ショートストーリィ(フォレストシンガーズ)

FSソングライティング物語「No Matter What」

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フォレストシンガーズ

ソングライティング物語

「No Matter What」

 この歌がヒットして間もなく、ヴォーカリストがカミングアウトした。
 僕はゲイだ、と。
 そして、同性の恋人と結婚してたったの三年で、彼は病で帰らぬひととなった。

「No matter what they tell us
No matter what they do
No matter what they teach us
What we believe is true

No matter what they call us
However they attack
No matter where they take us
We'll find our own way back

I can't deny what I believe
I can't be what I'm not
I know our love forever
I know, no matter what」

 誰になんと言われてもかまわない
 彼らがなにをしたってかまわない
 誰かがなにを吹き込んできたとしても
 僕らが信じることこそが真実だ。

 みんなが僕らをなんと呼んだって平気さ
 もしも彼らに攻撃されたとしても
 僕らをどこかに連れ去っていったってかまわない

 訳詞を読んでいるとしんとした心持になってくる。人は実話ってやつに弱いのだろう。俺だって実話をアレンジした歌詞を書いているが、フォレストシンガーズの、乾隆也のファンではない方の心に響く歌を作って歌いたい。

 ヴォーカルグループなのだから、フォレストシンガーズは歌詞のある歌を主に自分たちで作って歌う。基本的には楽器は演奏しないが、曲は自作のものが大半だ。俺は文字人間だから、歌詞を書くほうが好き。曲は自然に湧いてくるのを待つしかない。

 我々全体としてはそうなのだが、近頃は本橋真次郎が曲のみを発表している。
 本橋の個人ライヴでピアノソロをやったり、ラジオでピアノ曲を取り上げて自分の書いたメロディをピアノ演奏したり、クラシック曲を作曲する場合は歌詞はない。

「本橋さんのピアノ曲、「とこしえに」を聴きました。
 本橋さんは学生時代の合唱部の部室をああして曲になさったのでしょうか。
 私も十年以上前に、その部室にいました。
 三沢さんが男子部のキャプテンだった年に、女子部に入部した者です。

 あれから合唱部はだいぶ変わったのだそうですが、私のころには本橋さんがいらしたときと似た風景だったのではないでしょうか。
 
 勝手に私がそう考えただけかもしれませんが、そうだったらいいのにな。
 もしもちがったとしても、私には「とこしえに」がその意味で強く強く印象に残りました。
 CDにはしないのですか? して下さったらとっても嬉しいです。
 発売を心から待ちわびています」

 ファンクラブ限定フォームに届いた、稲木えりかの署名の入ったメール。ああ、あのえりかちゃん!! と幸生は覚えていた。幸生はきわめて記憶力がいい上に、一度触れ合った相手は女性だと絶対に忘れないそうだから、たしかなはずだ。

「俺もそう感じたよ」
「あ、俺もです。シゲさんもあの曲を聴いて、部室の窓の外の樹、ポプラでしたよね? その葉っぱを思い出したそうです。章は合唱部との縁が薄いから、どうなのかな?」

 個人的な曲の場合、感想を求められない限りはあれこれコメントはしない。が、「とこしえに」については幸生と話した。章とも話した。

「とこしえに……ね、なんかこうノスタルジックってかセンチってか? 俺は稚内の高校の秋の校庭を思い出しましたよ」
「やっぱり学生時代につながるんだな」

 あの部室には一年しかいなかった章も、近い感想を抱いていた。なお、本橋には敢えて質問はしなかった。

 日本語の歌詞は日本人にはダイレクトに伝わる。英語の歌は意識して聴かないと意味がつかみにくく、必死で耳を澄ましていても聞き取れなかったり、シュールすぎて意味不明だったりする。英語ネィティヴの発音がよすぎるのだ。笑い、である。

 その点、曲はさまざまに聴ける。章の感想を聞いてから「とこしえに」を聴き直したら、俺にも金沢の高校のグラウンドに散る落ち葉が見えた。先入観ってのもあるのだろう。

 誰がなんと言っても、誰がどんなふうに受け取っても、俺も人の心に響く曲が書きたい。歌詞だってもちろんだけど、曲でも聴いて下さる方を瞠目させたい。そんな野望を持つようになったのは本橋の影響もある。彼はやはり俺の永遠の、そして最高のライバルだ。

END








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~ Comment ~

NoTitle

この曲聞いてみました。
しっとりとしてとても素敵な曲ですね(*´∀`)♪ 結構好きな曲調でした。

ボーカルさんたちみんなイケメンでした(*´ω`*)まさかのゲイだとはΣ(゚Д゚)
しかも結婚して三年で死んじゃうとは……。せめて幸せな中で亡くなられたと信じたいです……。

確かに歌詞はその国の人には伝わりますが、外国の人はメロディーを聞きますね。
前に、外国の曲をすごく気に入って聞いていたけど、実際歌詞を訳してみたら下ネタの連発だったとか聞いたことあります(-_-;)

メロディーで情景が浮かぶことあります!
聞いてた当時の風景とか、感情を思い出します。はじめて聞いた曲でも情景が浮かぶことがたまにあります。その曲と合ってるかは分かりませんが(^_^;)
小説の雰囲気でもそういうこと出来たらいいなぁ。

乾さんの気持ち分かります。自分のファン意外の人の心にも届くものを作りたいっていうの。
本橋さんっていういいライバルが側にいて、切磋琢磨してどんどんいい曲を作っていってくださいませ( ´∀`)bグッ!

今回のお話は創作している自分も考えさせられる内容でしたm(_ _)m

あ、ペンタブが返ってきたのでプレゼント作成とりかかりますね!もうしばらくお待ちくださいませm(_ _)m

たおるさんへ

聴いて下さってありがとうございます。
私もこの曲、好きです。
ひょんなことからboy zoneを知り、ひょんなことからこの曲も知りました。

たまにはちょっとシリアスに……となると、隆也です。
彼は作詞作曲もプロですが、アマチュアだって心意気は同じ、と行きたいものですよね。

ファンではない人の心に響くもの、それ、大事だなと思います。
ファンはどうしても好きなシンガーやグルーブのひいきをしますから。

英語の歌……といえば、英米ロックにこんなのがあります。

「おまえから電話がかかってきて、会いたいって言われたんだけど、
俺、行けないんだよね。
だって、他の女の子と楽しく遊んでるんだもん」

ア・ホ・カ!! 
ですよね(^o^) アホすぎて笑えます。

あ、イラスト、描いていただけるのですね。
楽しみ~に待ってます。ほんと、楽しみ~v-238です。
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