番外編

FS超ショートストーリィ・四季のうた・夏・隆也

 ←FS形容詞物語「妬ましい」 →続・大海さんちのオリキャラオフ会/また一緒に遊ぼうにゃ~
フォレストシンガーズ・超ショートストーリィ・四季のうた

「夏の夢」


 アテネ近郊の森に足を踏み入れた、隆也は白い大きな襟のついた黒い服を着ている。どこかで見た誰かに似ていると、泉にわが身を映してみた隆也は思った。

「そうだ、シェイクスピアだな」

 大学では日本の古典を専攻していたから、平安時代の文学が好きだ。西洋のことについての造詣はきわめて浅い。イギリスといえばシェイクスピアよりもブリティッシュミュージックに興味を示す。

 だが、シェイクスピアくらいは知っていて当然だ。
 日本では戦国時代だったころ、隆也よりは四百歳ばかり年上のシェイクスピアが産まれた。紫式部にも同様の伝説があるのだが、シェイクスピアなんかいなかっただの、複数の人物が彼が書いたとされている物語を書いたのだだの、諸説あった。

「うん、だけど、アテネだろ。シェイクスピアだろ。真夏の夜の……」

 夢だな、と隆也はひとり、うなずく。

 「真夏の夜の夢」というタイトルだって、ミュージシャンとしては音楽のほうを連想する。三十代になってからはクラシックにも興味が出てきたので、ロンドンフィルの演奏する、メンデルスゾーン作曲の「真夏の夜の夢」を聴きにいった。

 オペラやバレエもあるから、いつか本場で見たいとの夢もある。
 ポピュラーミュージックにも同タイトルの曲がある。

 ここは夢の世界。真夏の夜の夢の国。深い森の中を歩きながら、隆也は物語の「真夏の夜の夢」を思い出していた。

 ウィリアム・シェイクスピアによって1590年代中頃に書かれた喜劇形式の戯曲。アテネ近郊の森に脚を踏み入れた貴族や職人、森に住む妖精たちが登場する。

 人間の男女は結婚に関する問題を抱えており、妖精の王と女王は養子を巡り喧嘩をしている。しかし、妖精の王の画策や妖精のひとりパックの活躍によって最終的には円満な結末を迎える。そんなストーリィを隆也も文庫本で読んだ。

「すると、妖精? ああ、来てくれたんだ」

 期待通りに、上空に小さな緑の生き物があらわれた。半透明の緑の羽根、ジョーゼットでこしらえた蝶の翅のようだ。翅と似た材質の緑の服を着た小さな妖精。森の精。

「……ついてらっしゃい」
「……う」

 ぶるぶるっと隆也は頭を振る。妖精の顔が……声が……誰かにそっくりだったのだ。

「俺はシェイクスピアに似ていて、妖精はあいつに似てる。俺のイマジネーションって類型的だなぁ。妖精が日本語で喋るなよ」
「日本語じゃないとわからないでしょ?」
「せめて英語で喋ってくれ。英語だったら多少はわかるよ」
「うっ……」

 今度は妖精が絶句し、三沢幸生の声で言った。
 だって、俺、英語はできないんだもーん。

END







スポンサーサイト



【FS形容詞物語「妬ましい」】へ  【続・大海さんちのオリキャラオフ会/また一緒に遊ぼうにゃ~】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

NoTitle

これはまた妙な夢をみてしまいましたね、乾君。
あまり造詣の深くない分野の夢まで見てしまうところが、彼らしいです。
私は真夏の夜の夢……有名だけどちゃんと知らないなあ><
バレーもオペラも興味を持ってみたことがないけど、シェークスピアくらいは知っておかなきゃならないかな。
でも乾君も同じくらいのレベルなんでちょっとホッとしました^^
しかしここにユキちゃんが出てくるのはなんでだ!
夢に出て来る人からは好かれてるっていいますから、・・・ふふ。

limeさんへ

夏枯れなのかなんなのか、寂しいブログにコメントをありがとうございます。

「真夏の夜の夢」……これが書いてみたかったんですけど、なんだか変な方向に進んでしまいました。
隆也はきっと寝る前にクラシックの「真夏の夜の夢」を聴いていたんですね。え? そうなのか? そうだとしたらすごい単純ですね。

私もクラシックのこの曲は好きですが、シェイクスピアは好きではない、というか、好き嫌いを言うほど知らないんですよね。
ただ、戯曲が苦手なので敬遠しています。

誰かの声で喋る妖精。
隆也は「妖精」ってものが大好きなのですけど、たぶん、ユキのこともほんとは好きなんですよね。

きゃゃああ、俺、うれびぃわーっ、
と叫んでる奴、キミは何歳だ?

はい、妖精のユキです。三十三歳ですっ!!
あーあ(^^;)

NoTitle

残暑お見舞い申し上げます。_(._.)_
お盆になりましたが、くれぐれもお体をご自愛くださいませ。
これからもよろしくお願いします(挨拶)。

真夏の夜の夢。
確かに夏は夢であり、宴のようににぎやかですからね。
それと同時に、色々なことを想起させる季節でもあります。
夢を謳歌するのは日本人の場合は夏に限るのかもしれませんね。

LandMさんへ

ご丁寧なごあいさつをありがとうございます。
今夜はすこーしましですが、まだまだ暑いですよねぇ。
LandMさんも熱中症などにはお気をつけて下さいませ。

なんだか変なストーリィですが、まあ、夢ですから……とか言ってごまかす(^o^)

ほどよく冷房の効いた夏の夜。
素敵な夢が見られるといいですね。

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【FS形容詞物語「妬ましい」】へ
  • 【続・大海さんちのオリキャラオフ会/また一緒に遊ぼうにゃ~】へ