番外編

FS超ショートストーリィ・四季のうた・隆也「秋の身」

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フォレストシンガーズ

四季のうた・秋

「秋の身」

 芸術の秋、食欲の秋、読書の秋、それからそれから……そうそう、スポーツの秋。

 シンガーは一種の肉体労働であるのだから、身体を鍛えるのも大切だ。筋トレだってやる。フォレストシンガーズの全員で会員になっているジムがあって、年下の若者を連れてきてやったこともあった。

 昔はなにをするにもつるんでたものだな、なつかしく思い起こしながら、隆也はひとりでスポーツジムに足を運んだ。ウォークマンのイアフォンを耳に入れ、スポーツ用に編集したプレイングリストを聴く。音楽の秋、とも言うかもしれないが、彼らにとっては音楽の四季だ。

 音楽を聴きながらエアロバイクを漕ぐ。
 単調で眠くなってくる。眠気を追い払うために、頭の中で曲に合わせて歌う。英語の歌詞を思い出そうとしていれば寝ずにバイクを漕げた。

「ん?」

 視線を巡らせると、女性インストラクターがフロアでバック転をしているのが目に入った。しなやかな長身が跳躍する、躍動する。女性に続いて筋骨隆々の男性インストラクターが空転をしてみせ、見物していた会員たちが拍手した。

 ああいうのを見ていると、俺もやりたくなってくるんだよな。
 昔はああいうの得意だったけど、まだやれるかな? 最近やってないけど、できるよな?
 身体がむずむず。バイクから飛び降りてあそこに参加したくなる。

 それから今、歌っていた曲を、みなさんにも聴いてもらいたい。俺も拍手がほしい。

「乾さんって根っからのエンターティナーなんですよね」
「やれば?」
「やっていいぞ、乾、やれやれ」
「やらないんですか?」

 頭の中でそそのかしている仲間たちに、やらないよ、と舌を出したら、隣のバイクを漕いでいる初老の男性と目が合った。こほっと咳払いをして会釈し、隆也はバイク漕ぎに戻った。

END











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~ Comment ~

NoTitle

私もジムには通ってますけどね。
医療系の仕事は体力が資本ですからね。
いつでもどこでも仕事ができないといけないですからね。
何事も仕事だけっていうのは駄目ですね。
体力づくりをしないと。。。
(;一_一)

LandMさんへ

コメントありがとうございます。

ジム通いってわりと流行ってるみたいですよね。
仕事のできる人間はスポーツもやらなくちゃ、って感じでしょうか。

私はお金がないし、ジムってきっと億劫になって行かなくなる気がしますので、運動はウォーキングだけです。
歩くのとストレッチとダンベル体操、お金がかからないことだけやってます。

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