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FS俳句・短歌・超ショートストーリィ2015/2

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2015/2 超ショートストーリィ


 インテリアのセンスもなにもない、というか、そんなものを求めるほうがまちがっている。ここは田舎町の役場の一室なのだから。

「俺たちは災害から避難してきた地元民か、って言ったら、前には幸生が、章うまい!! って返してくれたんですけどね」
「……本当に避難してきた方々に対して不謹慎だな」
「乾さんだったらそう言うでしょうね」

 この方には情緒過多の傾向があるが、面白味はない。いやいや、幸生に面白味がありすぎるんだ、と考えながら、情緒もなにもない白いカーテンを開けた。

「うわ、最悪!! 雪だ!!」
「雪って最悪なのか?」
「あのね、俺は稚内出身ですよ。乾さんの故郷の金沢だったら雪景色に情緒があるのかもしれないけど、稚内では雪は面倒でしかないんです。ここでだって面倒でしょ? こんな雪の中を歩いて、イベント会場に行くんですよ。まだ雪には早いって言ってたのに……降らないはずだったのに……最悪だよぉ。俺は雪は嫌いだよぉ。来るな、おまえも嫌いだっ!! 幸生っ!!」

 背中に殺気を感じたので跳びすさり、うしろから攻撃を仕掛けてきた幸生から身をかわした。身はかわせたものの、宿泊させてもらっていた役場の一室でどたばた取っ組み合う。そうしているうちに、シゲさんが窓から外に出ていった。

「いいねぇ、ほら、この俳句の通りだよ」
 自作ではないんだけどね、と前置きして、乾さんが口ずさむ。たしかに俳句の光景のまんまに、雪の上にシゲさんの履いている下駄の跡が二の字、二の字と残っていっていた。

「雪の朝 二の字二の字の 下駄の跡」田 捨女

シゲさんのあとを追っかけて、本橋さんも窓から出ていく。俳句には情緒があるのかもしれないが、下駄の跡をつけているのはむさくるしい男である。雪の中で体操するかーっ!! と叫んでいるリーダーの声が、雰囲気をさらにぶっこわしていた。

AKIRA/23歳の如月に







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NoTitle

雪は情景でもありますが、
それと同時に災害でもありますからね。。。
北海道では厳しいものがあるでしょうね。。。
それぞれ人の捉えかた一つですね。

LandMさんへ

コメントありがとうございます。
北国の方がブログに「雪は恐ろしい」と書いておられました。
大阪人は雪景色を美しいと感じますが、それどころじゃないって地方もありますものね。

ものごとは表から裏から横から斜めから、ひっくり返して解剖して、とさまざまに見るべきなんですよね。

NoTitle

どこの田舎町のイベントに来ているのかなあ?
シゲさん、窓から外に出ちゃうの? え、乾さんも・・・?

章は意外に寒がりだったりして。
ユキちゃんとシンちゃんがどこでも元気なのは変わらないですね。

二の字かあ。ニッと笑ってもいるような・・・?
関東出身の私はやっぱり雪は風情派寄りかも。

けいさんへ

いつもありがとうございます。
二月に雪がふるのが当たり前ではないところ、西のほうに来ているのではないかと思われます。

けいさんの故郷もそんなには雪は降りませんよね。大阪はもっと降りませんので、たまにちょっとだけ積もると嬉しかったりして。
雪国の方には怒られそうですよね。

章は寒がりです。北海道の家はどこでも暖房がしっかり効いているので、寒いのは苦手だそうですよね。そのわりに、札幌のOLなんかはミニスカートにストッキングで真冬の街を闊歩してますが。

で、暑いのも苦手だそうです。
「今年の夏はものすごーく暑くて、三十度もあるんですよ」と函館の人に言われたときには、三十度なんかたいしたことないやん、と大阪人は思いました。

シゲの履いた下駄の二の字、二の字の跡。
このころはまだみんな若いから、窓から雪の中に出ていって雪合戦なんかするのですよ。
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