ショートストーリィ

続・魔法にかけられて/limeさんのイラストによせて

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lime妖狐

魔法にかけられて」の続編です。
企画はlimeさんの(妄想らくがき企画)+(scriviamo!参加イラスト) 『狐画』

いつもいつも大変お世話になりまして、limeさん、ありがとうございます。

「魔法にかけられたって?」

 
 そんなにじーっと見るとあんたも食っちゃうぞ。
 ってね、さっき、あたしに喧嘩を売ってた男なんかよりは、あんたのほうが甘くてやわらかくてジューシーそうで、うまそうだけどね。

 大人の男なんか食わないってのよ。うぬぼれんなってのよ。
 
 むこうでスマホに夢中なのがあんたのママ? 騒いでも聞いてないだろうから、ママ、このお姉さんが目をぱちぱちさせてるよっ!! なんて叫んでも無駄だよ。

 ガキに話してもしようがないんだけど、あんたも暇だろ? あたしも退屈してるんだから話してやるよ。聞いてくれる?
 うんうんって? あたしの声、聴こえてるんだね。あんた、いい子だね。見どころがあるから食わないよ。

 何度かご主人さまに叱られたんだ。

「またこんないたずらをして。か弱い人間にそんなことをしてはいけないんだよ」
「はぁい、もうしません」
 
 ごめんなさいして許してもらったんだけど、またやっちゃったんだ。

「何度言ったらわかるんだ。今度したら絵の中に封じ込めてしまうよ」
「やだやだっ。もうしませんっ!! もうしないから堪忍してっ!!」

 でもね、またやっちゃったの。だって、あたし、狐だもん。いたずらしたがるのは狐のサガなんだもん。
 どんないたずらをしたのかって? ガキに言ってもわかんないことだよ。

 そんで、ここに閉じ込められちゃったんだ。
 さっきの男はあたしがあいつを気に入らない目で見るとか言って怒ってたけど、そうじゃなくてすねてるんだよ。こんなところに閉じ込められたら暇で暇で暇で、死にそうだよぉ。

「かわいそうじゃないか。出してやれよ」

 そう言ってくれた奴もいたんだけど、ご主人さまは頑固でね。この子が本当に二度としないって誓うまではここに閉じ込めてこらしめるんだって。そりゃあね、絶対に二度としません、って誓うのは簡単だけど、またやっちゃうだろうなぁ。だって、あたし、狐なんだもん。

 ここに立って誰かを待っていたさっきの男は、出してやれって言ってくれた奴に似ていたんだよ。
 だから、こいつだったら出してくれないかなってつもりで見てたんだけど、あいつもただの人間なんだよね。あたしをここから出すことはできないみたい。できたとしてもしてくれないかもね。

 待っていた相手が来たら、あたしをほったらかして行ってしまおうとする。腹が立ったからいつものいたずら、してやったんだ。

 あれぇ? でも、まちがえた? このあたしがまちがえた? そんなはずないんだけどな。
 
 ガキんちょにはわからないだろうけど、人間って誰かを嫌いだと考えることはしょっちゅうあるんだよね。あんたはママが嫌い? こうやってかまってもらえなくても好き? そっかぁ、じゃぁ、タカシって奴もそんなふうにあいつを慕ってたんだね。あたしがまちがえたんじゃないんだ。

 どんないたずらだかわかった? あんた、ちっちゃいのに利口だね。
 そうだよ。ちょっとだけ誰かを嫌いな人間の気持ちを大きく大きくさせて、そいつらを完璧に仲違いさせてしまうっていたずら。魔術とも呼ぶのかもしれない。

 タカシにその魔術を使ったつもりなんだけど、効かなかった……わけではなくて、タカシは本気であいつ、先輩って呼んでたあいつが好きなんだね。だからあたしはむしろ、タカシの好きって気持ちを増幅させてしまったんだ。

 なーんか変な感じ。

 へぇ、あんたもタカシって名前? ママが呼んでるよ、タカシタカシって。
 行くの? うん、話を聞いてくれてありがとう。ちょっとだけ退屈がまぎれたよ。

 そっかぁ、あたしには人を嫌い合いさせるだけじゃなくて、好きって気持ちを大きくさせる魔術も使えるんだ。知らなかったけどそうなんだね。そしたら、あんたのママにそっちの魔術を使ってあげるよ。

 ね、ご主人さま? あたしもたまにはいいことしたんだよ。
 ほら、タカシとママが手をつないで歩いていく。ふたりとも楽しそう。大きいほうのタカシだって、結果的には大好きな先輩に告白できたんだからいいじゃん?

 だからもう許してよ。
 ご主人さま、ここから出して。お願いだからぁ!!

