番外編

FS超ショートストーリィ・四季のうた・隆也「冬の猫」

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フォレストシンガーズ超ショートストーリィ

「冬の猫」

 Coat of snow
 Snow scene

 前者はやはり「雪化粧」のほうが風情がある。

 平素はありふれた街の景色が、うっすら雪に覆われると一変する。雪深い北海道生まれの章は辟易するらしいが、東京の真次郎、三重の繁之、神奈川の幸生などは、雪合戦をしたり雪だるまを作ったりしてはしゃぎたがる。

 雪深いというほどでもないのかもしれないが、冬には雪が珍しくはない金沢出身の乾隆也は、窓から外を眺めていた。この景色を英語にしたら……と半ばはぼーっと考えていたのだが。

「あ……猫だ。幸生がいればいいのにな……」

 祖母は動物には関心がなかったようだし、父も母も多忙でペットどころではなかったらしく、隆也は子どものころには動物と触れ合った記憶がほぼない。小学校の家畜小屋にうさぎやにわとりがいた程度だ。

 そのせいで特に動物には興味がなかったのだが、大学生になってから知り合い、ともにフォレストシンガーズのメンバーになった三沢幸生は無類の猫好きだ。幸生はいつだって、俺は乾さんの影響を受けていると言うのだが、逆もあるのだった。

 我知らず笑いが浮かぶのは、真っ白な景色の中を歩いていく真っ白な猫が愉快だからだ。隆也の視界から遠ざかっていく猫は、気配だけを残して見えなくなっていく。

「いや、気配だけじゃないな」

 足跡が残る。
 下駄ならば二の字二の字だが。

「……猫ひとつ、雪に開いた、梅の花」

 駄句ではあろうが、悪くはない気もする。猫ひとつ? 猫はひとつ、ふたつとは数えないだろ、と祖母がつっこんでいるような気もして、一匹、よりも可愛いだろ、と言い返してみた。

END










sun1.jpg

たま大明神の三代目候補、岡山のSUNたまたまです。









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~ Comment ~

NoTitle

いいですね~。
画が浮かんでくるような句です。
乾君の一人遊びは情緒があります。
ユキちゃんならただはしゃぐだけだろうなあ。

最近TVで、短歌や俳句の先生が、芸能人の作品をバッサリと添削していくコーナーがありますよね。
あれも、その道のプロはやっぱりすごいなあ~と感じます。

でも観ていて私はガチガチに。
やっぱり字数を決められた世界は難しくて、私には無理だなあ~と再認識。
本当はすごく、文章の鍛錬になるんでしょうが。
出来上がりを読むだけの方がいいです^^

あかねさんへ!!♪

今日は少し暖気ですっかり雪が解けてしまった感じがしますが、夜には冷えが機微氏のでアイスバーーン状態になり滑ります。車も人も怖い時期です。
文章は難解で根気と頭脳が必要ですねー。良く頑張りますねー。頑張ってください。!!

limeさんへ

イラストを描かれるlimeさんに、画が浮かんでくると言っていただけるととりわけ嬉しいです。
ありがとうございます。

ユキだったら、きゃああ!! ネコッ!!
って、追っかけていきますね。

函館の雪景色の中で会った猫。
人なつっこい子で、私の肩に乗ってきたので一緒に散歩しました。
そのときの「雪の中に猫」がモチーフになっています。

短歌も俳句も、小説以上にむずかしいと思います。
おっしゃる通り、文章の鍛錬になるんでしょうけどね。

高校の時にクラスメイトが詠んで、先生が褒めていた俳句。
「時は過ぎ、今霜月の風くるう」
というこれ、いまだに心に残っていますが、高校生としてはうまて……って程度かな。俳句の良しあしはわかりにくいです。

荒野鷹虎さんへ

コメントありがとうございます。
そちらは雪なんですね。

大阪はまだコートもいらず、日によってはとてもあたかかで小春日和の日も多いです。
雪景色、見たいなぁ。

私は文章を書くのがいちばんの娯楽で、胸の中にもやっと溜まったなにかを文章にして吐き出すとすーっとするのですよ。
ですから、がんばっていません。
でも、がんばります←なんや、それは(・・?

また遊びにいらして下さいね~。
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