茜いろの森

□ forestsingers □

FS俳句・短歌・超ショートストーリィ2015/10

2015/10 超ショートストーリィ

 秋の七草を知ってる? と乾さんが尋ねる。せりなずな、ごぎょうはこべらほとけのざ、すずなすずしろ、あ、これは春の七草だ。首をすくめると、シゲちゃんが言った。

「恭子は七草を知ってるんだな。俺だったら春の七草っていえば、七草粥、あれは正月のごちそうで疲れた胃腸を休めるにはいいらしいけど、あっさりしすぎて物足りないな、と連想するよ」
「シゲらしい連想だな」

 結婚してから約一年、シゲちゃんの奥さんになれたのはとてもとても嬉しくて、シゲちゃんの仲間のフォレストシンガーズのみなさんと親しくなれたのも嬉しい。
 時々はこうして、シゲちゃんと、他の誰かと三人でお話もできる。今夜は乾さんを夕食にお招きして、七草の話題になった。

「秋の野に 咲きたる花を
 指折り(およびをり)
 かき数ふれば
 七種(ななくさ)の花
 萩の花 尾花葛花 撫子の花
 女郎花 また藤袴
 朝貌(あさがお)の花」

 母に教えてもらった歌のようなものを口にすると、乾さんが言った。

「万葉集、山上憶良だね」
「お、恭子、すごいじゃないか」
「……すごいっていうか、母が好きだったみたいで、子どものころに覚えたんです。子どものときに記憶したら忘れないんですよね」

 いやいや、すごいよ、と言っているシゲちゃんと、うんうん、たいしたもんだ、とうなずいている乾さんの微笑みがくすぐったくて、お母さん、ありがとう、と心で呟いた。

KYOKO/25歳の秋に

yjimage七草





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Date:2015/10/04
Trackback:0
Comment:2
UserTag: * 
Thema:ショート・ストーリー
Janre:小説・文学

Comment

* NoTitle

恭子さん、かわいいな。
乾君にもちょっとときめいたりするのかな?
(でもシゲさんは、笑って許しそう^^)

秋の七草も知らないし、山上憶良の歌もしらないし・・・。
私は日本人失格です>< いや、海外の事はもっと知らないけど・・・。

あかねさんは本当に俳句や和歌党に詳しいですね。うらやましい。
やはりお好きなんでしょうね。
乾君は、そんなあかねさんの理想・・・いや分身かな?
ああ、そっち方面には疎い私は、絶対に乾君を夕食に招待できないなあ・・・。
シゲちゃんなら、お酒いっぱいだしとけば・・・って。しつれいな。
2015/10/06 【lime】 URL #GCA3nAmE [編集] 

* limeさんへ

いつもコメントありがとうございます。
はい、ご明察。
恭子は乾さんかっこいい、と思っていまして、シゲはちょっとだけ妬いています。でも、俺の先輩かっこいいだろ、と誇らしくもも思っています。

昔、通信教育で短歌を詠む勉強をしていました。
短歌には制約も多いですし、私には三十一文字だと少なすぎるのでちょっとかじっただけでしたが、好きは好きですね。

全然詳しくはありませんで、ただ好きってだけですので、隆也ではなく恭子の母に近いくらいです。

シゲはほんとに、お酒とおいしいものをふるまって下されば大満足です。
隆也もlimeさんにお招きいただいたら大感激で、短歌じゃなくて甘い歌、songのほうでおもてなし返し。
なんてやると、limeさんのご夫君に怒られそうですね。

2015/10/07 【あかね】 URL #- 

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