END


視点を妖狐ちゃんに替えて、続編を書いてみました。
「魔法にかけられて」を先にお読みいただけると幸いです。








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~ Comment ~

むふふ

あかねさん、続編とってもたのしかった~~。
すごくこの狐のキャラがかわいい^^
こういう無邪気な悪女って感じのキャラ、あかねさんはほんとうに書くの上手いなあ。

このキツネがいままでにやった悪戯を、全部見てみたいです^^
狐が男の子にジューシーでおいしそうっていうシーン、なんかすごく萌えた(変?)
とっても楽しい続編でした。
またリンクに追加させてくださいね^^

NoTitle

こんばんは!
読了とコメントありがとうございました♪嬉しかったですヽ(○´Д`)ノ

「魔法にかけられて」から読ませていただきました。
狐のキャラが本当に素敵ですね!可愛い!

しかし罰として絵に入れられた挙句に「異形のモノ展」に出品されるとは…笑
出してもらえたら展示会ではミステリーが生まれますね♪

limeさんへ

笑ってもらえて嬉しいです。
ありがとうございます。

このご主人さまは女性、天女というか、中国の西王母みたいな方かな、などと想像して書いていました。
もっと色っぽい方面にも持っていきたかったのですが。

可愛いと言ってもらえて嬉しいです。
でも、きっとかなり悪辣ないたずらをやってるんですよね。
私の書いてるいやな女たちは、このヨーコちゃんの魔術をかけられて、ああいうやな奴になった、ということにしておきます。

夢月亭清修さんへ

ようこそいらっしゃいませ。
コメントありがとうございます。

夢月亭さんの書かれた妖狐は色っぽく、エロっぽくて素敵でした。
私が書いたのはちょっと幼いですが、けっこう悪さはしています。
色っぽいほうには敢えて進めなかったのですが、そういうのも書いてみたいです。

ヨーコちゃんを絵に封じ込めたご主人さまは「ええ? 展覧会に出てる? なんの手違いがっ!!」と焦っていると思われます。

NoTitle

うぷぷ^^ ヨーコちゃんはいたずらっ子なのね。
そして、タカシ狙い? ちゃう(><)
一人閉じ込められちゃうと、きっと暇ですよね。
ちょっと誰かとしゃべりたくなっちゃうの、わかるなあ。
ヨーコちゃんのご主人様は誰なのでしょう。
もっといたずらっ子だったりして?

続編アップされてる!待ってました!

うお!やっぱタカシくん(後輩)は原田くん(違)がすきだったんですね!うんうん、私はそうだと思っていたよ(何様

そしてヨーコ様(笑)
絶対絵から出したら同じこと繰り返す(笑)
もうこの際閉じ込められたまま観覧者(男同士)くっつけるという遊びをしたらいいと思います!うん、絶対楽しいと思うよ♪
この展覧会に行ったお客さんはなぜかホモになるというデートスポットにしたらいいと思います!(おい

けいさんへ

コメントありがとうございます。

大きいほうのタカシにはよいことをしたつもり。
原田くんは……じゃなくて、先輩としてはうぐぐぐげごげご……だとは、ヨーコちゃんは気づいていません。

小さいほうのタカシには、話を聴いてもらったお礼にちょっとだけいいことをしてあげました。

エロっぽいのはやめておこうと思って、単純に、ご主人さまは女性だとの設定です。
西王母みたいな女神さまです。

ペットのいたずら妖狐に困らされている、おばあさまふうの方だと思いますが、
きっとご主人さまも若いころには……むにゃむにゃ。
なんて書いてると、他の方の作品の影響を受けそうなんですよねぇ。

たおるさんへ

待ってました、なんて言っていただけると嬉しいです。
ありがとうございます。

たおるさんも妄想全開になっていらして、コメントで笑わせてもらいました。
いいですねぇ、それ。

タカシ「おまえも先輩に告白したら?」
友達「そんなの無理だよ。だって、先輩は男なんかに興味ないんだもん」

タカシ「だまされたと思って、美術館前の狐の絵の前で告白してみろよ」
友達「そしたらどうなるの?」

タカシ「僕は原田先輩に、あそこで告白したんだ。そしたらさ……ひそひそ」
友達「えーっ?! そうなんだ。やさしくしてもらったんだ。で、で、つきあってるの?」
タカシ「うううううーん。これからだよ。僕もがんばるからおまえもがんばれ」

そして、ここはたおるさんのおっしゃる通り、男同士の恋の告白がうまく行くかもしれない、という、一種のパワースポットになったのでした。

そして、告白されたくない男の子の間では、男と一緒に絶対にあそこに行くな、変な気が起きるんだぞ、というスポットにも……。
罪なヨーコちゃんだわ。

NoTitle

こんばんは。

面白かったです。まったくこの狐は(笑)

でもこの狐の能力を考えると絵に閉じ込めるくらいじゃ甘いから、五行山へ封じてしまったほうがいいでしょうね(ひどい(^^;))

ポール。ブリッツさんへ

コメントありがとうございます。
笑っていただけて嬉しいです。

このいたずら狐はほんとに、出さないほうがいいですね。
孫悟空みたいに一万年とか閉じ込めても、改心しそうにありませんから。
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