、と言いかけたら、乾が言葉を継いだ。
「忘れてたわけじゃなくて、言葉の綾ってやつだよ。ミエちゃん、気にしない気にしない。つまりね、徳永の誤解ってわけだったんだな。だからなんだろ。高倉さんに目をかけられていたのが気に食わない、なんてのは昔の話じゃないか。それが緒を引いていたのもあったのかもしれない。加えて、徳永は本橋とミエちゃんが恋人同士だと思ってる。要するに、徳永はミエちゃんが好きだったんだろ。なにか言われたことはある?」
「ない」
「ないのか。おまえに直接なんにも言わずに、勝手に誤解して怒ってるってのか、俺を殴り倒してから、おまえを奪うつもりだった? あいつは馬鹿じゃねえのか。なあ、乾?」
 うんうん、と乾はうなずいた。
「ミエちゃんは徳永が好き?」
「好きか嫌いかなんて考えたこともないな」
「彼のほうからも告白すらしていない。ミエちゃんが彼を好きかどうかも知らないわけだね。なのに本橋とミエちゃんがつきあってるって思い込んで、憂さ晴らしに殴りたかっただけなのかもしれない。殴りかかってみたのはいいけど、あっけなくも負けちまって……気の毒とも言えるけど、馬鹿じゃないのか、とも言える」
「気の毒なんかじゃねえよ。ただの馬鹿だ」
 とどのつまりは、徳永は山田に惚れていた。にも関わらず言い出しもできずにいたのは、山田が俺の彼女だと決め込んでいたからか。そればかりが原因ではなかったのだろうけれど、俺に対する鬱積を溜め込んで、ああして常に態度が悪かった。馬鹿だとしか言いようがないのだが、若いってことは馬鹿だってこと、特に若い男は馬鹿であってこそ……なのかもしれない。
 おそらくは徳永も、俺たちとは別の道を選んで、おのれの歌で世の中に出ていく心積もりでいるのだろう。金子さんもシンガー修行中だと言っていた。単なる夢ではない確固たる目標に向かって、俺たちは世間という名の海に漕ぎ出す。その第一歩は、すぐ目の前に広がっていた。


