ショートストーリィ

limeさんのイラストによせて/かわりになんかならないけれど

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mark0052lime.jpg

limeさんのイラストから妄想をいただきました。
彼のスペックなどなどにつきましては、limeさんの創作をご参照くださいませ。

もしかしたら、主人公が「僕」であることがお嫌いな方もいらっしゃるかと思います。
その意味ではBL系ですのでご注意を。


「かわりになんかならないけれど」

「マーク、かつ丼が食べたい」
「かつ丼とはトンカツの丼ですよね。すみません。材料がありませんが」
「いつでもなんでも、僕が食べたいと言ったら作れるように準備しておけよ。おまえは僕の召使なんだろ」
「申し訳ありません。買ってまいります」

 先回りしてあるじの要望を察するということはできないのか。昨夜だって親子丼が食べたいと命令したんだから、僕が夜食をほしがるってわかってるくせに。

「坊ちゃま、かつ丼ができました」
「いらないよ」
「……わかりました」
「風呂に入って寝るんだから、準備しろよ。毎晩毎晩、同じ命令ばっかりさせるなよ。手のかかる奴だな」
「申し訳ございません」

 素直すぎて腹の立つ、かわいくない奴。

 親子丼の夜から次の夜はかつ丼、それから卵丼、木の葉丼、他人丼、天丼、と命令して、すべて、マークが作ったあとで、こんなのいらない、風呂、寝る!! と続けた。

 なのだから、僕の命令パターンを読んだらしく、一週間後にマークは言った。

「今夜はなんの丼の気分ですか? ネットスーパーで事前に仕入れておきましたので、お時間さえいただければ、たいていの丼は作れますよ」
「……ホタテガイの入ったマカロニグラタンの気分だな」
「かしこまりました」

 たまには反抗しろよ、怒れよ。そういったプログラムは搭載されていないらしいので、マークには怒るということはできないらしいが、苛々する。怒らせてやりたい。

「マカロニグラタン、お召し上がりにはなりませんか? 作りましたけど破棄しますか? お風呂でしょうか。ベッドでしょうか」
「僕が命令する前に言うな!!」
「申し訳ありません。出過ぎた真似を致しました」
「……来いよ」
「はい」

 MARK-0052。見た目は僕よりもすこし年上の青年みたいな機械。感情のようなものを持っているのだとしても、疑似感情だ。人間に似せて作られたアンドロイド。

「説明書にさ……」
「はい? あ……」
「これ、痛い?」
「う、う……」
「皮膚感覚はあるんだって? 説明書に書いてあったよ。これはどう?」
「あ、あの……」
「もしかして恥ずかしい? 赤くなってない?」
「あの……え……えーっと……」
「わ、ちゃんと穿いてるんだ」
「……あのあのあの……」

 痛覚も快感もあるって? それだって疑似だろ。おまえは所詮アンドロイド。なのにさ。

「俺はしばらく忙しくて、おまえにかまってやれないんだよ。こいつを俺のかわりにすればいい」
「これ……?」
「マークって名前だよ。おまえが俺にやったら俺が怒るようなことでも、こいつはなんでも受け入れるはずだ。ストレス解消に苛めてもいいけど、こわすなよ」
「ふぅん」

 海外出張に行くあのひとの、代理にしろと置いていかれたマーク。
 あのひとがそう設定したのか、僕を坊ちゃまと呼ぶマーク。どことなくあのひとに似た、クールビューティだ。

 こんなにわがまま言って無理難題を吹っ掛けたら、そりゃあ彼だったら怒るだろうさ。怒って僕をとっつかまえて、今、僕がマークにしているようなことをするはず。

 こうやってマークをつねったり、ぐーで殴ったり、もっといかがわしいいたずらもしてみたりしても、ストレス解消になんかならないんだよっ!! 僕はこういうことをするんじゃなくて、あなたにしてほしいんだから。怒らないマークなんてつまらないんだからっ!!

「あ、あの、坊ちゃま……泣いて、泣いてらっしゃいますか? なぜ? あの……」
「うるさい。黙れ!!」
「かしこまりました」

 黙れと言ったからそれっきり、マークは口もきかなくなった。
 馬鹿マーク!! このKYアンドロイド!! 僕の望みを察して行動しろよっ!!

 なのに、なのに。
 気がつくと僕はマークの腕の中、ソファにかけたマークの胸が、僕の涙で濡れていた。

END

limeさん、いつもありがとうございます。









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~ Comment ~

わ~いマーク^^

あかねさん、マークのSS、ありがとう!

きゃあ~、ますますキュン度がアップした!
なんか、マークも健気だけど、この僕(坊ちゃまw)の悶々も、すごく理解できるから妙に切ない><
従順すぎるマークが、逆に罪作りな例ですね(;_;)

こういうのいいなあ。やさしくて切ないS。
この僕のイイ人は、意地悪ですね~w こうなるのを予測してたかな。

マークは健気な上に感度良いですから(爆)意地悪がエスカレートしなきゃいいけど><

あ、最後の一行は好きです。
あれがあるから、なんか救われる感じで。
なんかこの続編が見たくなっちゃいました^^

私の方に、このSS,リンクさせてくださいね♪

limeさんへ

ご感想、リンク、ありがとうございます。

キュンなんて言っていただけるととても嬉しいです。
私もこのシチュエーションは好みですので、実は書いててきゅきゅんとか……なんかヘンタイチックですが。

僕のあのひと……意地悪ですよね、ほんと。
カメラでも仕掛けてあって、ボーイとマークのやりとりを見て笑っていたりして。俺のありがたみがわかったか? なんてね。
うわー、いやな奴。

とかいう続編、書いてみたい気はします。

最後の一行がないほうがよかったとしたら、タイトルを変えないといけないなと思っていました。
あるほうが甘さもあって余韻もあっていいでしょうか?
このままにしておきますね。

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