ショートストーリィ(フォレストシンガーズ)

FS「ひとりごと」

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フォレストシンガーズ

「ひとりごと」


1・章

 はーい、こんばんは。
 木村章のモノローグコーナーです。

 なんの話をしようかな。好きなことについて、だよね。俺の好きなことっていえば、ファンのみなさんは知ってるでしょ? 女の子? も好きだけど、俺は幸生じゃないんだから……そう、ロックだよ。そうそう、ロック。

 ロックの話題なんてものは俺が語るにはありふれすぎてるから、俺の疑問を語ってみようかな。

 人間の好みってのは実に千差万別で、食べ物にしたって人間同士にしたって、ええ? どうしてあんなものが好きなんだ? どうしてあの人が嫌いなの? なんてことがよくあるよね。音楽も同じだと思うんだ。食べものの種類と同じくらいに、音楽にも種類があるよ。

 だって、そうでしょ? ロックひとつ取ってみたって、ビジュアル系だってトランス系だって、テクノだってデスメタルだって、シンフォニックだってハードロックだって、細かく分ければ星の数ほどのジャンルがあるじゃないか。そこに加えてジャズやカントリーやクラシックやその他諸々。

 星の数ほどのジャンルの音楽を、細かく細かく分類する。そしたら星の数ほどの種類の音楽ができる。同じハードロックだって、あの曲とこの曲は別だよ。
 不思議なんだ、どうして人には好みがあるんだろ。

 音楽も同じだよね。俺の大好きなハードロックの曲を、うるさいと言う奴もいる。誰かの大好きなジャズの曲を、俺はだるいと思う。誰かが熱心に聴いているクラシックの大曲を一緒に聴いてたら、俺は退屈で寝てしまったりもする。

 好き嫌いって不思議だなぁと、偏食家である俺は思うんだよ。食べものだってそうだよね。うちの両親が大好きだったネギ、俺は嫌いだもん。
 両親は音楽になんか興味なかったな。町内会のリクレーションのためにカラオケの練習をしたり、テレビのヒット曲番組を見たりする程度だった。だから、遺伝なんかじゃないよね。今でもうちの母親は、ロック? って顔をしかめるだけで好きではないらしい。フォレストシンガーズの歌にも興味はないみたいだ。

 なのに俺はこんなにも音楽が好きで、特にハードロックが好きで、音楽がないと生きていけないんだ。
 どうやってこんな木村章ができあがったのかな。生まれたときから俺の中には、音楽好き、ロック好き、歌が命のタネみたいなものがあったんだろうか。だとしたら、やっぱりそれは親にもらったものなんだろうか。

 
2・幸生

 ひとりでひとりごとを喋れってコーナーなんですけど、ほら、俺って無口でしょ? 相手もいないのに、ユキちゃん、喋れなぁい。
 どの口が言ってるんだ?! って? この口ですよ。ピンクのさくらんぼみたいなユキちゃんの口。キスしてほしい女の子は寄っといで。

あらぁ、女の子が寄ってきたよ。
 おいでおいで、きみの名前はなんていうの?

 みなさん、聞こえましたか? シャイな彼女は細くて小さくて甘い可憐な声が答えてくれましたが、聞こえなかったかもしれないから俺が再現しますね。彼女の声、俺に似てるもんね。

 にゃぁぁぁ。
 そう、彼女の名前はにゃあ子ちゃんです。
 誰だ? お兄ちゃんの名前のつけ方ってセンスないね、って言ってる奴は? 俺が猫に名前をつけるたび、文句を言った雅美か輝美か。どうも妹たちって俺のトラウマなんだよね。

 妹なんかはほっといて、にゃあ子ちゃんと会話をしましょう。
 だって、ほら、俺って無口なんだもん。相手もいないのに喋れないよ。乾さんじゃないんだから。……うっ、殺気。乾さん、いたの? 先輩、お肩をおもみしましょうか。悪口なんか言ってませんよ。ぶたないでね。

 ん? あ、にゃあ子ちゃん、ごめん。怒った? きみをないがしろにしちゃいけないよね。
 先輩も俺のトラウマなんだな。こうしてラジオでトークしてて、うちに帰ってから電話がかかってきて、幸生、やりすぎだろ、って叱られたこと数知れずだったりしますので。