 四年生の終盤にシゲ、ヒデ、幸生、乾、俺の五人でフォレストシンガーズを結成し、プロを目指そうと誓い合った。私はマネージャーになる、と山田は言った。そして、山田と乾と俺は大学を卒業し、山田は就職し、乾と俺はアルバイトのかたわら、プロへの道を歩くための前段階としての研鑽を積んでいる。練習もした。時にはアマチュアヴォーカルグループとしてささやかなステージにも立った。
 プロを目指そうと口にするのはたやすいけれど、実際にデビューするまでの道のりははるかに険しくて、シゲとヒデが卒業したころにもまだ、俺たちはアマチュアのままだった。山田も仕事をやめて、俺たちと運命をともにするのだと力んでいた。
「リーダー、俺……」
 やけに深刻な表情をして幸生が言い出したのは、彼が四年生になったある日の公園でだった。
「なんとまあ……言えないよぉ」
「なんだよ。言え。なにをしたんだ。こら、幸生、白状しろ」
「言えません。言えないけど先にあやまっておこうかな。ごめんなさい、申しわけありません。俺が悪うございました。リーダー、乾さん、シゲさん、ヒデさん、ごめんなさーい。ええんええん、こんなことがあっていいんだろうか」
 なんだよ、なにをしたんだ、と他の三人も幸生を難詰し、幸生は泣いているかのように見えた。言えないよ、言えないよ、と涙声で言っているので、俺は乾に耳打ちした。
「なんだろ。なにかとんでもない真似をしでかしたか……」
「なんだろうな。まさか犯罪行為ではないだろうけど、泣いて俺たちに詫びないといけないこととは?」
「さすがのおまえにもわからないか」
「嘘泣きに見えなくもないけど、ほんとに泣いてんのか、あいつは」
 疑わしげに幸生を見る乾に、シゲが小声で話しかけた。
「……はっきり言わないからわからないけど、どうします? なにをしたんでしょうね。ヒデ、どう思う?」
「ぜんっぜんわからない。幸生がなにをしたのかわからなかったら、対処のしようもありませんよね。乾さん、拷問でもしましょうか」
「拷問とは物騒な……だけど、そうだよな。なにをしたのかわからないではどうしようもない。なにをしたにしても、幸生は俺たちの後輩だ。仲間だ。俺たちにできる範囲でかばってやろう。覚悟はいいか、おまえたちも」
 お、おう、と三人でうなずくと、乾がシゲに指示を出した。
「幸生のうしろに回れ。羽交い絞めにしろ」
「え? 乾さん、拷問するんですか」
「早くしろ。俺に考えがある」
 おいおい、乾……それはいくらなんでも……と俺は思っていたのだが、シゲが乾の指示に従い、幸生がきゃああ、といつもの悲鳴を上げると、乾は幸生の正面に立った。ヒデと俺が固唾を呑んで見つめていると、乾は重々しい声を出した。
「幸生、言え」
「……言えませんよぉ。だって、あんまりなんだもん。訊かないで、言わせないで」
「そうか。どうあっても口を割らないと言うんだったら……」
「ぎゃあ……うぎゃぎゃあ、乾さん、なにを……なにを……うきゃああっ!! 死ぬ死ぬ死ぬっ!! リーダー、ヒデさん、助けてぇーーっ!!」
 固唾を呑んで損した。乾が幸生にした拷問とは、くすぐるってことだったのだ。幸生は悶絶しかねない様子でもだえ、大騒ぎして悲鳴を上げ、涙をこぼして笑い、叫び、しまいには息も絶え絶えになって言った。
「……白状しますから勘弁してぇっ!!」
「よし、言え」
「乾さんったらひどいんだ。くすぐられるくらいだったら、四人がかりで袋叩きに……」
「まだ言わないのか。袋叩きがいいのか? 本橋、ヒデ、やるか」
 やってもいいぞー、と俺は言い、ヒデは指の関節をばきばき鳴らし、シゲが改めて幸生を羽交い絞めにしようとすると、幸生はようやく白状した。
「あのね、実はね、俺ね、男子部のキャプテンに就任しちゃいました。うわーん、起きてはいけないことが起きてしまったよぉ……うげ、リーダー、白状したのになんで殴るんですか」
「馬鹿野郎。それがそんなにもったいぶらないといけないことか。あやまる必要もねえだろうが!!」
「だって、申しわけないんだもんっ」
 まあまあ、まあまあ、と割って入ってきた乾が幸生に向き直り、俺と同様に幸生の頭をぼかっとやった。
「うわわーん、乾さんまでっ!!」
「シゲ、ヒデ、おまえたちもやれ」
「わっとわっと……乾さんっ、シゲさんとヒデさんをそそのかさないでっ!!」
「四人がかりで袋叩きにされたかったんじゃないのか」
「されたくありませんよ。俺はマゾじゃないもん。そんなことをされたら本気で死にます」
「死ぬってのには本気と嘘があるのか。泣いてたのも当然嘘だな。この馬鹿野郎」
 乾の声には笑みが含まれていて、シゲもヒデも苦笑いしていた。俺も別に本気で怒っていたわけでもないのだが、幸生はぴょんと飛び跳ねて逃げていった。以前から知ってはいたが、幸生が人騒がせな奴だということがよくよくわかった一幕だった。
「だってね、この俺がですよ。キャプテンを決めようってことになって、二年三年四年が集まって投票したんです。俺は他人ごとだと思ってたからのほほんとしてたんだけど、いざ蓋を開けてみたら、満場一致で三沢幸生がキャプテンと決定!! 茫然自失でしたよ」
 ちょっと待て、と乾が言った。
「満場一致? ひとり残らずおまえに投票したのか?」
「イエス」
「つまり、おまえ本人もか」
