番外編

FS超ショートストーリィ・四季の歌・繁之「冬の画」

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FS超ショートストーリィ・四季の歌

「冬の画」

 人には意外な才能が隠れていたりするもので、時として本人さえも気づいていないこともあるのかもしれない。

 フォレストシンガーズの場合、音楽関係の才能は当然だといえる。歌。楽器、作曲、作詞も、音楽理論などの知識も。俺は歌だけは並みより上かもしれないけど、うちではいちばん下だしな。その他の音楽的才能はゼロだしな、と繁之は卑下しているのだが。他の四人は立派なミュージシャンだ。

 意外な才能といえば?

 乾さんの俳句や短歌や古典に関する造詣。歌なんだから音楽的なものに近いのか?
 本橋さんのウルトラマン関係は、才能っていうんではないのかな。
 幸生の猫とかジョークとかは……オタクレベルではあるな。

 つらつらと考えてみるに、俺にはそっちもないと繁之は頭をかきたくなる。うちで一番は……そうだ!! 

「だろ?」
「まあ、そうだけどね」

 同い年の男同士は身近にいるとライバル意識を燃やすのが自然であるようで、本橋と乾、幸生と章にもあきらかにある。繁之が幸生に章の才能について話すと、幸生は翌日、一枚の絵を持ってきた。

「幸生が描いたのか?」
「そうだよ。俺にも章以上の絵の才能があるでしょ?」
「これ、なんだ?」
「わかんない?」
「……わかんないよ」

 わからないものを素直にわからないと認められるのは、シゲさんの才能だと幸生は言う。そこがあなたのいいところ~といつもの台詞で繁之をけむに巻いておいて幸生が行ってしまうと、繁之は乾にその絵を見せた。

「俺には真っ白にしか見えないんですけど」
「白いクレヨンで白い紙を塗りつぶしたんだよな」
「単なる白い紙ではないですよね」
「……幸生が描いたんだろ。俺にはタイトルの想像ならできるよ」
「想像して下さい」

 冬の猫、なのだそうだ。
 なるほど、じーっとじーっと見ているとそうも見えてきた。真っ白な雪景色の中、遠ざかっていく真っ白な猫。しっぽが揺れて、ひとあしごとに雪に足跡がつく。猫の鳴き声も聞こえてきそうだ。

 みゃーーご。
 と、たった今、鳴いたのは幸生だろうから、乾の想像は当たっていたということなのであるらしかった。





 




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