番外編

FS超ショートストーリィ・四季の歌・章「冬の旅」

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フォレストシンガーズ

超ショートストーリィ・四季のうた

「冬の旅」

 思い浮かべていたイメージとはちがいすぎるけれど、現実とはこんなものなのだろう。
 東京で暮らしていれば、大嫌いな雪景色などはほとんど見なくてすむと安堵していたのに、旅暮らしになってしまったら雪深い地方にも来なくてはならない。がっかりだ。

「章はなんでそんなに雪が嫌いなの?」
「稚内の生まれだからだよ」
「稚内生まれのひとはみんな、雪が嫌いなのか?」
「たいていは嫌いだろ。横須賀生まれの男がたいていは軟派なのと同じくらいにはさ」
「うちの親父、軟派じゃないぜ」
「その分、おまえが二倍軟派だろうが」

 ほどぼとなるなる、と幸生が大笑いした。
 なにを言ってもこたえない奴なのだから、なにを言っても無駄なのは章にだってわかっているのだが、黙々と歩いていると寒いだけだから、幸生と喋っているほうがましなのだ。

 これから列車に乗って、北国へと旅をする。
 たどりついた北国では、歌える仕事をさせてもらえるのだろうか。まーたお笑い芸人みたいな扱いをされて、怒りたいのを我慢するだけになるのかもしれない。

 稚内で生まれて雪に閉じ込められる冬を十八年間送ったから、章は雪が大嫌いだ。東京暮らしが長くなれば、故郷の雪をなつかしく感じるようになるのかもしれないと思っていたが、そうはなりそうにない。フォレストシンガーズの旅ははじまったばかり。今年の冬雪に悩まされそうだ。

 おまけにこの男の名はユキオ、自称ユキ。
 こんな奴とつきあっていくのだから、章の雪嫌いは年々拍車がかかりそうで、溜息しか出ないのであった。

AKIRA/24/END









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