「やーだな、乾さん。俺が俺に投票したのはジョークですよ。なのに、みんなもジョーク? ジョークでキャプテンを決定していいんですか」
「……ばーか」
 ひたすら苦笑していたヒデが言った。
「おまえのはジョークだったんだろうけど、みんなは真面目におまえを選んだんだよ」
「なんで俺?」
「言わせたいんだろ。おまえの人間性にはなにかと難点もあるが、歌唱力には非の打ち所がないから。そうでしょう、乾さん?」
「そうなんだろうな。幸生」
 はいっ、とかしこまって返事をした幸生に、乾は言った。
「地位……ってほど大層なものでもないのかもしれないけど、地位、役柄が人を作ると言う。本橋だって男子合唱部のキャプテンとなり、現在は我々のリーダーとなって、徐々に貫禄もついてきてるんだ。おまえもそのつもりで励め」
「はあ、そういうわけなのかな。俺はこんな奴だからこそ……?」
「こんな奴っていうおまえの自覚がどんなものかは、おいおい聞くよ。がんばれよ、幸生」
 おまえはいやなのか? とシゲに訊かれて、幸生はにこっとした。
「いいえ。いやではありません。キャプテンは目立つもんね」
 人騒がせな奴でもあり、目立ちたがりの典型でもある幸生は、がんばりまーす、と俺たちにお辞儀をしてから、乾の耳元でなにか言った。俺にはなにを言ったのか聞こえなかったのだが、あとから乾が話してくれた。
「先輩たちのひそひそ話は聞こえてましたよ、嬉しかったな、だってさ」
「ふーん、そっか」
 その夜、俺はシゲを誘った。
「うちに来いよ。乾もヒデも幸生もバイト。おまえと俺は今日は休みなんだから、飲もうぜ」
「あまり飲むと美江子さんに叱られますよ」
「いない奴はほっとけ」
 いいのかなぁ、なんて顔をしたものの、シゲも酒は好きなのだから、俺についてきた。
「今年のキャプテンは幸生か。来年は誰だろうな。酒巻だったりは……しないか」
「酒巻はちょっと……」 
「山田と酒巻がつきあってたのは知ってるか?」
「あれ? そうなんですか」
「知らないのか。そんなら本人から聞け」
「本人って美江子さんでしょう? 聞けませんよ」
 そんな話をしながら、俺のアパートにシゲを連れていった。シゲとふたりっきりで話す機会はそうそうないせいもあって、焼酎のボトルを前に昔話となった。
「本橋さんは友達の出身地あてが特技ですよね。先輩にもやりました?」
「やったぞ」
「噂の高倉さんは?」
「高倉さんは高校を卒業してから東京に出てきたんだってよ。三浪してたって話はしただろ? 俺たちが会ったころには東京暮らしが長かったから、故郷のなまりはほぼ消えてたんだけどな」
 三浪してまでうちの大学に? なぜ? とはまさか本人に質問もできなくて、乾にこっそり尋ねたら、乾は言った。
「おまえは我が母校を貶めるのか」
「貶めてねえよ。不思議だからだろ」
「うちの合唱部に入りたかったからだとか、高倉さんの親友の大泉さんがうちの野球部で活躍してたからだとか、いくつかの説があるみたいだな」
「大泉さんってのは卒業したんだよな」
「高倉さんと同い年なんだから、そうなんだろ」
「乾、おまえ、高倉さんに真相を訊けよ」
「そんな失礼な質問はできない」
 というようなやりとりもあったのだが、高倉さんの故郷は間もなく判明した。
「高倉さんってのは野球が好きだったんだ。なにかの話から野球に流れていって、俺たちも訊かれた。乾も俺もまるっきり野球になんか興味はなくて、つまらなそうな顔をした高倉さんが呟いたんだよ」
 野球じゃなくてサッカーか? サッカーにも興味ない? スポーツは嫌いだ? 若いくせに、と、あのときの高倉さんは珍しく怒り顔になっていた。
「おまえたちはいまや歌馬鹿に成り果ててるんだな。よし、俺が野球の醍醐味を教えてやろう。野球はカープじゃけんのぉ」
「ああ、高倉さんは広島出身ですか」
「……うん、そうだ」
 高倉さんが方言を口にするのも、たいへん珍しかったのだが、カープの話となるとちらっとこぼれたものだった。
「カープですか。大泉なんて選手は聞きませんけどね」
 タイガースファンのシゲもつまらなそうに言い、俺は言った。
「大泉さんはプロ野球選手にはならなかったらしいな。高校野球の審判をやってて、その時期になると甲子園に出張するんだって聞いたよ」
「そっち方面なんですね。高倉さんの年の副キャプテンは?」
「渡嘉敷さん。名前からして当てるまでもないだろ」
「沖縄ですね」
 名前は沖縄でも出身は沖縄とは限らない。そう考えて渡嘉敷さんの言葉に耳をそばだててみたら、特有のなまりがあった。高倉さんは乾や俺を特別扱いしてくれていたが、渡嘉敷さんは敢えて俺たちにはかまわなかった節がある。副キャプテンまでがひいきをしてはいけないと思っていたのか。高倉さんはたしかに俺たちをひいきしていたのだから。
「次のキャプテンは……」
「おまえとは縁の深い金子さんだ」
「縁は深くありません」
 金子さんの妹のリリヤが、シゲの大学一年生当時の片想いの相手であり、失恋の相手でもあった。シゲは思い出したくもないのだろうか。過去の話なんだからいいじゃないか、とも言ってはいけないのか。
「金子さんも皆実さんも東京だよ。知ってるだろ」
「知ってます。おふたりとも都会派でしたよね」
「そうだったな。俺も東京人だけど、乾のほうがよっぽど都会的だろ。着こなしの差か」
「さあ? で、次は?」
