番外編

FS超ショートストーリィ・四季のうた・全員「四季の女」

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フォレストシンガーズ・四季のうた

「四季の女」

1春

 市中からは遠く離れて……現代ではたいした距離でもないが、その昔は、なにかしらやらかした貴族が島流しのように送られてくる土地でもあった。

「京都大原三千院
 恋に疲れた女がひとり

 結城に塩瀬の素描の帯が
 池の水面に揺れていた」

 建礼門院も、なにかしらやらかした都の貴族のひとりとみなしていいのか。
 そのころには結城の小袖なんかなかったのではないかと思えるが、恋に疲れたどころか人生に疲れた美しい女がひとり。
 塩瀬の帯のうしろ姿、振り向いたその顔が……母に似ているように思えて、隆也は幻想から覚めた。


2夏

「黒潮黒髪 女身愛しゃ
 想い真胸に 想い真胸に
 織る島紬」

 大島が舞台なのだそうだから、想い出の中にいる沖縄の島娘とはちがう。
 いや、別人なのは当然だが、この歌を聴くとどうしても、繁之の心には若き日のあの娘が浮かんでくるのだ。


3秋

 どうして胸がずきっと痛む?

「私が男になれたなら
 私は女を捨てないわ」

 捨てないよ、俺だって、捨てられたのはこっちだろうが。
 ひとりごとを呟きながら、あてもなく夜の街を歩く。ここは新宿、ネオン暮らしの蝶々が舞う街。。演歌の世界にいるみたいだな、と真次郎は肩をすくめた。


4冬

 はーるばる来たぜはーこだてーっ!! 

 お、意外とそんな歌もうまいじゃん、と自分で自分を褒めてみる。

「あとは追うなと言いながら
 うしろ姿で泣いてたきみを
 思い出すたび会いたくて
 とーっても我慢ができなかったよーーーー」

 函館の女……北の女……俺にも北の女との過去がある。別れのときの彼女のうしろ姿は泣いてもいなかった。というか、自然消滅的に別れてしまったのだけど、そんな失恋も男の人生にはあるものだよね、と幸生は笑ってみた。


5そしてまた春

今年もまた桜が咲く。
 小さなてのひらをいっぱいに広げて、花びらを受け止めていた想い出がある。てのひらが小さいのに視線は高かったから、あれは誰かの背中におんぶされていたのだろう。

「She's my red hot Louisiana Mama
 From a town called New Orleans
 Golden hair and eyes of blue
 My real live Dixie queen
 My Louisiana Mama
 From New Orleans 」

 桜を見て思い出す女が「母」だなんてかっこ悪い。
 照れ隠しに歌おう。ママとタイトルについてはいても、可愛いあの娘はルイジアナ……なのだから、地名ではなく人名なのかもしれないが、俺が歌うんだからこのほうが似合うよな、と章はうなずき、いっそう声を張り上げた。

END








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