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FS俳句・短歌・超ショートストーリィ2015/7

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2015/7 超ショートストーリィ

 オフィス・ヤマザキ社長の立場としては、私は極力表には出ない。フォレストシンガーズについてはマネージャーの山田に一任してある。山田美江子の本名は本橋美江子なのだが、私は彼女を若いときから山田と呼んでいるし、本橋真次郎というフォレストシンガーズのリーダーがいて、本橋というのは彼だし。

 つまりは山田は本橋と結婚したわけで、仕事上でも本橋美江子と名乗れと私は助言しているのだが、彼女は首を縦に振らない。今どきの働く女なのである。

 山田に関しては、古い男である私から見れば困りものなのだが、彼女は仕事はよくやってきた。フォレストシンガーズがデビュー十周年を迎え、昔と比較すれば雲泥の差といえるほどに名が売れてきたのも、山田と私の努力のたまものでもあるのだった。

 デビュー十周年記念コンサートなのだから、私も社長として挨拶しようと、主要都市での公演には足を運んでいる。今回はコンサートが終わって、フォレストシンガーズのみんなが信州のホテルに滞在するというので同行してきた。

「時に乾……」
「はい?」
「山田と本橋は子どもはつくらないつもりかな」
「社長、それを言うとセクハラになりますよ」
「だからきみに訊いてるんだろうが」

 昔からこの男は、社長である私に向かっても時に上から目線だった。時には慇懃無礼でもあり、時には耳の痛い的確な意見も述べてくれた。

「だからきみとふたりきりのときに、あの夫婦とは一番近しいきみに……」
「意外と俺は、あの夫婦とは近しくもないんですよね」
「そうなのか……ふむ。乾、この花はなんて名前だね?」

 花の名には詳しいと聞いている乾に、道端に咲く素朴な花を指さして尋ねた。

「老いて尚なつかしき名の 母子草」高浜虚子

 俳句で応じるとは小癪な……というか、老いて? イヤミなのか。ま、この男は小癪でイヤミな若造ではあったのだから、もはや若造でもない今でもそのままなのだろう。

ATSUO/還暦をすぎた夏に


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猫の母子



















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