「渡辺さんは千葉、溝部さんは東京だな。うちの学校には地方出身者もあまたいたけど、関東人も多かった。関東の奴の出身地あてはつまんねえよな」
「そうですか?」
 続いてのキャプテンは俺、東京出身。翌年はシゲやヒデと同年の実松だった。
「実松は大阪人だろ。はじめっから大阪弁全開だったから、当てる必要もないほどだったじゃないか。あいつもあの口で人気を集めた口だな」
「シャレですか」
「幸生じゃあるまいし……そんで次が関東に戻って、関東人の口全開の幸生だよな。西から東、東から西へとキャプテンの勢力図が移り変わった数年間だったんだ」
「俺はキャプテンったら金子さんからしか知りません。金子さんはきらきらしいタイプでしたよね」
「そうとも言えるな」
「でも、抑えるべきところは抑えて、気配りもしていたと見えてました。俺は一年だったから、そんなによくは知らなかったんですけど、眩しい存在だったな。こんな冴えない奴って言われたりもして……」
「冴えないって誰が?」
 いやぁ、と頭をかいて、シゲは続けた。
「二年のときにもそんなにはよくわかってなかったけど、渡辺さんは頼りないなんて言われてましたよね。そうでもなかったんでしょ? 溝部さんって副キャプテンがいたから……」
「溝部が悪いんじゃない、って渡辺さんは言ってたよ。俺らから見たら溝部さんが悪いとしか思えなかったけど、渡辺さんはそうじゃないと言った。あの溝部さんとの板ばさみになって、渡辺さんは苦労してたんだな」
「渡辺さんも傑物だったんですね。本橋さんは言うまでもないし、実松もよくやってましたよ。ヒデは実松に相談されたりもしてたようですけど、俺はそれどころやないきに、って逃げるんですよ」
 ヒデがキャプテンにならなかったのは……そう言いかけて、いやいや、当て推量はよくないね、と妙な笑いを浮かべていたのは乾だが、俺にも推量ならばできなくもない。ヒデも卒業したのだから、今さらどうでもいいので、シゲには言わなかった。
「徳永さんの話はしてもいいですか」
「徳永?」
 会話の中にはちらほらと昔の仲間の名前が顔を出す。徳永もそのひとりだが、シゲは徳永をよく知っていただろうか。俺の記憶にはあまりないのだが。
「徳永さんは関東人でしたよね」
「埼玉だったな。一年のときに乾とふたりで学校の近くを走ってたら、徳永がつけてきたんだ。なにを言いたくてついてきたのかはいまだ謎なんだけど、言いがかりでもつけにきたのかと俺は思った。あいつがそういう態度に出たとしたら、俺がどうなるかはおまえにもわかるだろ」
「はい、わかります」
「だから、俺は乾に喋るのはまかせてた。そしたら乾が突然、徳永の出身地はわかるか? ってな。わかったよ、簡単に。関東人の出身地あてはつまらないってのはそういうわけだ」
「そういうものですか」
「徳永の友達の出身地あてはやったぞ。ロンドンで広島だ」
「は?」
 当てたのは広島の部分だけだった。外国なまりがあるとは気づいたが、そこまでは俺も網羅していない。彼は動物の名前だったっけ……タイガー? 虎? はっきりとは思い出せないので、シゲに尋ねた。
「で、徳永の話ってなんだ?」
「言ってはならないことだと、自らに制約を課したエピソードってのがいくつかあったんですよ。言ってはいけないんだから、今でも誰にも言ってません」
「時効じゃないのか」
「時効というほど古い話でもありませんからね。本当に時効になったころに話しましょうか。俺の頭の中でいろいろとまとめてみたら……本橋さんは徳永さんが嫌いでした?」
「嫌いじゃねえよ」
 うっとうしい奴だとは考えていたが、嫌いだったら乾とふたりで結成する予定だったヴォーカルグループのメンバー候補に入れるわけもない。これは言ってはいけなくはないはずだ。
「徳永も候補のひとりだったんだ。蹴られたんだけどな」
「ああ、やっぱりね」
「やっぱりって、なにか知ってるんだろ。言えよ」
「ヒデにも……いえ、時効になってからね」
 言わないと決めたら絶対に言わないのがシゲだ。いつかは聞ける日もあるだろうと諦めて酒を一口飲んだら、シゲが言った。
「徳永さんもきっと、あのひとはきっとひとりで、プロの歌手になるんだろうと思います。徳永さんって乾さん以上にわかりづらいところがありましたよね。神秘的っていうのか」
「秘密主義だっただけだろ。あいつも乾もかっこつけは似てるんだよ」
「かっこつけかぁ。うーん、そうなのかな。いつか乾さんが言ったでしょ。徳永さんって両方の意味でクールだって。俺が言ったんだったかな。かっこいいってのをクールとも表現するんですよね」
「そうみたいだな。徳永はかっこよかったか? クールだったか」
「俺にはそう見えました。一匹狼気質かな」
「そういうところがかっこつけだと言うんだよ」
 かもしれない、と笑って、シゲも酒を飲んだ。
「思い出話ってキリがないですよね」
「そうだなぁ。俺たちは……うん、俺たちはこれからだ。もしも……もしもじゃなくて、ブロになったとしても……してもじゃなくて、プロになったらなったで先は長いんだから」
「結論としては、先は長いんだから前向きに?」
「その通り」
 結論も出たし、今夜は泊まっていけよ、と言ってから、五人でいるときにもやっている恒例の行事を提案してみた。
「シゲ、寝る前に歌おう」
「いいですね。なにを歌います?」
 今の気分に似つかわしい歌? これはどうだろう、歌ってみたら、シゲも低く低く和した。
 
