番外編

FS超ショートストーリィ・四季の歌・繁之「春の陽」

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フォレストシンガーズ

四季のうた

「春の陽」

 仔犬みたいな丸い目をした後輩が、無邪気そうに俺の顔を覗きこむ。
 ラジオ番組にゲスト出演しているのだから、聴取者のみなさんには俺の顔は見えないのだが、学生時代の後輩、酒巻國友の視線を意識してしまった。

「シゲさん、どうかしました? 僕、なにか変なこと言いました?」
「いや、変なことなんか言ってませんよ。うん、春ですね、ほんとに」
「春ですよねぇ。陽射しがほんと、春ですね」

 酒巻がDJをつとめる番組を放送しているラジオ局のスタジオ、小さな窓からも陽射しがいっぱいに降り注ぐ。この陽射しってなにかに似ているな……ああ、そうだ、と思い当って、ひとりで照れてしまったのだ。

 なにに似ているのかといえば。
 そう、恭子。俺の奥さん。そんなこと、他人の前では照れくさくて言えない。ファンの方がラジオを聴いてくれているのだから、よけいに言えない。

 でも、寂しくて暗くて真冬みたいだった俺に、ぱっと射し込んだ春の陽。それは恭子そのものだから。嬉しくて恥ずかしくて、俺の頬にも陽射しみたいな明るみが射しているはず。

SHIGE/28/END







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