 ねぇ、にゃあ子ちゃんはなにが好き? かつお節? 猫缶? 猫缶って猫の肉の缶詰じゃないですよ。猫のごはんの入った缶詰です。うう、猫肉だって……シュールだなぁ。やめてよね。
 失礼しました。

 俺? 俺の好きなものはなんたって猫だよ。人間の女性は? ってにゃあ子ちゃんの質問ですが、もちろん人間の女性も好きです。猫の女性と優劣つけがたいほどに好きです。

 猫の男性は? 猫の女性の次に好きです。人間の男性は? うーーむむ、好きな奴も嫌いな奴もいるね。うちの先輩たちは大好きだけど、章は嫌いだ。いーっだ、べーっだ。

 んん? にゃあ子ちゃん、心配してくれてるの? 章と喧嘩でもしたのって? 喧嘩はいつもしてるし、こんなの毎度のことだから心配してくれなくていいんだよ。にゃあ子ちゃんは優しいね。だから猫の女の子は大好きさ。キスしていい?

 愛してるよ、にゃあ子ちゃん、ちゅっ。
 

3・隆也

「窓際で 眠たげにぶら下がって
 風に揺れている 洗い立てのTシャツ
 夕ベ君と揉めてた袖の染みが
 きれいに消えてて さりげないシグナル

 思いやりなんて忘れてた僕に
 それとなく気づかせる
 控え目で優しい君へ

 飾らない歌を今届けたいよ
 ちょっと照れくさい本音のモノローグを
 伝えようなんてそんな大それてない
 ただ聴いてよ
 言葉にならないこのメロディーを」

こんばんは、乾隆也です。深夜のひととき、わたくしの歌とお喋りに耳をかたむけて下さい。子守唄にしていただくのもいいですね。

 世の中には興味のある事柄はたくさんありますが、歌を書くということは、ひとつの物語を構築するということです。僕は男ですから、物語の中に出てくる相手は女性です。ですからね、男性の方も聴いて下さっているかもしれないということには目をつぶらせていただいて、女性のみなさまに向けて語ります。

 はじめて誰かに恋をしたとき、あなたはなにを感じましたか? 
 幼い恋は楽しくて、日々がきらめいていたかな。かなわないからこそ美しい、少年と少女の恋。成就なんかしなくていいんだ。恋をしたという事実がきらきら輝いて、あなたを大人の女性に成長させてくれるんだから。

 それから何度恋をした?
 告白されたこともあるでしょ? つきあったこともあるよね。自ら告白した経験のある女性もいるよね。そのうちの誰かとは別れて、誰かとは結婚した? 誰とも結婚していないひとも、結婚しても別れてしまったひともいるでしょう?

 恋が成就するって、どういうことなのかな。俺にはわからない。あなたにはわかる?
 ひとは恋愛なんかしなくても生きていけるけど、俺は恋をしたいな。幾度破れても敗れても、性懲りもなく恋がしたい。なぜなら、そんなにも魅力的なあなたがそこにいるから。

 あなたも失恋したってめげないで。もう恋なんてしないなんて、言わないで。
 命みじかし恋せよ乙女……じゃないんだよ。命は長い、恋をしようよ、女性たち。
 

4・繁之

 好きなものは歌です。でも、歌は仕事でもありますから、純粋な趣味といえば野球ですね。
 親父がプロ野球ファンなものですから、子どものころにはシーズンにはテレビで野球ばっかり。章の親父さんもプロ野球好きで、そのせいで彼は野球が嫌いになったそうですが、素直な僕は野球好きになりました。

 プロ野球も高校野球も好きで、甲子園球場に連れていってもらいましたよ。真夏のぎらぎら太陽に照り映える甲子園の銀傘……俺の原風景かもしれません。
 そういう男の子のお約束のように、俺も高校球児に憧れました。高校生になったら甲子園に行き、ドラフトにかかってプロ野球選手になるんだ、ってね。

 歌手としては変わり種? そうでもないみたいですよ。子どものころにはサッカー選手になりたかったとか、水泳選手になりたかったとかいう仲間はけっこういます。
 スポーツ選手としては才能も運も足りなくて、ミュージシャンに転向したひともけっこういるんですよね。俺は足りないどころじゃなかったから、小学校限りで少年野球はやめてしまいました。それでも見るのは好き。野球をするのも大好きです。