「夕暮れの町並みがすこしずつ暗くなってくる
 ひとりの男が今日も坂道を降りてくる」

 ひとりの男、シゲでも俺でもいい。幸生だと顔を上げて舌を出しそうなので台無しになりそうだが、ヒデでも乾でもいい、もしくは徳永でもいい。うつむいて背中を丸めた不遇な男の姿が、夕暮れの町並みの中に浮かび上がって見える。

「過去のことは思い出さず
 これからのことはわからない
 男は明日はくためだけの靴を磨く
 その日暮らししていてもほらこんなに幸せだと
 大きな声で笑える日もいつかは来る
 時の流れに身をまかすのもいいさ」

 その日暮らしか、現在の俺たちもそれに近い。だけど、大きな声で笑える日も来るさ。今だって他愛もない話で笑ってる。明日になればもっと心から笑えるだろう。次なるフレーズはいい格好しすぎな気もするのだが、俺にもシゲにも、こんな想い出もなくはないのだから。

「優しい女がどこかにいたような気がする
 そんな気持ちにたとえ応えられなくても
 男なら恋心をさりげなくポケットに入れて
 そのあとでそっとどこかで取り出してみたとき
 熱い思い出
 静かに消せばいい」

 古い古い歌だ。フォークソング好きの乾が教えてくれた「男は明日はくためだけの靴を磨く」。男がまだ気取りを捨てていなかった時代の歌か。乾とデュエットの練習に明け暮れた十八歳のあの日から、このたぐいの歌を何度も何度も歌ってきた。
 目を閉じて歌っていると、歌詞の情景にかぶさって、あのころの俺たちが見える気がする。そこに三人の男が加わった。明日はくための靴を磨いて、五人で走り出そう。そんな気持ちを込めて見ると、シゲもしっかりうなずいた。

END



 


 
 
 
  
 
 
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~ Comment ~

おおお~三沢くんがキャプテン!

ちょっと意表を突かれました。
が、それを発表するときの三沢くんがおかしくて、可愛かった。
夢を目指すときの‘男’って良いですな。
乾くんがいると危なかしくなくて、真ちゃんがいるとぐいぐい進めそうで、三沢くんが良い味出しそうです。
こういう男たちの会話と、山田さんとの絡みとか、ものすごく興味深く拝読させていただいてます。
歌や、家のことや、先輩との軋轢やいろんな苦労や楽しみ。恋愛事情。
すごく、大学生! という感じが自然で素晴らしい。
こういう世界はfateは描けない。
すぐに嘘くさくなってしまう。
どうも、fateは現実には生きられないようで。
このリアリティを、ずっと堪能していきたい、と。
また、ゆっくりお邪魔いたします!!

