ショートストーリィ(しりとり小説)

173「ヴァーミリオン・サンズ」

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しりとり小説

173「ヴァーミリオン・サンズ」

 建国されたのは二十一世紀初頭。
 南欧のどこかにある小さな国、「ヴァーミリオン・サンズ」

 フェミニストの母親に薫陶を受け、英語が好きで小説を書くのが好きで、ヴァーミリオン・サンズに行きたくて着々と準備を進めた本村梢子。英語で小説が書けるようになり、暮らしの目途もたったので日本から移住してきた、ペンネームはショーコ・M。三十歳。

 母は応援してくれているが、父はひとり娘の異国暮らしを心配しまくっていると聞く。けれど、二十一世紀のこの世の中だ。どれだけ距離があっても、そんなに心配しなくても大丈夫だよ、お父さん。

 イングランドのロイヤルファミリーとも血縁のある、ロッカート侯爵の嫡男として生まれた、ディーン・ナイジェル・ロッカート。両親ともに政治家であるので、長男は必然的に跡を継ぐようにと育てられた。それゆえに父の教育がきびしすぎていやけがさし、生来の反逆精神が磨きをかけられ、何度も何度も家出を繰り返し。

 世界中を放浪した若き日を経て、ヴァーミリオン・サンズにやってきた。
 画家と名乗ってはいるが、現在のところはイラストレーターが本職である。二十九歳。

 暴力夫を家からたたき出した母に育てられた、生粋のニューヨーカー、アデルバート・ジョゼフ・ヒューズリー。愛称はバート。

 音楽家というものは幼少期から英才教育を受けていないと、大成などするわけがないとの説はあるが、バートはその説の輝かしき例外だ。十代になってからピアノをはじめ、他の楽器にも手を伸ばし、指揮者としても目覚める。ヴァーミリオン・サンズの新興楽団「ギャラクシアンフィル」からの招聘を受けて渡ってきたバートは三十二歳。

 シャンパンイエローの薔薇が咲き乱れる、冬のない国、ヴァーミリオン・サンズ。
 大柄なイギリス人とアメリカ人と、小柄な日本人の三人はこの国で出会った。

「そりゃあまあね。とやかく言う人間はどこの国にだっているのよ。日本なんてひどいもんなんだから、私は他人の陰口には慣れてるよ。ぜーんぜんへっちゃらだから」

「僕は親の迫害にさらされて生きてきたんだから、他人がなんと言おうとまるっきり平気の平左だよ」
「親の迫害ったら、ディーンは精神的なものだろ。俺は肉体的にちょっと虐待されたけど、おふくろのほうが強かったから、ま、たいしたこともないわな。ああ、俺だって平気だよ」

「そうだよね。当事者の私たちがそうなんだから、これからだって軽やかにあっけらかんと生きていけるよね。ディーン、バート、ずーっとずーっとよろしくね」

「こちらこそ、レディ、この生命つきるまで、あなたにありったけの愛を捧げます」
「……これだからイギリス貴族の息子なんてのはよ……いやいや、なにも言ってないぜ。では、改めて、俺はシンプルに、ショーコ、愛してるよ」

「うん、私も!!」
 

次は「ず」です。



蛇足

ヴァーミリオン・サンズシリーズはここにあります。

http://quianred.blog99.fc2.com/blog-category-22.html

読んで下さった方がほとんどいらっしゃらなくて、寂しいのであまりアップしていないのですが、かなり昔から書いていますので、実はたくさんあるのです。

で、宣伝させていただきました。このような小説です……って、どのような? と思われた方は、どうぞどうぞ読んでみて下さいね。
ではでは、ショーコ&ディーン&バートをよろしく~ 







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~ Comment ~

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ま、今が大切っていうのは非常にもっともですね。
今が幸せならよい!!
・・・っていうのは私も非常に共感できますね。
長生きしているから幸せってことはないでしょうし、
短い命でも幸せってこともあるでしょうし。
今が幸せなら未来も幸せってことになるでしょうしね。

LandMさんへ

いつもありがとうございます。
先日はaがAになってしまっていて、たいへん失礼しました。

今がいちばん大切ですが、過去のこともまったく気にならないといえばうそになるし、将来のことは考えなくちゃいけないし、人生はややこしい。

刹那主義は若いうちだけだなぁ、と痛感する年頃でございます。


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