 ファンクラブ会員のみなさんとも野球の試合をしましたよね。あのせつはありがとうございます。とてもとても楽しかったです。

 あと、俺は若手ミュージシャンたちと野球チームを作ってるんですよ。俺が一応は監督でキャプテンです。お恥ずかしいですが。
 そのチームは試合をする以前に、練習をしなくてはならない。でないと格好もつきやしない。いえ、すべては監督である俺の責任です。

 去年だったかなぁ。俺たちのチームがグラウンドを借りて練習していると、徳永さんがふらりとやってきました。歌手の徳永渉さん、彼は我々と同じ大学の同じ合唱部出身で、本橋さんや乾さんと同い年です。知ってる方は知ってますよね。

「俺たちも練習にきたんだけど、練習試合にしないか」
「徳永さん、野球経験があるんですか」
「いや、ないよ」

 小学校から高校まで、授業でソフトボール程度はやります。徳永さんもそのくらいの経験しかないそうですが、彼も野球チームに入っている。初耳だったのもあり、野球好きの血が騒いだのもあって了承しました。
 背が高くて筋肉質ではあるのですが、正直言って徳永さんは野球に向く体格ではない。俺みたいな体格のほうが向くんですよ。本庄繁之を見たことがないとおっしゃる方は、フォレストシンガーズの公式サイトをごらんになって下さい。俺の全身写真もあります。

 そういうわけで、失礼ながらたかをくくっていた部分もありました。徳永チームに負けるはずないだろってね。
 ところがところが、ピッチャーとしての徳永さんは素晴らしい。打者としてもすごい。天性のスポーツマンなんじゃないかと思えるほど。

 他のメンバーはまあ、そつなくやってるなって程度だったのですが、徳永さんは俊足好打堅守と三拍子そろっている。徳永さんひとりに翻弄されて、九回裏の時点で三対ゼロでした。

 得点をたたき出したのもすべて徳永さん、ピッチャーとしては完封寸前。これでは俺たち、顔色ないではありませんか。俺は温厚なシゲさんと呼ばれていますけど、野球には熱くなるんですよ。

「草野球なんですから、完封なんてかっこよすぎですよ。他にもピッチャーをやりたい人はいるでしょ。交代しません?」

 言ってみても鼻であしらわれて、俺はかっかしながらバッターボックスに立ちました。
 内野安打と二塁打でツーアウト二塁三塁、チャンスで俺に打順が回ってきていたのです。
 ここで俺がホームランを打てば同点だ。今日も俺は必ずホームランを打つ、打てる、自分に暗示をかけ、多少は疲れてきた様子の徳永投手を睨みつける。好球必打を自らに言い聞かせていたら、一球目から高めで打ちごろの球が飛んできて、俺は打ちましたよ。打ったんですよ。

 そのつもりだったのに、なんたることか。俺が打ったボールは徳永さんのグラブにすっぽり収まり、ピッチャーゴロ、ゲームセット。俺は思わずバットを投げ出しました。

「本庄、用具を粗末に扱うなよ」

 徳永さんが気持ちよさそうにそう言ったのが、今もありありと耳に残ってします。
 あのグラブが出たのは、ラッキーだった、まぐれだったとしか思えないんです。負け惜しみですか? うー、思い出すとかっかしてきた。徳永さん、もう一度野球の試合をやりましょう。今度は本橋さんと乾さんにも手を貸してもらいますから、徳永さんも強力な助っ人を連れてきていいですよ。

 う、う、すみません。興奮してしまいました。俺の言ってることが意味不明だった方、どうもすみません。
 

5・真次郎

 いやぁ、先週はシゲがエキサイトして吠えてまして、本人はあれから反省しておりました。俺からもお詫び申し上げます。

 へぇ、シゲさんもあんなふうになるんだ、なんて、意外だったとか、それはそれで好ましかったとかいうご感想もいただきまして、見苦しい、聞き苦しいといったご意見はありませんでしたよ。シゲ、安心しろ。ご不快に思われたけれどコメントはしなかったとおっしゃる方、どうもすみません。

 お詫びのしるしといってはなんですが、今夜はひとりごとがわりに、俺のピアノをお届けします。
 原曲はこれなんですけど、俺のアレンジで、俺の演奏で聴いて下さい。

「喋りたいことを誰かが
 聞きたいと思ってくれるかな
 ひとりごとでも構わないけど
 受け止めてくれたら

 昨日咲いた花のこと
 窓辺で見てた夢のこと
 聞いて欲しくて」

 本橋真次郎のモノローグは、俺の弾くピアノのひとりごとです。

END









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