珍しく宵の訪問でした~


ほんとにどうもありがとうございます。

fateさん

上手に感想も書けませんし、ご感想をいただいても上手に反応もできませんけど、いつも感謝しております。

私は現実逃避のために小説を書いているようなところがあって、でも、現実的なストーリィのほうが書くのは好きなのでしょうね。
妄想的なストーリィだと中途半端になってしまうから、どこかにありそうな話を書いているという部分があるのかもしれません。

三沢ユキちゃんは私のお気に入りのひとりですので、どうぞごひいきにしてやって下さいませね。

幸生「fateさん、俺に注目してくれてありがとう。
好き好き、ちゅちゅちゅーっv-15

何をおっしゃるうさぎさん!

…じゃなくって、あかねさん!

前回、乾くんと真ちゃんが絡んでくださって、今回は幸生くん!
fateは、超! ニヤけて照れておりました~!!!
そうやって大事なキャラをさり気なく絡ませてくれる、その人物を把握し切っている大きな愛情に感動です!!!

ほんと、嬉しかったです(^^)
また絡んで~!

なんか、今夜は3人が夢に出て来てくれそうで、悪夢から解放されそうなfateは、マジで嬉しいです。

だって、考えてもみてください。
fateが、コメント返しに誰を使えます???(-”-;
聖凛なんて出したら、それこそ一言も発言してくれそうにないし、傍で小枝子がオロオロしつつ、聖凛が怖いからやはり無言で小さくなってるだろ?
まぁ、静と天音ちゃんくらいないら、何か言ってくれるかなぁ…。
でも、微妙だ。むしろ、ヤバい発言ばっかりして退場! となるであろう。

なんで、fateのキャラはマトモな輩がおらんのじゃ!
(責められる筋合いはないわ)
(だいたい、誰のせいだと思ってるんだ?)
(頭悪いんじゃない?)
「うるせぇ! 抹殺されたいかっ」



幸生より

いやぁ、俺が声をかけて喜んで下さるなんて、僕ちゃんも嬉しいわ。
fateさん、フォレストシンガーズの……とは言いません。僕ちゃんのファンになってね。

俺もfateさんの小説、読ませてもらってますよ。
いやいやいや、俺とはかけ離れたタイプの男がたくさん出てきますよね。
女のひとは可愛いんだけどさ、男は怖いし。

でも、ほら、「マーメイド」の久継くんなんかだったら?
駄目でしょうか、久継くん?
フィクション世界の住人同士で、俺とお話ししない?

by yukio

と、幸生が言っております。
こいつは喋り出すと止まりませんので、このへんで引っ込ませますね。

今回のfateさんのコメントには笑わせていただきました。
聖凛さんだとたしかに……いえ、失礼。

それはそうとお遊び篇の中の「どなたでもご参加下さい」ってやつ、ただいまはブログ画面トップにある分ですが。

こういうのはfateさんはお好きではないかもしれませんが、なにかひとこと、コメントに続きを書いていただけると嬉しいです。
その気になられましたらぜひ、よろしくお願いします。

この、少しずつ年の違う大学生たちの付き合いって、
すごく微妙なんですよね。
もう大学生になっちゃったら、年を越えて、気の合う仲間ができちゃって。
でも、どうしても先輩後輩という建前があって。

順々に卒業して、就職して、仕事をしながらも、やはり夢を追いたい青年たち。
私がずっと見守っている劇団の青年たちに、すごく状況がにてて、にんまりしてしまいました。

シンちゃん、一人暮らしがんばってね。
男は、一度は一人暮らししなきゃね。
一人ぐらしして気づくことって、男も女も、いっぱいありますから。
でも、それよりも前にちゃんと親のありがたさを分かってる乾くんやシンちゃん、いい子ですね^^

