ショートストーリィ

チャンドラ&恭子/たおるさんのイラストによせて

 ←いろはの「さ」 →FS「名盤」
タダ&シゲ
忠くん&シゲを「白蓮」のたおるさんが描いて下さいました。

そのイラストをもとに「花のもとにて」を書きました。

あられをおつまみにして缶ビールを飲み、のほほんとお花見をしているのほほんのふたりを、見ている女たち……という続編です。


「テレパシスト」

「……こんなところでなにをしてるの、忠? 今日は暇があるって言ってたから、デートしようって約束したんじゃなかったの? 私ははっきり言ったわけじゃないから……だけど、いくら忠だってあれで気づくと思ってた。私は約束したつもりだったのに……なにやってんのよ? 忠、あんた、実はホモ? あんなふうにあんたに似た男の恋人がいるの? そっちとデートしてるの?」

 ぶつぶつぶつぶつ言っているのは、黒髪で強い目力を持つエキゾチックな美人だ。背が高くてグラマラスで、恭子には南米の女性なのかと思える。ぶつぶつ言っている言葉は日本語だから、外国語教室の先生だったりするのだろうか。

「あの、あのぉ……」
「はい?」
「すみません。あの方、忠さんっておっしゃるんですね。私は忠さんと一緒に桜を見ている男性の妻で、本庄恭子と申します。日本語はおわかりになるんですよね?」
「ええ、日本語は得意です」
「たしかに忠さんとうちの夫は似た感じですよね。なんか、性格も似た感じですね」
「……あなた、テレパシスト?」
「はぁ?」

 鋭い目で恭子を見下ろした女性は、ほっと小さく息をついて続けた。

「私はチャンドラっていうの。どこの国の人間かなんてことは気にしないで。日本語は理解できるから大丈夫よ。あの男性、本庄さんっていうのね?」
「ええ。私の夫ですから……子どももいますから」
「どういう意味で言ってらっしゃるのかしら? ホモ……そんなんじゃないって? 恭子さん、あなたは私の心を読んだの? 超能力者?」
「……いえ……」

 迫られているというか、つかみかかられそうな勢いだったので、恭子は後ずさりした。

「チャンドラさん、口に出して言ってらしたじゃありませんか。小さい声だったけど、デートしようって約束したつもりだったのに、とか、忠って名前とか、似た男とデートしてるの? ホモだったの? みたいに……」
「あらっ!!」

 美人は自らの口を自らの手で押さえ、あら、口に出してた? と照れ笑いした。

「そうだったのね。あなたが超能力者なんだったらスカウトしたいと……ううん、なんでもないの。えーっと……そう? 本庄さんって性格も忠に似てるの?」
「そのように思いますけど……うちの夫もね」

 こんなことを言ったら失礼かも、と感じながらも、恭子は言った。

「鈍感なんですよね。私は夫とは同じ仕事をしていて知り合ったんですけど、好きになったのは私からで、でも、シゲちゃんはちっとも気がついていないみたいだから、私のほうから告白しようとして……そこでやっと気がついてくれたんです。先に俺に言わせて、好きだ、ってやっと言ってくれました」
「それだったら鈍感でもないわよ。いいなぁ、うらやましいわ。恭子さん、私の話を聞いてくれる?」
「私でよかったら……」

 むこうではチャンドラの仕事仲間であり、チャンドラがほのかに思いを寄せているのにはまるっきり気づいていないらしい男と、恭子の夫が桜を指さしてなにやら話している。こっちではチャンドラが、忠ったらこうなのよ、と恭子に打ち明ける。

 わかりすぎるほどにわかるチャンドラの愚痴を聞いて、恭子はため息をこぼした。

「それはもう、チャンドラさん、はっきり言わなくちゃ」
「いや、そんなのいや」
「言いたくない? ブライトが許さない? それとも、恥ずかしくて言えない?」
「うーん……どうなんだろ」

 低い声の男たちの会話は聞こえないが、女たちの声は高くてむこうに届いたのだろう。繁之がこちらを見て笑みを浮かべ、かたわらの忠をつついた。つつかれて忠も気づいたようで、男たちが立ち上がって手を振る。恭子も手を振り返す。

 チャンドラは、と見ると、なんともいえない複雑な表情で腕組みをして、まったくもう、もうもうもうっ、とでも言いたげに、恭子に目配せをしていた。

END






 
スポンサーサイト


  • 【いろはの「さ」】へ
  • 【FS「名盤」】へ
  • Tag List 
  •  * |

~ Comment ~

あはははは!!!

コメント見てすっとんできましたヽ(=´▽`=)ノ

チャンドラ!まさにチャンドラです(笑)さすがあかねさん、ちゃんと把握されてます!ありがとうございます!

「忠、あんた、実はホモ?」の部分で声を出して笑ってしまいました(笑)
チャンドラ、恭子さんといういい相談相手が出来たよー良かったね( ;∀;)
恭子さん、これからもチャンドラの愚痴聞いてやってくださいm(__)m

「男たちが立ち上がって手を振る」ってとこも笑いました(笑)こっちの会話のことなんか知らずに手振ってるんでしょうね(笑)
きっとこの後忠はチャンドラに殴られるんでしょうね(笑)

あー面白かった(^^)
恭子さんとチャンドラの絵描けるかな♪恭子さんはこの時の髪型はどんな感じですか?前はポニーテールで描かせてもらったんですが、あれは妊娠中ということで、今は変わってたりします??

たおるさんへ

お読みいただいてありがとうございます。

あー、よかった。
まさにチャンドラさん、と言っていただけて一安心です。
チャンドラさんはとっても強い女だけど、恋には不器用なのかもしれませんね。
忠くんのほうは不器用以前の問題だったりして……?

女たちの声はのほほんペアには聞こえてはいたのですが、内容はわかっていなかったと思います。
もしわかったらシゲはけっこう焦るでしょうけど、忠くんは、「ああ、そうなんですか、シゲさんって鈍感なんですか。それはいけませんねぇ」とか言いそうじゃありません?

おまえだろっ!! ってチャンドラさんに突っ込まれそうな?

チャンドラ&恭子(いつもはローマ字にしてるんですが、チャンドラってどうローマ字で書くのかわからなかったのです。CHANDRAでいいんですかね?)も描いて下さるんですか?

恭子のヘアスタイルは……そういえば私はヘアスタイルって、あまり細かく設定しませんね。
ふたりの子持ち主婦ですから、恭子は短めかな?

もし描いて下さるんでしたら、細かい部分はおまかせします。
楽しみでーす。

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【いろはの「さ」】へ
  • 【FS「名盤」】へ