ゆっくりゆっくり、地面を踏みしめて夢に向かう彼ら。
いいねえ。カッコいいです。
がんばって~~。

ああ、はやくデビューする彼らを見たいです^^

limeさん、ありがとうございます

年功序列なんてものを気にするって、彼らはきわめて日本的ですよね。

私が若くありませんので、感覚が古いってところはおおいにあるでしょうけど、若い男の子もけっこう、「先輩は……」だとか「男として……」だとか言うしなぁ、というわけで、こんな感じになっています。

limeさんはリアルで劇団の方々を見守っておられるのですか?
私も劇団員も書いたことがあるのですけど、音楽業界以上によく知らない世界ですので、中断してそれっきりになってしまいました。

早くデビューした彼らを見たい、と言っていただけるのも、とってもとっても嬉しいです。

NoTitle

ユキちゃんがキャプテンですか。満場一致で。自票を入れたところが笑える^^

先輩の代、自分たちの代、後輩の代も気になるところですよね。卒業しても、今はどうなってるのかなって。部活(?)って、そうやって続いていくんですよね。

代はぜんぜん違っても、同じ部にいたって事だけでテンションあがります。部室どうなってる? って聞いちゃうみたいな。

こんなに素敵な連中なのに、まだデビューできないなんて、きびしいですね。ステージで映えるために、靴を磨いといてくれ^^

けいさんへ

いつもありがとうございます。

このちょっと前のストーリィが別にあるんですけど、ユキちゃんは言ってます。

「キャプテンの投票で俺に入れる奴、いないだろうな。ゼロだったらかわいそうだから、俺は俺に投票してやろーっと」

大学のサークル活動って、大人になってもひきずっていたり縛られていたり、ものすごくこだわっていたり、なつかしく思い出したり、そういうものらしいんですよねぇ。

特にインパクトのあるサークル活動をしていたひとは、そうなのだろうと思って、こんなのを書いています。
同じ大学、同じサークル出身って、大人になっても、周囲の人たちにしてもこだわってるみたいですから。

デビューまではもうすこし。
じれったいかもしれませんが、見守ってやって下さいね。

NoTitle

うーん、早く彼らのデビューしてからの姿が見たい!
と、うずうずしながら読みました。

大学生時代、こんなに無邪気に楽しんでいる彼らが、デビューしてからどう生きていくのか。
ああ、でも、変わらないのかな?(笑)

とくに幸生なんかはずうっとあの調子でいきそうですね。
彼が落ち込むことなんてあるのだろうか? ^^;

西幻響子さんへ

いつもありがとうございます。

はーい、よくわかっていらっしゃいますね(^^
幸生は三十すぎてもほぼこのまんまです。
まあ、たまには落ち込むんですけど、
「悲しくったって、苦しくったって、ステージの上では平気なの。
だけど、涙が出ちゃう。ユキちゃん、女の子だもんっ」
という替え歌がありますので。

デビューまではもうちょっとです。
ここまで読んでいただけたら、この先は飛び飛びでも十分おわかりいただけると思いますので、よろしければお好みのものにワープして下さいね。


NoTitle

現実に居そうな気がしてならないです。
前に書いた?気もするんですが、実際にデビューして欲しい!
いっぱいいるから色んな歌が聞けるし、絶対すごいことになる!
現実にならないかなー?なんて、思いながら読んでます。

羽交い絞め・三沢くん・・・ぷっって笑ってしまいました。
画が浮かぶからこれまた笑えるw
キャプテンがんばってください!

ハルさんへ

いつもありがとうございます。
実際にデビューしてほしい、なんて言っていただくと、とてもとても嬉しいです。
私もフォレストシンガーズの歌、リアルに聴いてみたいです。

幸生はぼやきながらもなんとかキャプテンをこなして、物語の中ではデビューまではもうちょっとです。
もしかしたら彼らは、デビューしたあとのほうが大変だったかもしれませんが。

プロを目指すのはうらやましいですけどね。
・・・しかし、予防線を張るのも大切で、、、というのも大人の意見ですかね。
もっとも、30歳まででまるで成果が出ないようであれば諦めるのが吉なのでしょうが。
私は・・・今の形で落ち着きましたが。
彼らはプロを目指してその後どうなるのでしょうね。。。と考えます。

LandMさんへ

コメントありがとうございます。
若者には夢を追いかけてほしいと、おばさんは思いますが。
現実問題としては、夢を食べては生きていけませんからね。

フォレストシンガーズはこれから長く長~く続いていきますので、よろしければおつきあいのほど、お願いします。
このあたりまでお読みいただければ、あとはお好みのものを飛び飛びにお読み下さっても、わかっていただけると思います。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

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